スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
-------- --:-- : スポンサー広告 :

第9章 経済再編――階級と空間の二極化(後半)

第9章 経済再編――階級と空間の二極化(後半)



■不安定就業(カジュアル)労働市場とインフォーマル労働市場
労働のインフォーマル化=不安定労働⇒東京では日雇い労働やパートタイム労働。⇒働く女性の増加との関連。男性の不安定就業も増加。
高所得の専門職・管理職が行う労働も不安定化。
人件費の削減が重要課題であるため、サービス職の増加とパートタイムの増加の深い関連。
アングラ経済の成長:インフォーマル労働(政府の取り締まりから逃れ、人件費の低コスト化に貢献)
先進国では主に移民移民コミュニティにおいてインフォーマル経済が広がりをみせる。
インフォーマル労働や不安定雇用は移民の側が創り出したものではない。
家族賃金:家族を養うに足る額の賃金⇒女性は男性に扶養されるため、男性の収入より低くていいという考え方。
しかし、母子家庭の増加や労働組合の衰退、男性労働者の大量解雇等によって、家族賃金のイデオロギーは崩壊。
→これは性別労働構造の崩壊なのか、低コストで立場の弱い労働者を供給する体制が創られる一段階なのか?
イギリス:政府の果たす役割が大きかったが、政府が各種市場から撤退すると、不定期雇用への移行が進んだ。
アメリカ:もともと政府が雇用関係に及ぼす影響は限られているが、不定期雇用の増加は製造業の組合が解体したことも原因。
→インフォーマルな労働形態の増加は、不安定であることによる柔軟性をもたらし、雇用者側・契約者側にとって利点。
日本:終身雇用制度の発展→ただし今では全労働者の五分の一。パートタイム労働と不定期雇用は急速に拡大し、日雇い労働者の増加と日雇い労働者を守ってきた制度の急速な瓦解。
ニューヨーク、ロンドン、東京で労働の不安定化やインフォーマル化が進んでいるが、各都市固有の文脈、社会的制度に沿ったものである。

【ニューヨークでのインフォーマル化】
アングラ経済の研究:非合法な経済活動を分析。
インフォーマル経済:公式統計に表れない部分の全所得を対象。建築規制、税金、安全衛生、最低賃金法といった規制の枠外で、財やサービスが生産・販売されることに重点を置いてきた。
グルーバー&サッセンの調査:インフォーマルな経済活動の成長、全般的な経済状況、現行の規制状況がどう関係しているのか?
ニューヨークのインフォーマル経済の特徴:①予想より多くのセクターでインフォーマル労働が使われている、②特殊な経済活動ではインフォーマル労働の割合は高くない、③移民の割合が高い人口密集地域でインフォーマル労働が行われている、④「昔ながらの」スウェットショップ労働は、ジェントリフィケーションが進んだ地域から転出している。
ニューヨークのインフォーマル経済の編成におけるいくつかのパターン:
①移民コミュニティに集まっているが、コミュニティより大きな経済圏で生じる需要に応えている、
→フォーマルセクタのコストを削るために移民コミュニティを利用する場合と、地域のサブエコノミー(個人サービスなど)のタイプが反映される場合がある。インフォーマル経済は就労や起業の機会を与えてるため、低所得地域の安定に一役買っている。
②インフォーマルな経済活動が、とくにジェントリフィケーションなどの急速な社会経済的変化を遂げている地域に集中している、
→建設業とオーダーメイドの木材工芸(家具製作)がジェントリフィケーションが進む地域に集積する状況がみられる。
③インフォーマル労働は、工場・産業サービス地域として浮上している区域に集積している。
→たとえば製造業の区画として認められない場所に、製造業工場や自動車修理工場の集合地区が形成される(市当局は見て見ぬふり)。
〈小括〉
◎移民コミュニティはコミュニティ内外の財・サービスへの需要に応えるインフォーマル労働にとって重要な場
◎ジェントリフィケーションが進む地域は重要。改築改装、建設、木工等の幅広い分野でインフォーマル労働が生じる。
◎市全体の市場をターゲットとするインフォーマルな製造業と産業サービスがある地域にが重要
〈インフォーマルな生産・流通の需要の背景〉
(1)人件費削減圧力、(2)改築改装や小規模建設の急増、(3)フォーマルセクターからのサービス・財提供の不十分さ、(4)インフォーマルビジネスの集積、(5)インフォーマル経済の多様化と豊富な労働力
〈特注・外注に応じて生産・サービス提供を行うオフィスや工場がニューヨークにこだわる理由〉
(1) 需要が地域に限定される、(2)企画サービスや専門サービスを提供する企業が近くにある、(3)企画段階から製造まで短期間でできる、(4)移り変わりの激しい経済状況全般では、購買者側にに高い需要と購買力が生まれる、(5)飛び地経済につきものの特徴をもつ移民コミュニティがある。
〈インフォーマル経済の労働のタイプ〉→大多数の非熟練労働と高い技術が必要な労働。
〈経済活動がインフォーマル化される要因〉→ニューヨークより広いサービス圏の製品・サービスへの需要。
→企業やビジネスチャンスをつかむ場であり、移民にとってはインフォーマル化による魅力的な仕事を獲得する場。

