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『都市社会学』終章

終章 都市社会学の新しい課題 -新たな空間認識をもとめて-

1 都市社会学と近代
〇近代の矛盾した性格
近代は1つの決まりきった概念でとらえきれない
G.ジンメル⇒近代の美学を2つの美的形式の対立を通して考察
均整に基づく美的形式は、結局のところ内部の個人を抑圧
→その反発として、「ロマン主義的な美学」が立ちあらわれる
D.ハーヴェイ⇒「一時的なもの」と「永遠なもの」とのつながりを把握することが鍵
J.ウォーラースティン⇒近代の特徴を「技術」と「解放」との間にひそむズレのうちに見る

〇近代の空間
近代空間のもつ矛盾した性格は、空間の「ゆらぎ」として述べられることが多い
近代都市の空間…機能的・効率的な空間を広げてきた点に特徴
問題…そのような空間が行き詰まり状態にあり、「ハイモダン都市」と呼ばれる都市現象があちこちに立ちあらわれていること(このような都市…ソフトシティ)
ソフトシティ…人の統合感覚や同質性を解体し、迷宮へ導いている
ハイモダン都市にこそ近代の矛盾した性格が明瞭にあらわれているからこそ、「一時的なもの」か「永遠なもの」のいずれかに引き寄せて理解すべきではない

〇モダニズムの一特質
従来の社会理論・社会学が近代の空間をどのようにとらえてきたか?
M.フーコー⇒これまでの空間理論…空間を「死んだもの・固定されたもの・不動のもの」としてとらえることで、空間を排除してきた
ハーヴェイ⇒モダニズムは永遠の真理をあらわす特別の様式を発見することにとらわれてきた
つまり 彼等が空間のない社会理論と呼ぶものは、モダニズムとむすびついた空間概念にこだわってきた社会理論である
モダニズム…時間を社会的時間から切り離し、細分化
→「時計の時間」が近代世界を覆う
同時に 「空間の物語」から多様性を排除し、「幾何学の連続的な空間」へと一元化
モダニズムの特質…同質的時間(客観的時間)と空間の「絶対性」とを強調する時間-空間認識にあった
そして そこでは時間・空間の流動的な質へのまなざしが閉ざされていた
〇都市社会学と空間認識(1)
都市社会学はミクロ・マクロの枠組みを構成
[ミクロ]
第一の立場…人間生態学的アプローチ
動植物生態学に基づいて、都市環境や近隣の配置を説明
第二の立場…アーバニズム論
人口の3変数により規定される都市から派生する「生活様式としてのアーバニズム」
→都市の内部から立ちあらわれてくる変動の契機をつかむことに成功

しかし 空間についていえば
空間を自然発生的・不可避的であるとしている点で、モダニズム認識と響きあっている
→空間はあるけれども実質的にはなかった

〇都市社会学と空間認識(2)
[マクロ]
特徴…都市と全体社会との重層的・複合的な関連のありように力点をおく
社会体制論や社会構造論と結びつきを有している

しかし 空間に対する認識ということでいえば
「反映論」にとどまり、空間を「白紙のページ」のようにみなしている
→空間はあるけれどもないという状況

都市社会学は空間を「そこにあるもの」「外的な環境」とみなし、フーコー・ハーヴェイのいう社会理論やモダニズムの特質を担ってきた
しかし 都市社会学に新たな空間認識がみられるように…

2 都市社会学の新たな空間認識
〇空間へのまなざし
ルフェーブル⇒生産の社会関係の再生産・調整システムの構築過程で空間の生産が重要な役割を果たす
ハーヴェイ⇒時間によって空間がちぢめられる事態を空間的組織化により説明
重要なこと…社会を空間により理論化する方法が成熟してきたこと
→空間の独自の意義に目を向ける議論が立ちあらわれてきたことを意味する
(レイシズム・エスニシティ・ジェンダー・マイノリティ)
この背後…社会のグローバル化・ソフト化・サービス化にともないともない広域化・重層化してきた都市の姿
グローバル化がすすんだ都市的現実→空間論の新たな展開・その方向性を規定
(空間論の「場所」もしくは「場所性」への焦点化)

〇グローバルとローカルのパラドクス
カステル⇒リストラクチャリングとそれに伴う空間の変容…「フローの空間」が「場所の空間」を圧倒すること
しかし 「フローの空間」が突出すればするほど、「場所」につなぎとめられたり「場所性」を有する集団的アイデンティティや特殊的利益が表出する
そして 「場所なき権力」と「権力なき場所」との対抗が避けられなくなる
ハーヴェイ⇒資本蓄積による時間・空間の圧縮、空間的障壁の克服→「場所の差異化」
これに注目することで、パラドクスを説明
カステルとハーヴェイの理論の先にルフェーヴルの議論が…

〇抽象空間と「場所性」との矛盾
抽象空間は「場所性」を否定しながらも、「場所性」を覆すことは有り得ない
空間のひろがりが、それが否定した「場所性」の再発見にいたることは興味深い
問題…グローバルとローカルのパラドクスを抽象空間と「場所性」との矛盾に置き換えたとき、「場所性」の内容が改めて問われるという点

