スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
-------- --:-- : スポンサー広告 :

『空間の政治地理』第4章 レジュメ

『空間の政治地理』レジュメ

第4章 社会運動論と政治地理学



4.1 社会運動論の略歴

◆現時点での課題:社会運動に対する地理学的な研究方法に関わる議論が必要
社会学者による社会運動論・・・「相対的剥奪論」、「資源動員論」、「新しい社会運動」論
社会運動史の研究・・・社会運動の形態と歴史的背景による時期区分
          革命を目指す社会主義運動、労働運動、自由民権運動
          1960年代「新しい社会運動」の概念提起(ヨーロッパ)
          →社会運動への新たな分析視角
既存の労働運動や学生運動と質の異なる社会運動
               ⇒民主主義の徹底化と市民社会の自立性の防衛
                住民/市民のネットワーク化
                アイデンティティや意味の共有―文化的側面
         (米国)「資源動員論」・・・組織化への視点
         集団を組織化する上で何らかの選択的な誘因がなければ参加しない

☆ 個人の心理的側面 ⇒ 集団参加への政治経済的理由 ⇒ 歴史社会学的な構造分析

事例分析少ない⇒具体的な分析
都市社会運動研究・・・カステル(Castells)、ロー(Lowe)
日本の社会学者による社会運動研究 新しい社会運動の発生パターンの変化

◆問題提起:社会運動が発生する場所の重要性と社会運動を組織化する上での空間の役割
次節で地理学と社会運動論との関係を見る

4.2 地理学と社会運動研究

日本では高度経済成長期の公害問題がきっかけ
視点:社会運動の発生形態に見られる地域的な差異 
社会運動の発生、活性化の指標は地域性による
1990年代 環境運動研究(浅野、淺野の研究)
      都市社会運動(水内、香川の研究)

社会運動を対象とした地理学的研究を、研究方法としてまとめることは難しい
←参照すべき研究が少ない、枠組みの設定の統一性が見出せない

4.3 都市社会地理学から政治地理学へ

4.3.1都市社会運動への注目

1980年代までの欧米の地理学者による社会運動への関心
・・・都市社会運動の分析が中心
  都市地理学、都市社会地理学によるアプローチ
   研究方法というより社会運動が発生した場所という視点での分析

地理学者による社会運動研究 「ラディカル地理学運動」
バンジ(Bunge)、ハーヴェイ(Harvey)・・・都市社会運動の分析が中心
都市の歴史分析の一部として都市政治をめぐる社会運動が地理学的研究の対象となった
(都市地理学)
都市問題を近隣紛争、都市政治、歴史過程の視点で捉える必要性
 →都市社会運動に注目 コックス(Cox)、カステル、ロー
  but事例報告はまだ少ない
(都市社会地理学)ノックス(Knox)

4.3.2政治地理学の一分野としての社会運動論

1990年代 地理学と社会運動の関係が大幅に接近 
幅広い視点 政治地理学的なアプローチ

政治地理学者によって地理学における社会運動研究への着眼点の提示
◇スミス(Smith) 社会運動は人文地理学と政治理論の関係において集合的政治行為
         社会運動における地域性
◇ペインター(Painter) 地理学と社会運動の関係を見出す方向性
            社会運動は地理的に差異化する

◇アグニュー編集の政治地理学のリーディングス
 社会運動における「地域的な愛着(local patriotism)」
 これまでの社会運動研究における地域文化的な文脈の欠如と政治への還元を批判
 政治地理学が果たす役割を「場所の政治」に見出そうとしている

4.3.3社会運動の政治地理学的な実証研究

欧米の地理学において政治地理学者を中心に社会運動研究が本格的に議論の対象に
地理学者が社会運動研究に携わることが出来る可能性を示す

ルートリッジ(Routledge)とミラー(Miller)
ルートリッジ 「抵抗の地勢(terrains of resistance)」
社会運動における場所の役割を強調
既存の社会運動研究が場所を軽視
場所に基づく地域固有文化的特徴が実際の社会運動に影響している
場所選択の重要性 空間的戦略の分析

ミラー  『地理学と社会運動』(Geography and Social Movements)
社会運動の動員に関する地理学的なモデルを構築
空間や場所などの地理学的概念による分析に加え、空間スケールの差異も分析軸に