【ロンドンにおける労働の不定期化(カジュアライゼーション)】
・1980年代、パートタイムや不安定就業、悪条件の低賃金労働の増加。
→労働組合に未加入の低賃金労働者が増加したため、労組に加入する社員の給与や労働条件も悪化。
ex.)ホテル・ケータリングで働く労働者の20%以上が不定期契約。
・自営業扱いの不安定雇用の労働者。不安定就業の常態化。
→建築やエンジニアリング、銀行業でも時給ベースで働く労働者が増加。
→パートタイムを増加させれば、余分な手当を出す必要もなく、労組も間接費も心配しなくていい。税金や福利厚生にも頭を悩ませない。とりわけ子どものいる既婚女性を労働市場へ調達。
・家庭内産業労働や低賃金労働の増加(特にアパレル)。→エスニックマイノリティと女性の利用。従業員100人以下が大半。「夜逃げ」工場の増加。
→イーストエンドとロンドン北東部の衣料品のうち30-50%が家庭内産業労働。その半数がバングラディッシュやパキスタン、キプロスから来た女性。さらにトルコ系の起業家・労働者の存在感。低賃金労働のセクターがロンドンに集積。
・失業者や失業期間の増大。
・パートタイム労働の利用で雇用者側は国民保険の負担金を節約できる。加入のための基準値以下で雇えるパートタイム雇用の創出。パートタイマーの立場をさらの弱くする法律。パートタイム雇用の奨励。

【東京の日雇い労働者】
・役所に登録する日雇い労働者。労働手帳を持ち、就労日を書き込むことで失業手当の金額が算出される。
・1980年代、日雇い労働者が増大したが、法令で保護されたのはごく少数。横浜の寄せ場での現地調査。アジアからの非登録移民の重要な雇用形態。
・横浜、東京、名古屋、大阪の寄せ場。ヤクザが仕切る職業紹介所。→台東区の労働福祉センターは最悪のケース。(?)
・横浜寿町の職業紹介所の様子。大勢のホームレス男性と移民男性。仕事に「あぶれた」人たちは、周辺で何もせず時間を過ごす。
・「ドヤ」の様子。年配者が日雇い労働の仕事を見つけるのは困難。
日雇い労働と、それ以外の正規労働がある社会-世界の隔絶。欧米が想像する「日本」とは遠く切り離された世界。日雇い労働者組合の先頭に立った労働者が殺害される事件。
→日本の日雇い労働者は、女性のパートタイム労働と並び労働人口の階層化が進んでいることの象徴。

■労働市場における人種と国籍
・日本には欧米のような移民の歴史がなく、ここ20-30年の非登録移民の流入をきっかけに、移民をどうするかという問題が出てきた。
・国際移民のパターン化と方向性を説明することの困難。→「移民の都市」という説明の不十分さ。次の問題を考えたい。。
(1)三都市の中でニューヨークへの移民の流入がもっとも多かった理由、(2)ロンドンのアジア系/アフロ・カリブ系移民の差異化と移民ゼロ期後に非登録移民が再流入したこと、(3)移民を拒んできた東京に、移民が流入しはじめたこと。

【ニューヨーク市のマイノリティと移民労働力】
①1980年代以降、全職種で白人の割合が減り、黒人とヒスパニックが占める割合が増えた。今ではニューヨーク在住労働者の半数がマイノリティ。
②黒人とヒスパニックが新たに低賃金労働に参入しているのと同時に、白人から既存の低賃金労働を奪っている。
③女性が占める割合の増加。
・地位の高い仕事ではマイノリティの数は少ない。
・表9-1→ニューヨークでの黒人とヒスパニックの失業率の高さ。
→低賃金労働を作り出しているのは、移民ではなく経済?労働人口が人種と国籍によって分割されることで、低賃金労働者がたえず供給される仕組みになっているのでは?

