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第8章 生と死のあいだ 都市高齢者の孤独に向き合う医療と介護

第8章 生と死のあいだ 都市高齢者の孤独に向き合う医療と介護

KEY WARDS → 孤独死 自発的な社会的排除 ケイパビリティ エイジング・イン・プレイス


1.都市高齢者の「いま」
 孤独死の時代
「無縁死」(孤独死)=「ひとり孤独に亡くなり引き取り手もない死」→年間3万2千人
                          (年間の死亡者数は約100万人)
 ↓この現象は加速度的に進む
 少子高齢社会の到来が主たる原因
 →総人口は減少するが、75歳以上の人口が大きく増加。
  (75歳を越えると医療や介護の必要性が一気に高まる)
 →この現象は都市部で特に顕著
  →高度経済成長期に地方から都市に出てきた団塊の世代が都市部で高齢期に突入する
 ↓
 高齢世帯(高齢単身・夫婦のみ世帯)の増加⇔三世代世帯は減少
 ↓
 多世帯・大家族を前提として高齢期の生活を支えることは難しくなりつつある。
 →孤独死の割合がさらに高まる

 都市高齢者の身体と生活の危うさ
高齢化問題→平均寿命の延びが大きく影響(2009年時点で男性79.6年、女性86.4年)

平均寿命≠健康寿命(健康に生きられる期間)
死亡原因…がん、心疾患、脳血管疾患
介護が必要になる原因…脳血管疾患、認知症、老衰、間接疾患、骨折・転倒
→適切な治療を受けても生活自立度は低下する。

75歳以上人口の増加に伴って要介護度の高い高齢者も急増する
→実際に介護をしているのは6割以上が同居家族。
 都市高齢者世帯を中心に、要介護度の高まりとともに、「老老介護」の占める割合も絶対数も高まる→日常的な介護者がいない単身高齢者の増大も予想される

高齢者世帯の家計
収入に対して支出が上回る
(高齢無職単身世帯で3万783円、2人以上世帯で5万2873円(総務省「家計調査」2011年))
→預貯金の取り崩しによって生計を維持
→生活保護受給者の増加

生活の困窮は、預貯金が底をつくまで家庭内で不可視化される ≒ 家族介護
→可視化されるのは、家庭と家計が崩壊したとき
→問題の本質が見えにくくなっている。明らかになったときには手遅れということも。

「自己責任」の風潮の広まり
→「自分のことで家族や他人に迷惑をかけたくない」という思い
 「他人の世話になる無力な自己」を拒否するプライド
→自ら進んで社会の周縁に身を置いてしまう=自発的な社会的排除

孤独死
物理的な孤独死→世帯構成の変容から見ても必然の流れ
社会的・精神的な孤独死=「緩やかな自死」→自己決定の問題として済ませてはいけない

2.都市高齢者の孤独と医療
 都市高齢者を取り巻く医療の変容
死亡場所の国際比較→日本は圧倒的に病院での死亡が多い。
病気という「異常」を治療する場で、生命にとっては「正常」な現象である死を迎える。
→介護施設や高齢者住宅(心身に障害を有した高齢者の受け皿)の整備が不十分
⇔医療機関が社会福祉的な機能を担う

⇔人々の生と死を支えてきた医療の崩壊
1980年代~医療費抑制政策⇔高齢化の進行+医療の高度化=医療需要の増大
↓結果
医師不足、診療機能の縮小、救急患者の受け入れ不能といった問題の発生
 ⇔
病床数は他国を圧倒→低密度医療が進められた結果、急性期医療の需要増大に対応できず
 ↓対策
医療機関の「再編・集約化」「機能分化」→急性期医療の効率的な提供をめざす
→急性期病院の入院日数の短縮
 →退院時期とは、急性期病院への入院非適応となり、地域や他医療機関での療養が可能になったときを指す
 →患者・家族は「追い出された」という感覚を持つこともある。

「病院で死ねない」状況 ← 死亡者数の増大が原因 
(2040年には49万人の看取り場所が不足する見込み(「わが国の医療についての基本資料」))

今日の高齢者
病院での積極的な治療<住み慣れた地域や家庭での日常生活を望む
→「平穏死」「自然死」
住み慣れた家や地域での日常生活維持は心身の健康維持という観点からも望ましい。

在宅医療…1人ひとりの患者の希望を実現するべく、主として患者の自宅における適度な医療提供を通じて、可能な限り患者とその家族の生活を尊重し、患者とその家族のQOL(生活の質)の向上を図ろうとするもの
 ↓
「治す医療」から「支える医療」へ
一人ひとりの患者・家族の生活状況を踏まえた、治す医療と支える医療の連携が重要