日本の地理学界への影響・・・次章 社会運動の地理学的研究についての日本の事例

4.4 公害反対運動の地理学的研究

4.4.1社会運動の空間的基盤

日本の工業都市における公害反対運動
ミラーの問題提起― 人々が社会運動に参加するに当たって、空間や場所に着目することが重要
→地域住民が社会運動を組織化する際の基盤となる地域組織に注目、歴史的要因も加味
ミラーの空間的なモデル(p.75 図4.1)
・・・社会運動の政治的動員には地方政治構造と場所の感覚が影響
   地域住民の集合的なアイデンティティとそこにおける地方政治の情勢によって社会運動の発生形態が異なってくる

実証研究 戦前の川崎、高度経済成長期の水島と和歌山

4.4.2公害反対運動の事例研究

川崎
臨海部の急激な工業化 早い段階での公害問題
当初の組織化の基盤・・・旧村
           +同業者組織、村より狭い範囲の地域組織
市町村合併、川崎市を基盤とした反対運動
指導者・・・旧来からの有力者を含みながらも、地方制度の変化に伴い新たな地域組織の代表者を加えつつあった

社会運動の組織化における空間的基盤の視点
→戦前の川崎における工業化・都市化に伴う地域社会の変容がわかる

水島
臨海工業地帯 工業生産規模の拡大に伴う公害問題の発生
前期-革新政党の議員による工業化政策の是非をめぐる議論
   工場地帯隣接地区の議員 農漁業を生業とする議員による積極的発言
中期-倉敷市全域に拡大 質問する議員の数も偏りなく増える
後期-発生源対策、公害関連の条例
質問する議員に偏り 質問内容の変化(公害問題→環境問題)
   発言者の属性変化(農業→政党役員、会社重役)
   地域利害の代弁者の変化(地域有力者→労働者、新規流入者の支持をうける議員)

空間的要因(産業構成の変容、土地利用の転換など)が公害反対運動の変化の背景として作用

和歌山
一企業(住友金属)による臨海部の公害(工場誘致問題からはじまる)
初期-被害の現状報告や市当局への対策要請
中期-西脇地区への工場拡張による埋立が問題に
後期-公害防止対策

「場所の政治」
公害反対運動は地区別に展開
地域的な差異に基づいて問題に対処
ミクロな地域的差異→公害反対運動における場所の政治に影響
公害反対運動の成立には場所のアイデンティティが必要

4.4.3公害反対運動と地方政治

公害反対運動の形成において、地方政治は重要な鍵となる
様々な地域問題における地方政治との関わりが政治地理学の研究課題となる

4.5 まとめと展望

社会運動―問題意識の面で、政治性やイデオロギーに引き付けて考えられがち
     but実際は地域の問題として地域住民によって担われることが多い
       身近な問題における運動の形成

現在でも社会運動の地理学的な研究方法は模索の段階
本章・・・分析手法の一提案としての「空間的基盤」、「ロカリティ」研究、「場所の政治」研究を参照

川崎・・・経済的な理由に加えて農地や漁場への愛着心が地域住民を社会運動へと動員
水島・・・公害問題から生活環境の整備へと市議会の議論が転移→住民団体から患者団体へ
和歌山・・・市議会で地域組織レベルの問題が取り上げられず、問題発生当初から住民組織による公害反対運動が構成されていた

社会運動のタイプの差異・・・工業化と都市化による地域社会への影響の違い

「社会運動論と政治地理学」
研究方法の限界、政治地理学から社会運動が遠ざけられる
→環境問題への取り組みが必要
方法論的な議論
環境正義に関する社会運動
社会運動の変化に伴って分析対象の空間スケールも拡大する可能性
―グローバルな社会運動

地理学者による積極的な現実諸問題へのさらなる参与が要請される


<論点>
*同じ社会問題に関して、地区ごとに(ローカルに)論点が違う場合はあるのか?
 →鞆の浦?
*神戸空港の建設反対運動において「場所の政治」はあったのか?
*(疑問)集合行動の心理的分析手法、集合行為の合理的選択理論、集合行為の歴史社会学的分析
*スケールが大きな問題、運動の分析についてどのような地理学的視点が有効か?

2006-11-09 01:18 : 『空間の政治地理』(06後期・院ゼミ) : コメント : 0 :
コメントの投稿
非公開コメント

« next  ホーム  prev »

contents

過去の記事

天気予報


-天気予報コム- -FC2-

ブログ検索

訪問者数

QRコード

QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。