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『都市社会地理学』 第11章 レジュメ

ポール・ノックス/スティーブン・ピンチ著
『新版 都市社会地理学』

第11章 身体、セクシュアリティ、都市



本章の課題
●身体と都市の関係に関心が持たれるようになったのはなぜか。
●セクシュアリティとはどういう意味か。
●都市はセクシュアリティによってどのように影響を受け、セクシュアリティにどのような影響を与えているのか。
●都市は障害を持つ人々をどのように抑圧してきたのか。




∘「文化論的転回」という語(第3章参照)は、現代の生活、とくに都市における身体の役割に大きな関心をもたらした
・・・身体が都市を描写する比喩としてしばしば使われる
   病気や病理を暗示する表現

☆一番重要なのは、都市空間における文化の重要なシニフィアンであるという理由から、身体が焦点となることにある。つまり、人々の身体的特徴や服装は文化と社会的価値に関する重要な記号となる。


∘身体の形や大きさは多様だが、人々を何らかの容姿の基準やそれに付随した社会的価値に従わせようとする強い社会的圧力の存在
・・・こうした圧力はメディアの強烈なイメージによって増幅される

∘身体性という語は、こうした身体イメージが人々の生物学的差異に起因するだけでなく、種々の記号や意味体系を通じて社会的に構築されたものであることを示すために用いられる

・・・Grotz(1992、p、242)「都市は(差別化された)身体性の社会的生産において重要な要因の一つである」

・・・地理学者にとって重要な課題は、「身体が物的に、性的に、言説的あるいは表象的に生み出される様相と、身体がその姿を社会文化的環境の上に刻印し投影する様相を調べることである。なぜならば、環境は身体の形態と基準を生産するとともに、それを投影するからである。」

∘ジェンダーやセクシュアリティおよび人々の文化的身体的差異は自然な差異ではなく、特定の空間と結びついた「文化的行為」(Butler)である

∘広義の意味体系によって身体が社会的に構築される過程・・・具現化

11.1ジェンダー、異性愛家父長制、身体化されたパフォーマンス

∘都市は物的建築物であるだけでなく社会的構築物

∘空間における社会的規制は期待される行動パターンから逸脱する集団を排除する

∘身体的外観は、期待される行動に従っているかを示す重要なシニフィアンとなる

∘身体的アイデンティティのうちで最も重要な要素の一つがジェンダー
・・・社会科学におけるジェンダー:セックスという生物学的差異ではなく、男性と女性の社会的・心理的・文化的差異を指す

∘ジェンダーとセックスを区別する背景には、われわれの行動様式が生まれながらの生物学的産物ではなく、社会的に構築され付与されたジェンダー役割の結果だという前提

∘ジェンダー役割は身体の形態・外観・行動に明瞭に現れる

∘この差異は性的誘惑として構築されてきた

Bondi(1998b)セックスとジェンダーを区別することは有益だが、ジェンダー役割は適切な性行動を意味するため、この二つの概念は切り離せない

∘文化的行為としてのセクシュアリティは看過されてきた

∘何が「男性」で何が「女性」かをめぐる言説には物的基盤がある

☆男性による女性の支配を可能にする社会の仕組みや制度的枠組みを家父長制という。
またこの制度が異性愛という価値観に基づいているために異性愛家父長制とも呼ばれ、この価値観が卓越する都市は異性愛家父長制的環境と呼ばれる


∘都市はジェンダー役割を作り出し、家父長制とくに異性愛家父長制的環境を反映する
McDowell(1995)ロンドンのシティで働く女性銀行員の制約

・・・異性愛的価値観と同性愛嫌悪症という特徴を備えた環境
Maddock&Parkin(1994)のジェンダー文化の報告

∘都市の公共空間は男性の領域とみなされ、郊外住宅地は女性の領域
Bondi(1992)フェミニスト研究者は私的な家庭の領域も家父長制と男性的価値によって支配されていると指摘

∘都市は女性にとって抑圧の場所であるだけでなく、解放の場所でもある
Wilson(1991)20世紀の都市は多くの女性の連帯を築き、家父長制との抑圧を可能にし


11.2セクシュアリティと都市

∘人間の性行動は都市の特質によって深く規定される一方、都市の構造に大きな影響を与える

∘セクシュアリティ・・・セックスに対する考え方を指し、性行動の特徴だけでなくその社会的意味も含む

Giddens(1989)西洋社会のセックスに対する態度はキリスト教に導かれてきた

∘逸脱、異常、不道徳、不自然、病気とみなされた性行動・・・同性愛、服装倒錯、フェティシズム、サド・マゾ、近親相姦、金銭目的のセックスなど

・・・近年、規範に反する性的嗜好を持つ少数派の人々が、公的な認知と正当性を求めて戦うようになる
Bell(1991)セクシュアリティは「最後に残された差別の領域」

