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『都市空間の地理学』第5章

第5章 ミシェル・ド・セルトー -民衆の描かれえぬ地図-

 希望とは、もともとあるものだとも言えないし、ないものだとも言えない。それは、地上の道のようなものである。地上には、もともと道はない。歩く人が多くなれば、それが道になるのだ。(魯迅)

1 五月革命の経験
1968年の「五月革命」を契機に、旧体制への異議申し立ての声が世界の各地で上がった。
ミシェル・ド・セルトー(聖職者)→五月革命に積極的に関わりながら影響的な著書を世に送り出した。
彼の神秘主義研究はジークムント・フロイトとその思想を継ぐジャック・ラカンに影響を受けているといえる。五月革命以降、彼は現代文化に、そしてのちに人びとの抵抗に言及しはじめた。

2 パロールからエクリチュールへ
 近年の地理学では、ド・セルトーは3つの点から注目されている。
①高所からの計画や視点,②消費や読解の詩学,③戦略と戦術。
「パロールの奪取」(1968年9月9日)
「パロール」‐発話行為(言語学)⇔「ラング」‐社会的な記号の体系
But「エクリチュール」‐書く行為と書かれたもの⇔パロール(ド・セルト)
ex.スポーツの各種目のルール‐ラング,スポーツの結果に関する文章‐エクリチュール
「何かを書く」ためには、その対象を「理解」する必要がある。そして、書くことによりその対象を書物のなかに「固定化」する。
ex.民俗学、歴史(P73)

3 フーコーからフロイトへの回帰
 ド・セルトーはフーコーの権力論を高く評価しているが、二つの論点が不足していると指摘する。
①一望監視的な装置を作り出す支配がなぜ強力になったのか
②あるディスクールの組織化にあずかりもせず、テクノロジーの体系をつくりだしもせずに、ひっそりと自分たちの道を歩みつづけてきた他の多くの系列は、いかなる地位にあるのだろうか。
 また、ド・セルトーはピエール・ブルデューの分析を批判的に捉えながら、自らの考えを推し進めている。

4 戦略と戦術,場所と空間
①戦略‐a.ある意思と権力の主体が、周囲から独立してはじめて可能になる力関係の計算;
    b.自分のものとして境界線をひくことができ、標的とか脅威とかいった外部との関係を管理するための基地にできるような、ある一定の場所.
②戦術‐a.自分のものをもたないことを特徴とする、計算された行動
    b.他から押し付けられた土地のうえでなんとかやっていくための巧緻の実践

ド・セルトーは戦略と戦術を場所と空間との関係に置き換える。
場所は安定性を持っている⇔空間は不安定なもの(P76)
空間‐実践された場所  空間の実践‐空間を作り上げていく営み
戦術の例:ウォークマンがもたらした「聴くことの革命」、「カセットテープ没収事件」

5 都市空間と消えた足取り
 「都市を歩く」(P77)
都市を高みから見下ろすためには固有の場所を占める必要があり、固有の場所を占めることができるもののみが都市を見下ろし支配することができる。
ex.六本木ヒルズの森タワー‐52階の展望台に上がるためには相応の入場料金を支払わなければならない→経済的な余裕を持つ人しか都市の眺めを「所有」することができない

空間的実践→歩行‐三重の機能を果たす
①都市の地理を理解させること‐現存性
②固有の場所を不安定な空間に換えること‐不連続性
③異なる立場の人びととの遭遇を生み出すこと‐交話性

19世紀以降、人間の五感のうちで視覚は特に重要となっている。
「一望監視」のシステム‐視覚による社会の統制
事物を観察し、境界を区切る視覚が重要になっていく→見るという行為の不完全さを歩くという行為で補完する

古い地名‐「ローカルな権威」、「生きられた家」
古くからの固有名詞を合理的な郵便番号や番地へと置き換えること‐戦略

「軌跡」‐移動の時間的な過程を示し、またその足どりは特定の場所に固定されえない。

6 それは抵抗なのか?
ド・セルトーの戦術という考え方に対する批判
①彼が権力(戦略)と民衆(戦術)を対置させて考えているという批判‐Dreen Massey
②戦術が抵抗として効力を持つのかという批判‐Mitchell
「権力者の支配と人びとの抵抗という図式のなかで、どうすれば具体的な変革の契機を作り出せるか」←マッシーとミッチェルは違っている

このふたつの批判は、「抵抗」という観点からなされている。
抵抗の観点からド・セルトーを批判するということは、「戦術」をそのまま単純に「抵抗」へと読み替えてしまっており、その考えを目的化してしまう危険性がある。
背エクリチュールとパロール、戦術の関係は、抵抗論に還元できない厚みを持っているのではなかろうか。

疑問点または論点
1.冒頭にある魯迅の言葉をどう理解すればいいのか
2.空間的実践(歩くこと)について
3.ド・セルトーに対する批判をどう評価するのか(戦術と戦略、抵抗)

2007-11-16 16:29 : 『都市空間の地理学』(07後期・院ゼミ) : コメント : 0 :
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