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第8章 雇用と所得

第8章 雇用と所得

三都市の職業分布と賃金分布に注目して、経済基盤を大まかに説明

→新しい経済や職業が、都市構造というより大きな枠組みにどのように組み込まれているのかを考察

三都市は一つの物語を共有しているのか?

1970年代:生産者サービスと金融が成長、製造業が衰退

1970年::深刻な金融危機→政府は公的業務・公的サービスを縮小

⇒三都市で雇用が減少

三都市の全体的な経済基盤は、大きな衰退と著しい成長が同時に起こった

●ニューヨーク

1960年~のNY経済史の流れ

* 製造業の大きな衰退(→50万以上の雇用の喪失し、関連する卸売業や流通業も深刻な衰退)
* 多くの本社が無くなり、オフィス業務が大幅減
* 75~76年、財政状況の急速な悪化
* マンハッタンに集積している金融サービスと生産者サービスの急激な成長(80年頃~)

⇒製造業の深刻な衰退と金融・生産者サービスの好況、雇用の減少が、経済の質を変えた

NYの製造業の衰退

もともとNYは、港湾や流通機関に後押しされて、多様な製造業が発展していた場所

(家具、服飾、エレクトロニクス、機械部品、化学工場・計器・軍事)

→NYは企業の本社にとって重要な場所で、製造業の平均賃金は上昇していた(1970年代に過去最高額)

but その後、NYの製造業は大きく衰退

(原因)=国際的・政治的・経済的そして技術的状況

* 成長期における製造業に適した土地の不足
* 州間高速道路の建設→都市の中心地としての優位性が低下
* 国内最大規模を誇る企業の本社の移転
←郊外・圏外への移転、他の企業による買収、製造業以外へ転業、規模の縮小
* 国際競争の激化
工場の近代化への投資不足による生産力の低下
技術の発展に伴い、低賃金国・地域での製造ラインが設置可能になった
→古くからある工業地域が打撃、工場が閉鎖・移転

⇒都市への大規模な集積を起こした諸要因は、1960年代後半にその妥当性と重要性を失っていった

アメリカの中でもNY、その中でもマンハッタンに経済活動(特にFIRE・企業者サービス)が極端に集中

●ロンドン

1960年~のロンドン経済史の流れ

* かつては軽工業の重要拠点であったのに、1985年までに製造業での雇用が80万も失われた
* 雇用と人口の減少に伴い、20年にわたって経済が停滞
* 1984年、金融と生産者サービスに支えられ、急激に成長(雇用は、25年に及ぶ純減から純増へと反転)

ロンドンの製造業の衰退

(原因)

* 国際競争の激化、工場の近代化への投資不足による生産性の低下
* 工業生産で広大なスペースへの需要が高まった時期における、土地不足→拡大に歯止め
* 製造業の中でも、比較的弱いセクター(特にアパレル・家具部門)が競争力を失っていったこと

※ロンドンに残っている製造業のなかには、かなり好調なものもある
=高賃金で付加価値の高いもの(印刷、ハイテク部門、通信産業)

⇒ロンドンの製造業は1970年以降深刻な衰退を見せ、雇用を減少させたが、銀行・金融、企業者サービスは拡大し、また金融・金融関連業は、市の中心街へ極端に集積している

●東京

東京経済史の流れ

* 70年代は、東京の雇用水準は安定期
他2都市に比べれば、製造業における雇用喪失もFIREセクターの急成長もそれほど目立たず
* 金融・生産者サービスの急成長現象(特に情報、研究、開発、広告、不動産、法律、会計)
(※NYは70年代後半、ロンドンは80年代初頭、東京は80年代後半と、この現象は他よりやや遅い)

東京の製造業の衰退

(原因)

* 重工業と化学工業の衰退
* 東京には、大手メーカーの経営管理部門だけでなく、経済的・政治的機能までもが集中
古い工業地域での、高層住宅・オフィスの建設ラッシュ
→土地利用に制限、地価高騰、人口密度上昇→製造業の足かせに

こうした状況に対して、金融・生産者サービスと関係する印刷・出版や、流行と関係する服飾産業が拡大

⇒東京は1990年代後半には、製造業からサービス産業中心へと変貌し、日本の中でも特にサービス産業の中心になった

賃金

以上のように、三都市の経済基盤の形は、明らかに変わってきている

→こうしたなか、様々な産業職業の賃金・給与はどのように変化しているのか?