【ロンドンの黒人とアジア系労働力】
・ロンドン市内の人口の3分の1から4分の1程度まで、移民が占めた時期もあった。→アジア系は郊外へ、アフロ・カリブ系はインナーシティにとどまる。
・イギリス連邦市民のイギリスへの入国は奨励され、非熟練労働者が不足しているセクターを補助する目的があった。
・低賃金のサービス業で働く「不法」移民の数も増加。解雇されれば強制送還。移民労働者はイギリスのマイノリティ労働者の中出ももっとも立場が弱く絶望的な集団。
・アジア系と黒人は、衰退がもっとも濃い影を落とした産業に偏っている。

【日本への近年の非登録移民】
日本では、1950,60年代に地方から都市にやってきた出稼ぎ労働者が、必要な労働力を供給してきた。→地方に巨大な労働力予備軍を抱えていた。
→いったん故郷を離れた労働者は、移住した土地に昔からいる住人が拒むような選択肢であっても受け入れられてきた。(労働時間、賃金、通勤距離)
1980年代にアジアからの移民労働者が流入したことで、日本経済は新たな局面を迎えた。
→移民第二世代が労働者世代となった。低賃金労働での労働力不足が目立ち、観光ビザを使って入国して日本で働く外国人労働者。
規制なしで入国できる日系ブラジル人の増加率が高い。2,3年のつもりで来日しても、日本で数年働いただけでは本国に帰って起業するほどの貯金は現実的には稼げず、日本に居着いてしまう。その間、子どもたちは日本への愛着や帰属意識が育ってしまうケースもある。
・日本政府の対策:労働省(当時?)によるゲストワーカー・プログラム→特定の職種に限って短期契約を与える提案。
・法務省は独自の出入国管理法、外務省は国際社会における新たな地位を受け入れために、外国人労働者問題を日本の新しい活力という点から扱うべきと主張。
・水産庁は、遠洋漁業等の担い手として外国人非熟練労働者を積極的に採りたいと要望。一方で運輸省はコスト削減のために外国人船員が多く雇われることに否定的。建設省も外国人非熟練労働者の受け入れは賃金水準の低下や、日本の若者にとって魅力のない環境につながると危惧している。
1990年に入管法の改正。専門職を受け入れ、非熟練労働者の入国を制限・管理。非熟練労働者の需要に対して、日本政府は「バックドア(勝手口)」から「サイドドア(裏口)」への転換(研修生受け入れ制度?)。
・外国人労働者自身は、来日前から労働力移動のプロセスに何らかの形で巻き込まれていたことや、出身国における日本のプレゼンスが高まった結果、移住先として日本が浮かぶようになってきたことを指摘できる。

【経済の再編と社会的な地域構造における移民】
後進セクターに低賃金労働を提供しているという見方以外の、移民の役割。
①成長している高度専門サービスや高所得層のライフスタイルから生じる需要に応じて、移民労働のセクターが作り出されている。
②移民は、都市再生に積極的に関わる主体とされた。直接労働と、資金の個人投資を移民セクターに集積させることで、利益を最大化する構造。
・また専門職の激務化によって、移民による「給仕階級」が出現しつある。

■まとめ
【本章の主題①】:さまざまな格差の拡大を受けて社会形態は一新されてきたのか?
・賃金と世帯収入での格差は拡大する一方で、贅沢な商業施設・居住施設の建築への投資の増加。
・以前と異なるジェントリフィケーション:
①規模の大きさ、
②商業インフラが生み出される割合の大きさ(都市エリート層の消費意識を反映した価格・デザイン・ファッション重視の消費)、
【本章の主題②】雇用関係の変化
・不安定就業労働市場の組織化。
→ニューヨークでは、不安定就業労働市場の成長によって、予期しなかったインフォーマル経済の登場というダイナミクスが生じた。
→ロンドンでは、民営化にともなう雇用の不安定化が劇的に生じた。
→日本では、日雇い労働の増加。
一度も定職につかない貧困な若年層の増加し、経済的重要性を持たない者が増加する一方で、柔軟性の高い期限付きの低賃金労働力に完全に組み込まれつつある移民労働者もいる。求められる技術や専門スキルを提供する登録移民も増加しつつある。
・日本では、根強い反移民の立場と、移民不在の歴史があり、最近では重要な問題となりつつある。
・一方で、ニューヨークは、元々移民の都市(国家)であったために移民を受け入れ続けているという考えは不十分であり、移民の流入を加速させる新たな条件があるのではないか。日本では、社会的プロセスが新しく作られた。
「大都市を中心に起き低r経済の国際化と雇用関係の不安定化により、新たな移民が生まれ、かつ吸収されている。」

■論点
日本の移民受け入れ政策は、今後、拡大していく方向に動くと考えられるが、どのような段階を経ていくのか?サイドドアやバックドアではなく、フロントドアを開くとしたら、どのようなタイミングで開かれるのであろうか?(たとえば景気が良くなって、労働力需要が異常に高まる時?)

2009-07-17 22:38 : 『グローバル・シティ』(09前期院ゼミ) : コメント : 0 :
コメントの投稿
非公開コメント

« next  ホーム  prev »

contents

過去の記事

天気予報


-天気予報コム- -FC2-

ブログ検索

訪問者数

QRコード

QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。