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『空間の政治地理』 第8章 レジュメ

『空間の政治地理』レジュメ

第8章「地理学における空間の思想史」




8.1 地理学における空間

 WWⅡ後の「新しい地理学」運動(理論・計量地理学=実証主義地理学)
「空間ともの(内容)の関係」…二元論的要素
主観・主体の関係をどう見るかの問題

地理学において空間がいかに取り上げられてきたかを、グレゴリーに従って「行為主体と構造」という視点から整理。


8.2 空間的差異の概念と理論・計量地理学の空間

8.2.1空間的差異とシェーファーの空間
 「空間」(space)…理論・計量地理学にとって、新しい地理学を目指す意味が込められていた。「空間の科学(spatial science)」、「空間分析(spatialanalysis)」

 しかし実は伝統的地理学にも空間的差異(分化;aerial differenciation)の科学としての「空間の科学」を称していた。伝統的地理学と理論・計量地理学の対立は、この空間的差異(分化)をめぐる理解の違いにあった。
 伝統的地理学では、地域のユニークさは、それぞれ地域が持つ条件(要素およびその結合)の差異に由来すると考え、その地域のユニークさを研究する科学をハーツホーンは「空間の科学」「心ジーの科学」と称した。つまり地表の空間=地域。

 他方理論・計量地理学は、空間の現象(事実)の差異を規則性・法則性において追究し、距離・位置といった空間的因子、空間の変数によって説明しようとする。理論・計量地理学での「地域」はより広い空間の部分を構成するものと考えられる。

8.2.2 理論・計量地理学の空間
 シェーファーが、地図が空間的同型性であることを指摘したように、バンジは伊豆と地理学と数学の関係性について理論化を企てた。

バンジは「形の測定」に注目。
 空間における距離は、物理的(メトリック)距離であるだけでなく、経済的・時間的距離、心理的・社会的距離(つまりユークリッド幾何学的空間では表現し得ない空間)をも含まれる。「今まで地図にすることができるだけであった空間的性質を測定することの可能性を示す」ために、理論・計量地理学以降ユークリッド幾何学のほかに非ユークリッド幾何学が導入されていることを紹介している。
=地理学的現象を幾何学的空間に形式化。

理論・計量地理学のテクスト=ハゲット『人文地理学における立地分析』
地理学における諸現象のシステムを「地域システム」として分析などした。

 理論・計量地理学の空間概念  
①ものと空間との分離 ②均質な空間 ③「絶対空間」(事物から独立した存在としての空間)


8.3 主体的・主観的に把握された空間

8.3.1 実証主義地理学空間批判
 社会的・政治的問題に対して既成の学問は無力であり、理論・計量地理学に依拠した科学や、科学の発展の基盤にあった経済発展はさまざまな批判にさらされた。

 論理実証主義に依拠した理論・計量地理学に対する批判点は、対象を直接に与えられたものとする「客観主義」、命題を数(学)に還元する「還元主義」にある。

8.3.2 「知覚された空間」の概念、メンタルマップについて。
行動地理学は、知覚、心理を客観的な行動として捉える点で、客観的科学主義の科学である。

8.3.3 「生きられた空間」
 人間主義地理学
人々の完成と結びつき、意味の詰まった空間=場所

トゥアン「トポフィリア」=人間の土地(場所)への愛着、自然への恐れなど感性と結びついた土地(環境)
レルフ「場所の喪失(placelessness)」
より人間的な地理学の空間概念である。

8.3.4 ダルデル
 ダルデルは「空間の現象学」で、人間と大地との具体的関係について述べている。

8.3.5 構造化理論
 ギデンス…「時間地理学」の導入による社会理論の再構築を図る。
①人間の主体的行為と構造との関係について、空間を媒介としてその理論化を試みている。
②社会の成立・存続にとって空間が本質的契機をなすと認識している。

 社会的統合、システム統合
社会統合=行為者が相互に時間―空間において共―現前(co-present)している。再帰的社会的実践システムの「時間―空間ルーティン化」
システム統合=時間―空間において不在の他者との相互行為の構造的関係

 行為者がface-to-faceに現前する際の限界を、いかに時間―空間における社会的諸関係の延長によって超越しうるのか。(時間―空間の距離化))
 さらに両システムを節合する中心的支柱として、相互行為のコンテクストとなる舞台である「場」(炉カール、locales)の時間―空間的組織化(「地域化(recognalization)」の概念を導入。

※ギデンス:構造の二重性…すべての社会的行為が構造の存在を想定しており、同時にまた構造は行為を想定している。なぜなら構造は人間行動の規則正しさに依拠するからである。Ex.「言語」


