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『都市空間の地理学』第9章

第9章 消費と都市空間
――都市再開発と排除・監視の景観――

Ⅰ 都市の再開発とジェントリフィケーション

中心業務地区(CBD)の周辺に広がる旧市街地帯
以前は低賃貸住宅地帯であったが、「ジェントリー(紳士)」が戻ってきて「ジェントリファイ(紳士化) 」していく(「ジェントリフィケーション」)
インナーシティーは高級住宅街へ
(例:映画『ミスティック・リバー』、小説『14TEEN』)
・なぜ、都市の中心部は再活性化されたのか
→経済や資本の蓄積の大きな転換が関係

例:アメリカ
19世紀末 大規模な製造業の工場が郊外へと移転。都市中心部は軽工業が細々と残る。
1970年代以降 多くの企業が海外に工場を移転。生産管理に欠かせない情報テクノロジーや金融システムが発達
1980年代 生産管理を行う機関が結集する「グローバルシティ」が登場。
都市の中心部にビジネス産業と主とするオフィスが林立

これまでの「ケインズ主義的都市」が変化、都市中心部は再び経済の中心へ
不動産業者や、都市行政担当者は軽工業地帯を新たな街並みに変化させることを希望
ジョントリフィケーションへ

都市再生によって戻ってきたのは、郊外の富裕層や資本家ではなく、近隣のアパートや借家から移ってきた人々
→都市はこれらの人間に訴えかける何かをもっている
都市は人口の集中や企業の立地・集積からのみでは捉えられない
都市の形態だけでなく、そこでの生活は政治、経済、文化が絡まりあい、たえず作り直される

2 ニューヨークのロフトリビング
アメリカのニューヨークは見所を数多くもつ都市
とくにアートが観光にしめる割合が多い「本物のニューヨーク」
(例:雑誌『Esquire』 ドラマ『セックス・アンド・ザ・シティ』)

マンハッタンのダウンタウンはアートに結びつき作り直されてきた
古い建造物に「美しいもの」として保存に値するという価値をつけ
アーティストと協力して地区全体の芸術性を高めていった
しかし、古い建造物の保存は高額の修繕費が必要
→ジェントリフィケーションの担い手は修理費をいとわない嗜好性と経済力のある富裕層

ジェントリフィケーションは民間の自発的な都市開発として歓迎
しかし一方で、従来の人々の立ち退きを伴う点で批判される

ジェントリフィケーションは1970年代から1980年代にかけての景気後退に伴う経済の再編成、新自由主義の拡大による福祉国家システムの解体、階級と人種の軸に沿った社会の再差異化、都市の二極化などの観点から考えられる必要がある

「近年のジェントリフィケーションとは、従来とは異なるアクターや場所がそこに巻き込まれ、生産される景観も異なることから、ますます複雑化している」

マンハッタンのジェントリフィケーションは公共空間の問題として捉えなおす必要がある

3 公共空間の民営化

公共空間の民営化が近年進んでいる
(例:刑務所の民間警備会社への委託)
公共空間の民営化は行政と民間の責任があいまいになりかえって空間内の暴力が増殖する可能性が高くなる
また、一部の企業によりいいとこどりされる結果を招く

○シカゴ(ロックグループ)の『サタデー・イン・ザ・パーク』
ベトナム戦争とアメリカの幸福な公園の対比を表現
しかし、実際には公園も幸福な空間ではない

○セントラルパークのCPC、ブライアントパークのBPRC
個人や企業から支援された民間の管理組織
双方とも公園内の「ならず者」の排除、模範的利用者の誘導によって公園を管理
(例:入場料の設定、回転ドア、女性の無料入園、レストランの設置)
公園の管理・運営が民間組織主導
→特定の経営者や民間投資家が都市を統治する
また、労働組合活動の禁止で誰からも反対されることなく公共空間の管理が可能
→公共空間の民営化、私物化を妨げるものがなく、公的な管理と市民による自由なアクセスという二大原則が崩壊

4 ディズニーの視覚戦略と都市
都市空間の民営化は清潔で安全で美しいという新しい都市イメージを作り出し、ハイブリットな都市空間の画一化を目論む

○ディズニーランドと都市空間
視覚効果などを使い、仮構の世界が現実の経験を作り上げる
渋谷のパルコも同様に周囲の環境から乖離させ、街で求められる様々なテーマに沿った所作を人々に演じさせ、消費者に仕立て上げる

どこにも起源や現実性をもたず、現実そのものが緻密なコピーにとってかわる(「シミュラークル」)
現実の都市がディズニーランドのような仮構になっている

ディズニーランドでは視覚的戦略が働いている「美しい街」
(例:開拓時代の原住民迫害の隠匿)
視覚的戦略は現実の矛盾や不平等を覆い隠し、そこに潜む政治的暴力に目が届かないようにする(例:神戸市の「キャナルガーデン」)

ディズニーランドでは「安全な街」であることが重要
→事前に犯罪や危険のタネを除去が必要(監視カメラの設置など)
誰でも利用できる公共空間という定義を破壊

「完全雇用というケインズ経済学におけるインチキ薬と同じくらい陳腐なものになってしまっている」

安全性は地価にも影響するため、さらに監視・排除が重要
現実の都市空間は社会的矛盾が取り除かれた「監視社会」として仮構の空間になる
ジェントリフィケーションは都市のディズニーランド化に他ならない
都市のディズニーランド化はマイノリティへの暴力であり、「報復の都市」と表裏一体

5 消費空間としての都市――都市空間と文化はだれのものか?

空間と作り上げる際に「文化」が果たす役割は重要(ズーキン)
(例:マンハッタン)
場所や空間の持つ文化価値が都市再編に重要な役割を果たす

ジェントリフィケーションは「都市のブルジョア化」
「それを買いたい」という消費の欲望を喚起する「ポストモダン都市」と関係
「ポストモダン」は他との違いや価値の多様性を称揚する状況
都市はその他の都市との違いから威信や格付けを高めようとすることで企業を呼び込もうとしている

都市の再編成と都市のライフスタイルのかかわりを捉えようとするとき、批評家などの
「クリティカル・インフラストラクチャー」に注目
彼らは客とレストラン、不動産業者と購入者の媒介者となる

またジェントリフィケーションは都市のテーマをいいとこ取りをして、いらなくなれば放棄する可能性がある
クリティカル・インフラストラクチャーによって都市空間が消費空間に仕立て上げられる一方、「ポリスカー」といったマイノリティーなど異質なものとの出会いの場として都市を再設定することが重要
しかし、そのこと自体も資本は商品化する可能性がある

論点:ディズニーランド化する街の例
   ケインズ主義の意味
   日本のインナーシティにはこの説明が当てはまるのか
   


2007-12-14 12:27 : 『都市空間の地理学』(07後期・院ゼミ) : コメント : 0 :
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