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『都市空間の地理学』第16章

第16章 フェミニスト地理学 ――ジェンダー概念と地理学―― 


1.ジェンダー概念の発見と多様化
◇ジェンダー・バッシング
 ・ジェンダー研究・・・結婚や家庭の持つ権力作用について解明する試み
 ・ジェンダーバッシング →ジェンダー=「性差を否定し、結婚、家庭をマイナスイメージでとらえ、文化破壊を含む概念」
=女性の権利獲得に対するバックラッシュ ― 本質的な問題の無視[p.251]
 ☆「ジェンダーの問題はつねに社会の動向と連動し、社会現象に対して批判的なまなざしを持ちながら問題の改善に努める必要がある」
【本章】ジェンダー概念に注目しながら、地理学における研究変遷と動向の把握
◇地理学におけるジェンダー研究
 ・1960年代 第2波フェミニズムの影響 ―女性解放運動(欧米中心)→女性解放の一般への浸透
 ・1970年代 女性学の成立 セックスとジェンダーの意味分け 2つの概念から性の問題を捉え直す
ジェンダー概念はフェミニズムにより発見
 ☆ジェンダー概念・・・男女の関係性を示すための用語として理解されるようになった
 以後30年間で多様に定義 男女の関係性が問題+認識の変容をもたらす概念
  ・スコット(1992)「セックス」と「ジェンダー」の相互の結びつき
   →性にまつわる権力関係(支配‐従属)を示す用語 ・・・対象は男女の関係性(ひとつの対象)
  ・舘かおる(1998)がジェンダー概念について整理した3つの立場
①性別は社会構築されたものという視点や概念として用いる(女性の地理学)
    ②社会構築された性別の権力関係の様態の解明と問題化(社会主義フェミニスト地理学)
    ③社会構築された性認識の自覚と意識解放、認識変革を志向する(フェミニスト地理学)
  ・⇒表16-1を参考にジェンダー研究の変遷をたどる
2.地理学における女性の研究の登場(①の立場)
 ・バーネット(1999)都市地理学に女性に対する視点を導入 
 ・テイヴァース(1999)とモンクとハンソン(2002)の批判 
 ・フェミニスト地理学の課題―女性に焦点、産業化による女性の生活の規定付け、いかに都市を形作ったか
・「女性の地理学」byプラット(2000)=男女間の不平等の様相を記述 ⇒女性の可視化 
3.家父長制と資本主義(②の立場)
 1)社会主義フェミニズム(労働の領域への女性参加を目指す)
2)マルクス主義フェミニズム(資本主義批判と家父長制批判を結びつける)
・性別役割分業が前提にある都市生活 ― 目に見えない権力・・・背後にある家父長制
  資本の論理に規定された人々の生活
   生産行動(男性)空間と再生産行動空間(女性)の分離 -「ジェンダー化された都市」
    ・・・再生産機能を担う家庭はそれ自体が再生産の制度
家の中の再生産をめぐる権利・義務関係(上野1990,)
   家族が権力装置(江原,1991)
・フェミニスト地理学―職場と家庭に注目
(マクドウェル)家事労働と個人消費を分析から排除
社会主義フェミニスト地理学者
家父長制による、女性の家庭での再生産労働の正当化 
    都市における女性への制約、不利益、抑圧について検討
    都市政策や住宅政策内の間接的な差別(異性愛、核家族観など)
☆資本制システムを支えるものとしての家父長制を見出し、労働の再生産における女性の経験を語る研究を蓄積
4.都市空間における二元論的構造
 ・都市についての二元論的な説明(生産/生産、男/女、・・・、労働/家庭、都市/郊外など)
   前者優位、男性主体→建造環境が女性をいかに疎外しているか
   「理想」、「イデオロギー」としての二元論→女性が抱える矛盾
 ・経験的研究の蓄積
   フェミニスト地理学者  経験と主観性の重要性(ローズ、2001) 例)マッシー