〇「場所性」の可能性
2つの「場所性」…①一連の現象的な議論 ②抽象空間が生み出す、差異化し構造化しつつある「場所」をめぐるもの
この2つの「場所性」は歴史的文脈に深く根付き、自然のリズム・大地とふれあうところのみで語られるわけではない
重要なこと…「場所性」を規定する要素(ヒト・モノ・コト)の関係をおさえ、そこにあらわれる力関係の分析を通して、1つのメディアとしての「場所性」の可能性をひきだすこと

3 都市社会学の意味論的転回
〇都市社会学の意味論的転回
社会理論の意味論的転回…①発生論的な視点②多様で非固定的なつながりに力点をおく視点 が台頭する形であらわれる
この転回と同じくして、都市社会学の意味論的転回がすすむ
第Ⅰ部→構造や議論の概念に還元できない人間存在の意味をすくいあげることが、中心のテーマとなりつつある

〇コミュニケーション的理性へのまなざし
この例…都市社会運動(人間の存在の条件を内にふくんだシンボリックな意味を獲得する運動)→運動の主体を従属的な社会的位置に再配置させるだけでしかないという批判認識もみられる
第Ⅱ部→メディエーションとしての中間集団の形成から多様なつながりを複合的にふくんだコミュニティの形成がのぞみ得る段階に来ている

〇公共性論議と場所性(1)
「住まうこと」により共同性がたちあがり、その共同性を媒介するアソシエーションの形成がみられるようになる
このアソシエーションは広く・深く、人々の生活の記憶に裏打ちされている
→第5章・第10章・第11章・第Ⅲ部全体から理解できることであり、公共性にかかわる重要な論点がかくされている
公共性論議…①人が共通にもつ財としての「質としての公共性」を浮かび上がらせようとするもの
→「私」と「私」をつなぐものとして、コモンズの空間に大きな期待が寄せられている

〇公共性論議と場所性(2)
公共性論議…②「公」と「私」とが交わりあうところで公共性を位置づけようとするもの
(H.アーレントの「公的空間」論)
→ 重要なこと…「活動」が人々の「価値」・規範をつきあわせることによって、「公
と「私」を調整する可能性をはらんでいる点
アーレントが強調する点…「活動」が都市空間で「出来事」として開花し、それが「偶発性」と「ゆらぎ」をみせながら都市的世界を構成しているという点
(第Ⅲ部のそれぞれの章で描かれている)
そして 浮かび上がってくる知の形式・ある種の言語活動としてある都市の原像
第Ⅳ部→その暗部が描かれている都市計画・都市経営、そうして生み出された都市空間の現状に対して、「公的空間」論は有効な批判的機能をはたし得る

〇都市社会学の行方
公共性論議…都市社会学の現段階における1つの方向性を示す
都市社会学…「場所性」に関する論議を意味論として深める方向へ
興味深いこと…「場所性」へのまなざしの深化を経て、意味論に深く立ち入ろうとする都市社会学が、国家・権力をどのようにとらえるのかという点
問題…それが変貌いちじるしい世紀転換期において、多層化・複合化する都市の実態と、現実構成力のある人間存在のありようにいかに肉迫できるか


論点:「空間」「都市空間」「場所」とはあなたにとって何ですか?どのような意味をもつものですか?

2008-11-20 17:24 : 『都市社会学』(08学部ゼミ) : コメント : 2 :
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>中田様
このブログの管理人をしている者です。こんにちは&質問ありがとうございます。

「抽象空間は「場所性」を否定しながらも、「場所性」を覆すことは有り得ない。
空間のひろがりが、それが否定した「場所性」の再発見にいたることは興味深い」

という部分が端的に示しています。

近代化や権力の作用は、白紙のような、無機質なベクトル軸のような意味での空間(抽象空間)を果てしなく拡大させてきたが、そのことによって、逆に、固有で交換不能で、多様な主体が出会い、コミュニケーションを行い、せめぎあう「場所/場所性」が重要な役割を果たしていることが分かった…という意味で「発見」という言葉を使っているのではないかと思います。

「場所/場所性が大事なんだ!」ということが明らかになる(発見される)ことで、従来の都市社会学の限界を乗り越える重要なヒントがそこにある・・・という展開です。本文中の「意味論的転回」につながるわけですね。だから「場所の発見」という大げさな言い方になっているのではないでしょうか。

いかがでしょう?
2009-09-09 19:23 : aiai URL : 編集
質問
はじめまして
『都市社会学』終章
での「場所性の発見」とは、どういうことを意味しているのでしょうか。
「場所性」という意味はわかるのですが、発見という概念がよくわかりません。
 稚拙な質問とは思いますが、よろしく御教示ください。
   平成21年9月9日
2009-09-09 18:59 : 中田  睦 URL : 編集
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