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第12章 地域社会の未来

コミュニティ行政の限界と新しいコミュニティ形成

この章では70~80年代のコミュニティ行政と90年代以降の『新しいコミュニティ形成』について述べている。


【キーワード】
コミュニティ 行政サービス 生活様式 共同処理 問題処理システム


1 コミュニティ行政の限界と遺産
[地方分権改革とコミュニティ行政]
◎地域・地域社会はこれからもずっと重要視されるだろう。
しかし地域の何が重要かは社会の変動によってかわる。
◆1990年の地方分権改革を契機に、基礎自治体の制度・政策理念に大きな変化
⇒コミュニティ行政から新しい自治体政策の理念へ
(行政との協働=パートナーシップ・ガバナンス)

[コミュニティ行政の原点]
 ◆1969年 自治省「モデル・コミュニティ」政策
   『コミュニティ――生活の場における人間性の回復』という報告を基にした政策。大都市における住民自治の空洞化と行政サービスへの過度の依存への問題意識を背景にコミュニティ形成を提唱。大都市の行政システムへの住民参画を起因に、新たな共同性を地域社会ごとに構築することを目的として語られた地域社会像
  →現在は当初の期待をよそに、コミュニティという単語が独り歩きしている状態
 ◆『コミュニティ――生活の場における人間性の回復』での重要な指摘点
  ①住民自治の回復と住民参画の必要性      という視点
  ②大都市社会こそコミュニティが必要である   という視点
  ③コミュニティとは期待概念、目標である    という視点
  ④新しい共同性は意識や関係の改善のみを指さないという視点
   →コミュニティ形成によって行政の自浄作用を促す期待をもっていたのでは?

[コミュニティ行政の現実]
 ◆現実のコミュニティ行政には5点の失敗点があった。
  ①「モデル・コミュニティ」政策を受け入れた大半は人口の少ない自治体
  ② ①の為にコミュニティは村落共同体の復活として受け止められた
  ③ 造られたコミュニティセンターも役所の出張所と化してしまった
  ④ 行政サービスやシステムの見直しは行われず、単なる住民動員の理由付けとなった
  ⑤ 住民の政策決定過程への参画を用意しておらず、地域の社会教育活動を潰す結果に
   →結局コミュニティ行政は失敗。様々な努力がなされるも、抜本的改革にはならず。

2 自治体政策の変化とコミュニティ
[コミュニティ行政の遺産]
 ◎コミュニティ行政はハコモノ行政であったとはいえ、ボランティア活動が活発化した地域や住民が行政に参画するきっかけとなった地域も少なからず存在する。
 →住民は必要とあらば、積極的に公共的領域の活動を担う・・・コミュニティ行政の限界
 ◆公共的領域で活動する住民
  行政の下請けであると不平に思うことは少なく、また何を公共的領域とするか、といった意思決定過程にどの程度参加できるかが活動意欲への重要な要素。自らの活動が意思決定過程に影響を及ぼさない無力を知ったときに住民の活動意欲は無くなる。
 ◆コミュニティ行政の遺産
  ①公共的領域に参画する住民を増やし、地域社会に関心を持つ人を確保した点
  ②行政の意思決定に住民が参画していくことの重要性を認識できた点
  →『新しいコミュニティ』形成への準備期間としてコミュニティ行政は機能

[自治体政策の転換]
 ◆1990年代以降の自治体政策の変化
  ・政策や事業の意思決定過程への住民参画を推奨する理念
   →住民を意思決定過程に組み込める行政システム、新たな問題処理システムの構築といった『新しいコミュニティ形成』が必要

[都市生活様式の問題]
 ◆都市生活様式からコミュニティ形成について考える
  ・住民自治が具現し大都市住民の生活の質が高まっている状態を望ましいと仮定
   →望ましい状態を実現するための営みがコミュニティ形成である
   →コミュニティとは、都市社会学において都市的生活様式の分野を司る
   →都市的生活様式とは社会の共同問題処理を専門サービスに委ねることを原則
   ⇒つまり 問題視すべきは行政サービスの統括システムである現状の都市生活様式
 ◆行政サービスの問題点
  ・行政サービスは衛生、保健、医療、教育、福祉、交通、エネルギー問題…あらゆる共同問題を解決する独自の部署を組み合わせ、1つの処理システムを形成している
   →住民にとっては「問題処理=行政サービス」が当たり前の規範になっている。
∴現在の都市的生活様式の問題とは近代社会システムの問題であると言える。
⇒コミュニティ形成における中心的活動とは、地域社会ごとに処理システムの限界を突破し、これを改革する活動である。当然にも行政への、公的領域への住民の介入を意味し、政治的意思決定過程への参画を意味する。=新しいコミュニティ形成

