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『空間の生産』Ⅵ

Ⅵ 空間の矛盾から差異の空間へ



■Ⅵ前半(1~17)の要約
 空間における諸対立や紛争、矛盾、二重性に注目する。空間の消費/消費の空間、質/量、生産の空間/余暇の空間、断片化/総合化、資本社会の利用者/共同体のユーザー、建築家の空間/ユーザーの空間、使用価値の空間/交換価値の空間、模倣/還元・・・。その結果、空間において、ある種の「意図せざる結果」としての逆説的状況・矛盾が生じる。それは支配者と被支配者、資本主義と共同体、断片化と総合化、建築家とユーザー、それぞれが「対立関係」かつ「共犯関係」となるような、「弁証法的」な関係-運動を通じてもたらされる。
1 抽象空間における諸矛盾を逐一考察していく
2 生産の空間から再生産の空間へ、そして再生不可能なものに取り囲まれるという矛盾
3 断片化と均質化という空間の二重性
4 使用価値と交換価値の対立は弁証法的関係に至る
5 所有関係と生産関係は新しい空間の諸形式(空間での生産から空間の生産へ)を創出
6 支配された空間における抑圧
7 資本主義的な利用者と共同社会のユーザーの衝突
8 建築家と空間の表象は、人々だけでなく言い回しまで周辺化した。→身体の復権(非視覚的な空間や性的な空間)が必要
9 抽象空間の逆説。ユーザー以外に空間を語れる者がいない。→表象の空間と空間の表象を同時の乗り越えられる理論 (◎重要)
10 総合性と細分化の矛盾。解読の手がかりとなる格子枠
11 空間の科学としての使用価値の科学は、第二の自然を重視し、領有を重視し、交換価値の科学に抗す。
12 支配の道具としての抽象空間の原因や理由ではなく、手段を分析すべき。
13 差異の理論は、「最小/最大の差異」と「誘導される/生産される差異」を区別すべき。差異の形式理論はリズム→エネルギー循環や生命に道を開く。
14 差異は均化性の周辺(スラムや辺境)から生じる。周辺の空間における政治権力の抑圧と同化の二重性。
15 弁証法的運動が欠ける場合は、特定の論理が空間を生産。空間の消費は二重に生産的。
16 空間の操作と戦略によって都市中枢部が構成される。権力に奉仕する構造主義や、政治権力による「配列」が行われる。
17 空間における模倣(映像や記号化)は、「自然的なもの」の様相をとどめず、抽象空間を打ち立て、政治的な「環境」を生み出す。


■Ⅵ後半(18~30)の要約
18国家と政治が空間に介入するが、ネットワークの増殖で国家は無用となる。
19「新しい生活」「女の空間」の生産は、階級間の関係から生じ、ネットワークが広がる。
20交換に対する使用の優位。地方権力は中央に抗して多元主義を再導入するが、国家は空間を組織し統治する。草の根の組織者は国家と対立せねばならない。
21「対抗空間」としての生産的な能力を発揮する空間は、ユーザーによって立ち上げられる。余暇の空間は労働者階級を征服する。身体は「主体」「物」として自らを主張する。矛盾に満ちた余暇の空間は差異、リズム、権利を回復する。
22支配者は、るつぼであり竈である都市の高揚を恐れる。都市の中枢性は内包と排除の作用を有し、階級闘争を迂回させ、闘争の領域となる。都市/農村空間の混交による紛争は国家によって構造化される。
23公的、私的、そして仲介媒介混合する3つのレベルは絡み合っているが、国家は分割して支配しようとする。各レベルを切り離さず分析すべき。
24政治権力は、固定した権力機構の中枢を必要とする。
25記号と映像において、世界は幻想であり、逃亡する存在なので、「現実」内部の多様化に注目すべき。生産は均質化を消滅させる。
26抽象空間の解体と新しい空間の生産において、ロゴスと反ロゴスの闘争が展開する。また快楽の原理と現実の原理の争いがある。
27欲望と欲求の弁証法的関係。欲求が空間において充足を求め、物を生産する。
28身体は「主体」と「客体」を越えて差異を生産するが、抽象空間は「反復と差異」の敵対関係を進める。建築家は反復的なものとユーザー、生産物と作品の間で探求を続ける。
29最大の差異と最小の差異の区別の前に、記号学的要素が有す役割は小さくなるが、なぜ、人間の認識によって創造される空間は変化に乏しいのか?
30真なる空間と空間の真理の違い。真なる空間は現実を抽象へ還元するが、空間の真理は空間を実践や諸概念に結びつける。空間の真理は中枢性の弁証法を導く。

