スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
-------- --:-- : スポンサー広告 :

第3章 地域を枠づける制度と組織

第3章 地域を枠づける制度と組織

1.制度と組織
Ⅰ、土台としての土地・空間
◎土地・空間=地域の「物質的基盤」

Ⅱ、土地・空間に関与する主体
【土地・空間に関与する2つの主体】
①個人 ②集合体
⇒集合体には、「集団」と「団体」の2種類
(「団体」とは専門スタッフを抱えている点で「集団」とは異なる)
⇒「団体」には、行政(公的)、企業(私的)、組合(共同的)の3種類

⇒要するに、土地・空間に関与する主体は以下の5つがある
①個人 ②集団 ③行政 ④企業 ⑤組合

Ⅲ、土地・空間への関与の仕方
◎土地・空間への関与の基本は所有
⇒【所有の5つの側面】
①処分:土地空間の売買や貸与を決定すること
②収益:使用を許可することで代金を請求すること
③利用:具体的に使用すること
④管理:利用の側面を規制すること
⑤保障:処分・収益・利用・管理すべてを全体として秩序づけ、正当化すること

⇒地域には、「一切立ち入ることのできない私有地」、「利用するには料金の支払いが必要な場所」、「一見自由に出入りできるようで、実は一定のルールが存在している空間」が混在している

Ⅳ、制度と組織による統制
【地域というものが分かりづらくなった理由】
・村という、「集団」によって<管理>されていた地域が、「個人」が自由に<処分>したり<利用>することのできる空間へと変貌したから
⇒「共同体の解体」と「空間の商品化」が起こったということ

BUT! 地域のすべてが「個人」の自由になったわけではない
⇒現代において地域を考えるには、<管理>と<保障>の働きに注意しなければならない
Ⅴ、公的機関の支配的な影響力
◎「個人」、「集団」、「企業」、「組合」よりも、国家や地方自治体などの「行政」機関こそが、土地・空間の<管理>や<保障>について特権的な影響力を持っている

⇒【なぜそのようなことが言えるのか?「行政」の特権的な影響力とは?】
①一般的に、「個人」や「企業」の存立を<保障>しているのは、私有財産制度と市場原理の作動であるが、その究極の<保障>先は、自治体の警察機構や国家の保持する軍隊などの「行政」の機関であるから
②「行政」は“都市計画”や“地域政策”を行うことによって、「個人」や「企業」の無秩序な都市の土地利用のあり方を、<管理>することができるから

Ⅵ、人が生まれ育ち、死んでいく地域
・現代の地域=国家や地方自治体などの「行政」によって枠づけられ、<管理>されているだけのもの
BUT! 人間は、常に人々の社会的つながりの中において、生まれ育ち、死んでいく
◎社会的つながりを維持するためには、それを再生産するための空間的基盤が不可欠

Ⅶ、下町の商店街や子どもをめぐる地域のつながり
【社会的つながりを維持しているもの】
<古典的なもの>
①下町の商店街  ⇒「集団」として独自に地域に関与している
<新しいもの>
②地域の教育文化運動
③高齢者をめぐるボランティア活動  ⇒「組合」的な「団体」として地域に関与している
④生協などの消費者行動

Ⅷ、地域をどう組織するか
・現代の地域には“都市計画”や“都市政策”が必要
⇒◎これらの計画や政策に関する意思決定を、民主的に進めていく仕組みが不可欠

2.国家と地方自治体
Ⅰ、国家と地方自治体の地域への関わり
【公共機関の地域への関与の仕方】
①土地・空間の私的所有
(例:米軍基地、自衛隊の演習場、皇居や首相官邸などを所有)
②公有地の直接的な管理
(例:河川、林野、道路、公園、施設などを<管理>)
③公有地の間接的な管理
(例:道路公団による高速道路の建設・整備や、公共機関および電気・ガス供給を担う民間企業に対する許認可権などを通じた<規制>)
④あらゆる「個人」と「団体」の地域への関わりを全体として<保障>する働き
(例:地方の警察機構や国家の軍隊などが財産権などの基本的人権を<保障>)
Ⅱ、地方自治体と国家
・日本では地方自治体に対する国家の優越が顕著に見られる(⇒〔地方自治体<国家〕という構図)
BUT! 市町村・都道府県・国家の「自治体」としての違いは、それらが直轄する空間の“広さ”と“規模”だけである(=各々の持つ“権限”などに優越・劣等の違いがある現状はおかしい)
◎生きた住民の現実にもっとも近いところにあるのが自治体である

