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『社会を超える社会学』第6章

第6章 居住 (前半)

居住とコミュニティー(p231-242)
かつて、住まう(居住)ことと建てることはほぼ同じことであった(ハイデッガー)
=本来の両者の意味
⇒現代では、住まうことと建てることの両者の持つこの本来の意味は、現代テクノロジーにより忘れ去られている
⇒ハイデッガーは両者の本当の意味の再構成を試みる

◆建てる(bauen)…世話をすることを伴う日常的な事(例:見守り育てること、土を耕し植物を育てること)
⇒建てることの本質は、抽象的なテクノロジーにあるのではなく、建てることにより住まうことが可能になり、さらに住まうことが促進される点。=「住まわすこと」

◆住まう(wohnen)…人間が大地に生活する上での身構え。常に事物に身を寄せること。
(例:ある場所にいる、身を置く、安らぐ、くつろぐ等)
⇒住まう場所は、他の種類の建造物(例:駅や橋)と対置している関係
⇒人間と空間は分離して考えない。人間について語る=空間を介してすでに住まうものを語る(理由:人間は独立した「カプセル体」ではなく、その空間に浸透している存在)

場における人々の住まい方についてのハイデッガーの分析では、事物が中心的な役割。<例>~橋~
①橋によって、川や岸や土地が結びつく。橋がその場の景観を構成する。
②橋により、その地の人々の住まい方(新たな社会のパタンを形成し橋の両端の町をつなぐ、等)を形成する。

本章の目的
住まうということ(居住)が何を意味するかを詳述し、中でも特に現代的な帰属の形式について考察する。そして、居住の現代的な形式には概ね様々な形態の移動が伴うことを明らかにする。さらに、ハイデッガーの橋の例を用い、起源と経路の弁証法により人々が居住しているか(クリフォードの「旅の中に住まうこと」)、ということを示す。
⇒そのためには、移動を構成する要素(地図、車、道など)により帰属と旅の関係が再構成されている、ということを見る必要性がある。

社会学における住まうという概念
「コミュニティ」という言葉で概念化される。農村部や都市部で典型的に見られる生活形式を記記述されてきた。
⇒一部の人々が持つイデオロギー的な考えを再生産するだけにとどまってきた。

より分析的な枠組みを作る試みとして、コミュニティの意味を3つに整理(ベルとニュービー)
①地形学的な意味でのコミュニティ(地理的接近生に基づき、特定の居住地を指す)
②ローカルな社会システムとしてのコミュニティ(ローカルな社会=限定された、社会集団やローカルな制度の相互関係がみられるもの)
③交感、人間同士の絆 (*これが通常の「コミュニティ」概念により示されるもの)
 ↓
◆交感…特定の居住形式による必然的な結果ではなく、関わりあう人たちが近くに住んでいなくても生起するもの。
◆ローカル…必ずしも地理的な近さを指すのではない。さらに、ローカルであることが交感に繋がるわけでもない。(3章でのバーチャルコミュニティについての考察)

社会学における3つの居住概念の問題点
1)「コミュニティ」を横断する身体の運動と、よその人・モノが時間と空間を超えて感じ取られることを無視している(4章で論じられたように感覚のスケイプを生み出す点なのでこれについて欠いてはならない)
2)コミュニティと人々の相互作用に過度の焦点を当てすぎているため、モノの役割を見逃している
3)西洋社会において、権力とイデオロギーの言説の問題。(内面における、外側の人に対して敵意があることについての言説を欠き、さらに暖かな対面関係を表明)


以下、ローカル性、近接性、交感を移動、感覚、時間、モノ、言説に組み入れ分析していく
場所…主体とそれ固有の人間の意味づけや相互作用を通じて規定されているというより、一連のモノとの関係によって規定される。意味をつける対象(人それぞれの意味付け)。固定されるものではない。

景観… ・ その中に住まい、その中で自分たち自身の跡を残してきた前代の人々による生活と仕事の不朽―証―として構成されるもの(インゴールド)
・ 記憶と時間性を持った場所(過去が現在に影響し、未来への投企をもたらす、これらの相互浸透は「タスク・スケイプ」を中心に展開される。「タスク・スケイプ」が景観の社会的な性格を作る。「タスク・スケイプ」は人々が環境を介して住まい中で、稼業や実際的な活動に携わる限り消滅しないもの。)
・五感を通じて感じられるもの(インゴールド)(例:絵⇒視覚による認識から景観を体感できる)
・移動を構成する要素(本文の例:道 p238)を変えることはタスク・スケイプやコミュニティ、さらに幾世代にも渡り蓄積された記憶と居住の形態への「蛮行」にみなされる
・インゴールド:「…見やる先の全体が景観なのではなく、むしろ身の回りについての視点を定める差異に拠って立つ内なる世界こそが景観…景観は、対象というよりはむしろ『思想の故郷』なのだから」
・現代では『穀物の収穫』に見られるような近接性、ローカル性、交感の符号はみられない。理由:即時的な移動の出現

氷河の時代が居住様式の構成要素である、というこのことは、現代的な居住の形態と多様な記憶の営みにも関係。
◆記憶
・(脳の一部に使われる時を待っているだけのものではなく、)社会的な営みを行うことにより、記憶は呼び起こされる。
・様々な時間と空間を横断して働く複数の感覚が伴うこともある(=場所についての人間の記憶が持つ身体的な性格)
・「オフィシャル・メモリー公定の記憶」…社会の内での制度的な記念。集合的記憶の重要な形式の一つ。権力者にとって重要な記憶が公定なものとして残る。よって、非公定な記憶(女性や労働者階級などの社会集団の記憶)を封じ込め排除する。
・人々の記憶は、モノや特定の環境によって織り成されている。
・プルースト:「無意識的記憶」(前触れなく起き、現在でも非常に鮮やかに過去を見せる、突然の記憶の介入)の重視(例:ある特定の洋菓子を食べることで喚起)
◆記憶の生産…他者との共同作業が必要であり、この作業にはある程度の時間を要す
  ⇒旅をしたり、集まったり、特定の場所を訪れたりすることが行われる


