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『空間の生産』

『空間の生産』 pp.67-101


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空間とは生産物である。この事実が包み隠されているのは、透明の幻想と不透明の幻想(現実主義的な幻想)と言う二重の相互作用によるものである。
1) 透明の幻想
ここで空間は、明瞭で、わかりやすく、行動に自由な場をあたえる。空間において生ずることは、思想を魅了する。思想は設計によって具体化される。設計は考案することの活動と実現することの活動との間の忠実な仲介として役立つ。設計は空間において展開される。
空間領域において認識されたものと透明なものとが同一であるという主張はイデオロギーの基本仮説により正当化される。書かれた文字の物神崇拝とイデオロギーによって強化される。
2) 現実主義的な幻想
これは自然の単純さという幻想である。「物」のほうが「主体」や主体の思想、主体の欲望よりも確かな存在であるという誤りの確信が生み出された。そのために現実主義的な幻想が放棄され、ふたたび透明性の幻想が容認される。

透明性という第一の幻想は、哲学の観念論と親近性をもつている。第二の現実主義的な幻想は、唯物論に似ている。(哲学体系のように対立関係にはない)

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「空間とは生産物である」という提言の第一の意味は、(物理的)自然的空間が遠ざけられる、ということである。自然はまた、思想の手からも逃げさる。自然は打ち負かされ、今では究極の追放と破壊の過程を待つだけとなっている。

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第二の意味は、それぞれの社会がそれ自身の空間を生産する、ということである。一般的概念によって認識されるすべての個別的社会がそれ自身の空間を生産する。古代の都市はそれ自身の空間的実践を有していた。(わがものとして領有された空間を練り上げた)
社会空間は第一に、再生産の社会的諸関係を、第二に、生産諸関係をふくみ、それらに適切な場をあたえる。先資本主義社会では、生物学的再生産の水準と社会・経済的生産の水準という二つの水準が重なり合っていた。
第一に、生物的再生産(家族)であり、第二に、労働力の再生産(労働者階級それ自体の再生産)であり、第三に、資本主義社会を構成する諸関係の再生産である。空間は(生産と再生産の)社会諸関係の間のこの二重、三重の相互作用により表象化し、社会諸関係を共存と統合の状態に維持する。
三重の概念について、
1) 空間的実践。これは生産と再生産を、それぞれの社会構成体の特定の場所と空間配置をふくんでいる。
2) 空間の表象。生産諸関係が課する「秩序」に、認識、記号、規範、諸関係に結びつけられている。
3) 表象の空間。これは複合的な象徴体系において具体的に表現される。

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社会空間は諸種の社会的行為(生死、苦しみ、など)を「組みこんでいる」。社会空間の概念とともに社会を分析する道具として機能する。社会は社会空間と同一ではない。
家族が社会的実践の唯一の中心として認められなくなれば、家族を中心とする社会は崩壊するが、同時に家族は、自然・土地・生殖と、人格的・直接的な関係の「基盤」として保持され、維持される。死もまた「場所」をもつ。死の放逐によって、社会空間は社会の空間に鳴り、社会生活の空間になる。
魔術と呪術も、固有の空間をもっている。宗教的・政治的な空間と対立するが、留保された空間である。社会空間の究極の土台は禁忌であろう。この命題は生産的活動ではなく、禁忌(とりわけ近親相姦の禁止)を社会の始原に据える。

