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『空間の生産』 訳者解説

~解説:≪空間の生産≫の問題圏~


☆日常生活批判(現実) ☆生きられる経験 ☆支配⇔領有  ☆空間論的展開 

◇よみがえるアンリ・ルフェーブル

ルフェーブルの多方面へのかかわり・・・哲学/政治(ヘーゲル・マルクス-弁証法、資本/政治活動)

                  農村社会学~都市社会学、言語学~日常生活批判

日本への影響(1960~1970年代)・・・高度官僚資本主義と国家社会主義の批判

欧米での再評価(1990年代)・・・空間論への関心の高まり、カルチュラル・スタディーズの先取り

◇二〇世紀を生きた思想家ルフェーブル

ルフェーブルの関心、関与について→p.604「かれは西欧の・・・・・・エネルギー源となったのである」

 ダダイズム・シュルレアリスムの芸術家、マルクス主義者、共産党員、ニーチェ、構造主義批判

ロブ・シールズ『ルフェーブル、愛と闘争-空間の弁証法』・・・「電動ワイヤー」と「電線」

 電動ワイヤー・・・既存の思想の切開し、思想を再発見する装置 =生きられる経験

農村の祭りに見る自然との共存という生活リズム=生きられる経験⇔近代の工業生産の機械的リズム

故郷における生きられる経験→批判意識の原点

◇日常生活批判と空間論

日常生活批判・・・ルフェーブルにとっての一生のテーマ

近代世界を論ずる原点 ⇔(社会科学)マクロな社会構造の考察

都市/農村の生活の対比・・・精巧な技術・清潔・明るい・厳格な規律/貧弱・非機能的・不衛生・混乱

 →近代世界の本性・・・・身体の機械的なリズムの日常生活への浸透(1920年代)

日常生活の転換(1960年代)・・・・私生活空間、余暇の時間が資本の価値増殖の手段、国家政治戦略の場

→日常生活の植民地化―資本による主要な投機対象⇔後発セクター(近代)

 『現代への序説』・・・日常生活の変容を描く。(日常生活の細分化と統合化→空間の矛盾)

           社会的諸実践の機能的分離と強力な統合作用

日常生活批判の登場・・・・①シュルレアリスト-芸術的表現

②ハイデガー(形而上学)-過去への回帰、ノスタルジア

ルフェーブル独自の視点・・・・日常生活の実践的批判・実践的変革への着目

             否定の哲学(メタ哲学)を解した日常生活の実践的変革⇒空間の批判へ

              空間の支配(資本の支配)による社会的空間生産への批判的認識

◇都市論と空間論(問題構成の連続性に注目)

ルフェーブルの都市論への興味 郊外開発(中心部への求心化と郊外への遠心化)が進む時期

都市論への問題圏・・・工業化が≪都市領域≫を誘発すると同時に、都市の空間と時間の領有する権利「都市への権利」が要求される

都市論から空間論へ(都市の歴史認識が社会空間の生産のなかに置きなおされる)

 空間論固有の問題圏・・・・空間の歴史化(p.613)

             近代都市の歴史的傾向性のテーゼが空間の弁証法において組み直される

            ≪都市領域≫と≪都市への権利≫の問題構成 

→中枢化と周辺化の弁証法が生み出す空間の矛盾においてとらえかえされる

空間の≪支配≫と空間の≪領有≫

 ロブ・シールズ要約p.614 「資本主義および国家官僚による知識構造がはらむ抽象空間・・・・

                                  ・・・・批判がくりひろげられる」

    ≪空間の論理的・認識論的な諸理論≫と≪生きられる経験にもとづく空間形成≫の対抗関係

   =≪空間の表象≫と≪表象の空間≫の対抗関係 →近代都市空間がはらむ矛盾の弁証法的展開

◇社会秩序の形成-空間の科学批判と社会関係の実体としての空間

 空間の科学批判・・・空間の認識と批判にとって必要不可欠

 ◎空間の科学(哲学・数学。抽象空間形成の本質的契機)

  空間― 社会的現実から切り離された中立的なもの、心的空間

   「溝」→現実の社会空間はひとびとの身体的な所作や社会的実践と不可分、多様な社会諸関係を包含

    but心的な空間は抽象化傾向と論理的な同一性を保つ点では有効(イデオロギー的機能)