[問題処理システムの限界]
 ◆処理システムとは行政サービスの供給母体である
行政サービスの問題は処理システムに依存している部分が大きい
 ◆問題処理システムの問題
  ①システムの巨大性と不透明性―――――――――→全体の見直しの必要性
  ②行き過ぎた専門分化と細部における規制――――」
  ③専門分野での排他性…住民の関与を最小限に抑えている点―→共同処理の必要性
  ④専門分野に特化している為に副次的・潜在的機能を捨象――」

[コミュニティとは何か]
 ◆コミュニティとは
地域社会における問題処理システムが最適なシステムとして機能し、それによって住民自治が具現し、住民生活の質が高まっているような地域社会の理想状態を意味する
 ◆コミュニティ形成とは
  理想へ向かうあらゆる活動を含意するが、具体的には問題処理システム変革の営み
 ◆「コミュニティ」の誤解
  現状のコミュニティの捉え方「住民が仲良くなる」⇒「住民自治が可能」
  本来のコミュニティの捉え方「住民自治が可能」 ⇒「住民がなかよくなる」

3、新しいコミュニティ形成に伴う諸問題
[相互扶助にまつわるイメージ]
◆村落における相互扶助
  ①全員参加の原則(内容の多くが労働奉仕であったため)
  ②共同問題の処理過程の透明性
  ⇒コミュニティにおける「共同処理」と「村落的相互扶助」は混同されることが多い

[様々な共同処理と行政の課題:共同問題の公共化]
 ◆多様な共同処理
  意思決定部分のみへの参加 関心を持つものだけの参加…
  多様なタイプの共同処理を専門処理システムのなかに組み込むことこそが大事
 ◆行政システムと住民による共同処理の協働への課題
  ①行政が自治会や既存団体を重視し、多様な共同処理活動に対応する姿勢
  ②住民・住民組織・NPO等と対等関係を築き、公共的責任の範囲を明確にする点
  ③行政が住民の自己組織能力と問題解決能力を信頼し歓迎する姿勢
  ④情報提供サービスの中で問題を明示し、問題を公共化すること
  ⑤公共化した問題の処理に際して、意思決定過程に住民の介入を許すシステムの構築

[周辺からの相互発信]
 ◆中央集権型予算決定システム・官僚制支配
  コミュニティ行政を阻害してきたが、コミュニティ形成は中央からの発信に頼るのではなく、「周辺」からの発信が必要である。

[重層的コミュニティの形成]
 ◆地域社会において発生する共通問題への処理システムをコミュニティとすると、多様な、重層的な地域社会に合わせて、コミュニティも重層化する必要がある。 
 ◎重層的コミュニティとは
基礎自治体・区ーーーーーーーーーーーー?
中学校区ーーーーーーーーーーーーーーー医療・教育・道路等、多様な行政サービス
小学校区ーーーーーーーーーーーーーーー?
単位自治会・町内会ーーーーーーーーーー共有財産の管理・共助




  各地域社会階層に見合った共通問題処理システムを構築すること。

[新しいコミュニティ形成とまちづくり]
 ◆中学校区コミュニティに重点を置く
  4層の処理システムの中で中学校区レベルのコミュニティ空間は狭すぎず、広すぎずで程よく、「まちづくり」に最適の空間である。この空間にある程度の権限と正当性を与える構想は住民自治の観点からも理想的である。

[新しい家郷としてのコミュニティ]
 ◆団塊の世代の退職
  ・3丁目の夕陽・20世紀少年等の「過去物語」の流行
  ・団塊の世代の親世代=「家郷喪失者」
   ⇒新しいコミュニティ形成は家郷の創造としての一面もある。   
【論点】
 ①筆者はコミュニティを住民主導による問題処理システムの見直し・構築としているが英単語のcommunityとしての意味から大きく外れており、現在一般的に解釈されているコミュニティともニュアンスが異なる。筆者の見解は1969年の「コミュニティ―生活の場における人間性の回復」によるものであるが、この発想以前や以後にコミュニティという言葉を筆者の述べるような言葉やニュアンスでとらえている事例(論文や文章など)は無いだろうか。
 ②重層的地域社会に対応する重層的コミュニティの図に関して、本文では小学校区・基礎自治体(区)の部分が述べられていないが、ここにはどのような言葉を入れることができるのだろうか。
 ③筆者は新しいコミュニティ形成として問題処理システムの構築を述べているが、具体的な案や構想は特に述べられておらず、「家郷の創造」といったあいまいな形で論理を収束させているが、新しいコミュニティ形成は可能であろうか。また可能ならばどのような具体例が考えられるだろうか。

2009-10-22 13:52 : 『地域の社会学』(09前期学部ゼミ) : コメント : 0 :
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