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もしも空間が生産物であるならば、われわれの認識はこの空間の生産を再生産し、それを説き明かすことが期待される。空間のなかに位置づけられた部分的な生産物はあまり重要ではなく、重要なのは、総合性としての空間である。総合的な空間は、理論的な認識によって生み出されなければならず、理論的な認識の内部で生み出されなければならない。理論は、生成過程を再生産する。生産過程と生産物は、不可分な二つの側面としてあらわれる。
1)空間的実践。  弁証法的相互作用において、社会の空間を提起し、その空間を前提とする。空間を支配し領有するにつれて、確実に空間を生産する。
2)空間の表象。  思考される空間。科学者の空間、社会・経済計画の立案者の空間、都市計画家の空間、区画割りを好む技術官僚の空間、社会工学者の空間、科学的性癖をもつ芸術家の空間などである。
3)表象の空間。  映像や象徴の連合を通して直接に生きられる空間であり、「住民」の、「ユーザー」の空間である。芸術家や作家や哲学者の空間である。受動的に経験された
空間であり、想像力はこの空間を変革し領<有しようとする。
<知覚されるもの>、<思考されるもの>、<生きられる経験>、という三重性の内部に存する弁証法的関係である。三重性が重要である。それは三項であり、二項ではない。(二項の諸関係は対立、対照、敵対に要約)哲学はこの主体と客体の二項関係をのりこえることが困難であった。(デカルト、カント主義者など) 生活・思想・社会(物理的なもの、心的なもの、社会的なものから、生きられる経験、知覚されるもの、思考されるもの)から、活力あるものをすべてとりのぞく。<生きられる経験>、<思考される領域>、<知覚される領域>がたがいに結び合い、その結果として、一定の社会集団の一員である「主体」は、混乱なく一方から他方へと移ることができる。このことが重要である。
空間の表象が実践的な効力をもっている。その影響力は建築(構想として考えられた建築)によるのである。
これに対して、表象の空間は生産的ではない。象徴的な作品(特異なもの)は別として。空間の表象が宮廷や寺院の計画によって立証され、表象の空間が芸術作品グラフィック・アート、織物などに表れる。
空間の表象は、(社会的・空間的)実践の内部でイデォロギーと認識を結びつけることができた。表象のより広い概念がイデォロギーの概念を押しのける。
空間的実践、空間の表象、表象の空間が空間の生産に寄与する仕方は、それらの質と属性に応じて、問われている社会、生産様式に応じて、歴史的時代に応じて異なっている。

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空間の生産と空間の生産過程が存在するならば、歴史が存在する。空間の歴史、「現実」としての空間の生産の歴史、空間の形式と表象の歴史は、生産諸関係が決定的な役割を果たすと言うことができる。
絶対空間は、選ばれた場所(洞窟、山頂、水源、河川)に位置づけられた自然の諸断片からなっている。場所が神聖化されることにより、自然的特徴・特異性がとりのぞかれることになる。宗教的・政治的性格を帯びた絶対空間は、血縁と地縁と言語のきずなによって生み出された。絶対空間は、表象の空間(宗教・魔術・政治の象徴体系)の担い手として存続する。豊饒さと空虚さが互いに競り合う。政治空間(都市国家の都市空間)の目に見えない豊饒さが自然空間の空虚さの中でうちたてられる。
抽象空間が歴史的空間の跡を継ぐ。「主体」をもたない。技術や応用科学や権力と結びついた知に対しては、肯定的に機能する。「肯定性」の場であり、環境であり、道具である。
抽象空間が特殊な矛盾をはらみ、この空間の矛盾は、歴史的時代に由来する古い諸矛盾から生じてくる。そして、古い社会的生産諸関係を解体する傾向であり、新しい社会的生産諸関係を生み出す傾向である。この新しい空間を差異の空間と呼ぶことにする。新しい空間は、抽象空間が混同しがちなものを識別する。社会の再生産と生殖能力とを、享楽と生物学的生殖能力とを、社会諸関係と家族諸関係を、それぞれ識別する。
まとめ
《空間の表象》
差異の領域におけるマルクスとのニーチェの総合
差異→物を存在せしめる想像力。弁証法の生成には不可欠。
差異の論理→ロゴスと反エロス(エロス)の闘争による。=支配と領有の対抗関係

《表象の空間》
<生きられる経験> 現実的なもの、社会と空間を生産する本質的な契機。

《空間的実践》
空間の表象と表象の空間、2つの次元を経由する。
資本主義による空間的実践や空間の表象の戦略への対抗。
抽象空間に対する提起。

論点
社会的空間の弁証法的の展開。

2008-05-23 15:12 : 『空間の生産』(08院ゼミ) : コメント : 0 :
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