 治す医療と支える医療のあいだ
急性期病院の退院支援の現場←治す医療と支える医療のはざまに立つ
→治療後も高度な医療提供や看護・介護を受けないと生活が送れなくなる
理由①医療の高度化による長期延命
 →侵襲度の高い医療処置(気管切開、人工呼吸器、経管栄養など)を受けたために、自宅復帰や施設移行が困難になる
理由②長期伏臥により認知症を含む廃用症候群が生じる
 →身体活動量が低下し、心身機能の二次的障害が発生
理由③疾患の慢性化、合併症や後遺症の併発
 →退院後も継続した治療や医療管理が必要

病院は高度な医療管理と医療安全のために均質化された「非日常」の空間
 ↓
患者は生活の自律を失い、受け身の医療が展開される可能性がある
 ↓
医療が生の自律を奪ってしまう危険性

「人間のために」整備されたシステムが人間の自律を喪失させ、不能化、システム依存、生の平板化へと陥らせる → 近代的逆説

人、物、場所とのつながりのなかで積極的に生きるという意志が失われることが問題
 ↓
患者や家族が、心身機能が低下した状態を受容し、新たな生活を主体的にイメージし、構築していくことが必要

 治す医療と支える医療をつなぐ退院支援
退院支援→に生活の自立・自律を第一に、医療を組み立てるという発想
①:できる限り早くから、自宅に帰るという目的意識を共有
  →医療者とともに、病気と向き合う気持ちを維持していくことができる
②:患者・家族が、病態を理解したうえで、実現可能な退院後の生活像を主体的に設計するための支援
  →入院中の医療やケアも患者が望む自立した生活を可能にする退院後の医療管理を念頭に置く
③:①②を踏まえて在宅療養の環境を整えるサービス調整を行う(従来の退院調整)

ケイパビリティ(潜在能力)
本人の主観的な選好や選択とは別に、ある1つの目的を達成するために採用できる手段の多様性のこと

ケイパビリティの平等
生きる手段の多様性が万人に広く開かれていること
 ↓
退院支援も、生きる手段が限定され、生の可能性を自発的に狭めてしまうなかで、その多様性を開き、当事者の主体性を取り戻そうとする営為(=エンパワメント)といえる

3.都市高齢者の孤独と介護
家族介護という神話
在宅療養に移行した際には、介護が問題となる
→自由な選択の結果としての家族介護と、代替となる選択肢がない家族介護は、意味合いがまったく異なる
 →家族介護が問題になったのは、従来の家族介護では支えきれないほど、介護が長期化・高度化・高密度化したから

高齢者施設は貧困者救済の延長線上にあり、施設介護はスティグマ化(他者や社会集団によって負の表象とされる)され、家族に在宅介護を強いる圧力として作用
→福祉政策の貧困は「日本型福祉社会」なるイデオロギーのもとに覆い隠されてきた
 ↓
2000年介護保険制度の実現→「介護の社会化」が部分的に実現
「保険」という制度に「受益者負担」の原則を持ち込むことで、公的サービス利用に対するスティグマをなくす効果があった
 ⇔
要介護度が高まると、家族の介護力なしで在宅の生活が可能になる段階には達していない

 施設介護からエイジング・イン・プレイスへ
介護保険施設への入所のニーズの高まり
 ⇔
施設定員数の不足、介護保険利用も居宅サービスが中心(特に都市部で顕著)、介護保険財政の逼迫により新たな施設建設も困難

施設入所→入所者の生の自律を削ぐという問題
→施設の類型により提供されるサービスが固定化されており、入所者のニーズに合わせた柔軟なサービスを提供することができない
→心身の状態の変化に応じて必要なサービスを提供してくれる施設に移るのも困難

「住まいとケア」の分離に根ざした「地域居住」(エイジング・イン・プレイス)の発想
→自宅に住まい、自らのケイパビリティを最大化するかたちで、さまざまなサービスを日常生活圏内でフレキシブルに組み合わせて提供してもらうスタイル(地域包括ケア)

2006年~地域密着型サービスが始まる。特に、小規模多機能型居宅介護施設
→生活圏内にある同一の施設が、デイサービス(通所)、ショートステイ、訪問介護などの多様なサービスを提供
 →住み慣れた地域や自宅での生活を支える

2012年~介護保険による24時間地域巡回型訪問介護サービスが始まる
→1日複数回・短時間の定期訪問や随時訪問により「必要なタイミング」で「必要な量と内容」のケアを提供する