 ◎新しい空間の科学(記号学、サイバネティクス、情報理論)

   空間を抽象化し裁断することに変わりはないが、現実の生産諸力を構成する諸要因をなし、資本や国家の戦略の媒体であると同時に、戦略を包み隠して中立性を装うイデオロギーに。3点要約(p.615)

 ☆両者においては、「空間が社会諸関係の存在様態であり、社会的実体であるという視点」が欠落

ルフェーブル「社会科学における関係概念と実体概念との関連に言及」

 ←マルクス<商品価値の実体概念に関する議論>の影響

 ☆ルフェーブルの空間認識p.617

  「社会空間とは社会諸関係に先立って自存する絶対的な枠組みでもなければ、純粋に心的な対象でもない。社会空間は社会諸関係が具体的に実現される様態であり、空間において秩序形成を遂げた社会諸関係こそ、社会的実体にほかならない」

⇒空間の生産・・・・社会諸関係の生産・再生産 = 社会秩序の空間形成(複合的で多元的な主体)

マルクスとニーチェの出会い-ロゴスとエロスの弁証法 
日常生活批判の論拠をニーチェに求める

 全体的人間=ニーチェの≪超人≫概念とマルクスの≪全体的人間≫概念と結びつく

ニーチェのギリシャ都市空間認識 アポロン神/ディオニュソス神 ⇔ロゴス(抽象的原理)支配ローマ

⇒ルフェーブルの近代の抽象空間認識

 ≪空間の表象≫(=合理的、ロゴス)/≪表象の空間≫(闇と地下、エロス)

 ディオニュソス的側面・・・革命的な潜在力をはらむユートピアの形式

差異の領域におけるマルクスとニーチェの総合

 差異・・・・物を存在せしめる想像力。弁証法の生成において不可欠。

 差異の論理・・ロゴスと反ロゴス(エロス)の闘争において見出される=支配と領有の対抗関係

◇空間認識の方法

社会空間の生産を説き明かす3つの方法概念・・・①≪空間的実践≫②≪空間の表象≫③≪表象の空間≫

ルフェーブルの社会的事象解読の特徴・・・≪回顧的-前進的方法≫ ⇒疎外論的発想を斥けられる

⇒⇒「差異の理論」(・・・疎外論の図式の代わり)

⇒⇒3つの次元が互いに対抗と矛盾

 ≪空間的実践≫-2つの空間編成の次元≪空間の表象≫≪表象の空間≫を契機とし、反作用を被る 

  ※無意識的な≪空間的実践≫も2つの次元を経由する

  資本蓄積の土俵となる新しい産業部門を創出。2つの次元=資本の巨大な生産力として機能。

   不動産業や開発業→→→レジャー産業や観光産業 (産業資本主義→新資本主義)

  2つの次元の矛盾と対抗

   ≪空間の表象≫社会空間を断片化と商品化。裁断された空間の統合するための知的・政治的な戦略

   ≪表象の空間≫商品を享受すると同時に、矛盾を内省し、苦悩を表現する試み

     →資本主義による空間的実践や空間の表象の戦略への対抗

+抽象空間に対する対抗空間の提起の可能性

 ⇒社会的空間の弁証法的運動の展開


日常生活批判の構想との関連

 すでに2つの次元が含まれていた。②・・・哲学 ③・・・日常生活

 ②・・・日常生活の経験にはらまれる全体性の否定と生きられる経験の裁断・断片・抽象化

 ③・・・日常生活の想像力、新しい差異。自己認識と自己解放の推進

イデオロギー(仮像性、虚偽性)との注意

≪表象の空間≫現実的なもの、社会と空間を生産する本質的な契機、生きられる経験。

       空間の真理が根ざす領域で、ひとびとを全体的な人格として形成する土俵

→カルチュラルスタディーズの先取り

◇空間と身体-リズム分析

 社会空間を生きられる全体性においてとらえる=空間を身体との結びつきにおいてとらえる

 

空間は思考される前に、生きられる経験によって生産されている

  →「身体と空間は不可分の関係」「身体と空間は生きられる経験によって一体化」

   あらゆる事物は空間的身体の実践(生命体の能動的な実践の産物)

 空間認識の3つの次元と身体の3つの次元との結びつき(照応)