三都市の経済基盤の形の変化に見られる傾向

1. 賃金格差の拡大(特に米・英)
・技術の発展に伴い、スキルへの需要が高まった
 →賃金はスキルによって左右され、スキルは教育を通じて得るケースが多い
  (高所得者=教育レベル高=スキル高/低所得者=教育レベル低=スキル低)
・執行部が下す決定と実践(後述)
・人口学的変化による最低賃金の低下
 ←働く女性の増加、ベビーブーム世代の成人化による若年労働者の増加
・各集団(女性・若年労働者・白人成人男性)の内部での格差の拡大
=構造の変化(経済、産業組織、越境貿易・投資の増加、規制緩和、労組の衰退、最低賃金水準低下)
2. 最も急速に拡大するサービス産業のなかに、低収入と高収入の仕事が極端に集中している
・職務で用いられる技術の形の変化
 (機械化・コンピュータ化→人間のスキルは機械へ移転→中間管理営業や秘書業務の削減)
 →かつて平均的収入だった仕事が格上げ・格下げされ、結果、賃金の二極化がさらに進んだ
・労使合意などの、制度的枠組みの崩壊
 (急速に拡大するサービス産業には低賃金労働者の割合が高いが、その多くがパートタイム労働者
  や女性労働者→労働組合の力が弱い)
 ※労組が普及し、最低賃金制度があり、市場の影響力を制限する制度がある国(仏・独・伊・北欧):
  トップ層の賃金は上昇しているが、ボトム層の賃金は変わらず、格差拡大は抑えられた
 ⇔下限設定のないアメリカ等:トップ層の賃金が増える一方、ボトム層の賃金は低下し、格差拡大

※NYは他の都市に比べても、専門職の成長率に比べて非専門職の成長率が大きく、格差が拡大している

●ニューヨーク

* 賃金格差はアメリカ全体で拡大しており、さらにNYではより明確である
* トップ層の賃金上昇、ボトム層の賃金減少
* 特に、金融サービスが高所得者の賃金を押し上げている(特にマンハッタンに集中)
* 賃金格差は、「製造⇔非製造」「企業者サービス⇔他のサービス」「マンハッタン⇔NYの他の行政区」の間に発生



●ロンドン

* 賃金格差は、イギリス全体とロンドン両方で、かなり拡大
* トップ層・ボトム層に限らず賃金は実質的に増えたが、トップ層の増収は他と比べて相当高かった
(低収入層での賃金の絶対値が増加しているところが、NYとは異なる)
→底辺層の賃金も増えたけど、ロンドンの賃金分布は以前よりずっとアンバランスに
* 全国的に見てロンドン(特にシティ)の平均収入は高く、「ロンドン⇔イギリス全体」の賃金の差は拡大
「単純労働⇔専門職」「男⇔女」「金融・専門サービスなど最も活発な経済部門内」の賃金格差も拡大



●東京

* NYやロンドンと比べると緩やかであるが、賃金格差が拡大
←不動産価格の高騰
 農業用地も含め、小さくとも土地を持つ者と持たざる者では、所得格差に何倍もの差が生じた
←産業構造の変化に伴う専門職の増加と、非製造部門での単純労働の増加
 =成長部門ではたらく低所得労働者層の増加を意味
 スキルが低い仕事・高い仕事の両方で雇用が増えた
 1980年代の高度成長期に、ホワイトカラーだけでなく、ブルーカラーも増えた
 1991年を境として、事務職のシェアが減る一方、サービス職のシェアが増加
* 所得は、東京の方が全国平均より高め。東京都内でも区による賃金格差が拡大



●賃金と格差

これまでの議論で出てきた2つの問題を検証

1. 格差と二極化というグローバル・シティに内在する問題
格差があっても、二極化が起こるとは限らない(中間階級が減っているとは限らない)
2. グローバル・シティとグローバル・シティ以外の諸都市の間にある格差(英米)
NY:活発な経済、なかでも生産者サービスが伸びたことで高成長を遂げた都市
 →ボトム層を含めたすべての層の所得が増加、結果として所得の平均値も上昇
デトロイトやクリーブランド:生産者サービスではなく製造業中心の都市
 →ボトム層の所得水準が全体的に低下し、平均所得も低下。経済も停滞
⇒このように、一人当たりの所得に地域差が見られるようになったのは、過去数十年で初めてのこと
 (1980年代以前は、地域間の隔たりが縮まってきていた)
⇒生産者サービスへの地域的な特化が家計収入を平均以上に引き上げ、他地域との差が開いた
※グローバル・シティが低所得者にプラスに働いているというわけではない
 他の都市と比べた場合、グローバル・シティであるという状況ゆえに、最底辺層にとってマイナスな状況が表面化しにくい



まとめ

ニューヨーク、ロンドン、東京・・・雇用・賃金で似た傾向

1. 製造業が縮小、生産者サービスが伸びた
2. 平均給与が最も高いのは金融だが、性別による格差は大きい
3. 専門職とサービス職が激増。しかしサービス職の給与は低くなるばかり
4. パートタイム労働が成長産業を中心に増えている。その担い手は女性でその賃金は低い

⇒雇用は増加したが、都市内部、地域間の賃金格差は拡大

今日のサービスを基盤とする経済は、かつての製造業を基盤とする経済よりも、高所得の仕事と同時に低所得の仕事の割合を増やしている

⇒所得の二極化が進行


論点

「格差」について

* 世界銀行が発表したジニ係数(2006)によると、日本はデンマークに次いで、世界で2番目に格差がない国ということになる。何をもって「格差がある」とするか。
* 北欧諸国は税率は高いが、社会保障制度が整っており貧困がないと言われる。例えば日本が、そのように転向することが可能か。

2009-07-03 18:16 : 『グローバル・シティ』(09前期院ゼミ) : コメント : 0 :
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