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『都市空間の地理学』第13章

第13章 デヴィッド・ハーヴェイ ―社会・空間のメタ理論―


1.「史的-地理的唯物論」
本章では・・・
「現代性」(ボードレールの身から少しはなれる)を軸にモダンとポストモダンや都市に関するハーヴェイの理論的視角を『ポストモダニティの条件』を中心にして考える

◇「p.211表13-1 ハーヴェイの考え方の基本的図式」参照
対をなす二つの項目の相補的な関係として読み解くことが可能
(注)相補的≠対等、どちらかに比重をおいた説明⇒ハーヴェイの特徴
◇ハーヴェイの仕事
 ・資本主義理論(資本循環過程)のなかに「空間の生産」(空間の重要性)を組み込み展開した
 ←政治-経済システムとしての資本主義的生産様式の存続には、地理的拡張、空間再編、不均等な地理発展が不可欠
◇「史的唯物論」+地理 →「歴史-地理」⇒「史的-地理的唯物論」
  ポストモダンについて史的‐唯物論視点から分析 
  but①〈「大きな物語(メタ・ナラティヴ)」-近代を象徴する考え方〉を使用
→近代否定のポストモダンの立場ではない
  but②「空間」の持つ意味の位置づけの違い(⇔「空間論的転回」-ポストモダン、ポスト構造主義)
    空間の社会的な構築過程を捉え、空間性-時間性を組み込んでマルクスの「メタ理論」を再建
     (⇔『空間=「大きな物語」「メタ理論」、近代の前提を崩壊させる差異や他者性・共約不可能性』として捉える論者)

2.ポストモダニティの条件
◇図13-1 1972年以降のポストモダニティへの展開
(『ポストモダニティの条件』のハーヴェイの議論の骨子)
【ポストモダン的】
 *政治的―経済的実践変化
   フォーディズム的‐ケインズ主義的システム→→フレキシブルな蓄積(1972年以降)
  *文化的実践変化
   モダニズム→→ポストモダニズム 
【資本主義】
・物質的諸実践、社会的再生産の過程の変化継続、永続的に革新的かつ破壊的であること(創造的破壊)を原理として内在した生産様式
・時間均質化(標準時間、クロックタイム)+時間加速化
◇「時間-空間の圧縮」(for時間加速化)概念(資本主義原理に内在) 
・常により有利で新しい空間を求め、空間的障壁を克服しようとする
空間が障壁→障壁の克服(時間による空間の否定)→空間の生産(交通・輸送手段)《矛盾》
⇒脱領域化(脱土地化)+再領域化(再土地化) 
→時間と空間の経験を変容(①) →永続的な不安定状態   
→ポストモダンの文化的実践 ⇒資本主義的蓄積体制の変化と連動
・資本グローバル化(空間的競争)→個々の空間の差異、場所のアイデンティティ
◇時間の空間化
 ・19世紀半ばのモダニズムの諸芸術における実践(パリからの文化的モダニズムとその変化)
  (①→)時間と空間の根本的な再調整⇒表象の危機
→新たな時間と空間の経験における認識・実践とは?→異なる表象のシステムの探究
・(19世紀末)
国家、集団、地域のアイデンティティ構築の努力としての「時間の空間化」(伝統,歴史⇔変化)

☆《空間の障壁を克服「時間‐空間の圧縮」=空間の生産》
→ 空間の統合・抽象化(+時間の空間化) → 差異の重要性

3.フェティシズムとポストモダン 
◇「フェティシズム(物神性)」
・・・市場での商品交換において社会関係が隠蔽される →社会関係=物と物との関係
 ・社会関係を理解するために、フェティシズムの仮面をはぐ必要性⇒メタ理論
 ・ポストモダンの特徴(p.218)は貨幣の役割変化というより役割強化
  『「個々の事物」・「社会関係」・「記号」の関係』=『「個別の商品」・「社会関係」・「貨幣」』の関係
  →マルクスのフェティシズム分析がポストモダンの状況でも適用可能
   butフェティシズムからは逃げられない

4.フェティシズムの脱神秘化と都市への理論的パースペクティヴ
◇都市についての見解 ―都市へのアプローチ
 ・2つの経験・・・「騒々しく雑多な街路での生活」と「高台からの「神のような」眺め」
  →(ハーヴェイは)全体化する視角を重視
☆都市の多様な経験を位置づけ、諸過程を都市全体として理解するための理論装置の構築必要性
   →物神(フェティッシュ)的対象としての都市
    ・・・・資本主義における都市では、物質的環境(建造環境)自体が資本に突き動かされ、その都市のなかにある物はもちろん、都市で生活している人でさえ商品となり、さらにそれらをとりまく社会関係や社会的意味が隠蔽されている。
      →都市もマルクスの分析が適用可能
 ・「内奥の意味」の解明―メタ理論によってのみ可能 (※ポストモダンはメタ理論を破棄)
   ⇒都市全体のフェティシズムを解明する理論装置の構築必要性
 ・「全体」=都市を切り取るフレーム自体を指す
  日常的表象とフレームを生産し、それによって隠蔽されている社会関係と社会的意味の解明必要性 
⇒「弁証法」へ

5.史的-地理的唯物論的弁証法 ──「物」から「過程」へ
◇ハーヴェイの弁証法的思考 ───「物」ではなく「過程」や「関係」を中心にした思考
 ・要素や物、構造、システムは、過程や関係性、フローによって絶えず構築・維持・解体される
 ・不安定な流動性のなかの「永続性」
  →「物」の永続性や安定性の構築・維持の過程と関係に注目(還元不可能な構成要素はない)
 ・「物」と対象の世界を過程から解明≒フェティシズムの脱神秘化
      but流動性、過程、関係的性格の強調(資本の循環過程)
 
・史的‐地理的唯物論
  時代特性を過程的(not固定的)に捉える→変化は連続的なものとして捉えられる
 ☆さまざまな現象(フェティシズム)の根底にあるのが資本循環の原理であり、多様な物質的景観や社会形態を生産している
 ☆都市・・・流動的な過程(資本の循環の「歴史‐地理」)のなかにある「空間スケール」のひとつとしての位置づけ
      =「スケールの生産」 ※スケールも空間の表象によるフェティシズム
  ⇒都市は「物」としての「都市city」でなく、「都市化urbanization」として「過程」のなかで捉えられなければならない

6.はたしてメタ論なのか
◇ハーヴェイの理論的問題点
 ☆経済決定論の批判回避を狙い理論的精度や体系性が損なわれている ⇒理論の精緻化必要性
  ・「資本主義が上部構造として文化などを規定しない」
  ・「金融システム、あるいは・・・・・・十分条件は思考と知の・・・・・・深く埋め込まれている」
    →「バランス感覚」による理論一貫性の欠如
十分条件の位置づけは?
  ・史的‐地理的唯物論的弁証法は(視角はともかくとして)「メタ理論」や社会理論には程遠い
 ☆実際の都市分析についての史的‐地理的唯物論的弁証法の視点の活用可能性と内容について検討する必要がある


<疑問点・論点>
・p.215「ポストモダンの試みが画一性を・・・」 具体的に?
・p.221フェティシズムではないものがないとして、どこまで解明できる?
・p.221「一面的で融通がきかない」とは?
・p.223都市における諸過程と物質的形態の関係の矛盾とは?


2008-01-11 18:33 : 『都市空間の地理学』(07後期・院ゼミ) : コメント : 0 :
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