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『社会学』第6章


「第6章 歴史と記憶」 浜日出夫,171~199p


1.歴史と社会学
<歴史の2つの顔>
・「歴史の側面図」…出来事を古いものから新しいものへとクロノジカルに並べた、歴史の連鎖
  (例)歴史の授業、博物館通史展示の並べ方
   ←過去から現在へ向かう時間の直線的な流れ/過去は流れ去り、完結したもの
・「歴史の正面図」…「私に記憶され、伝聞され、想像された限りでの過去像」、「歴史はいつも新しい」
(例)「歴史の天使」p.174
 ←過去は現在にある/つねに生成であり、未完結
・歴史は現在の想起によってたえず新たに作られる
例1)「従軍慰安婦」の記述問題…一人の証言者から引き起こされた論争
  日本政府の謝罪/記述問題/「新しい歴史教科書をつくる会」/戦争責任/歴史認識についての論争へ
⇒ここでの歴史は現在進行形
例2)アメリカ国立航空宇宙博物館の原爆展が引き起こした論争
 「原爆投下」の捉え方……自由と民主主義を守るための戦争を終結し犠牲回避を成し遂げた記念
               /14万人の犠牲、被爆者の後遺症を残した負の遺産
 戦争の歴史を展示する計画が「歴史をめぐる戦争」の戦場となった
 結果:エノラ・ゲイの「歴史的文脈」からの切り離し。被爆資料・「原爆投下決定は正しかったか」の問いなし
 ⇒過去が現在の一部であり、現在のうちに生きている

<歴史社会学>
・歴史と社会学の二つの関係
 ①歴史社会学…「側面図」としての歴史/クロノロジカルな連鎖としての歴史に対応
 ②歴史の社会学…「正面図」としての歴史に対応
・歴史社会学…ある社会現象を選び出し、その連鎖をさかのぼって、現象の原因となった出来事を見つけ出す
  T.スコチポル…歴史社会学の4つの特徴p.179をもとに。
 ①歴史社会学の対象は、抽象的な対象ではなく、時空間のなかに特定の位置を占める具体的な社会現象
 ②社会現象の原因を時系列にさかのぼって追及しようとする。(研究者個人の問題関心によって範囲が決まる)
 ③意図されざる結果を重視する。
 ④一般的法則を打ち立てようとするのではなく、個性的な因果連関を取り出すことに強い関心を持つ
例)M.ウェーバーの『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』
 ①西洋でのみ出現した「近代資本主義」の「精神」について探求
 ②「資本主義」の形成に宗教的信仰が与えた影響、理想が果たす役割 → 「プロテスタンティズムの倫理」
   地城に神の栄光を増すために、あらゆる「世の楽しみ」を断念して、神から授けられた使命としての職業労働に献身する 
③壮大な歴史のパラドックス
「あらゆる欲望を肯定する近代資本主義が、宗教的理念の実現のためにあらゆる欲望を犠牲にしたプロテスタントたちの禁欲から生まれた」
④資本主義の精神を宗教改革に帰属させることを目的とした。
<歴史の社会学>
・「人は誰もみな歴史家」
・歴史が現在における人々の行動に影響を与え、現在を作り変えることに注目
 →現在のうちに生きている歴史(人々の認識、行動と歴史の関係)を明らかにしようとする。