8.4 社会と空間―社会的に生産された空間

8.4.1 社会と空間の関係
 社会的に生産された空間と社会との関係について。
a.空間形態
 D.ハーヴェイ「空間形態は……社会過程を『内在』したものとして見られる。」
人間の社会的行動が一定の空間形態と関係付けられねばならず、いったん特定の空間形態が作り出されると、それは社会過程の将来の発展を制度化し、いくつかの点で決定する傾向があること、が重要であるとする。*

b.弁証法
マルクス主義者ピートの「空間が社会を映し出す」という表現に対してスミスは、空間に不当な存在論的自立性を保証しているとして、ピートの空間的弁証法を「空間フェティシズム」と言った。
 そのスミスは、空間は物質の特性=使用価値を持っておりそれゆえ空間と空間特性はものの具体的部分から切り離されては意味をなさず、地理的空間はその使用からは独立できない、と定義している。そして資本主義の下では、使用価値は社会的労働の産物であり、空間は生産されたものとなる、としている。

ソジャ…社会生活における、社会的に生産された地理的形態と空間的諸関係が社会に物質的な形態と表現をいかに付与するかという問題を「社会生活の空間性」と呼び、その空間性がいかに社会生活を状況付けているかを問題とする。
 空間を社会的所産として捉え、歴史事実の中に「空間的相同関係の存在」を明示しなければならないと言う。

8.4.2 ルフェーブルの「空間の生産」
ルフェーブル…都市化社会では、空間それ自体が生産され、交換できる社会となる。
「示差的空間」
『空間の生産』…資本主義は空間全体に拡張し、世界市場を形成することによって維持されるのであり、空間は資本主義の生き残りの場である、とされる。

生産諸関係と社会的再生産関係の相互の結びつきによる構成における空間の役割を研究することが、「空間の科学」の課題である。
「空間の生産」の三重性=①空間の実践(知覚空間) ②空間の表象(思惟空間) ③表象の空間(生きられた空間)

「身体」が抽象化の犠牲となるとき、抽象空間(=交換価値の支配する空間)が生まれる。

8.4.3 ハーヴェイの後期資本主義の空間
第一次循環から第二次循環へ。
第二次循環の投資の対象=空間の生産、「建造環境」、「空間的回避」
労働力の再生産が建造環境の機能にとって本質的なことであり、ある種の社会的支出と消費元本の創出が必要である。
 ⇒マルクスの「時間による空間の絶滅」を逆転させたようなもの。

8.4.4 ポストモダンの空間―表象空間
空間の多様化した現代にこそ空間的差異は地理学にとってふさわしいテーマである。

・フーコーの影響大。
表象により生産された空間(領域性)における個人や社会、国家のあり方が問われる。
サイード「オリエンタリズム」

8.5 まとめ

①伝統的地理学=地域地理学(地誌学)
地域のユニークさ(個性)を問題とする。
空間概念=場所、地域

②理論・計量地理学
 空間概念=幾何学的空間。空間分離主義

③行動地理学
 客観的科学主義、行動主義。
 空間概念=知覚空間

④人間主義地理学
 実存主義的・現象学的地理学
空間概念=主体の生きられる空間
 二元論存在せず。

⑤構造化理論
 行為主体と構造の関係を主題とする社会理論

⑥空間の生産
 マルクス主義的方法論
 自ら主体を生み出した空間が、主体に構造としていかに関わるか。
社会がその空間を生産するのであり、その関係を弁証法的に見なければならない。

⑦ポストモダン地理学
 空間概念=表象空間、心象地理学




☆疑問点、論点

・この章はタイトルのとおり、空間の思想史をテーマとして扱っているので仕方ないかもしれないが、政治的諸要素や権力・イデオロギーから捉えた空間、ミクロ・マクロな視野での空間(グローバリゼーション、あるいは地域コミュにティといったもっとローカルな空間)についてあまり言及されていない点で、不十分な気がした。中盤以降ではマルクス主義の立場で展開されてきた思想史からポストモダンの空間へといった流れについて述べられているが、マルクス主義とは違ったほかの視点からの空間の生産についてはどのようなものがあっただろうか。たとえば世界システム論などの視点からは?

・ここでは、主体(人間、社会)と表象された空間の関係は、モダンもポストモダンも同様の関係だと言っているが、後者の多元的な社会でそれは正しいのか。同様に、思想史においても、言説を形作っている考えなどは時代や文化によっても変化すると思う。

・フォーディズムが空間にもたらした功罪について。

・ポストモダン地理学において、ナショナリティの形成における表象空間の問題について。

・二項の克服

2006-11-28 22:20 : 『空間の政治地理』(06後期・院ゼミ) : コメント : 0 :
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