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『都市社会学』序章

藤田弘夫・吉原直樹編『都市社会学』有斐閣、1999年
序章 都市社会学の方法と対象-ひとつの都市、いくつもの都市像-(藤田弘夫)


はしがき
・都市=社会を眺める望楼? 社会の写し鏡?
・これまでの都市社会学のテキストは三つぐらいに分類できる:①住民の日常生活(ミクロ)②新都市社会学(マクロ)③多分野からのトピック集的なもの
◎本書は、①と②を架橋しつつ、現代社会学の脈絡で、豊かな都市社会の事象を取り上げる。
◎豊富なマテリアル(資料やデータ)と古典的名著の解説

1.都市とは何か
◎「バベルの塔」としての都市?(神の怒りに触れる存在?)
【万華鏡としての都市】※ニーチェ的世界観?
都市の真理:富、権力、神、正義、美徳、自由、名誉、権威、宗教、学問、技術、科学、正当、イデオロギー、欲望、商品、展示場、覚醒剤、同性愛・・・
都市の人々:政治家、宗教家、大金持ち、失業者、ホームレス・・・
都市の感情:喜び、悲しみ、怒り、恐怖、安堵・・・
都市の属性:民族、階級、母語、出身地・・・
都市の音:ヘリコプター、自動車、鉄道、歓声・・・
【人類と都市】 農民/都市民の区分→産業革命によって大転換。都市の巨大化。→三つの危険をもたらす
【都市の危険】 病気、災害、食糧調達
《ジンメル》都市の登場によって、食糧をめぐる自然との闘争から、人間をめぐる闘争へ移行。都市では他者との関係が密になる?

2.都市の思想と都市社会学
【さまざまな都市思想】 都市礼賛? 『聖書』や「竹林の七賢」の都市嫌悪? 田園賛美? 都市の病理?
【産業化と都市の思想】 深刻化する都市問題の解決方法として示された「都市の社会主義」やハワードの「田園都市」
【都市社会学の形成】 シカゴ学派と「人間生態学」、東京市政調査会
《奥井復太郎》1897-1965。英から社会思想、独から都市の哲学と都市の歴史、米から社会調査を導入し、東京を舞台とする地域調査に基づき、この三者を巧みに咀嚼、再構成。日本の都市社会学を創立。
《磯村英一》1903-1997。実践や都市行政に深く関与。地域計画や同和問題などにも取り組む。
【都市社会学の展開】 1950年代のワースの「アーバニズム論」(+大衆社会論)=都市的な「アノミー」への帰結?
→一方で村の解体、コミュニティの必要性が議論され、公害問題に対する住民運動が激化。
【新都市社会学の登場と都市研究の多様化】カステルやハーヴェイなどが台頭。都市を資本主義との関連で分析。ギデンズへの注目。
・バブル時代、東京の「世界都市化」が問題化(地方は深刻な過疎化)。さらにエスニシティの問題や都市災害等の危機管理の問題。
→都市社会学の多様化。「1つの都市社会学像」を描くのは困難。

3.7つの都市概念-問題の参照系としての都市-
◎都市社会学者と都市概念:表-序-1参照。
①人口の集積地としての都市:ワース「社会的に異質な個人が、大規模高密度に集まった集落」
②機関の所在地としての都市:都市機関説。政治、経済、宗教、教育、医療、娯楽などの機関が結節し統合される。
③施設としての都市:容器としての都市。居住施設、行政施設、医療施設、ランドマーク、インフラ、「建造環境」・・・
④自治体としての都市:日本には「市民」は不在?「3割自治」?
⑤社会関係と心理状況としての都市:精神的緊張と高揚の結果、無感覚を招く。忙しく刺激的で革新的で開放的。cf.農村は保守的で閉鎖的?
⑥地域社会としての都市:近隣社会。老人会、祭祀組織、ボランティア団体、自治会町内会・・・コミュニティ論。新住民。ニューカマーとしてのエスニシティ。
⑦文化としての都市:ルフェーブル「文化の独占」による権力と富の集中。外国文化の関門。サブカルチャー、ゲイ、ドラッグも主義主張として成立。

■論点・コメント
【本章の概要】 本章は、「都市論の系譜」について、極めて大まかに全体的な流れを説明した章である。
【感想】用語や人物の解説を省いているため、慣れない人には意味不明な単語の羅列に見えるかもしれない。全体的に、行政機能を重視しているような印象を持ったのは、都市社会学が「都市経営」「都市運営」から誕生したという背景を持つためであろうか。それとも筆者の関心事が行政機能にあるためであろうか?
【論点1】
 「7つの参照系」は、それぞれが重要な視点である反面、現代都市を理解する上では、①から⑦までを別々に捉えるのではなく、それらが相互にどのような関連を持ちながら都市を構成しているのかということについても考える必要がある。たとえば、私の出身地である静岡市が取り上げられているが(17p)、静岡県内では浜松市と競い合うように市町村合併を繰り広げた結果、広大な行政区を持つ政令指定都市となり(④)、旧静岡市と旧清水市に都市機能を分割したために都市の集積性が低下している(②)。もともと都市部に人口が集積しない状況であるにも拘わらず(①)、合併特例債によるハコモノ行政が進められたものの(③)、博物館や美術館といった文化行政は著しく遅れており(⑦)、不均等な都市化が進んでいると言える。一方で、東海地震を想定した防災行政や災害時の支え合いの地域社会づくり(⑥)が課題とされている。また浜松市との対抗関係や富士山へのアイデンティティを感じる一方で、名古屋を中心とした東海地方にも東京を中心とした関東地方にも属さないという地域意識(⑤)にはあまり変化はみられない。
→本章では、全体的に「官」が重視されているという背景もあるが、①から⑦で示されたものの多くは、「行政」や「都市政治」の過程において「限られた予算の中で何をどう配分するのか」といった枠組みで決定される側面がある。そうした予算配分は、ローカルな政治組織(地方政党や組合、商工会議所や有力企業等)や中央政府との関係、景気変動に強く影響されながら展開する・・・という部分も見ていく必要があるように思う。
【論点2】
 「7つの参照系」において、たとえば⑤の都市と農村の二元論理解(15p)は、現実とはかけ離れているように思う。本章においては、都市や農村といった用語は、地理的・空間的な区分として用いられていない。むしろ農村-都市という二元論だけでなく、近代-前近代、自由主義-伝統主義といったいくつかの二元論的な軸から語られてきたものではないか。
【論点3】
 地理学における「都市」と、都市社会学における「都市」とはどのように異なるのか?たとえば、マルクス主義地理学的な理解では「距離を圧縮する作用の求心点」であり「資本蓄積としての建造環境の集積」として理解できる。また都市社会地理学からは都市のメタファーとして多様な表現が用いられている(資料参照)。



【資料】ポール・ノックス、スティーブン・ピンチ『新版 都市社会地理学』古今書院、2005年、p.6より。

2008-05-01 18:45 : 『都市社会学』(08学部ゼミ) : コメント : 0 :
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