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『人文地理学への招待』 序章 地理学を学ぶために

序章 地理学を学ぶために  竹中克行

■改訂の理由
なぜ2009年に刊行された『人文地理学』の大幅な改訂に踏み込んだのか?
→地域・社会の変化、そしてそれを背景とする研究の新たな展開をおさえることで、潜在的な読者の期待に応えようと意図したから。

■各部の位置づけとキーワード

第Ⅰ部:地域への地理学のまなざし
「自然と人間の関係性という視点から、自然環境との密接な関係において生活や生業を組織してきた農村と、自然環境のうえに高度な建造環境をつくることで集住を可能にした都市という、対照的な地域のあり方が識別されることは強調しておかねばならない。」ということに対する基本的な理解の提供。
・時間地理学(1)
1960年代後半にスウェーデンの地理学者T.ヘーゲルストランドが提唱。
ニュートン力学的な時間を前提とし、時空間上で個人の生活行動をとらえ、これを3次元のダイヤグラムで描き出す(地域社会環境論Bを思い出そう)。
→現代人の経験世界にフィット。
・争われる空間(2,3)
時間と同様に、空間もまた、人間の活動を支え、枠づける有限の資源として作用。

第Ⅱ部:経済活動を空間的に読み解く
帰納主義的なモデル構築の分野で日本の地理学が大きな蓄積を有するということを、経済・産業活動を中心対象として検討し、明らかにする。
・固有の性格を有する地域に通底する一般性を導き出すには?(4)

第Ⅲ部:地理学が映し出す想像力の世界
「意味づけられた空間は、物質的な空間との間で緊張に満ちたやりとりを続けている」という問題意識に貫かれたテーマ群について。
・人文主義地理学における空間の捉え方(4,5)
英語圏を中心とする地理学は、人間の思考や情念によって分節化され、周りとの関係性を与えられたまとまりを場所(place)という概念で議論してきた。

第Ⅳ部:過去と現在を繋ぐ地図
歴史学は時間、地理学は空間を、それぞれ切り口として、人間世界に関する考察を深めてきたが、時空間が切り離すことのできない統一体として存在することは自明。時間と空間の交わりを積極的に対象化する歴史地理学の考察。時間と空間の交わりという問題設定の延長上にあるのは、知的統一を基盤とする全体史といった壮大な研究テーマ。地誌と歴史を統一的な視野のもとに描き出す研究は、量産困難な仕事であるが、長い目でみれば、歴史学とともに地理学が挑戦すべき知の領域のひとつ。

第Ⅴ部:地理学と現実地点の接点
「知の体系としての地理学は、地域に対して自らの存在意義をいかにアピールすべきか?」「地域と結ばれた学として、地理学にどのような強みがあるのか?」という問いに対する答えを提示。
・地理学に投げかけられる問いや使命(6,7)
ex. 生活のなかで空間がもつ意味を市民の目線上で見せることを可能にした地理情報システム(GIS)とその弊害。

■論点
・編者は改定の理由として地域・社会の変化をあげているが、2009年~2015年の6年余りで、地域や社会はどのように変化したのか。また、その変化は何によって起こったのか。その原因はひとつか、それとも複数か。それらは密接に関係しているか、独立しているか。

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2015-10-22 20:57 : 『人文地理学への招待』(15年度後期ゼミ) : コメント : 0 :

2015年度後期のゼミテキスト

2015年度後期のゼミテキスト(学部)が決定しました。

竹内克行編著『人文地理学への招待』ミネルバ書房、2015年

http://www.minervashobo.co.jp/book/b190336.html
2015-10-22 20:54 : 『人文地理学への招待』(15年度後期ゼミ) : コメント : 0 :

地域の社会学  第12章 地域社会の未来

第12章 地域社会の未来

1.コミュニティ業税の限界と遺産
  地方分権改革とコミュニティ行政
  ・1990年代に始動した地方分権改革により、基礎自治体における政策理念への変化
・新しい自治体政策、70年代・80年代のコミュニティ行政に注意をむけつつ、
90年代以降の地方分権改革を契機とした地方自治体政策の変化、「新しいコミュニティ形成」について述べている

  コミュニティ行政の原点
  国民生活審議会調査部会コミュニティ問題小委員会報告・・・大都市に進行する住民自治の空洞化と行政サービスへの過度の依存が、かつてない速さと拡がりを伴って進んでいくことへの危機意識、問題意識を背景にコミュニティ形成を提唱
  ※忘れてはならない諸原則 ➀住民自治の回復と住民参画の必要性という視点
               ➁都市化が進んだ大都市社会においてこそ、コミュニティ形成が必要
               ➂コミュニティとは期待概念であるということ
               ➃コミュニティは意識や関係だけに偏った戦略ではないということ
  ↑
  上記の報告から、大都市における行政システムへの住民参画の実現、地域社会ごとの新しい共同体の構築の必要性、期待&既存の行政サービスの在り方に対するするどい反省を促すという点への期待が語られた

