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『都市空間の地理学』第4章

第4章「シチュアシオニスト-漂流と心理地理学-」

1 シチュアシオニスト・インターナショナル
Situationist International (SI)‐ヨーロッパ諸国をおもな舞台に、芸術と日常生活、文化と政治の統一的実践を目指した領域横断的な前衛グループ
a.レトリスト・インターナショナル‐ギー=エルネスト・ドゥボール
b.イマジニスト・ヴァウハウスのための国際運動‐アスガー・ヨルン、コンスタント・ニューウェンホイス
c.ロンドン心理地理学委員会‐ラルフ・ラムネイ

SIと地理学の関係に言及した研究が本格的に蓄積されてくるのは1990年前後からである。←背景の一つ:シチュアシオニストの可視的な「作品」の分析が進んだこと(地理学、都市論、建築論、現代美術…)

本章の目的‐1950年代後半のパリでの地理学的実践である「漂流」や「心理地理学」の試みを解説すること

○SIの基本的な方法概念
 心理地理学‐意識的に整備された環境かそうでないかにかかわらず、地理的環境が諸個人の情動的な行動様式に対して直接働きかけてくる、その正確な効果を研究することを目指している

 漂流‐目的地や最短距離から逆算される通常の道筋にしたがわず、都市の心理地理学的な起伏に沿って歩行する試み→変化に富んだ環境のなかをすばやく通過する技術

 「状況の構築」、「統一的都市計画」、「転用」

○シチュアシオニストの思想的背景と当時の社会的背景
 a.ヨハン・ホイジンガの「遊び」の概念の拡張
b.アンリ・ルフェーヴルの「日常生活批判序説」
 c.ガストン・ヴァシュラールの「物質的想像力」や時間の弁証法

Q.なぜ都市がテーマとなったのであろうか?
A.都市は、生活から解放された環境と、阻害された生活様式の局地の両方を内包している。それゆえ革命が必要なのである。言い換えるならば、都市は資本主義の邪悪な縮図と超越的な変化の揺籃が同時に生じうる場所である。(Swyngedouw,2002)

シチュアシオニストの活動の舞台は生産や労働者階級の闘争の場である工場というよりは、消費をめぐる日常生活や都市にあった。

社会的背景(フランス):
a.郊外化やニュータウンの建設が進みつつあった(貧困層の排除、ハウジング・プロジェクト)
b.情報や資本の回転速度が高まりつつあった(交通網の発達、マスメディアの発達、大量消費社会)

交通と経済の速度の連関によって、都市空間の商品化が一層進むと同時に、歴史的な連続性が失われ、視覚に偏重せずに都市を直接経験することや形成することが難しくなってきていた。(ex.鉄道旅行の誕生による知覚の変容)

2 街路の歩行をめぐる系譜
 漂流を実施する際の人数‐2,3人←大人数で行う漂流では個人が抱く主観的な感情や欲求が表出されにくい

 都市の「正しい」読み方などない→いかに都市での体験を共有可能なかたちで記述するか、という記譜法にはあまり関心を示さなかった

 「漂流の先駆者」‐トマス・ド・クインシー、シャルル・ボードレール、ヴァルター・ベンヤミン、ダダ、シュルレアリスム…
 「漂流」はシュルレアリスト的な方向感覚の喪失をともなうものであった。Butそれは古典的な旅や散策とは異なり、近代の都市が持つヘゲモニックな体制に対する批判的態度としてある。
 「レ・アールの心理地理学的描写の試み」→パリのレ・アール地区を物的、人的、時間帯などの複合的な要素から構成される街の環境=雰囲気によって区分けした
 ジル・イヴァン→特定の場を占めることなく散逸している都市の記憶をハコモノの中に「回収」することや、伝統および場所の記憶が「商品」として扱われる都市の博物館化を批判していた

3 心理地理学的パリ・ガイドとネイキッド・シティ
 「漂流の観点から見ると、都市には心理地理学的な起伏が存在し、一定の流れ、固定した地点、渦によってある種の不快な地域への出入口が示されている。」(ドゥボール)
⇒「心理地理学的パリ・ガイド‐恋愛の情熱についてのディスクール」、「ネイキッド・シティ」
 「矢印は、異なる環境の統合体をありのままに結びつける勾配を表している」(P59)

 地図とはけっして透明で中立的な表象ではない。→「心理地理学的パリ・ガイド」や「ネイキッド・シティ」は、既存の表象を粉砕し、都市がその人の置かれている地点、立場によって異なる見え方をするものであるということや、都市のノイズや裂け目、コンフリクトを曝け出すことを狙った。‐既存の地図や地図作成の慣習を覆す試みであり、別の転覆的な地図や地図作成の形態を生み出す試みでもある
Butシチュアシオニストは既存の地図をまったく無視し、そこから何も学ぼうとしないわけでもない。
ex.①同心円理論(アーネスト・ウィンストン・バージェス)、「パリとパリ都市圏」(ポール・アンリ・ションバール・ローヴェ)…
 ②地下鉄の路線図

4 都市のダイナミズムへの街路からの介入
 シチュアシオニストは街路で起こる事象を、より広範な都市開発や権力、資本の次元と結びつけて動態的に把握しようとする。
 「上からの眺め」と「下からの眺め」という二項対立が有効ではない→シチュアシオニストは心理地理学と漂流を併行していたのである
ex.刑務所の図面の切り抜きを貼り付けること、女性の身体のコラージュ

同時性と均質性に満たされたスペクタクルの社会において、資本主義は永続的に地理的基盤を再編することによって「断片化」と「統合化」を同時進行させる。
⇔シチュアショニストの漂流は撹乱的な環境=雰囲気の統一体、非同時性と生産的矛盾の空間を探求しようと、都市一帯を彷徨っていたのだった。

 シチュアシオニストの地理学的実践‐単一の位置から都市を「捉える」試みではなく、数多くの異なる位置や視点のあいだを行き来する試み
 ex.「ニューバビロンの象徴的表象」(P64)

 ジェイムソンの「認知地図」との違い(P65)
 「生きられる経験」そのものに照準を合わせるシチュアシオニストの地図作成とは、都市への具体的な介入をともなう。シチュアシオニストの街路へのまなざしとは傍観者のそれではないのである。

5 シチュアシオニストの射程
 空間が資本主義にもとづく政治経済的な関係を生産し、再生産するメディアとなっている。
 シチュアシオニストの街路をめぐる実践は単なる街路礼賛や快楽主義ではない。彼らは異種混淆とした街路、夜の市場、直線的な時間軸から逸れた廃墟などの「周縁」を生きながら、そこに物理的な近接性を越えて流動する情報、資本、権力が重層化した都市の抑圧的な空間編成の縮図を見出していた。

疑問点または論点
1.「心理地理学的パリ・ガイド」、「ネイキッド・シティ」、「ニューバビロンの象徴的表象」
2.都市空間の社会的編成に対する抵抗について

2007-11-09 22:26 : 『都市空間の地理学』(07後期・院ゼミ) : コメント : 0 :
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