【生きた住民に対して最前線のところで機能する地方自治体の行動事例】
①外国人労働者に対して公的サービスを提供することを国家よりも先に決断
②国家による“都市計画”や“地域政策”に起因する、60~70年代にかけての公害問題に対して、革新自治体が公害防止条例を設置

⇒◎これらの事例は地方自治体の特質をよく表しているが、この特質を活かすような国家との間での“権限”の配分が求められる

Ⅲ、あらためて、「地方自治は民主主義の学校」
・現代日本においては政治的な無力感と無関心がひたすら拡大してきた
⇒身近な問題(地域の問題)をわずかな努力で政治的に解決できる場をもつことがきわめて重要
⇒そのような場として、基礎自治体のもつ可能性は大きい
⇒◎なぜなら、基礎自治体は“規模”が小さく、その小ささに由来する重要な特質として、「地方自治は民主主義の学校」という側面があるから

※「地方自治は民主主義の学校」とは、地方自治は住民が主役であり、その政治の運営、参加は住民の意思と営みによるもので、これらの地方自治の実現と経験が、のちに住民の民主主義の理解に役立ち、最終的には国や中央政治の民主主義へと拡大・実現につながるという意味から、言われた言葉である。

3.学校と教育委員会
Ⅰ、人が生まれ、育つ場として
・筆者は学校などを所管する教育委員会に注目
⇒人が生まれ育つ場としての地域にとって、子育てや教育は非常に重要な問題

Ⅱ、文化イデオロギー装置としての学校
・日本の教育は、中央集権的な性格が強い
⇒教育を担っている学校や教育委員会が、国家という超越的な権威によって「上から」教え込むというイデオロギー装置として機能してきたところがある

Ⅲ、教育行政と地域文化
・地方自治においてそうであるのと同様に、教育や文化の領域においても国家よりも地域が責任をもって決定すべき側面が存在
⇒◎地域産業の歴史的蓄積や文化状況を踏まえた教育行政のあり方を、住民が自治的に決定できる仕組みが求められる
Ⅳ、戦後改革という試み
・戦後改革によって、子どもをどう育てるかを決めるのは、国家ではなく地域であるべきだとする教育理念が日本にもたらされた
BUT! すぐに国会での強硬採決により、その理念は葬り去られた
⇒当該地域において教育文化関連の住民活動がどのように堆積してきたかということが、地域社会を考える上で重要である

4.市場と資本
Ⅰ、地域の経済構造
・自由主義の市場経済という制度
⇒「企業」が構成単位であり、その行為を枠づけている
⇒◎「企業」はある意味で国家や地方自治体などの「行政」よりも強大な力を持っている

Ⅱ、資本の種類と地域への関わり方
【企業を中心とした経済活動が、地域を物理的・空間的にどのように形成していくか?】
⇒企業の営む事業活動の内容、いわば資本の類型的な性格によって当該企業の地域への関わり方が決定的に異なってくる

Ⅲ、製造資本と労働力の再生産
【製造業資本の特質】
①ものを作る技術を素早く習得しうる個々の能力を保持することが不可欠
②他と円滑に協働しうる団体的訓練をつんだ労働力の大量の再生産が必要
③必要とされる労働力の再生産に強い関心を示す
④③により、当該地域の教育と文化にも強い関心を示す
⇒金融資本に比べ、製造資本は地域に対して社会的な関わりをもつ可能性が高い資本である

