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『都市社会地理学』 第3章 レジュメ

『新版 都市社会地理学』第3章 都市の文化



本章の課題
・文化とは何か
・カルチュラル・スタディーズとポストコロニアル理論の視点が都市研究にとって非常に重要になってきたのはなぜか。
・文化の形成において空間と場所の役割はどのようなものか。
・ポストモダン都市とは何か?


近年の都市研究における変化…文化に関心⇒文化論的転回、カルチュラル・スタディーズ

社会-空間弁証法(第1章)
 都市=限られた空間に多くの異文化→[技術革新・新たな文化]+[緊張・紛争]

【本章では】文化の問題が都市の見方を根底から変えた原因の説明

3.1文化とは何か

文化…絵画・彫刻などの「高踏芸術」
社会科学における文化…「暮らしのあり方(ways of life)」(Giddens,1989)
3つの要素 ①価値観(理想・願望)
       ②規範(規則・原則)
       ③事物
1) ①~③の密接な相互関係
カルチュラル・スタディーズにおける文化…意味を持つあらゆる形態の表象を含む
2) 共有された意味の集合(言説、物語)
  シニフィアン、シニフィエ(記号学)
都市景観の意味研究→図像学
  企業本社…企業権力や影響力に関する言説のシニフィエ→象徴資本(記念碑建築)
3) 社会の支配的な価値体系に対して反発する集団
  文化の多様性と差異→下位文化、「逸脱的」下位文化、他在
4) アイデンティティの問題←多くの要素から形成。主体の位置、諸主体性。
  比較対象の存在・・・客体化
  権力関係、物的・政治的・心理的資源の配分と関係

3.2 ポストコロニアル理論と都市

【サイード】
コロニアリズム…新しい植民によりある国が他国に直接支配されること
帝国主義…遠くの領域に対して支配的中心がとる態度や行為
     →コロニアリズム終焉後も続いている
「他者化」…他者(現地人)よりも自分達(西洋人)が優れているという考え方

ポストコロニアル理論… 帝国主義的言説を検証。自民族中心主義を批判。
            西洋思想は多文化と関係の上に形成
文化混交による「他者化」批判
文化交差、クレオール化など
文化の変容と混交は絶えず起きている(文化は必然的に混交物)
→真正性概念への異議
文化混交による価値矛盾(専有→擬態→支配文化の権威を揺るがす)

カルチュラル・スタディーズ&ポストコロニアル理論
文化=社会的構築物
例)国民的アイデンティティ…想像の共同体(Anderson,1983)
コミュニティ意識における想像的要素(マスメディアなどによる)

3.3 空間・権力・文化

文化形成においての空間の持つ重要性
空間…文化と同様に社会的構築物→権力や権威と密接に関係。 空間≠「空虚な容物」
フーコー…合意形成(自分の生活を他者に決められることを認める)の方法に注目
      合意―様々な種類の言説(≠普遍理論)によって形成
      権力…日常生活の重要な要素。その過程→末端の権力
      施設の空間分析―様々な言説がアイデンティティを形成(呼びかけ、監視)
              空間が施設における行動を規定
              規律社会―パノプティコン

都市…文化と空間、権力の関係についての多くの事例
例…公共空間(人々が自由に出入りできる空間)
→「排除」を含む。行動の規範を破るものor破る可能性のあるものの排除。
空間…期待される行動パターン、特定の文化価値を反映
→排除の空間(Sibley,1995)、文化帝国主義(Young,1990)
アイデンティティの形成、ステレオタイプ構築、客体化、二項対立形成過程(空間化された主体性)
都市…産業革命初期に空間的住み分けが拡大
→「純化されたコミュニティ」(Sonnett)…他者の排除のための壁
「純化された空間」(Sibley)…権力集団による排他的行為に注目
空間⇒特定の文化価値が表出、独自の文化形成の促進(社会-弁証法)
歴史…その空間外部の出来事と密接に関係(×独立)している
Mouffe(1995)『アイデンティティとは空間の中で生じる数多くの相互作用の結果』
具体的空間における権力関係…永続的でなく、常に変化&調整
空間…社会的に構築された性質をもつ
=都市… 時代ごとに書き換えられるテクスト
表象の仕方に制約や影響を与える明瞭な物的存在(しかも変化しやすい)
    都市イメージ変化―場所の売り込み(場所のマーケティング)、表象の付け替え
Robin(1991)「グローバルの過程が文化と地域の結びつきを破壊」…多国籍企業
地域的アイデンティティの再主張、独自の文化表象←外部の大衆文化に対する脅威

