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『都市空間の地理学』第15章

第15章 ロサンゼルス学派 ――現代都市像の再構築――

Ⅰ 移動する都市論
1980年代は都市再編が急激に進んだ時期
この時期ロサンゼルスは注目を浴びるようになる
これまで理解困難な例外として扱われてきたロサンゼルスがシカゴのように都市研究の焦点となったのはなぜか?

シカゴは1920年代、パークを中心としたシカゴ大学によって都市研究の範例とされ、社会的実験室と位置づけられた。
同心円地帯モデルはシカゴを祖型としてバージェスによって構築された

アメリカの都市研究はルート66を通るようにロサンゼルスに移動
ロサンゼルスをフィールドとした批判都市研究が多く世に出されるようになった
ロサンゼルスの都市研究の特徴は社会と空間との相互作用に見られる弁証法関係、ならびに社会・経済活動の空間性に大きな関心を向けている点である

ロサンゼルス学派はシカゴ学派の都市社会学者のように方法や対象を共有しているわけでない(厳密には学派とは言いがたい)

デイヴィスは論文の中でロサンゼルス学派の研究領野を整理
①社会―空間弁証法を糸口にして都市の政治経済と空間の長期的/全域的に展望(エドワード・ソジャ『ポストモダン地理学』)
②フレキシブルな蓄積体勢の登場を踏まえて南カリフォルニアの脱/再産業化の研究(アラン・スコット『メトロポリス』)
③都市生活の質に直結する政策を批判的に検討(ロバート・ゴットリーブとマーガレット・フィッツシモンズ)
④インナーシティの労働市場との関連で都市下層やホームレスの問題の研究(マイケル・ディアとジェニファー・ウォルチ『絶望の景観』)
⑤土地の開発と所有を巡って展開された都市社会史の暗部に光を当てる(マイク・デイヴィス『要塞都市LA』)

対象や記述のスタイル、結論に相違が見られるものの「再編restructuring」をロサンゼルスで研究しているという共通の認識があった
しかし、ロサンゼルスの特殊性を抜きにロサンゼルス学派を語ることは出来ない
以下ではロサンゼルス学派の視角やアプローチを検討

2 都市再編と都市形態
ロサンゼルスは単核の中心地区(CBD) から距離減衰効果によって土地利用が移り変わる同心円地帯モデルの想定は適合しにくい(ロバート・フィッシュマンの引用

ロサンゼルスは都市化→郊外化→逆都市化→再都市化という都市発展段階のサイクル仮説に合致しないことが理解困難の原因
( ロサンゼルス郡は衰退を経験せずに人口成長を続けている)
ロサンゼルスは「中心のない都市」と称されるように都心という磁場から切り離された都市のように見える
→同心円地帯モデルに代わる都市形態としてキノ資本主義を提示(ディア、スティーヴンフラスティ)
この都市形態モデルでは周辺の後背地が逆に中心を規定し、モノカルチャー的な場所の偶有的モザイクからなっている
しかし、ロサンゼルスにも中心性がないわけではない。( 北側には市庁舎などが連なり、都心が重要な業務核であることは間違いない)
地理的な脱中心化とともに部分的には再中心化が生じており、「中心のない都市」は過小評価

フィッシュマンの都市構造→自動車依存型としや多核型都市圏としてのロサンゼルスを示す
空間は「容器」ではないことを強く認識させるもの
(自動車の保有・運転を強要し、自動車の運転を選好しないものは狭い特定の区画に閉じ込められる)
また、要塞のように高い塀や扉で仕切ることで意図的に境界を設けている
(不便であることが住宅地の価値を保持) →生活の軍事化
このような都市では階層間や民族間の協調を導く混種混交が起こりにくい
→シカゴ学派の想定した社会統合が進行するとは考えにくく社会と空間の相互作用(「社会―空間の弁証法」)という観点が必要