1
507p
抽象空間における諸矛盾を逐一考察する→諸種の紛争を洞察
量と質の矛盾:質的なものを消滅させる方向と、それに抗う方向
508p
消費の空間から空間の消費へ:質的空間の要求
生産を目指して開発される地域と、消費を目指して開発される地域
余暇に割り当てられた地域では、身体がいくぶんの(虚構の)使用権を取り戻す。
509p
余暇と欲望は、表象の空間において虚構としてであれ、ともかく結び付けられる。
欲求と欲望の矛盾は、抑圧と解放の矛盾をもたらす。
心的な空間が、新たな矛盾(美学的原理と合理主義)をもたらす。

2
質と量の矛盾は、3項の作用によって定義される。
510p
消費の空間→余暇と余暇空間→空間の消費
=日常性→祝祭→非日常性
=労働→労働の問い直し→非労働
「生産と消費」の対立→生産の空間→再生産の空間→再生不可能なものに取り囲まれる

3
511p
地球規模で空間を思考し処理する能力と、地方における多様な手続きや手法による空間の断片化の矛盾
行政による細分化、科学技術の専門化、空間の区画ごとの小売販売が空間の断片化を助長する
しかし、均質性と断片化という空間の二重性格は、単なる二項関係として捉えられない。
512p
空間は同時に全体的でかつ打ち砕かれたもの「であり」、同時に総合的でかつ裁断されたもの「である」。
=空間が同時に思考され、知覚され、生きられるものと同様

4
使用価値と交換価値の対立→やがて弁証法的関係に。
空間が生きられる時間の領域から排除され、空間の買い手は時間を手に入れる。
資源であり、空間的状況であり、戦略である空間の政治的な使用が、使用価値を最大限取り戻す

5
514p
現存の所有関係と生産関係は新しい空間の諸形式を考案し、創出し、「生産する」可能性を禁ずる。
郊外の住宅は、わずかばかりの幻想がちりばめられた居住の箱、高層建築は無数の箱。
空間におけるものの生産から、空間の生産への移行という飛躍。

6
支配された空間とは、権力の名において抑圧を行う。
市民平和・合意・非暴力のみせかけといった空間の罠が社会空間を支配する。
516p
《法》《父性愛》《生殖能力》の作用も、支配と被支配の空間に浸透する。
空間的実践は生活を規制し、生活を作り出さない。

7
自動車を優先する社会(マイカー所有者/自動車メーカー/政治と圧力団体)の調整システム
517p
一方、都市公園は、特定の人に利益をもたらさないので、消え去る傾向にある。
→剰余価値を生む空間の生産的消費と、快適さを生む不生産的な消費との間の衝突
=資本主義的な「利用者」と、共同社会に属する「ユーザー」との間の衝突

8
建築と建築家の空間。建築家の「主観的な」空間は、客観的な意味表現を担い、「映像の世界」に還元され想像力に敵対している。
519p
建築の言説:直線、直角についての道徳的な言説
520p
建築家が有す空間の表象:グラフィックデザインの諸要因との結びつき→思考される空間
幾何学的であり、それ故真実であると考えられている。→直線の遠近法
周囲の環境、「自然環境」、私的な領域と公的な領域の関係ははじめから排除され軽視される。
521p
「ユーザー」や「住民」という言葉→人びとを周辺に追いやるのみならず、言葉の言い回しまで周辺化した
ユーザーの空間は生きられるのであり、表現され、思考されるのではない具体的な空間であり、主観的である。522
具体的空間は、なかば公共的でなかば私的な空間であり、出会いの場であり、経路であり、通路である。
西洋では、ファサードによる空間の支配が続き、私生活の領域を支配する一助となる。
身体の復権とは、非視覚的な空間を復権することであり、性的な空間を復権することでもある。

9
抽象空間の逆説:ジェーン・ジェイコブズ「都市計画と都市再建」の失敗の検討
→都市空間が有す破壊力、都市生活の想像と再創造をめざす手段が都市生活を自己破壊している状況
524p
提唱計画(専門家の協力を得て住民組織が政治と金融の当局と交渉を行う)の挫折
→ユーザーの代わりに語ることができる者がいない。
表象の空間と空間の表象を同時に乗り越えられる理論が必要。空間の諸矛盾が紛争を「表現する」。