Massey(1995,p.283)によるまとめ
①相互関係を通じたアイデンティティの形成過程
②アイデンティティが常に変形されているという事実
③権力とは、既存のアイデンティティの間で生じる外的関係だけでなく、これらアイデンティティの一部であり、要素でもあるという主張
④文化の形成には外部からの力も働き、内部における他者の存在も必須であるという主張

文化≠エリート集団の特権
   =消費財や景観、建築、場所など周囲にあるもの全て。
常に変化・対立を生じさせるもの。言語や日常の社会実践のなかにある。

3.4 ポストモダニズムと都市

モダニズムとポストモダニズム
…[①文化の様式②分析の方法③歴史の時代]として用いられる(Dear,1986;1999)

〈モダニズム〉
ルネサンス期に登場、19世紀後半から20世紀前半に全盛となった文化的哲学的運動
合理的思考と科学的分析が進歩をもたらす→社会工学
計量的・行動論的アプローチの基盤とされる。20世紀が進むにつれ支持を失う。

言語論的転回(文化論的転回の先駆)による批判
(ソシュール)…言語の意味は人々の共通理解から生じる。
         言語の意味理解には言語が生まれる広い文化的背景を理解する必要。
         言語は用いる言語と言語が指し示す概念を通して世界を作り上げる。
         赤信号の例

言語に具現化されている多くの真実(一つではない)
表現される共通理解によって真実が異なる。
共通理解―社会の内部でも社会間でも異なる
世界―「出来上がった」ものではなく、作り上げようとするもの
世界に関する理解――特定の理論的観点のフィルターを通して行われる

〈ポストモダニズム〉
理論あるいは「知の主張」=権力と結びついたもの→他者に対する押し付け
⇔知の方法が一つしかない考え方を拒否
 世界を分析する唯一の優れた方法(大きな物語/普遍的な言説)の存在否定
 多くの方法―既存の権力関係に依存

ポストモダニズムの有効性⇔(Giddens)現代は晩期モダニズム(自省性)

ポストモダニズムの特徴
①社会における集団の多様性を認識 例)音楽や芸術文化、都市景観、建築様式
 都市におけるポストモダニズム的解釈…記号やイメージの重要性の高まり
 →イメージや模倣(シュミラークル)に基づく独自の世界(現実との区別が難しい)
②記号独自の内的意味を持ちながら、外的現実とは関係しない→超現実。超空間。
例)ディズニーランド…心地よい汚れのない歴史観etc
イメージ工学。私的空間に対する強い管理。
(Sorkin)都市全体が「巨大なテーマパーク」、「脱地理空間」、ディズニー化
モダニズム建築…画一的で、進歩の追求
ポストモダニズム建築…消費、快楽主義、社会的影響を無視した利潤追求

消費財―多種多様なモデル、スタイル
地位財―自分の消費する財を通じて好きなタイプのアイデンティティを選択(消費の美化)
    例)ナイキのブランド化
アイデンティティ形成に果たす消費の役割→消費によって(×収入、階級)人々が定義される。
 消費空間の拡大、消費させるための空間作り
 消費空間の宣伝においてポストモダン文化(皮肉、パスティーシュなど)が影響
  →1〉商品をエキゾチックで「他者」のように仕立てる
   2〉皮肉
ポストモダニズム
…フレキシブルな蓄積体制、多様なニッチ市場、細分化された大衆
  →消費の虜、社会の支配権力に異議を申し立てない
批判的に受け止める必要―都市の文化が多様である、構造変化が長期的に続くか不確か

ロサンゼルスと「カリフォルニア学派」

20世紀初頭のシカゴ―工業都市の典型例とみなされる(シカゴ学派)
最近ではロサンゼルスを典型的な「ポストモダン」都市とみなす(Scttなど)
⇒カリフォルニア学派/ロサンゼルス学派
1〉「ロサンゼルスのスプロール化する郊外」+「レギュラシオン理論の新しい蓄積体制の概念」
 フレキシブルな蓄積体制
…ハイテク産業集積(Scott,1986)、創造的な産業(Christopherson&storper,1986)、
 産業クラスター
←大まか過ぎる、経済に焦点が偏っていると批判される
2)ロサンゼルスの新しさ…古典的工業都市の産業遺産がほとんどない
            多核心理論、CBDの役割が小さい、分散的な中心(Harris&Ulman)

