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『空間の政治地理』 第6章 レジュメ

『空間の政治地理』
第6章 ポストコロニアルな状況と地理学



6.1 コロニアリズムの対象化

雑種的、異種混淆的、故国喪失者、擬態、クレオール、ディアスポラ
 ―ポストコロニアル批評、ポストコロニアリズム
◇地理学というアカデミアの内と外で地理的知(knowledge)が植民地主義および帝国主義に対していかなる役回りを果たしてきたか
文化的側面の問題化・・・他者および他所表象に関して、不平等で不均衡な力関係を生産・再生産
他者や他所がいまだに周縁化されており、決して対等と言える立場にない

6.2 地理学におけるポストコロニアルな研究

1980年代後半以降の人文地理学「文化論的転回(cultural turn)」→「新しい地理学」
人文・社会諸科学における「空間論的転回(spatial turn)」の影響
→カルチュラル・スタディーズ、ポストコロニアル批判
空間への関心 空間的メタファー(場、空間、領域、脱=領土化、転置、風景など)

 空間に関する問題それ自体に注目(フーコー)
 地理学以上に根底的な空間的問題の考察 広い意味での空間論的諸問題 
⇒両者の根底・・知的潮流の共有  ジャクソン(Jackson)『意味の地図』
ソジャ(Soja)「空間の再主張」

地理学におけるポスト植民地主義的な研究
例)ブラント(Blunt)とマキューアン(McEwan)
ポストコロニアリズムにおいて相互に交錯する6つの地理学的テーマ[p.111~p.112]
⇒以下そのうちの2つの説明

6.2.1学校教科書・郷土教育・探検・・・地理的知識の生産

学校教育・中等教育・・・「小」国民に対して、同じテクストで同じ知識
色で塗り分けられた世界地図の視角効果

郷土教育 (郷土から国土へ)
「郷土」―直感的に把握できる身近な空間的範囲
郷土に対する地理的情報を記憶 + 郷土に対する愛着心を涵養させる
⇒空間尺度を「国土」へと展開 (国土に対する知識と愛着心)


境界線の明確性
均質な空間と均一的な国民を想定
新しいアイデンティティを構築 → 同一性を担保する何らかのまとまり
(国レベル)様々な装置⇒新聞、小説、地図、センサス (アンダーソン)

本来存在するはずの差異の後退
内なる差異、他なる差異の抹消 → ある種の単純化
⇒地理的想像力につきまとう陥穽[罠](例ステレオタイプ化)
   国民国家形成と植民地主義的展開とが連結
   他者および他所表象の問題と密接に関係

6.2.2 遭遇・制服・植民地化に関する地理

19世紀 地球上最後の探検の時代
 探検家 リビングストン(Livingstone)、スタンリー(Stanley) 地図の空白地域の領土化
探検もの『十五少年漂流記』が図書館にある意味
新たな地図化 単なる確認 → プライオリティの証左(土地・空間の表象に孕まれる権利力性へ留意)

探検と地理学の関係  コロニアルな問題構制を孕む ストッダート(Stoddart)
地理学が植民地主義の世界的展開に貢献
 ①他所表象と流通 ②(探検のような)営為とそれに必要な技術革新




6.3 ポストコロニアリズムとは何か

本橋の整理p.118
コロニアリズム・・・<自己>を理想的なのとして確立するために<他者>を生産し、周縁的存在として排除
+「ポスト」・・・周縁化されてきた外部が中心を侵す過程、外と内との境界が解体する力学への注目
    「反抗・抵抗・逆襲の論理」
(特徴)旧宗主国と植民地の全般的・種別的諸関係を対象化し問題化
   植民地遺制、旧宗主国のヘゲモニーをめぐる問題構成を検討

サイードの『オリエンタリズム』・・・西欧による東洋(中東)の言説的領有の力学
・オリエンタリズム ― オリエントを支配し再構成し威圧するための西洋の様式 ≠単なる場所
・ナイチンゲールのエジプト認識
オリエンタリズムの心象地理に見られる二項対立の図式(p.120)
・ヘーゲルの講義

◇どのような力関係、不均衡性が付加されたのか
 なぜ他者が生産され、周縁化され搾取されなければならなかったのか
モーリス=スズキ(Morris-Suzuki)  
地理と歴史、時間と空間の関係に注目
 本来分離し得ない時間と空間の水準が、近代国民国家の建設と連動する形で徹底的に分離された
 依然とは異なったかたちで植民地主義の都合の良いように結合された
  「革命的分離」

「大陸(Continents)」の概念
 →人類の新たな分類・・・「人種」に分けて定義 / 整然と色分けされた世界観
今日の世界地図 「人種」より細かい「民族」に焦点を移したもの

地理的空間の2つのレベルでの分離
①(大)「人種」を擁する「大陸」 
②(小)「国民」を擁する「国家」
・人種と国家に分割する空間観念→「国民国家」を自然発生的に存在する社会的、地理的単位とする
・進歩と文明の時間観念→国家を「発達段階」を反映したヒエラルキーに序列化することへの正当性
 ⇒文明化していない植民地支配を正当化する根拠

逆説的にも。時間と空間の位相の再結合
「人種の違い」(空間化された概念)と「文明の段階」(時間的概念)の融合

6.4 日本をめぐる植民地主義的状況

福沢諭吉
人類の歴史を「野蛮」、「半開」、「文明」の三段階と紹介
  列強に対する従属的な関係を結びながらもその外交論理を内面化していったことの延長
 三極構造(p.123)
  「半開」・・・「文明」国の仲間入りを遂げようとする日本の姿勢
福沢の三項 ― 三項鼎立というより二重の二項対立

「アントロポスとフマニタス」-「人類学と人文学」
ヒューマニティ・・神学に頼らない人間的知 フマニタス(人間)
アントロポロジー・・ヨーロッパ人以外を知の対象とする
フマニタスによって知の一方的な対象として発見された「同類異種」としての「アントロポス」
アントロポスはフマニタスを対象とはしない
⇒人間の二分法 ←植民地化による侵食 「フマニタスとなったアントロポス」

日本における植民地主義
 ヨーロッパとは同一次元では語れない
 19世紀まで「アントロポス」とみなされる
→「フマニタス」となりトラウマを引きずる(抹消させたい)
 「半開」項の誕生(福沢)、「未開―野蛮」の構図を転覆させようとする試み(小牧ら)

6.5 おわりに
戦時中の日本の地政学
 帝国主義的な地理学が少しずつ明らかになっているが、植民地主義と関わる部分での地理的知の役割は依然としてわからない
日本の「探検」「調査」の政治的力関係、地政学を視野に入れたコンテクスチュアルな考察の必要性
政治と産業と戦争の関係―ポストコロニアルな研究課題
日本のポストロニアル的な状況
 米国占領下において自らの植民地支配の清算をせず、日米安保体制のもとその内実を忘却
 戦後賠償と植民地問題の清算は別⇒日本の敗戦処理はまだ終わっていない

植民地主義に関わる問題
 文化的な局面に注目する必要性
  他者表象および他所表象の物的効力は存外大きい




☆論点

*各地の郷土教育とはどのようなものがあるか、同じか?
郷土教育から国に対する愛着へと移行する過程は?
*時間と空間の融合について 再結合(P.112)によって以前のものとはどのような違い、意味があるのか
 現代における意味は
*オリエンタリズムの逆の理論構築の可能性、意味

2006-11-21 14:11 : 『空間の政治地理』(06後期・院ゼミ) : コメント : 0 :
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