10
525p
総合性:情報科学や航空輸送のような、世界的な規模で空間を思考し処理する能力
細分化:空間を粉々に砕いて売買すること
二者の矛盾の強化は、戦略の平面上でおこる。→権力の意思と権力の空間
二者は両極ではなく、すべては日常生活の領域に重くのしかかり、このレベルに依存している。
526p
複合的な空間を解読する手がかりとなる多様な格子枠(マトリクス?):
①イゾトピー(類似した空間)、ヘテロトピー(反駁しあう空間)、ユートピー(観念性に占拠された空間)
527p
②私的な場、公的な場、媒介となる場
③空間の市場と市場の空間の間の接合、空間の整備(計画立案)と空間を占拠する生産諸力との間の接合、政治的構想とそれを妨げる障害との接合
※格子枠の数を限定したり、どれかを特別なものと見なす理由はない
※格子枠という概念それ自体が一定の非難を呼び起こす


11
528p
「知」は政治的実践と結びつき、イデオロギーの多様な表現や言い回しと結びついている
認識は自己自身への批判と存在するものの批判を孕んでいる→メタ哲学→具体的普遍を生み出す
529p
生きられる経験との結びつき、実践との結びつき、ラディカルな批判との結びつき
空間の科学とは使用価値の科学/一方で専門化された科学は交換価値の科学
空間の科学の力点は第二の自然(都市、都市生活、社会的エネルギー学)に置かれ、交換と支配に抗す。
古代ローマの聖堂の転用
530p
「商業」の場に宗教的・政治的な役割が与えられ、神聖なものへと変容。
十字架の形式:機能は表象の空間の中で直接に生きられる経験に見合っている。
構造は、思考される。それは空間の表象を意味する。
形式は、コミュニケーションであり、使用価値の一側面だが、形式・機能・構造といったものの一つだけを切り離して還元主義的に利用することは、均質化の戦略を助けることになる。
531p
あらゆる構想は、機能と形式と構造のいずれかを強調する。芸術はそのいずれをも強調する巧みなものであり、芸術を回復し拡張する必要がある。
音楽作品は、リズム、メロディ、ハーモニーの統一によるが、いずれの作品も諸契機のひとつを強調し、運動を通してひとつの契機はたえず他の契機を参照する。
→交換とコミュニケーションのイデオロギーと結びついた還元主義の傾向が逆転させられる。

12
532p
支配の道具として役に立つ抽象空間。死の空間としての抽象空間。
533p
死をもたらすための手段としての空間を分析する。
→空間は、それらの原因と理由を受け入れ、有効な行動へと転換する。→疎外の理論の必要性と不十分。

13
差異の理論;生命なき概念から概念なき生命にまたがる。
534p
差異の理論は一方では整合性の理論と同一性の理論と重なり合い、他方では矛盾の理論と重なり合う。
二つの区別
①最小の差異と最大の差異の区別
②誘導される差異と生産される差異の区別
誘導される差異:郊外住宅の住宅の間の差異や「共同施設」における専門化された空間の間の差異、流行の衣服の変種
生産される差異:システムの破壊から生ずる。
535p
歴史的時間の過程では、〈誘導される差異〉がその生産様式を消滅させる〈生産される差異〉と共存する。〈生産される差異〉は、たんに生産されるだけでなく、また生産的でもある。
→漸進的な変化によって準備された質的な飛躍(?)
差異の形式理論はリズムやエネルギー循環や身体の生命に道を開く。

14
差異は均質化の周辺から生じる
536p
排除されたもの(都市の辺境、スラム街、禁じられた遊びの空間、ゲリラ戦の空間、戦争の空間)が、現存の中枢領域と均質化する権力がこれらの差異を吸収する。
ラテンアメリカのスラム街における驚くべき空間の二重性:政治権力の抑圧能力と同化能力、紛争を孕んだ二重性

15
537p
弁証法的運動が欠けている場合、螺旋循環や悪循環などを通じた特定の論理が空間の生産を行う。
:自動車道路の建設における石油会社と自動車メーカーの利益→「アスファルトの魔術的循環」。自動車と自動車道路が空間全体を占拠しているよう。
空間の消費は二重に生産的:剰余価値を生産すると同時に、もう一つの空間を生産する。
→経済成長によって生み出される悪循環は、ユーザーを侵害し、支配階級の経済的利益に役立つ

