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『都市空間の地理学』第12章

第12章 アンリ・ルフェーブル -空間論とその後-


1 空間論的転回
・・・都市、地域、場所、景観、地図という空間化された表象自体の歴史性、政治性、社会性を問うと同時に、人間の知覚、思考、行為を包摂した社会それ自体の空間性を捉え返す・・・・ルフェーブルの空間論が方向付けたもの

2 日常生活批判
『日常生活批判序説』:フランス南部の農村の祭りに関心を寄せたルフェーブル
→日常から離れない祭りのあり方。祭りによって日常が拡大され賛美される。
→ところが、近代の「時計時間」によって農村の日常生活の諸様式は破綻。闘争の場を労働の場から日常生活に移行させる。
構造主義批判:日常生活は、体系の内部で行為主体によって変革されうる弁証法的運動を内在化した動態的かつ不定型なもの。

3 都市論
・「都市(la ville)」と「都市的なるもの(l'urbain)」の二重性から都市を捉える
・遡及的-漸進的方法(転繹法):都市の変遷や履歴を辿り、過去を逆照射。
・都市が「外破-内破」され、農村/都市の対立ではなく、都市内部に構造的矛盾が移行
→意思決定の中心と消費の中心が結びつき、権力の集権化が堅固なものになる。
「都市への権利」:都市生活へ、刷新された中心へ、出会いや交換の場所へ、これらの時や場所の充分で十全的な使用を許すような生活のリズムや時間割へ・・・などの権利
→ミクロレベル、マクロレベルを切り離さずに識別する分析の必要性(P,M,G)
■都市とは、人々の活動や経験の媒介=メディアであると同時にその結果なのである。それは諸々の闘争、戦略と戦術が繰り広げられると同時に、人びとの身体感覚や世界像の社会形態が生成する地平である。

4 空間の生産
・空間は生産されると同時に、社会的諸関係が生産され再生産されるメディアでもある。
・そこに内在する戦略、利害関係、権力作用を読み解く必要がある。
・とりわけ、「社会学的想像力」と「地理学的想像力」、「空間的分業」、「社会-空間弁証法」によって批判的に読み解く。
【権力の目】に示された空間をめぐる諸力の作用
空間の表象-思考されるもの-:知と権力が結びつき空間化する。ex.)都市計画、建築、施設
表象の空間-生きられる経験-:状況の構築、祝祭、革命
空間的実践-知覚されるもの-:状況づけられた実践、構造の二重性、構造化する構造の契機、
→構造主義批判としての「権力の目」。抽象的空間が日常生活を一方的に規定し、支配するわけではない。
→ルフェーブルはこの三項による三重の弁証法的関係を重視→ソジャの「三元弁証法」

5 国家論
ルフェーブルは国家と国民の結びつきの歴史、政治的関係、ナショナルアイデンティティに言及。
→資本主義は、帝国主義の領土争いと市場の空間への「暴力」介入する国家権力との結合によって推進。
国家による蓄積体制と調整様式→「国家管理の生産様式」
■「脱領土化」された抽象など存在しない。
→都市は「諸種のフロー」の調整地として重要な位置を占め続ける。
ニール・スミス/ブレンナー:「スケールの生産」の観点からルフェーブルを読み直し、多元的なスケールが構造化され、都市や国家が再構築される過程(ガヴァナンス)に着目。
※社会的構築物としての「スケール」/スケールをめぐるせめぎあい/スケール設定の背後にある政治性やイデオロギー
「世界化」:「世界的なもの(le mondial)」と「総体的なもの(le gloval)」という二つの側面
→地理的範疇と全体性。後者の意味を含ませることで「自主管理(autogestion)」「都市への権利」や「差異への権利」の獲得を、国家的、超国家的なスケールをも含み込んだ重層性の中で捉え返す。
→「自主管理」による「空間化された弁証法」を通して資本主義国家の論理を抑制!

6 リズム分析
「リズム分析」:人間相互の日常的関係と国家構造の歴史的な変容との相互作用を検討し、身体を取り巻く時空間の重層性の分析を構想。マルクスとニーチェを架橋した論拠。
身体のリズム:生理的なリズム、社会的なリズム、操作されたリズム。季節の周期(自然)と結びつくだけでなく、住居や建物、都市、風景など(第二の自然)の周期が共鳴する。「都市は一つの音楽のように聴かれる」
「街路における経験を身体、メディア、技術、資本など諸種のリズムの重奏から捉えた「街路の地理学」を導き出すことはもちろん、再開発にともなう直線的な時間の循環には回収されない都市の記憶や精神的地層をも掘り起こすことが可能」

7 図式化を超えて
空間-社会のハイフンの関係を考察する参照点としてのルフェーブルの空間論
「ただし、ルフェーブルの言う3つの契機をいたずらに図式化して分類の道具とすることは、新たな抽象的空間の構築につながりかねない。それゆえ都市空間の重層性という言葉自体による還元ではなく、その具体的な断層や亀裂を多様な位置から動態的に拓いていくことが求められるだろう。」
・空間としての身体の加工(タトゥーやファッション?)、下位文化やストリート文化の研究にも光を当てることが可能。

※参考:世界的なもの(le mondial)は、「世界的なショー/大会」などの使い方をするそうで、英語のinternationalとは違う言葉だとのこと。(シモン氏より)

■論点
1.本章末尾「情報技術が組み込まれた都市と身体の関係性を多次元的なスケールの入れ子状態の中で捉え返す」とは、具体的にどのようなテーマが考えられるのか。(情報技術を駆使した監視社会や消費行動のあり方、それらを通じた都市に対する意識の変化・・・など?)
2.「図式化して分類の道具とすることが新たな抽象空間の構築につながる」ことを避け、「具体的な断層や亀裂を多様な位置から動態的に拓く」とはどういうことか。(観察した状況を図式に押し込めないという意味なら分かるが、何をどのように「拓く」のか?)
3.ルフェーブル-グレゴリーが提起した「権力の目」に対して、「権力構造を単純化しすぎている」「ローカルな権力構造の差異を無視している」といった批判がある(ex.大城・荒山『空間から場所へ』)。p.199では「ギデンズの観点に接続する」と示唆されているが、ギデンズは権力ではなく主体間のパワーの相互作用から構造の変革を捉えている。ならば、ギデンズの視点から権力の目の図式を捉え直すと、どんなことが言えるだろうか?
4.「時計時間」と「伝統的時間」をふまえたリズム分析は興味深いと感じたが、具体的にはどのような「リズム」を対象化し、どのような手法によって何を分析していくことができるのだろうか。

2007-12-21 15:55 : 『都市空間の地理学』(07後期・院ゼミ) : コメント : 0 :
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