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『空間の政治地理』第2章 レジュメ

水内俊雄編『空間の政治地理』朝倉書店,2005
第2章 グローバルあるいはローカルなスケールと政治
(山孝史著 pp.24-44)




2.1本章のねらい
 スケールの政治地理的な意義について、スケールという概念が持つ社会的・政治的意味を明らかにする。
 内容:一般的意味・概念の活用→戦後の人文地理学においての理解→英米の地理学におけるスケール概念の理論化について→グローバルスケールとローカルスケールでの政治経済的動態を結びつける視角について。


2.2地理学とスケール

2.2.1現代社会とスケール
 スケール=『空間的広がり』=社会的プロセス(過程の変化)
 マルチスケールでの考察が重視されている…時間・空間の圧縮や冷戦構造の崩壊による。
今日では、ローカルな場所での出来事がグローバルな政治、経済、社会的諸変化のプロセス(グローバリゼーション)抜きには理解できない。

2.2.2スケールの三つの意味
スミス“The Dictionary of Human Geography”におけるスケールの解説
 スケール=地理的事象やプロセスが表象され、経験され、組織化される一つないしそれ以上のレベル。

 地図学的スケール・方法論的スケールと地理的スケール…前者は研究上の必要性から適宜操作される性質があるのに対して、後者は都市や河川流域、地球といった自然・人文景観を形成する特定の具体的プロセスに即した意味内容を持ち、より地理的現実を反映している。

 日本におけるスケールの概念=前者に当たる。
浮田典良や高橋伸夫によるスケールの説明(pp.27-29、pp.29-30)からも、一貫して研究者の選択に依存される方法論的な意味を持つと捉えられていることがわかる。両者とも、ミクロなスケールでの研究とマクロなスケールでのそれが組み合わされ、補完されることが重要であるとし、方法論的有効性からマルチスケールの視角を奨励しているものの、そのような異なったスケール間の関係を検討することが必要となる社会的な現実や諸条件の存在(地理的スケール)には言及していない。


2.3地理的スケールの政治的意味

2.3.1スケールの理論化
 1980~90年代のマルクス主義地理学や社会理論の興隆の中で、スケールの持つ意味が理論的に検討されるようになった。(⇒スケールがより社会的な意味合いとして考えられる。)

 ルフェーヴル「空間の生産」…資本制社会における政治経済の動態は、特定の地理的特徴を持つ空間を形成するという視点。地理学における地域分化や景観といった中心的な概念も、他と区分しうる特定の特徴を持つ空間が形成されるという現実のプロセスの存在を前提としている。
 スケールは空間的プロセスそのものと関係付けて理解するべきである。地理的スケールは、特定の時間と空間の文脈において形成・再編・消失するものである。

スミス…資本主義の拡大が社会の地理的文化を生み出し、資本主義的な経済社会活動の景観版としてさまざまな地理的スケールが形成された、とする。
 資本制社会における秩序だったスケールの重層性(階層性)を認識し、それを空間やスケールの「生産」の現われとして捉える。⇔浮田や高橋の考え

2.3.2スケールと政治
 政治=個人や集団の政策(意思)決定プロセス。「権力」が関係。現代社会では、政治から遠ざかる(?)個人と、政治的に先鋭化する集団が並存している。

スミスの7つのスケール(=身体、家、コミュニティ、ローカル、リージョナル、ナショナル、グローバル)は、それぞれ政治の行使される空間的な広がりの程度を示している。

スケールの政治(the politics of scale)
 女性の身体性にかかわるフェミニズム運動と、アメリカ軍の例…異なる各スケールの形成、再編→お互いのスケールを具備。さらに沖縄と言うローカルな場所においては、基地問題を通して2つの政治のスケールは空間的に交錯する。

 特定のスケールをめぐって異なったスケールを基盤とする政治主体間の対立が生じることも。→スミス「地理的スケールが封じ込めとエンパワーメントのいずれの手段にもなりうる。」
日本の例、イギリスの例。

 スミス「場所のスケール化(scaling places)」…スケールの階層性に従って地理的な差異が形成され、このプロセスが封じ込めとエンパワーメントからなる特定の社会秩序を地理的景観の中に刻み込むのである。

 「スケールのジャンプ」…スケールの拡張。

 実際は、異なった政治のスケールが複雑に並存しているのであって、このため経済的、政治的変動の際には地理的スケールが社会的に構築されていることや、地理的スケールとして固定化された権力が他のスケールからの影響に対して脆弱であることが露呈されてしまう。
 =地理的スケールとは、現実の政治的プロセスやイデオロギー、政治意識、政治的実践の交錯する場であるといえる。

2.3.3スケールの重層性と政治地理学
 テイラーの政治地理学理論(ウオーラーステインの世界システム論に依拠)…「いかなる場所における事象も、そのローカルな文脈を見ているだけでは完全に理解できず、外部の異なったスケールで生じるプロセスとの関係から理解することが重要である。」
 グローバル、ナショナル、ローカルという垂直的な三層のスケールが多くの社会で普遍化…国家中心的な世界観が一般化していることを示している。

 また、テイラー…ローカルな事象の原因をグローバルな世界経済に求める還元主義的、決定論的な見方であるともいえるが、(p.38,ll.9-12)より、我々の経験する事象を説明する際には、究極的にはこの全体性へと遡っていく必要があると言う。

2.3.4スケール間の関係とその変化

「国家の退場(the retreat of the state)」…グローバリゼーションが、事物の流動化が国境を超えて加速度的に展開。それによって国家がこの流動を制御する権限や機能を後退させている事態。

グローカリゼーション…国家の機能や権限が上位および下位のスケールへ同時に推移していく現象。国家の空洞化のプロセスであると同時に、資本諸活動の基本的戦略でもある。

 グローバル+ローカル(?)

地理的スケールは静態的な所与として存在するのではなく、変転する政治・経済・社会のプロセスの中で形成され、変容し、再編成されるものと見ることが必要。


2.4マルチ・スケールのアプローチ
 ローカルに発生する政治問題であっても、それ以外のスケールとどう関わっているかを常に考え、そのために研究の視野を柔軟に拡張。推移させることが重要。
 →浮田、高橋への批判?

 世界と言う文脈の中にローカルな政治を位置づけて考えることが重要である。




〠論点〠

1.マルクス主義地理学において、資本制社会のもとで空間は一連の社会的・空間的プロセスをたどって生産され、また空間的な広がりとしてのスケールの選択は特定の社会的プロセスを通して形成される空間の単位の選択と同義である(p.31 12-13)ことから、空間がそれ自体生産されると同時に、空間形成によって空間が生産されるといった二重の構造?
あるいは、スケールが、特定の時間と空間の文脈の中で形成、再編され位置づけられた連続性に限定されているものであり、一方で資本制社会におけるスケールの構造は、そのスケールを認識する具体的な諸行動、時間・空間の過程の中に存在しているという意味で、構造化理論がはたらいているということ?

2.音楽でも使われる「スケール」との関係について。

3.スミスの分類する7つのスケールにおいて、異なった各スケールが形成・再編していく過程で対立し、共通性を持ち、拡張され、交錯するといった事象の、ここで取り上げられている例の他に具体的・身近な例はなかろうか?

4.グローカリゼーションの身近な例はなかろうか?

2006-10-24 18:36 : 『空間の政治地理』(06後期・院ゼミ) : コメント : 0 :
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