16
538p
空間の操作、空間の戦略目標→中心部の価値をつり上げ、中枢部を意思決定の場、富の場、権力の場として組織し、支配階級やエリート層の階級同盟として、生産とフローを空間の視点から計画することもできる。
・社会的実践の空間は、収納の空間になる。ただし二つの批判的な注意が必要
①特定の知がこの戦略を科学の対象として取り扱うことで戦略を正当化するという点→権力に奉仕する構造主義
539p
②分類と配列の「操作」概念が空間全体を支配する→国家や「公共」の権力、政治権力が、「配列」する。
→空間の全体が、私企業や私的所有、家族のモデルとして扱われる。空間の全体が、生物学的再生産と生殖能力に歩調を合わせた生産諸関係の再生産のモデルとして取り扱われる。

17
空間の支配における<模倣>の役割と機能:印象、類似性、相違性、隠喩、換喩をもたらす。
→はっきりと定義されない欲望に空間を占拠するモデルを与え、空間の占拠者への暴力へと導く。
540p
例:自然の模倣→自然の記号としての樹木の映像や写真→「第二の自然」はいかなる「自然的なもの」の様相もとどめていない。
例:「女らしさ」への還元と女性支配。
実践が空間の多様性を生産するのは、直観→習性→知性という変態。
541p
社会空間は「知性化」を執拗に追求し、ついには抽象空間をうちたてる。→絶対的に政治的な「環境」
→模倣は知・技術・権力にもとづくたんなる再生産能力へと変質する。

18
541p
打ち砕かれるべき「政治問題」
542p
経済的生産と社会的活動の諸単位が国土全域にまたがっている故に、国家だけが諸単位をまとめあげて国民国家という空間的単位を築くことができる。
国家と国家機構は空間に絶えず介入し、経済的領域を通してあらゆる領域に介入する。
国家のレベルで思考し行動する者だけが、地域と地方の整備に精通し、フローとネットワークに精通している。→国土整備計画を推進する国家と「公共機関」が空間の全体を覆っている。
543p
孤立化から生じる差異や特殊性を打ち砕かず、ネットワークの増殖によって、国家は無用なものになっていく。
権力の締め付けを緩め、分権化を要求し、草の根の管理を組織しようとする人々の要求が生じる。
→そのためある程度の「多元主義」が引き続いて存続する。しかし、中央と地方の権力間の紛争が最大の関心事である。むしろ多元主義が見逃したものに期待をかけるべきである。

19
544p
「新しい生活」→瞑想のための「美しい」修道院ではなく、快楽や享楽の空間が創案されるべき。
545p
『女性解放宣言』女の空間←男の不毛な空間に代わって。
エリート主義を経由する必然。→エリートの任務:画一化に従って生きることの困難を大衆に示すこと
しかし新しい空間の生産は、階級間や階級分派間の関係から生じる。
546p
故に「反抗分子」「自由主義者」「急進派」「進歩主義者」「進歩的」民主主義者、革命家という人びとの間の結託を引き起こす。
政党だけが、成員に対して統一の基準や均質のイデオロギーを押し付けることができる。伝統的な政党は空間の諸問題に対して懐疑的な姿勢をとる。

20
「主体」は、空間の新しい基盤の上に築き上げられ、空間の利用と享受のしかたを学ぶ。
「文化」の概念が不確かであり、「対抗文化」「対抗社会」の構想は混乱している。
交換にもとづく社会に対抗するのは、使用の優位性。道路建設や都市拡張に対し、住民が「アメニティ施設」や空地を要求する。
中央権力に対抗しうる「地方権力」は、ある程度の多元主義を再導入する。
国家権力と地方権力の力関係は空間に表されることで、空間は生態学的現実の環境か、単なる支持基盤なのかというジレンマを避けることができる。
国家は空間を組織し、空間のフローを組織し、空間のネットワークを統治するという機能を持ち、その機能は次第に高まっている。
549p
草の根の圧力は、空間の組織者であり、都市計画・建造物の建設・空間の計画の管理者である国家と対立しなければならない。