地域密着型の介護事業者などによるフォーマルなネットワークと友人、隣人、ボランティア、NPOによるインフォーマルなネットワークを多様につなぐ都市生活空間が必要

「サービス中心モデル」:利用者の多様なニーズを画一化して施設をカテゴリー化し、固有性を有した人そのものをカテゴリー化してしまう
 ⇔
地域居住:本人が住みたい場所に住み、必要なケアをフレキシブルに提供
     →「住む人を選ばない、住む場所を押し付けない、住む時期を決めつけない、そして自己決定により町中を自由に動き回れることを可能にする」モデル

4.都市高齢者の「自立」に向けて
「無意味な延命」⇔さまざまな人やものとのつながりを土台とした「自立」的な生の構築
「どう死にたいか」を決定するためには、「どう生きたいか」が問われなければならない

経済的な貧困→就労機会の提供、生活保護の適用
心身の異常→必要な医療と介護の提供
住む場所や施設がない→サービス付きの高齢者住宅の整備
 ↓
都市高齢者は、それだけでは解決できない問題を抱えていく
 ↓
死の外部化によって成り立ってきた生産主義的な「都市」の論理という前提
→自らは標準化=規範化された都市生活から乖離してしまう
→そこから失望と諦念が生まれる
→自発的な社会的周縁化、社会的排除に至ってしまうという問題

医療と介護の役割
・心身の維持や回復
・生と死の分断ではなく、それが混在する中で、都市に住まい都市に生き都市に死ぬ人びとの人間性の維持と回復をもたらすものであるべき

○論点
1.介護保険が整備され、様々なサービスが提供されているが、私たちの祖父母は実際にどのような生活を送っているのだろうか?そして、そこにはどのような問題が潜んでいるのだろうか?

2.1を踏まえて、少子高齢化が急速に進展しているという前提のもと、私たちはどうやって生き、死を迎えたいか?そのためには何が必要なのだろうか?


<第1班>
論点①


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グループメンバーの祖父母、両親は皆多少の健康不安を抱えつつも元気であったことから、「なぜ元気に生活できるのか」を考えてみた。
その結果、3点が明らかになった。1点目は仕事などをしており、自律・自立していること。2点目は生きがいを持って生活していること。生きがいには自己完結型と他者との関わりが生じるものの2つがあると考えられる。最後の3点目は健康不安などを抱えつつも、その中で最期への準備をしていることだ。

論点②

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「孤独死」を迎えないためにはどうすればよいかを議論した。まず我々は「長生きをする」前提で議論を進めていることに気付いた。長生きするためには健康である必要があるが、身体的健康のみならず、精神的健康も非常に重要な観点になってくる。
議論内容に戻るが、「就職→結婚→子供・孫の誕生」が孤独死を防ぐための1つの流れではないかということになった。しかし、この流れの通りに生きなければ孤独死を迎えるということでもないし、この通りに生きても孤独死を迎える可能性は低くない。そのため考えたのは、「家族」だけではなく「家族以外の他者」とのつながりを切らないということだ。何らかのコミュニティに属すること、そしてコミュニティ自ら抜けるということを防ぐことが大切だと思われる。

<第2班>
論点①


CIMG2810.jpg

論点②
CIMG2813.jpg

[論点2]は教科書本文や[論点1]の内容を踏まえた上で、自らの生と死について考える議論となった。私たちにとっては、まだ「死」を直近のものとして捉えるのは少し難しいようにも思える。しかし、少子高齢化が進み、無縁社会とも言われる都市に住まい都市に死ぬ1人の人間として、生と死を分断することなく一本の繋がりとして捉えた時、望ましい「死」を迎えるためには「生」のあいだの様々な要素(就職・結婚・人とのつながり…)が必要になることが見えてきた。例えば、私たちにとって間近に控えた就職も、長い目で見れば1人ひとりの「死」につながる重要な選択の時だということ。とりわけ女性にとっては結婚が、居住地選択という点でその後の人生に大きく関わるということ。「死に方」につながる数々の問題がすでに私たちの目の前に存在していることに改めて気付いた。ここに、教科書本文にある“「どう死にたいか」を決定するためには、「どう生きたいか」を問わなければならない”という文章が、より説得力を持つものとして各班メンバーの心に残ることとなった。

<第3班>
論点①



CIMG2809.jpg

論点②
CIMG2812.jpg




<総合司会コメント>




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2014-10-31 17:36 : 『都市のリアル』(14年度学部ゼミ) : コメント : 1 :

浜松

浜松フィールドワーク合宿 2014年9月29日~30日
写真はクリックすると別画面で拡大します

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ブラジル銀行浜松支店
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2014-10-05 18:03 : 学部ゼミ情報 : コメント : 0 :
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