スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
-------- --:-- : スポンサー広告 :

『都市空間の地理学』第14章

第14章 クロード・ラフェスタン -「領域性」の地理学-


1.現代地理学の反省

・社会に埋め込まれた知識としての地理学的知の位置それ自体を問う、根源的な自己批判の展開
①社会空間や空間的不平等、周辺化などの具体的諸問題
②地理的想像力と地理学者の言語、空間的実践と社会表象、生きられた空間や地域形成などの諸問題

クロード・ラフェスタン
・「見ること」の自明視や「視覚の専制」を逃れ、「まなざし」を自覚し、関係論的視座の獲得を追求する。
領域territoire:社会的に生産された空間 (⇔物質的空間)
・地理学とは「人間が空間あるいは大地と名付けている《物質的現実》に対して働きかける慣習的行為およびそれに関する認識の総体」を研究対象とする、と再定位。
「二重の解釈学」:地理学者の実践は、人々の日常的な解釈をそれとは別の枠組みで再解釈すること
⇒メタ地理学(記号システム)で地理文法(認識)を組み、地理構造(生産された空間)を理解すること
※科学を支える暗黙の前提を覆うイデオロギーに自覚的であるべき!

2.「領域性」の諸要素-労働・情報・権力-

領域:生産と消費のための道具⇒身体の外側に多元的な関係性を構築し、空間を再編成して他者と関わる。
領域性territorialite:関係性の全体,必要や欲求を満たす基盤となるものの総体
コミュニケーションを可能にする「媒介」:①道具や技術、②言語及び記号
・領域は、格子・結節点・ネットワークと、それにまつわる情報によって生産される。ex.)都市・村落/交通・通信
領域の変動:領域化→脱領域化→再領域化(近代性の出現によって大きく変動)
・機能的情報(生産)と調整的情報(社会過程全体)の区別
・市場機構の出現により「時間化された領域」が次第に優位に。
・記号表現としての景観は変わりにくいが、記号内容としての意味は変化しやすく多様性を持つ。
ex.)観光地の変容
※コミュニケーションネットワークの発達は、情報によって領域の自立性を損なう可能性も孕む。
「知」と権力作用をめぐる問題
→経験的知と科学的知に区分し、前者を含む「民衆知」に下からの抵抗の可能性を見いだす。

3.生態的正義と歓待をめぐって

ドメスティケーション:野生種の栽培植物化や家畜化
シミュレーション:生産されるべき対象の縮減されたイメージやモデル
・後者の独立化。シミュレーションの中ですべてを創造するという欲望にかられ、貨幣という記号が支配し、社会的多様性は破壊される。
・環境負荷を貨幣に換算して補填する方法の限界、資源をめぐる熾烈な争いによって少数者の抑圧を正当化するイデオロギーの台頭。ラフェスタンは近代的認識と伝統的慣習行為の結合という方向性を目指す

歓待:境界を侵犯する外部者を迎え入れること。かつては贈与行為等によって関係性が支えられたが、現在は監視と排除が強化され、境界の出入りに暴力的要素がつきまとう。歓待の根となる対面性と他者に開かれた歓待の場を支える連帯および信頼が弱体化している。
⇒歓待を再発明するための対話の場、あるいは「公共性」を再構築することにラフェスタンは希望を見出す。

4.関係論的視座へ

・ラフェスタンの議論の批判や修正が必要
・ハーヴェイの所論との比較は示唆的
・先行者たちの試みを、それが書かれた学問的かつ社会的なコンテクストを意識しつつ、その可能性の中心において批判的に読むことが求められている。



■論点
・232p.の「時間化された領域」がよく分からなかった。
・233p.「科学的知」は常に権力のものなのか?民衆知としての「科学的知」はありえるか?
・236p.ラフェスタンによる関係性的領域論の目指す公共性の再構築は、ハーバーマス的な公共圏構築の議論とはどのような接点を持ち得るのだろうか?公共性を有す領域の構築を目指すということだろうか。ラフェスタンが領域性を「諸関係の総体」と単純に規定したため、関係論と空間論が理論的にどのように接続されるのかについての説明が不足していることから生じる疑問であろうか。個人の領域を扱うスケールと国家の領域を扱うスケールでは、異なる仕組みのものとして理解すべきではないか。
・ラフェスタンが希望を見いだしている「近代と伝統の結合」としての歓待は、「都市-農村の接合」とも考えられ、現在の日本の状況を考慮すると同意しがたい。また歓待(贈与)行為は、外来者を内部の社会構造-支配構造に組み込むための慣習という側面を持っているのではないかと考えれば、歓待を通じて理性的な対話の場や公共圏が構築されるとも考えにくい。

2008-01-11 18:35 : 『都市空間の地理学』(07後期・院ゼミ) : コメント : 0 :
コメントの投稿
非公開コメント

« next  ホーム  prev »

contents

過去の記事

天気予報


-天気予報コム- -FC2-

ブログ検索

訪問者数

QRコード

QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。