21
「対抗空間」の探求は、「改革」と「革命」の間の仕切りを取り払う。
ユーザーは、全体の秩序(生産様式)に抗して立ち上がれば、それは覆ることを感じている。
→当初は従属させられているが、次第に生産的な能力を発揮する空間が現れるという帰結をもたらす。
550p
→ぎっしりと詰め込まれた「平面」からなる余暇の空間。
しかし、余暇は疎外し、疎外され、回収し、回収される。余暇は休暇制度を通じて労働者階級を征服することで産業となり、結果としてブルジョアジーのヘゲモニーを空間全体に押し広げる。
身体は何を生成するのか。身体は「主観性」よりも「主体」として、「客観性」よりも「物」として、みずからを主張するようになる。
余暇の空間を通して、空間と時間の教育学が練り上げられていく。
551p
直接的なもの、有機的なものの復活は、予期せぬような差異を生み出し、諸種のリズムが、権利を回復する。
余暇の空間は、諸種の分離を乗り越える。
余暇の空間は、記念建造物の伝統的な空間、労働の場、享楽と歓喜の空間との間を橋渡しする。→余暇の空間は矛盾に満ちた空間
余暇の空間は最良のものも最悪のものも生産する。
22
552p
都市はどの程度まで破壊に抵抗しうるのか?
→新資本主義と集権化する国家が自己の利害にしたがって歴史的な地区を手直しし、都心の近隣地区が大衆化する。
→都市はるつぼでありかまどである(例:マレ地区)。これが都市の世界的名声を支えるが、政治権力や支配者はこうした都市の高揚を恐れている。
553p
パリにおいて中枢性と記念建造物が結びついて効果を発揮している状況は内包と排除の作用
→中枢に集結するのは、中枢が分散させるからであり、そのことを通じて、古い特殊性や人種集団や「文化」や国民性を縮小し、新しい差異を生産することが避けがたくなる。
「都市生活」とは矛盾に満ちたもの。→階級闘争をある程度まで迂回させることができるが、伝統的な地位に縛られないために、都市は闘争の領域となる。
554p
都市の空間と農村の空間の異種混交は、両者の空間の紛争を引き起こし衰退させる。国家の空間がこの紛争を「構造化」しなければ衰退する。
国家が「諸主体」に押しつける支配/被支配の空間(=抽象空間)は、外観上暴力がないように見えるが、実は暴力を含んでいる。《パクス・キャピタリスティカ》
国家による空間の管理は、他者を破壊し自己を破壊する固定制の論理をはらんでいる。→国家の死滅というマルクス主義の理論が息を吹き返す

23
555p
公的またはグローバルなレベル、私的なレベル、仲介し媒介する混合レベルの、3つのレベル。
これらは互いに作用し合い、互いに絡み合っている。
権力は空間の全体を統治しようとし、「分離と結合」つまり「断片化と均質化」の状態に押しとどめ、分割して支配しようとする。
「ミクロ」「中間」「マクロ」の各レベルを切り離さずに識別する分析を通じて、空間の生産を問題にし、空間を認識する。

24
556p
政治権力は一時的なものであるが、エネルギー、原料、労働力のフローを管理するために固定した権力機構の中枢が必要となる。
(フローや寄せ集められものの流動性は、自然のリズムや循環とはほとんど関係がない)

25
記号と映像が、本源的な自然と第二の自然の空隙を満たそうとする。
557p
映像と記号の世界は罠にかけられた世界→貨幣、市場、取引、権力、孤独、商標。
一方で、都市計画について語るときには、言及されるものは何もない。
558p
映像と記号のはかない空間は調和をもたらさず、世界は逃亡する世界であり、実存主義的な幻想である。
映像と記号がもたらす世界を阻止するためには、「現実」の内部の多様化に注目すべき。
559p
生産的労働組織も複雑化し、生産物のサイクルも多様化する。その結果、科学と産業にかかわる利害諸集団相互の力関係や権力や権威をめぐる紛争が引き起こされる。
空間における事物の生産過程は、むしろ均質化を消滅させる。
→均質化が生じるのは経済的領域ではなく、むしろ政治的領域(という仮説)。
→社会空間(空間的実践)は、潜在的にはいまや抽象空間における数量化しうる活動からある程度の自由を手に入れた。

26
560p
諸種の紛争が空間に作用をおよぼしつつあり、抽象空間が解体しつつあり、新しい空間が生産されつつあるという傾向。
空間は劇場化演劇化され、エロス化されている。《ロゴス》と《反ロゴス》の間の闘争が繰り広げられる。
《ロゴス》は目録を作り分類し整理する。《反ロゴス》は知を開拓し、それを権力のために役立てる。
561p
快楽の原理と現実の原理との争いという精神分析の公式。
《ロゴス》と《エロス》の弁証法的運動に潜むのは、「支配-領有」の対立であり、専門性と芸術との間の矛盾である。
→その結果、空間には歪みやずれが生じる。(これは差異ではない)
562p
抽象空間内部の諸力の中には、抽象空間を支える/修正するものがある。
抽象空間は時間に対して抑圧的な力をあらわにする。
時間は・・・進路・進行・行程・輸送方法に還元されるが、享楽の場として再び現れる。
時間の内部では、「創造性」に投資しようとする活動と、記号や〈意味するもの〉を受動的に把握する活動とが対立している。
何事かを「なそう」「想像しよう」とする欲望は、空間においてのみ実現する。