ロサンゼルス学派の重要なテーマ
1)分散化した都市とそこに見られる明確なパターンの欠如
 ポストモダン世界都市(Soja,1989)ポストメトロポリス(Soja,1997)
→ロサンゼルスは物理的、社会的に断片化
多数のサブセンターやエッジシティ(Garreau,1991)
⇒エクソポリス(Soja,1992)―内側と外側が入れ替わった都市
 住民は同じ都市に住んでいるという帰属意識を持ちにくい
ポストモダン文化の分断と多様性が景観の物的構造に表れる
⇒星雲状都市(knox,1993;Lewis,1983)…広大な銀河系星雲
ケノ資本主義…都市の中のランダムな要素(エッジシティ、囲われたコミュニティなど)
2)暴力と犯罪が常態化した環境の中で富裕な社会階層による防犯対策の発達
 (Davis,1990;Christopherson,1994)
社会的二極化対する反応
陣地建築(要塞建築、防御建築、パラノイド建築)→「監視空間」(好ましくないものの排除)
監視対象は底辺の人だけではない←様々な事柄に関する情報入手
 
ロサンゼルス学派が提起した重要な問題
⇒将来の都市発展の一般モデルとしてロサンゼルスがどのくらい妥当か?
・ロサンゼルス学派の研究で最も重要な点は都市形成の諸過程
  →未来都市の先駆的形態とみなすべきではない
 →新しさを誇張すべきではない
ポストモダニズム都市論に対する第2の批判
…人種の問題について何も述べていない(Jacobs,1996)
(ポストコロニアル理論からの批判)
 アイデンティティの多様性に注目しつつも、中心からの見方に固執
 ←中心からの唯一の見方は存在せず、外側からの複数の見方のみ存在している。

多核都市―「矛盾と多様性の並置、生活の劇場」(Amin&Graham,1997)
 都市が多様な経済・社会生活の交錯点となりつつある一方で、その多くは互いに交わらない
計画都市と無計画都市(Boyer,1995)の区別

都市の一般化の困難性

3.5 まとめ

近年の西欧都市の文化に見られる多くの複雑な変化←極めて複雑
 都市を単一の文化景観として「解読」し理解することが次第に困難
 ただ一つの都市地理は存在しない⇒複数の都市地理が存在
 中心(空間的構造的な中心&社会的概念的中心)を持たない都市
 文化を志向した研究に対する大きな批判―文化が生起する政治経済構造を見ていない
 文化と空間との間に単純な関係を想定しない
 境界の不安定性と透過性を誇張するのは安易
 将来の分析にとって重要―グローバルな過程とローカルな過程の相互関連を追及

「本質追求」、「客観性追及」、「他者化」、二項対立を回避する試みの結果
 →多くの文化地理学者が図表(社会地理学者の道具)に疑念、冷淡
  ∵権力関係を覆い隠し、ステレオタイプを強める
 ⇒「エスのグラフィー」の手法(特に深層インタビュー)を重視
  人々の見方の複雑さや多様性を解明

この問題に対する都市研究者の両極―定量的手法か定性的手法か
(Giddens)「エスのグラフィーが前提」
⇒定量的手法と定性的手法をうまく併用することが適切
 定性的手法…多様な声、地図や図表…全体像をつかむ

∴社会改良のために総合的な施策を練り上げるのには
都市の「内部の」声から得られる洞察と併用しつつ、地図や図表を有効に活用する必要性


論点
◇本文中では、権力と結びついた空間、排除を含んでいる公共空間についての記述があった。また、「管理の弱い公共空間…生じさせる」(p.58)ともあったが、身近にみられるこれらの具体例はなにがあるか。また、公共空間はどのようにあるべきか。
 ◇現在のおいては、監視空間の拡大が著しいと思われるが、拡大の理由は社会的二極化ということだけで説明ができるだろうか?「監視」が強い(監視を強める)空間と弱い(監視のない)空間の違いはあるのか?また、どこまで監視が進むのか(許されるのか)?
 ◇消費の虜となる例は?消費の虜とならないためどうすればよいか?

2006-05-23 05:40 : 『都市社会地理学』(06学部ゼミ) : コメント : 0 :
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