ローカルな帰属(p242-249)
本節の目的…ローカルな帰属の諸形態を論じ、その諸形態それぞれに旅と記憶の営みが関係していることを示す。

<ローカルな帰属の形式>
①ランド土地…・ハイデッガーの言う「住まい」、インゴールドの言う「景観」のこと。
・物質的な有形資源
・機能的に考えられる仕事の場(⇔審美的な仕事場)
・(有形の資源として)直接的、または長期にわたる使用の結果認められた権利として、売買・相続・継承されるもの(農民による所有・活用)

農場に住まうこと
農作業は家事、余暇と空間的に近いところで行われる。農場に住まうことは、生活のパタンに入り込むこと。さらに、農場で住まうことは生産的・非生産的な相互の関連と共にあり、特定の土地区域と関連する。
→農場に住まうことによって、その土地の歴史と地理についてよく知れる(例:地名・山や田畑の名称、文化、気候、祭事)

居住に対するハイデッガーの理解
・土地の営みを上手く捉えている。
・人間の主体はその周りの環境と一体になっていると言える
→人と事物の間に距離はない。

②ランドスケイプ景観…・外観をもった無形の資源
・概念:訪問者の余暇・休養・視覚的消費に重点をおいたもの
・この概念は近代に生起(ワーズワース@1844年)
・20世紀後半から、景観が共同所有されるもの(「一種の国民財産」ワーズワース)だ、という考えが広がる
・景観に立ち入ることができるというのは、視覚による消費ができるということ
・特定の土地の現在の所有者だけでなく、後世の人々も景観に追随する権利を有す

土地と景観の相克の矛盾の生起
@この矛盾は景観を体験しようとする人が一時的に土地に住もうとする時に生起。この流動的な「ランドスケイパー」の土地への入り方、滞在の期間、市場(自分たちにサービスを提供するもの)を通じて生み出す営みの種類によって決定される。
→土地は排他的な所有・管理の権利を生起しない
→土地は、よそ者が居住地の近くの農場に入ることもあれば、そこに地元の人びとの視界に入らないようにもする。(=所有が誰のものでも一般人が田園を「ライト・トゥ・ローム散策する権利」(旅行権)を確立ようとする、今日の英国の政策に現れている。)

土地と景観の区別(オニール)
・農民が作物の非生産性を省みずその土地を耕している。その理由は、氷河の時間の中で(世代を通じ)家族・コミュニティの共有財産としてその土地を見なしているから。
・人々は過去と未来の所有者と、時間(世代)を超えた住まいの感覚を持つ
・時間の連続性に対する感覚を持ち、自分自身は、過去から成る現在を通じ、未来に繋がるという過程を考える
・<例>木々を育てること(=世代を超え一家が代々氷河の時間の中で行う長期的な活動)
(=特定の場所に、幾世代に渡り家族がどのように住んできたかを示す)
→住まいの連続性

住まいの連続性を途絶えさせるもの
<瞬間的な時間の特徴>
①即時的な換金収益を重視するグローバルな農業
②家庭から、土地をすべての生産要素をほぼ同じように扱う企業所有者への入れ替わり
③土地所有の流動性(土地の価値を前提とした土地の売買。世代間の長期的な繋がりと、実際所有しているという感覚とを破壊するもの)の増大
⇒「途絶えさせる変化」=「土地」から「景観」への移行
(例:多くの訪問者のための外観重視、世界市場で商品がいたる所へ運搬されること)

「ローカル」コミュニティの一般的な特質
1)時間性により構成される(クロックタイムに支配されているもの、されていないもの)
2)時間は必ずしも漸進的ではない(場所と同様に、静的でも普遍でもない)
3)ローカル性の構成において重要なのは「モノ」である(理由:氷河の時間を表す痕跡を伝えるものだから)(例:「第3の場」オールデンバーグ)
4)ある成員が、自分自身を「コミュニティ」の一部であると見なすような場所は、不平等でローカルな社会関係と、「コミュニティ」外部の人間に対する敵意がある
5)ローカル・コミュニティは消費の場である(例:その場でのサービスの比較・購入・利用)
6)多様な移動に拠って立っている(詳細は3章参照)


後半に続く・・・
ナショナルコミュニティ、ディアスポラ・コミュニティについて、第3章で概観した旅の複雑な様式という観点から検討。さらに氷河の時間が居住様式の重要な構成要素となっていることを述べる。




疑問点・論点
·都市におけるローカル性をどのように捉えられるか?
·農場に住まうことで、その土地の歴史と地理を知れるのか?(住むというだけでは、「全ての人が歴史や地理を知れる」と一概には言えないのではないか)
·「氷河の時間」という概念はオギュスタン・ベルクの「代謝」の概念(時間のレベルにおいて、主体とモノ・環境は生態学の上で見ると同一のアイデンティティーを持つようにみなす考え。これは一定の時間を要す。)と似た考えと言えるのではないか?

2007-07-13 17:00 : 『社会を越える社会学』(07前期・院ゼミ) : コメント : 0 :
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