  ①・・・≪知覚される領域≫ ②・・・≪思考される領域≫ ③・・・≪生きられる領域≫

   ※領域相互の比重は社会空間の時代によって変化

マルクスの労働概念の反省と実践概念の評価 前者・・・≪思考される領域≫≪知覚される領域≫

                      後者・・・≪生きられる経験≫

 身体のリズム・・・身体による時間と空間の領有形式=≪空間の領有の教育学≫=空間的実践の教育学

          ≪循環性≫と≪直線性≫、反復の中の差異の生産

◇空間の歴史理論  空間が生産される→空間の歴史化、空間の歴史理論

 空間の歴史 始原・・・自然の絶対空間。原始の狩猟、農耕家族。神話や儀礼。

       都市国家・・・歴史的空間の誕生-政治的・宗教的な空間。合理的で官僚的/幻想と幻惑

        →抽象空間へ(古代~中世)

ローマ:私的所有→空間の征服へ

→合理的で明晰な空間、世俗化された空間へ

                →貨幣と商品による数量化

       地域や場所の固有性を奪い取られた抽象空間→資本の本源的蓄積の土壌

 ☆ルフェーブルの独自な歴史理論(本源的蓄積論)

資本主義の誕生 ←絶対空間の解体と世俗化された空間の成立

   抽象空間の主体・・・資本と国民国家(←国家領土)

   本源的蓄積論-資本主義の独自認識 空間の生産・再生産が資本主義存続の不可欠な条件

    マルクスの資本蓄積論(資本の本源的蓄積過程と資本家的蓄積過程)を空間論を介して再展開

     but拡大再生産→抽象空間の矛盾の深化+抽象空間に対抗する差異の空間をはぐくむ

◇弁証法の空間化   弁証法の空間的な展開を可能にする3つの構成要素①②③

抽象空間の矛盾・・・均質化と断片化

         世界を均質化する傾向+世界を多元化し多様化し、諸要因を増幅させる傾向

 ※マルクスとの関連

  資本運動の矛盾・・・資本の運動諸過程を分離・自立化して多様化+資本の価値増殖運動による統一

  ≪収入とその諸源泉に関する三位一体の範式≫・・・分散と統合の運動

⇒ルフェーブルは空間の矛盾として展開

均質化と断片化→→→中枢の弁証法・・・中枢性の運動

          中枢化と周辺化の相互作用、集権化と分権化の相互作用を生み出す

時間との関連

 中枢の弁証法・・・過渡期としての性格(p.634)

  ⇒空間の弁証法は時間の弁証法をくみこんでいる、歴史空間の弁証法

 ⇒⇒空間と時間との統一的な把握が可能になる

◇開口部としての空間論  あらゆる知の領域に開かれた開口部としての役目

 1)資本の蓄積空間-レギュラシオン概念の空間論的展開

  レギュラシオン学派・・・市場が本来的に不安定・不均衡のシステム、敵対する諸集団や諸個人の紛争を通して制御調整されるシステムであるとする

  空間論的に展開される資本の価値増殖の運動(外見上自立した諸過程の過程的統一)

資本の蓄積=循環過程の総体の中での労働者階級の位置づけ・・・政治経済学、経済地理学への影響

ルフェーブル・・・・社会空間を社会諸関係の利害対立や紛争の空間的な展開としてとらえる視点

   『空間の政治』-空間を資本と国家の戦略の仲介としてとらえる。「企てられた調整」

   ⇒社会的諸関係の空間的な制御調整の重要性の洞察

  ※レギュラシオン理論と構造主義(p.637) 理論の方法視角を空間論において樹立したルフェーブル

「状況」・・・構造をうち砕き構造を再構成する力を有する →「体系」「構造」より重要


2)表象の空間・・・・≪生きられる経験≫

   「空間とアイデンティティ形成との関連・・・・多様な研究に道を開く」

     →例)D.ハーヴェイ≪時間―空間の圧縮≫論 E.ソジャの≪第三空間≫論

  ☆資本の蓄積過程に統合され資本の生産力の構成的契機になると同時に、資本に抗する対抗空間を築き上げる可能性をはらむ

  D.ハーヴェイ『ポストモダニティの条件』

   ・モダニズムに対するポストモダニズムは、≪空間的実践≫と≪空間の表象≫がもたらす空間の均質化と近接化の傾向を≪表象の空間≫の次元で受け止めたもの(生きられる経験のレベルでのリアクション)