「コミュニティ行政」の現実
実際のコミュニティ行政・・・上記の期待や関心を大きく裏切り、行き詰まる結果となった
➀大都市の自治体は含まれていなかった
  ➁➀の結果より、コミュニティがかつての村落共同体イメージの復活としてとらえられたこと
  ➂センターの設置や運営委員会の設置にとどまってしまったこと
 ➃行政サービスやシステムの見直しが行われなかった
 ➄これまでの地域での社会教育活動と対立する行政方針に結びついた
⇒行政サービスの供給過程と施策の執行過程の一部に、財政負担の軽減を目的として、住民参加を要請するだけのものに



2.自治体政策の変化と新しいコミュニティ 
 コミュニティ行政の遺産
  1970年代・1980年代のコミュニティ行政・・・ハコモノ行政?
  ⇔住民によるコミュニティ施設の運営の定着、ボランティア活動の成長などが生まれた地域も。
   結果として、公共的領域への自発的関与、共同問題の解決を目指すための活動への参加の拡大
   しかし、この点はコミュニティ行政の限界ともいえる
   
議論の出発点から住民が参画していくことの重要性、活動する住民の数を増やすこと、地域社会に関心を持ち続ける住民の確保
→1990年代以降の新しいコミュニティ形成のための準備、コミュニティ行政の遺産

  自治体政策の転換
  各主体を共に公共的領域に責任を持つパートナーと位置付ける協働=パートナーシップの考え方や
これに由来する地域ガバナンスの提唱、実践
  →ポイント:住民が正当性を付与された権限を持ち、意思決定過程に参画していくことのできるシステムを形成できるかどうか

  都市生活様式の問題
都市社会学における都市生活の扱い
➀都市的生活様式論・・・都市生活の共同的側面←ここではこちらを援用
   ➁都市的生活構造論・・・都市生活の個別的側面

  都市的生活様式とは
  都市社会及び地域社会の共同問題の共同処理を、専門サービスによって専門処理することを原則と
するような共同生活の営み方
   ↑
  都市生活における共同問題を行政サービスという専門サービスによってもっぱら処理しているよう
な現状の都市的生活様式が問題とされなければならない
地域社会レベルでは、現状の処理システムの限界に関わる問題でもある
  →この視点にたつと、コミュニティ形成における中心的活動とは、地域社会ごとに処理システムの
限界を突破し、これを改革する活動であるといえる
  (公共的領域への住民の介入、政治的意思決定過程の参画、行政的権限のあけわたし)
  ⇒これらを含めて、新しい都市的生活様式を樹立し、新しいコミュニティを形成する営みと位置付
ける




  問題処理システムの限界
  問題処理システムの問題性
   ➀システムの巨大性と不透明性
   ➁行き過ぎた専門分化と細部における規制
   ➂現状のシステムが専門処理にとって適合的な要素の連関として成立しているため、
住民の関与を最低限に抑えようとする傾向にあること
   ➃副次的・潜在的機能を捨象する点
  
  
コミュニティとは何か
コミュニティとは・・・地域社会における問題処理システムが最適なシステムとして機能し、それによって住民自治が具現し、住民生活の質が高まっているような地域社会の理想状態
コミュニティ形成活動は、➀行政システムの内部の自己変革の活動
➁政治的・行政的意思決定過程への住民の参画、あるいは処理システムへの住民の共同処理の組み込み
 コミュニティ形成に関する議論
  かつては住民の地域社会への関与に関わる意識、住民相互の作りあう関係性に関するテーマ
  ⇔ここで提示する議論は、処理システムの変革、新しい処理システムの形成を掲げている
   つまり
   公共的領域の問題処理を担うシステムの内部に住民参加を実現し、それによって住民自治の拡大を目指すことが最重要
  
3.新しいコミュニティ形成に伴う諸問題
  相互扶助にまつわるイメージ
  村落における相互扶助のタイプ・・・現在もなお住民の共同処理の原型として生き続けている
  →そのため、共同処理という言葉が極めて狭い意味内容としてとらえられることとなる