ロサンゼルスの周辺地域、南カリフォルニアはポストモダンの都市と言及されることが多い→都市再編過程と結びついた都市研究の蓄積が新たな時代性の元でロサンゼルスへの注目を喚起した
「都市の一連の空間化は累積的であり、それぞれの局面はそれ以前の各時期の地理の足跡を残し、既成の都市空間分業は消滅するというよりも選択的に再調整される」(ソジャ)

ディアとフラスティは南カリフォルニアの都市性(アーバニズム)について分類を表す用語を整理し、そのひとつに歴史地理をあげる
ソジャは6つの都市再編過程を言及
①外側の都市の中心性がますとともに従来の中心の再中心化も進むという都市形態の再編
②ポストフォーディズムへの移行にともなう政治経済の再編
③グローバル化と情報化による世界都市化や多民族都市化の進展という再編
④社会・経済・政治的分極化を伴う社会的モザイクの再編
⑤暴力と監視が混合した都市統治の再編
⑥研究の実践を含む都市の見方の再編

都市再編の研究は脱工業化の過程と楽観的な脱工業化過程への反論が引き金となっている
  


3 サンベルトとフロストベルトの並置

ロサンゼルスは世界の様々な要素の「全てが集まる」都市
1970年代の都市研究では、生活活動への関心は薄れつつあったが、スコットは都市空間編成における生産システムの第一義的な重要性を提起し、脱工業化仮説に一石を投じた

アメリカの地域構造は南部のサンベルトとフロストベルトの対比で語られることは多い
( サッセンの引用)

ロサンゼルスはフォーディズム的な戦後好況によって牽引され、その後国防受注契約の航空機産業と電子部門の研究とが連関しサンベルト型の発展へと進む

サンベルトの発展はフォーディズムとポストフォーディズムがロサンゼルスに並置されるようになった

ロサンゼルスのように脱工業化と再工業化の組み合わせは二項対立で都市空間を捉えてはいけないことを示している

4 世界都市研究と空間性
都市や地域は社会・経済構造の単なる地理的反映とみなされてきた
しかし、社会・経済活動にとって空間は「容器」ではない
世界都市論はグローバルとローカルのつながりを視野に入れ空間性を検討するのに絶好の題材

世界都市論はグローバルな分業のなかにおかれた都市の経済・社会が、世界の中で「孤立国」としては存在せずに、都市内部に構造変化が生じ、そして都市においても資本蓄積が進むと主に社会的諸問題が起きることを示唆

グローバルなスケールのもとで世界都市を単なる「点」として捉えてはならない
重層的な地理的スケールでの脱中心化と再中心化が同時進行する過程を見過ごさないことが大切

世界都市では低賃金でインフォーマルな労働市場が形成され移民を吸収する
(例:レストラン、ホテルなど)

低賃金労働力となる途上国からの移民は「中心の周辺化」の具体例
ただし、「移民の知的労働は巨大な装置のもとに集合化され、大資本に直接消費されている」と考えることもでき、単線的な解釈を許容しない

「中心はますますその中心性を高めているが、同時に周辺されつつある」

5 都市研究と空間論的転回

ロサンゼルス学派の研究は「都市論から空間論へ」のシフトとして語られる動向と無関係ではない
「空間論的転回」は空間を潜没されてきた社会理論における歴史主義に抗い、空間を理論構築の中心に積極的に組み込み「再主張」してきた横断的潮流に裏付けられている

ロサンゼルス学派に立ち戻ると杓子定規に割り切ることは出来ないが「方法としてのロサンゼルス」という見方をするなら都市の空間的再編を通してグローバル化を問うための見取り図を準備したといえる

論点・疑問点:日本におけるロサンゼルス型(キノ資本主義) の都市はあるのか
       ロサンゼルス学派の一貫性(結論が異なるのはなぜか?)
       アメリカにおけるロサンゼルスの位置づけ

2008-01-18 14:16 : 『都市空間の地理学』(07後期・院ゼミ) : コメント : 0 :
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