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第5章「産業集積と立地」

第5章「産業集積と立地」

1. 1+1=3

○集積とは・・・特定の産業に関係する多くの企業が一か所に集中立地した状態のこと

 ⇒明確な定義があるわけではない

企業側→集積への立地(or集積自体の構築)をめざす

地域側→域内への集積地域の形成をめざす

⇒集積地域が「場所のチカラ」を有しているから

集積・・・産業集積(製造業を中心としたもの)と商業集積(商業を中心としたもの)

産業集積・・・先端産業の集中地域、伝統的な地場産業や工業地帯

       (ex.シリコンバレー、オックスフォード、東大阪、サードイタリア)

○なぜ、このような集積地域が形成されるのか?

⇒「集積の利益」と呼ばれる「場所のチカラ」が発生しているから

「集積の利益」    ①「費用削減のチカラ」

 ②「収入増大のチカラ」

 ③「付加価値増大のチカラ」

⇒産業集積は単に事業所が集中している状態のことではなく

事業所群が新たな「場所のチカラを生み出す装置」として機能している

○「集積の利益」のなかでも特に重視されるのが「付加価値増大のチカラ」である

Ex. シリコンバレー、東京の大田区や東大阪市などの町工場地帯

※産業集積は成長あるいは衰退する動的な存在である

○集積が成長するメカニズム

「収穫逓増」という概念に基づきモデル化(ポール・クルーグマン、藤田昌久)

→特定の場所にカネなどが累積に集中して、空間的な格差が拡大していくメカニズム

2. なぜ、企業立地が集中するのか

○産業集積の研究の歴史

・アルフレッド・マーシャル 『経済学原理』

ドイツの伝統的な地場産業を事例に、それが歴史的に遡ってきた経緯を詳細に分析

集積を維持・発展させてきた要因→自然条件、職人の移住、国民性や宮廷の保護

利益 →集積内での技術の伝承・伝播、技術革新が生じやすく、関連産業も発展

不利益→特定領域の技術者への需要集中、地代の上昇、原料枯渇

⇒歴史手な記述に立脚したもので、理論と呼ぶには適さない

・A・ウェーバー 『工業立地論』

集積の原初的な形成メカニズムを初めて理論的に解明

「集積の利益」という概念を提唱→企業はそれを求めて集積を形成

※企業にとっての最適立地点が必ずしも最少費用地点と一致しない場合もある

Ex. 集積がもたらす費用削減による立地移動(図5-2)

費用削減分>立地移動で増大する輸送費⇒立地移動

・マーシャル→「維持・発展のメカニズム」に焦点を当てた

外部経済の視点から集積を検討している(ウェーバーとは対照的)

※近年の産業集積を巡る議論において、マーシャルが注目を集めている

 ⇒集積が持続する要因=「技術の発生や知識の発生や移転」「産業風土」

3. クラスターと場所のチカラ

○M・ポーターの「クラスター」という概念

クラスター・・・「特定分野における関連企業、専門性の高い供給業者、サービス提供者、関連業界に属する企業、関連機関(大学、規格団体、業界団体など)が地理的に集中し、競争しつつ同時に協力している状態を言う」

        「ある特定の分野に属し、相互に関連した、企業と機関からなる地理的に近接した集団である」

⇒さまざまな企業や関連産業・関連機関がブドウの房状に連なっている状態のこと

○産業集積の発展段階

①特定分野の企業の集中立地ができ、それに誘発され関連産業が周囲に集まってくる

 偶然的に立地していた関連産業の近くに特定分野の企業が集まってくる

 ⇒この状態は、産業集積といえない

②関連産業の集団が次第に拡大・連結して、そこに「場所のチカラ」が生じてきた状態

 =「クラスター」

 ⇒つまり、クラスターは集積をもたらす「地域的な基盤環境」である

③クラスターを強化する「累積的な循環」が形成される

 ⇒「産業集積」の典型的な姿

※産業集積の段階では企業の集積とクラスター(関連産業の集団)が重なって存在

4. 産業集積をつくり出す

○1990年代後半~:産業集積やクラスターを政策的に構築or再生(活性化)しようとする動きが活発化

①衰退しつつある地場産業を産業集積という新たな視点から活性化しようとする動き

→1997年に施行された「特定産業集積の活性化に関する臨時措置法」による補助金制度の創設がきっかけ

⇒製造業の海外進出による空洞化への危機感が背景に

②新たに集積を形成しようとする動き

 特定地域内の既存の企業や大学などをネットワーク化し、それをクラスターへ

2001年~「産業クラスター計画」(図5-3)が始まる

⇒本当に強力なクラスターが育ちつつあるのかは確認し難い

①確認にある程度の時間がかかる

②イノベーションの基盤環境が存在するかは、企業の側に負う部分が大きいから

 ⇒企業側がより積極的に場所のチカラを生かす努力やノウハウの取得が必要

5. 温かみのある産業集積

○産業集積内での人的な交流が重要な役割を果たす

Ex. 仕事がらみの交流、地域の人との交流・・・

⇒交流のあり方は国や地域の特性を反映している

・日本の場合→交流の仕方がかなり限定的で、日常的な交流がほとんどない場合が多い

交流を創出するための「交流施設」「交流拠点」なる箱モノが税金で造られる

⇒本当の意味での地域内での知識流動が生じるはずがない

○産業集積はコミュニティの1つである

→コミュニティは魅力的なものでないと意味がない

Ex. 渋谷、シリコンバレー

○日本のクラスターや産業集積形成の限界

⇒魅力的なコミュニティを支える豊かな生活の場(街)の整備に補助金が使えない

=コミュニティを介した自然な交流が促進される環境が構築されていない

  

6. イノベーションと地域暗黙知

○イノベーションの発生には、まずは集積内での知識の交流が不可欠

⇒知識の交流がどのようなメカニズムでイノベーションの発生につながっていくのか

①ローカル・ミリュ論(Local “ milieu”) カマグニら

「ローカルな知識環境」のこと

ミリュ→企業とそれを取り巻く関係者との間に生じる暗黙的な関係を制御する存在

※クラスター内の諸企業や諸機関との関係性を重視

 ミリュとイノベーションとのかかわりが不明瞭

②「学習地域論」 フロリダ

知識創造のカギは企業の内部ではなく、立地する地域の側に

⇒局地的なインフラ環境が決めてに

※インフラ・・・製造インフラ、人的インフラ、物的および通信インフラの3つ

③「集団的学習過程論」 キーブルら

地域的な生産システムの構成企業間で共有される知識的基盤が創造され発展していくプロセスのこと

プロセス→①高度に熟練した労働者の地域内での流動に由来する要素

②既存の企業、大学、公的研究機関からの人材のスピンオフに依拠する要素

③中小企業の公式・非公式なネットワークに由来する要素

⇒これらにより、地域内での暗黙知の共有化(集団学習)、知識的基盤の創造と発展が行われる

※イノベーションや知識創造がローカルなレベルで発生するメカニズムをとらえようとしている

⇒これらの欧米の研究を日本にそのまま当てはめてよいのか?

(暗黙知→「Tacit Knowing」「Tacit Knowledge」)

論点1:集積が崩壊に向かうとき、集積の場所のチカラが低下する要因にはどのようなことが考えられるか

論点2:日本では、交流の仕方が限定的であり、またコミュニティを支える生活の場を整備するために補助金をつかうことができない。このような状態で、新しく産業集積やクラスターを形成することはできるのだろうか。

2009-12-03 22:28 : 『立地ウォーズ』(09後期学部ゼミ) : コメント : 0 :
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