  さまざまな共同処理と行政の課題:共同問題の公共化
  共同問題の種類別に最適な処理の在り方、多様なタイプの共同処理を専門処理システムの中に組み込むことが重要
協働=パートナーシップを実現するために
➀行政は、古い相互扶助イメージに引きずられずに現状の視点から転換
➁行政は、各団体との間に対等な関係を構築し、公共領域の責任をともに担う関係の構築
 ➂住民の自己組織化能力と問題解決能力を信頼する発想
 ➃情報提供サービスの中で、問題提起を行い、地域社会に顕在する共同問題の顕在化、公共化
 ➄共同問題の公共化と公共化した問題の処理過程への住民の参画や行政的意思決定過程への住民の介入を許容しうる行政処理システムの構築
  周辺からの相互発信
  コミュニティ形成をさせる理念は、中央からの発信に依拠するのではなく、地域からの、周辺からの発信に基づいて多様な改革の道を尊重しあう精神にある

  重層的コミュニティの形成
  コミュニティ形成・・・地域社会ごとに多様であり、地域の空間的範域に応じて成立する重層性をもつシステムでもある
→注意すべきは、問題の種類やタイプ、処理の方法が空間的範域の大小によって異なる点であり、
その範域は主に4つに分類される
最大 基礎自治体および政令指定都市における区
中間 中学校区、連合自治会・町内会
中間 小学校区
最小 単位自治会・町内会

  新しいコミュニティ形成とまちづくり
  中学校区レベルでのコミュニティ空間に対応する処理システムをいかに形成するかがもっとも重要
  →このレベルでのコミュニティ空間こそ、まちづくりの名にふさわしい処理システムの構築が可能

  新しい家郷としてのコミュニティ
  団塊の世代にとってのコミュニティ形成・・・新しい家郷の創造
  昭和30年代「過去物語」・・・団塊の世代にとっての新しい家郷創造の内なるシンボルとして受容され、彼らは家郷創造者として自らを位置付けている

 論点
  ➀本文にあるようなコミュニティや地域、行政等に関して、自分が経験したこと、自分が不満に思
   っていること、感じていることなどを自分自身の立場から捉え直し、共有しあおう
  ➁本文では、p285「重要なことは、次のような点を住民も行政もともに考えていくことである。
共同問題のなかで、専門処理にふさわしくない問題とは何か。にもかかわらず現状では専門処理
してしまっている問題とは何か。住民の共同処理と行政サービスが結合できる要所とはどこか
・・・」や重層的コミュニティの形成、とりわけ中学校区でのコミュニティ空間の形成の重視な
ど、筆者の考えが述べられていたが、これまでの議論や➀で出た意見や問題を捉えたときにそれ
らはどう当てはめて考えることができるだろうか。あるいは解決につながるだろうか。
ひとつの課題を取り上げて考えてみよう.

<班の議論のまとめ>
論点1
地域、行政に関して各々感じていること、という話題で思いつくものをメンバーにあげてもらいました。議論前に出ていた、物的な課題、と人間的な課題のふたつに分けて、さらにその課題が発生している範囲(行政、地域社会、自治会・町内会、家族・個人)に分けて分類する形をとりました。
物的な課題は主にインフラに関するものが多く、溝の修理の際の行政の動きが遅い、防災に備えた設備が無い、空き家問題などがあげられました。一方で人間的な課題となると、行政の融通のきかないやり方に苦言を呈する意見が多くあがりました。また、行政も住民もやりたいことややる気はあるのに、両者の意思疎通がうまくなされないがためにすれ違っているという印象もうけました。また、地域のつながりが美化され、それに頼り切っているのが今の地域社会の現状であり、住民の負担が大きすぎるとの意見も出ました。地域のつながりが美化されるのと、希薄化が同時に起こっているということが浮き彫りになった印象でした。

論 点2
論点1で話していた、物的な課題、主にインフラについては、専門処理に頼るしかないという意見が出たので、主に人間的な課題について話が及びました。中でもやはり専門だけでは難しいのは、義務教育や病院などの専門処理からこぼれおちてしまった人ではないかとの意見がでました。教育や福祉において、専門にアクセスできないのはやはり貧困が大きな原因であると考えられます。また、高齢者の場合では足がないという場合も考えられます。そのような人々を、専門処理にアクセスする人が必要なのではないかという議論になりました。その場合、足になるなどして専門につなげてあげる人と、そもそも自分で処理を施して助けてあげようとしてくれる人の2パターンがあるという意見がでま した。また、古き良き時代の地域社会」においては、このような助け合いが現在よりは行なわれていたと考えられますが、一方でそのような時代においても、現在においても、ある程度引きこもりや認知症などの家族は隠したいという気持ちがあるのではないかとも考えられます。そして、最も大切なのは、美しい地域社会のつながりに全てを依存してしまって、「弱者」に手を貸そうとする人々が無償で、あるいは犠牲を払わなくてはならない状況を改善することだという結論に至りました。どれだけつながりや絆をうたっていても、助ける方も金銭的に安定していないとボランティアは不可能であるからです。


2015-10-19 18:02 : 『地域の社会学』(15年度前期学部ゼミ) : コメント : 0 :
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