Ⅳ、金融資本と建設業資本による開発と投機
【金融資本の特質】
①回収しうる利得にだけ関心を示す
②①により、その時々に儲かる産業分野にしか投資されない
③②により、スクラップ・アンド・ビルドの繰り返しが起こる
⇒人々が安心して一生を暮らせる地域の働き先が維持されることは困難

【建設業資本の特質】
①自然環境や建造環境の大規模な改変が事業内容である
②改変=スクラップ・アンド・ビルドの最たる例としての資本である
⇒慣れ親しんだ景観や文化的アイデンティティを抱きうる空間の維持がきわめて困難

⇒◎現在は国家主導である公共事業の見直しを、地方自治体が適切にできるようにすることが、地方分権化の1つの重要な理念である
Ⅴ、ローカルな資本とグローバルな資本
◎当該資本がどの程度の空間的な範域を事業の対象としているかという側面が、地域への影響という点できわめて重要である
⇒すなわち、当該資本が
①大資本なのか中小資本なのか
②グローバルな資本なのかローカルな資本なのか
という区別が重要である

⇒地方自治体と国家がそれぞれ育成に力を入れるべき業種や企業は異なって当然
⇒◎地方分権の推進は、自治体の独自の政策展開を可能にすべきである

5.政治とマスメディア
Ⅰ、あらためて民主主義的な地方自治のために
・日本においては「行政」権力の力が強い
⇒地方議会とマスメディアが自治体の政治的意思決定における民主的な自治の担い手であることを感じることは現状では非常に難しい

Ⅱ、地方議会と地方政治
BUT! 地方議会は、地方自治体のさまざまな工夫(政策の実施や条例の制定など)の実施の決定については重要な役割を担っている

Ⅲ、世論形成と言論装置としてのマスメディア
・地方議会=4年ごとに統一地方選が行われる
⇒これに大きな影響を与えるのがマスメディアによる報道

Ⅳ、ローカルなメディアとナショナルなメディア
・統一地方選が常に国政レベルでの政府への信任を問うかたちでしか評価されないのは、
日本のメディアが圧倒的にナショナルなレベルに集中しているからである
⇒これをわかりやすく説明すると、新聞の購買層やテレビの視聴者が特定地域に限定され
ていないため、地域政治にまつわる報道はすべて国家レベルでしか言論化されないという
ことである

⇒◎ローカルな市場ないしローカルなニーズに対応する言論武装としてのメディアの発達が、地域政治の活性化と住民自治の実現のためには不可欠な課題である

【結論】
地域というものが分かりにくくなっている理由というのは、①様々な制度や組織によって地域が枠づけられているからであり、特に日本においては、② 地域において十分な権限や決定権が与えられていなかったり、③地域において十分に資源や情報が活用されていないという事実もその大きな理由である。よって、これから地域社会においては、地域を透明化し、可視化していくことが求められる。
論点①

・1-Ⅶで述べられているように、「社会的つながり」を維持・再生産するものに、“地域の教育文化運動”が挙げられているが、具体的にはどのようなものがあるだろうか。
・また、「社会的つながり」は、その社会への帰属意識と深く結びついていると考えられ、それは“地域ナショナリズム”と呼べるものである。では、“地域ナショナリズム”を高揚させるには、地域空間に対して、「行政」や「企業」がどのように関与していくのが効果的だろうか。

論点②

・この章全体の結論として、要するに〔地方自治体<国家〕という権力関係を見直し、地方自治体に対する国家の縛りを緩めて、もっと自由に自治をさせることが重要であると述べられているが、逆にこれが行き過ぎた場合、日本国民としての意識はどうなるだろうか。

2009-05-14 21:34 : 『地域の社会学』(09前期学部ゼミ) : コメント : 0 :
コメントの投稿
非公開コメント

« next  ホーム  prev »

contents

過去の記事

天気予報


-天気予報コム- -FC2-

ブログ検索

訪問者数

QRコード

QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。