27
563p
「欲求と欲望」の弁証法的関係は曖昧であり、独自の解明が必要。
欲求は物において充足するが、欲求は反復性を持つ。欲求は飽和状態に達して消え去る。
564p
空間における事物や生産物は、特定の欲求に見合っている。
それぞれの欲求が空間において充足を求め、空間において物を見いだし、空間において物を生産する。
空間は暴力によって聖化され、犠牲や殺害、戦争や恐怖から空間の威信を引き出す。

28
265p
数学と精密科学においては、反復が差異を生む。
音楽と詩においては、これとは対照的に差異が反復を生み、この反復によって差異が効果的なものになる。
芸術は生産される。作品は反復行為を通して製作される。着想は無駄になる。
566p
身体の謎:「主体」と「客体」を越えて差異を生産する能力。
抽象空間(と抽象空間を道具として利用するひとびと)は、「反復と差異」のこの敵対関係をさらに推し進める。
あらゆる手段によって差異への還元という目的が達せられる。
肉体的・空間的・社会的身体は、「抽象的身体」や記号的な「身体」とは異なる。前者は差異を生産し創造する。それを禁ずることは身体を殺害すること。
567p
建築家は、一方で科学者・技術者・生産者として反復的なものを頼りにし、もう一方で使用と「ユーザー」に敏感な芸術家として差異的なものを頼りにする。

建築家は、生産物と作品との間の溝を埋める絶望的な探求を続ける。

29
568p
最小の差異と最大の差異の区別の前に、記号学的要素が有す差異の役割は小さくなる。
自然は差異を誘導する。(例:まったく同一の木などない)
ではなぜ、人間の認識によって創造される空間は、「変化に乏しい」のか?

30
569p
真なる空間:哲学の空間、思想家の頭の中、「理論家」、知の中枢、教条主義、心的な空間、現実の空間を抽象へ還元し、最小の差異を誘導する。
570p
心的空間は政治空間と同一視される
一方で、空間の真理が、空間を社会的実践に結びつけ、また空間を諸概念に結びつける
概念が実践と結合することで哲学を乗り越え、生産の理論が空間の真理を打ち立てる
空間の真理は、心的空間と社会空間の共通性と差異を明らかにした。
中枢性は、認識と意識と社会的実践の間のに共通する場を見つけ出す
中枢と周辺、収束と散逸、凝集と放射、集中と炸裂、内展開と外展開の弁証法的な運動。
「主体」や「物」はつかの間の中枢であり、身体とは活動エネルギーの焦点であり、都市も都市領域も同様である。
571p
中枢性の概念は全体性の概念にとってかわる。
空間の真理はニーチェに引き戻され、再強化される。
572p
人類の革命的な道と超人の英雄的な道は空間の交差点で出会う。→二つの道が一つになるかどうかは別の話。

■前半の論点
1.使用価値の空間は、100%が使用価値に資するわけではなく、ユーザーは使用価値の空間や支配の空間の間隙を見つけ、こじ開けていくような実践も展開する(たとえば地蔵など?)。それを弁証法的な止揚の過程であり結果であると見なすことができるのか?
2.「弁証法的運動」であると見なしてしまうことで、見逃してしまう部分や要素はないのか?
3.そもそも「矛盾状況を乗り越える」という歴史的過程は、確かに一つの視点ではあるが、それは「理論」なのか?


■後半の論点
1.「建築家は芸術と生産の間で引き裂かれる」(567p)のだろうか?そういう矛盾を抱える建築家とそうでない建築家の違いがあるとしたら、それは何か?
2.中枢性の概念(553p,571p)こそが、多様性や現実性、多様なスケールを包括的かつ弁証法的運動の観点から捉えることが可能な概念であるということなのか?(確認)
3.「中枢性の弁証法的運動」は、使用→交換→使用、非労働→労働→非労働という変化を本当にもたらすのであろうか?もたらしているとしたら、具体的に空間におけるどのような点においてであろうか?

2008-12-18 18:30 : 『空間の生産』(08院ゼミ) : コメント : 0 :
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