2.集合的記憶
<心理学の記憶概念>(M.アルヴァックス)
・歴史の社会学―現在のうちに過去を保持 =記憶
・心理学の記憶概念… ①記憶の三段階―記銘/保持/想起の一連の情報処理過程
           ②(実験室の)個人の孤独な営み。個人的な記憶。個人的現象。
 BUT 日常生活では、他者とともに記銘し、公共的な手がかりの中に保持し、他者とともに想起する →集合的な営み 
・社会学の記憶概念(M.アルヴァックス)p.184
 …「人が想い出すのは、自分を一つないし多くの集団の観点に身を置き、そして一つないし多くの集合的思考の流れの中に自分を置き直してみる条件においてである」 → 人は集団の一員として過去を想起する
<現在主義>
・記憶の現象の捉え方
  個人的記憶…自分だけが心のなかに保存し、再生できる。
  集合的記憶…所属する集団の「記憶の枠組み」を用いて過去を想起する。
        =現在の視点から(基盤のうえで)過去を「再構成」すること ―現在主義
・焦点の違い
  心理学…記銘・保持・想起の全過程を対象 / 社会学…想起に重点 ⇒⇒「集合的想起」
      正解のある世界         /     正解のない世界
<記憶の物質性・空間性>
・(社会学)過去は物質や空間の中に保持されている  ⇔・(心理学)個人の頭の中
・想起が空間、物質と密接に結びついている。
・社会学は、過去が刻まれた空間や物質の配置、それらをめぐって営まれる人々の活動の編成の観察を通して記憶を研究。
<記憶から歴史>
 (①記憶の物質性と空間性)+(②現在の視点から過去が再構成される現在主義)
 =過去を想起する主体は当事者に限られない
 ⇒⇒⇒ 集合的記憶の概念は、個人的記憶の射程を越えて、歴史の領域へと越境。
<生きている歴史>
・学校や書物での「書かれた歴史」/集合的記憶の「生きている歴史」
・集合的記憶の社会学―歴史の社会学と実質的に重なる
・生きている歴史の特徴
 ①集団の数に応じて、「集合的記憶[も]たくさんある」
 ②「記憶の枠組み」の変化に応じて、絶えず書き換えられていく。しばしば歪曲や忘却を伴う。

3.記憶というフィールド
<記憶の場-過去の痕跡が刻まれた空間や物質の配置を示すもの>
・P・ノラは「集合的な記憶が根付いている重要な『場』を記憶の場と呼んでいる」
  記憶の場…物質的な場と象徴的な場。メディア。
・社会学はこれらの「記憶の場」とそれに関わる人びとの活動を観察することによって、記憶を研究する
<ワシントンDC>
・原爆展論争…空間の果たした役割
・ワシントンDCの空間
〈国家機関の中枢が集まる空間〉+〈国民的英雄や戦争で戦死した兵士たちを想起する記憶の場からなる空間〉
 →ナショナリズムの磁場 = 強い力で想起を一定の方向に導こうとする
・原爆展論争…「歴史をめぐる戦争」だけでなく「記憶をめぐる戦争」であった。
・記憶の場…「個々にバラバラに存在するのではなく、相互に引き付け合ったり、反発し合ったりしながら、全体として複雑な磁場を形作っている」
<広島>
・広島…戦後、原爆の記憶を平和記念公園に空間的に隔離することによって復興と平和記念都市としての建設を同時追求
・平和祈念公園…原爆による被害を想起するための記憶の場を形成 ―「日本人」としての意識、「白人」としての意識
・時間的な隔離…原爆被害の集中的な想起 ―8月6日の原爆忌前後
・各地にある慰霊碑や平和記念碑における慰霊祭や追悼式典
 一つ一つが原爆を想起するための集合的な「記憶の枠組み」を表わし、それらを「記憶の枠組み」とする原爆の記憶が、互いに支え合ったり、競合したり、反発したりしながら、幾重にも重なり合い、重層的な広島の記憶を形作っている。
・「唯一の被爆国日本」に対抗・抵抗する原爆の記憶
 1)韓国人原爆犠牲者慰霊碑-ナショナリズム
 2)A地区原爆犠牲者慰霊の碑-差別
<記憶の公共圏>
・記憶の共同体…集合的記憶の想起による共通の歴史 → 人々を強く結び付ける
・同じ歴史を共有しないものを排除する動き―記憶の回収 ⇔抵抗する遠心的な力
・複数の集団に所属=複数の集合的記憶の存在
 ⇒ヒロシマは「記憶の共同体」へと動員する力であると同時に、異なる複数の記憶からなる「記憶の公共圏」へと開かれていく可能性を持っている

【論点】
・ヒロシマや原爆について、平和教育によって「記憶の共同体」へと回収されている。教科書や修学旅行など以外にどのような教育がされているのか。それがどのような役割をもっているのか。
・震災などの災害の記憶は何をどのように残されていくべきか。経験者、活動者によっての違いはあるのか。
 個人的な記憶、集合的な記憶での違いはあるのか。
・門司港や長府などの歴史を表わすものは、どのような「記憶の場」として役割を持っているのか。





2009-01-22 18:06 : 『社会学』(08後期学部ゼミ) : コメント : 0 :
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