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『都市社会学』第9章

第9章 都市生活のなかの伝統と現代―民族の変貌と創造―(和崎春日)
<キーワード>
・絶え間なく創造され続ける都市伝統 ・風俗、遊びと民俗、宗教の支え合い
・自己を生かす他者資源       ・都市における「ゆるやかな」結びつき


▶はじめに―近代化論を超えて
 【近代進化論】
「矛盾と緊縛」である村落生活と「明るさと開放」である都市生活を対比
不便な村から便利な都市へ発展するという絶対的な考え方
                  =ヨーロッパ近代と近代都市を目指す一系進化論

都市礼賛の風潮の中で「習俗や伝統」は(村落性・過去性・因習性・非民主的)
といった否定的感覚で捉えられ、忘れられがち
[村―伝統 都市―近代]という枠組みだけではない=都市の伝統・日本独自の都市性
                  ↓
単線的な近代のものの見方を脱して都市伝統を意識した「伝統と現代」を考えるべき 
そうした日本独自、都市独自の都市性と欧州的な都市性の両面を見るべきである

以下では「超世代的な民俗」と「今という時代の息吹を写しだす風俗」という枠組みで
都市伝統は過去の継承ではなく動態的なものであることを、民衆文化を介して解明する。

1、都市祭礼「大文字」の中核的な民俗行事と周辺的な風俗現象
 ▶大文字の起源
 「大文字」とは・・・?
  毎年8月16日に大文字・妙法・船形・左大文字・鳥居形の五山で行われる送り盆。
  各家で行われていたワラ焚きなどの送り火が次第に巨大化し、山を焼くに至った。
  灯篭や万灯から発展した山焼きの炎はあの世への道標とされている。
  宮中や寺社が始めたのではなく、市民エネルギーから発生した祭事。
  1600年ごろ(室町期)から始まったとされており、400年以上の歴史を持つ。
 ▶都市祭礼の歴史的伝統性と外延的展開
  「大文字」を「儀礼と祝祭」の2混合過程からなると捉える。
  儀礼過程:各地域が大文字と地域固有の単位儀礼を組み合わせ、その地域の「大文字」
       として、祭礼を創造している。地域の民俗、宗教と密接に関係する。
ex)大文字と関連づけられている行事
北区鷹ヶ峰:左大文字→盆踊り
    衣笠:左大文字→北山音頭→北山観音御詠歌
松ヶ崎妙法:五山送り火→題目踊り
西大寺松原:五山送り火→獅子舞
右京区西院:五山送り火→(点火と同時に)六斎念仏踊り
    広沢池:鳥居形→南無阿弥陀仏6隻の精霊船
 上京区の花街:大文字の大を杯に映しながら酒を飲む 
 中京区の町々:点火と同時に経台に出した卒塔婆と位牌を拝み、消化と同時にしまう
 伝統的な商家:「送り団子」の用意
        仏壇開き→送り団子供え→点火→盆棚合掌→消化→仏壇閉じ
⇒大文字を起点に各地域行事へ派生。各地域ではそれら一連の行事がその地域の「大文字」

都市のなかにあるそれぞれの生活集団が独自の盆民俗複合と独自の「大文字」の日を用意しており、それぞれ固有の単位儀礼の組み合わせでその地の盆行事としてこの日の「大文字」を完遂。それぞれがそれぞれの大文字祭礼を創造している。
            →盆という宗教行事を通した中核的・伝統的な大文字のあり方
▶都市社会における民俗と風俗の弁証法
 伝統的行事に対して、より現代的な結びつき、祝祭としての大文字もある。
 伝統芸能・商業・観光・その他のヘンチクリン・メディアと結びついた大文字→祝祭
 