   ・絶対的な空間の崩壊に対する不安

→断片化された空間を表象する試み

=芸術、抽象化された非場所における場所性の復活・・・資本蓄積統合の契機さらに対抗空間にも。

  荻野昌弘『資本主義と他者』― ≪表彰の空間≫と社会秩序形成との関連

   ・≪表象の秩序≫の存在/共同体における追憶の秩序=≪表象の空間≫

・資本主義成立に要する他者の容認


 3)空間の矛盾とグローバリゼーション

 グローバリゼーションにおける空間の矛盾と弁証法

←日常生活批判・・・日常生活における変容(生活者や住民など生きられる経験の次元)

 抽象空間における矛盾・・・互いに矛盾し対立する2つの傾向を同時に推進

 均質空間の中に自己内省の領有された空間を創出→みずからの空間と時間を領有しようとする試み

 ☆ルフェーブル・・・抽象空間がはらむ統合化と断片化の矛盾を洞察し、日常生活の批判を読み取っていた

cf)J.トムソン『グローバリゼーション』


 4)空間の領有と人権概念の刷新

 「社会空間の生産-身体との関連」→新しい人権概念

 ≪都市への権利≫・・・都市生活における時間と空間の領有の権利。自己の身体と欲望の領有の権利

 ≪差異への権利≫・・・新しい差異の創造により、物を存立させ、わたしたちを主体としてたちあげる権利

   差異の創造・・・理論的・実践的な闘争を通してのみ(≪生産される差異≫と≪誘導される差異≫)

   ⇒⇒身体の差異の創造能力を権利として承認すること=差異への権利

   ⇒⇒○≪領有≫にもとづく人権概念。ディオニュソス的側面に焦点を当てた人権概念

×近代社会の基本的人権・・・私的所有と国民国家が一体となって築き上げる抽象空間に依拠した概念で、差異の創造能力を切り捨てた抽象的個人の権利

   ×生きられる経験を抽象化、他者と排他的な関係に立つ市民的平等の人権概念=≪支配≫の人権概念

  ≪空間への権利≫・・・・≪都市への権利≫≪差異への権利≫

生きられる経験のレベルでの空間を再領有する権利、差異の空間を創出する権利


◇疑問点・論点

●言葉の違い・・・領有、管理、所有

●ユーザーや居住者が生活を営む空間、郊外の空間、墓地の空間についての理解はどうすればよいのか。

 同じではないのか?

●「無意識的な≪空間的実践≫も2つの次元を経由する」とは具体的にどんな例があるのか?

●「空間の弁証法が過渡期性格を暴き出す」のはなぜか?

●「空間への権利」はすべて都市的性格のある空間に対するものなのか?

 あらたに都市として生産される空間の抽象化も同じ過程をたどるのか。



マルクス<商品価値の実体概念に関する議論>の影響

  「価値の実体とは、商品の価値関係を通して編成される私的諸労働の社会的関係にほかならず、それこそが社会的実体である」


全体的人間 現在の日常生活の条件と将来の可能性を関連づけてとらえる


①空間的実践

 それぞれの社会に固有な生産と再生産の場所を創出し編成する実践。抽象空間を編成する実践感覚。

「知覚された空間」-実践感覚によって組織される空間、自明の、反省されざる実践によって組織される空間。

 例)建築様式の生産、都市の生態学、地域の創造、都市の交通網、郊外の空間、墓地の空間など

②空間の表象

 知・記号・規範にしたがって空間に課せられた特定の秩序。

 意識的・自覚的に構築される空間の領域-空間的実践における無意識的な実践感覚と密接に連動。

 例)都市計画、地理学、地図製作

③表象の空間

 映像や象徴を介して直接に生きられる経験の空間領域。ユーザーや居住者が生活を営む空間。


cf)J.トムソン『グローバリゼーション』

  ・・・ミクロな日常経験変容への着目。グローバリゼーションに伴う場所性の喪失、非場所性の生成

  →相互関係をより広い時間的・空間的文脈の中で組み立て直す多様な試みを触発し、諸個人の多様な自 己内省力を誘発する


●収入とその諸源泉に関する三位一体の範式

2008-05-09 18:16 : 『空間の生産』(08院ゼミ) : コメント : 0 :
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