(⇔従来の地理学―男子の立場においての研究、マスキュリニストによる覇権主義的な研究)
   ⇒女性の日常生活を空間的文脈で検討
・ジェンダー役割概念から女性生活を解釈→従来地理学の考えと実践に対する批判
☆女性共有の経験(再生産労働) 女性に対する性役割(家父長制にもとづく)
☆女性の多様性(生産労働) 階級間、女性間での差異
5.差異への注目(フェミニスト地理学の方向性変化)
・女性中心研究の危険性 ― ほかの不平等要因(階級、人種など)を見落とし、「女性」としてしカテゴライズしかねない
  「理論から生ずる権力の構築」の危険性指摘(クリストファーソン)
 →包括的な理論構築のみでなく、社会的コンテクストにおける階級とジェンダーの関わりへの関心(フィンチャー)
   バトラー(1999) 「女という」カテゴリー ・・・・ジェンダー関係を無意識に規定、物象化
                          セックスのカテゴリーも社会構築されたもの
・フェミニスト地理学研究
 二元論的構造の境界+相互のあいだの強固な権力関係(例:家父長制)が存在
  →二元論が重層的に交錯しているなかで、境界すなわち対象が状況付けられている座標軸の明確化
・地理学の人種差別主義をフェミニスト地理学も共有している課題
  →階級や人種の問題も同時に検討する必要性
・ジェンダー研究の限界・・・枠組みが男性主義的地理学に囚われないように
  多様な差異に注目し、時間と空間を横断してジェンダー、階級、人種、セクシュアリティの交錯によって空間が形成
6.知の組み換え(③の立場)
・舘の第三の定義・・・これまでのものの見方の転換
・これまでのフェミニスト都市地理学 ―女性を抑圧された存在としてしか捉えていない
(注目)→女性の都市空間への抵抗、適合、空間の再生産
  経済的な労働問題や郊外の孤独の問題から女性を主体とした動き(P.259)の問題へと移行
   =生きられた空間の主題
◇二元論的認識論の超越への試み
 ・ミルロイとウィスマー(1994) 公的/私的領域の枠に収まらない第三の領域としてのコミュニティの位置づけ
   →女性を社会的主体として認識する
 ⇒人、場所、空間にある非対称な権力関係の解きほぐし、精緻化
  ⇒既存の地理学・カテゴリーの解体、再構築へ
 ・公的空間の物質的領域と表象的領域に関する研究
    公的空間における抑圧と抑圧からの解放のための行動展開可能性(Bondi and Rose,2003)
  バーンミンガム南アジア系住民地区の路上売買春街での住民反対運動(ハバード,2002)
     →二重のプロセス(住民にとっての解放と売春婦にとっての抑圧)のなかでの公共空間の変容
    暗い夜道での性的犯罪―女性による対策、積極的行動
   ☆弱者の立場にある人の解放 ⇔ 従来の覇権主義的地理学への異議申し立て
☆具体的、実践的に生きられた空間を主張
◇フェミニスト都市地理学
 ・ローカルな文脈、現実の行為を検討し、関係性や空間の変容について示してきた
 ・二元論を超えた実用的なアプローチを模索
 ・いかに都市がジェンダーを構築し、ジェンダーが都市を構築したかを問い、知の組み換えを図る
 ・現状の課題に対して改善をはかり、従来のあり方を乗り越え、ものの見方をあらためる

<論点>
●「社会的主体としての女性」[p.260]とあることについて、コミュニティが第3の領域として位置づけること
が二元論を超えること結びつくのか?また、女性の主体的活動(たとえば郊外におけるネットワーク)があくまで二元論の中(ジェンダー枠組みの中)での活動だとみなせてしまうのでは?それを脱するにはどうすればよいのか?
●農村など伝統的な社会構造においてのジェンダーはどのように解決するべきか。

2008-01-18 16:52 : 『都市空間の地理学』(07後期・院ゼミ) : コメント : 0 :
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