ex)祝祭としての大文字行事
日本文学協会→大文字公演
京都染物協会→大文字まつり→大文字クイズ・友禅染実演会
京都市交響楽団→大文字コンサート(京都文化協会と協力)
  四条の繁華街→大文字ディスコ 
   各百貨店→大文字セール
ガソリンスタンド→大文字特価
 ストリップ劇場→大文字ショウ
  郵政省・NTT→大文字切手・大文字テレホンカード
    食品会社→大文字ポテトチップス
     ホテル→大文字ディナー・大文字特設コーナー
高校生グループ→花火の大量購入→大文字の点火と同時に打ち上げ
たこ焼き屋→大文字見ながら食べたら恋が成就する
変な人→聖火ランナーの真似・突飛な行動などなど
各種メディア→報道・特番・新聞・大学のサークル・写真家・学者などなど
 都市における世俗化・・・人々は祝祭を通して伝統を認識している。
 【「伝統」をタテ、「祝祭」をヨコ】
ヨコの広がりがあって初めてタテの奥行きが認識される。
タテの荘厳なる吸引力がヨコへヨコへと人々を引き付ける。

都市イベントとしてヨコばかりに広がるといずれは沈着してしまう。
都市イベントは民俗という基盤があって初めてヨコの楽しさも生きる。
都市伝統とはそうしたタテとヨコとのバランスを認識した生活そのものであるのだ。

・近年の大文字の私事化(地域行事としてよりも個人行事として認知されている)
伝統の破壊ではなく、個人での大文字参加という形で伝統が続いていると考えるべき。
個々に生きる「固有」大文字のなかで「普遍」的な大文字が生まれるのである。

2、都市民俗の風俗への外延的展開――外延・「ハズレ」の取り込み方とつながり方
 大文字の中核、松割り木、護摩木の志納、御詠歌の内容から都市伝統の動態性をみる。
▶中核的宗教儀礼を支える「はみだし」動態
 松割り木・護摩木:送り火の焚き木となるもの・・・願いを書く伝統
 <願いの内容>
 先祖の供養・通過儀礼における願い・露骨で個人的な願い・よくわからない願い
  伝統系(無事安産、生育、学業、就業、長寿) 開放系(ユミちゃんがA君と結婚できますように。)
  中核である伝統的な願いから外延であるルーデンスや「はめはずし」へと民俗が風俗を許容して拡大、伝統の担い手である生活者もそれらの「遊び」を認めている。
  ⇒風俗の民俗への外延的展開により全ての人が伝統を身近に感じ、大文字を楽しめる。
  
▶連鎖的「合理化とすり替え」による他者資源の取り込み
 左大文字の御詠歌法要→地元の歌謡・鞍馬の火祭り歌謡・火信仰・愛宕権現の御詠歌
                                 地域のものではない 
*遠くにある差異を少しずつわが身に近づけているプロセスと手続きがある。
  左大文字=大文字五山=鳥居形=愛宕権現・・・・左大文字=愛宕権現
  ⇒都市社会における「共同のかたち」としての合理化とすり替えによる同一視

ex)
大文字コンサート=京都市交響楽団=京都市=生誕100年=チャップリン
大文字コンサート=盆の祭りにおける音楽=盆踊り=盆踊り大会
都市伝統の動態として「<風俗による便乗>と<民俗による取り込み>」

▶結び――「都市伝統の生成」と「ゆるやかな隠喩ネットワーク」
 大文字の歴史性・・・民俗と風俗の連携によって生かされてきた。
           今をいかす動態、有象無象の取り込みこそ大文字の歴史性。
           「大」の字の一貫性。時流にのる風俗の変化。
 都市社会の現在・・・「都市民俗の外延的展開」=伝統を広げる民俗 
           「民俗と風俗の弁証法」=タテとヨコによる動態
           「連鎖的類縁化によるネットワーク」=同一視による動態
 
 ⇒冒頭の問題、「村―色 都市―脱色」「村―くさみ 都市―脱臭」といった
  近代的枠組みで都市の動態を語れない。


<論点>
 1:本章では、都市伝統を過去の継承でなく現在の動態であると述べているが、「大文字」という特異な例を挙げているだけではないのだろうか(他の例はないのだろうか)
 2:動態的メカニズムによる都市伝統の変容の中で、伝統は継承されるとあったが、
消失する伝統や規範は存在しないのだろうか。変化の中での継承の限界はないのか
 3:大文字の成功を踏まえて、他の地域でも同様の町おこしは可能であるか。
(京都という地域ならではの成功なのではないか)

2008-07-03 03:54 : 『都市社会学』(08学部ゼミ) : コメント : 0 :
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