売春と都市
∘都市は支配的な道徳規範に反する機会を提供してきた・・・一例が売春

∘彼女らが性を売り物にする女性だと認識されていた

∘売春のダブル・スタンダード
☆(Bondi、1998b)売春が家父長制的ジェンダー関係(女性と男性の間の不平等な関係)を反映している

∘売春は都市の多様な「主張」を認識することの重要性を示す
・・・売春をめぐる法的社会的規制が依然として偽善と矛盾に満ちている
   売春をめぐる言説も曖昧さと矛盾を含んでいる

∘こうした言説で売春が脅威となるのは、それが公的/男性、私的/女性という都市を支える二元論を揺るがせるから

同性愛と都市

∘同性愛・・・同性同士の感情的性的結びつきを指す「ゲイ」、「クィア」

∘フロイトなどの心理学者は、性行動が生物学的再生産のためだけではないことに注目
(Foucault、1984)同性愛を含むセクシュアリティが社会的に構築される側面に着目

セクシュアリティにまつわる言説は欲望を管理する手段の一部
「同性愛」という語が社会病理の一形態を指すために考案された

∘都市はセクシュアリティの展開に大きな影響を及ぼしてきた
・・・バー、クラブ、「ティールーム」、「コテッジ」

∘1960年代以降、社会的政治的変化を反映してゲイとレズビアンの空間に大きな変化が生じた
・・・依然として強い偏見、身体的暴力、反フェミニスト、反ゲイ

∘一方では、レズビアンとゲイの積極的な主張・・・ゲイのライフスタイルが見える

∘サンフランシスコのCastro地区、ニューオーリンズのMarigny地区
・・・インナーシティや遷移地帯におけるジェントリフィケーションの過程でゲイが主導的な役割を果たし、貧しい居住者を追い出した、寛容な場所

∘レズビアンに関する分析は男性同性愛に関する分析ほど多くない
Winchester&White(1998)のパリにおけるレズビアン施設の分布
Egerton(1990)無断占拠住宅や共同住宅に見られるレズビアンの空間
・・・安全が確保される場所、政治的抵抗の拠点、暴力

レズビアンの居住地区をゲイの空間よりも目立たないものにしており、その空間に「アングラ」的特徴を与えている

Castells(1983a)ゲイ地区は男性の支配欲が空間的に表出するのに対し、女性は男性よりも相互の連帯と愛着の意識が強く、なわばりに対する欲求が弱い

☆ゲイとの空間に注目する場合に、現実には都市のすべての空間が性化された形で構築されているにもかかわらず、ゲイの空間だけが異なっているとみなす傾向がある

☆地図化のアプローチに対する最も厳しい批判は、そうした研究がセクシュアリティに対する本質主義的な見方、つまり同性愛は何らかの自然な生物的衝動であるとする見方を恒久化させる点に向けられている(Wright、1999)

∘構築主義的なセクシュアリティの考え方・・・クィア理論、クィア・ネーション、レズビアン・ネーションなどの急進派団体

∘クィア政治・・・公共空間や社会制度が異性愛に根ざしていることを暴露し、立ち向かう

∘ ゲイの地理的集中は、抑圧と差別に反対する政治活動の基盤になるが、こうした分離主義の有効性は多くの人に疑問視されている

∘ クィア理論は性的アイデンティティを個人的選択の問題として強調するため、ゲイ空間の商業化と軌を一にしている

☆ゲイとレズビアンの空間に関する研究から得られた重要な学問的成果の一つは、身体が単に支配の場所としてだけでなく、抵抗の場所としての役割も担っていることを認識するようになったことである

11.3障害と都市

∘身体に関する研究は障害と都市の問題にも注目するようになった

∘健常者の地理・・・都市に関する多くの記述では、市民が健康な身体を持っているのは当然とみなされている

∘「地理学はこれまで障害者の研究をほとんど手がけてこなかった」Park et al

∘Chouinardの主張

∘1983年の国連による損傷、障害、不利益の区別
・・・どのように「普通」を定義するのか
   身体的な定義と社会的な定義を区別している

∘社会構築主義を提唱する人たちは、障害とはジェンダーやセクシュアリティのように特定個人に影響する身体的欠陥ではなく、健常者社会における態度や抑圧構造と結びついたものであると主張している

∘都市には障害を持つ人のモビリティやアクセスに多くの障壁がある
・・・障壁は物理的な側面だけではなく、社会的心理的な側面にも及んでいる

∘多くの都市で障害者の問題が真剣に取り組まれている

∘障害者の権利運動・・・アイデンティティ政治と呼ばれるものに焦点を置いた新しい社会
運動←内部に緊張と亀裂を抱えている

∘ゲイやレズビアン、障害者の権利運動は新しい社会運動が直面するジレンマを浮き彫りにしている

∘戦略的本質主義・・・特定の目標を達成するためにジェンダーやセクシュアリティ、人種や障害といったアイデンティティのうちの一つに基づいて統合を図ること
・・・政治力は強化されるが、脆弱さと内部の緊張も生じる

∘互いの利害と差異に基づく矛盾した要求をいかに調整するかが21世紀の課題である

<論点>
∗互いの利害や差異に基づく矛盾した要求をどのように調整することが良いのか
     (理想的な都市づくりとは?)

2006-12-15 20:34 : 『都市社会地理学』(06学部ゼミ) : コメント : 0 :
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