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第7章 立地ウォーズ -場所のチカラをめぐる攻防-

第7章 立地ウォーズ -場所のチカラをめぐる攻防-

場所のチカラをめぐる攻防(立地ウォーズ)に焦点をあて、その攻防を企業の成長戦略の視点から読み解いていきたい。(筆者)

<1>新しい産業集積「パネル・ベイ」の誕生

2007年、堺市にシャープの大型液晶テレビ用パネル工場立地。・・・背景にある136億円の補助金(経済波及効果は1兆5千億円?税収は600億円?)。

【補助金以外の優位性】
①技術開発拠点(奈良県天理市)との近接性や亀山市との地理的な位置関係による優位性(※自動車道が各拠点をつないでいる)
②工場予定地の面積
③既存の関連企業の存在
④人材と雇用面の優位(中部地域は自動車産業が労働者や技術者を九州)
(※図7-1 シャープの拠点配置と堺、姫路   表7-1 隣接地予定の関連企業リスト)

・シャープ誘致合戦に敗れた兵庫県は、姫路にパナソニックの液晶パネル工場誘致に成功。(6年間で100億円を交付)
・巨大な「パネル・ベイ」の誕生・・・世界の総需要量の3割を生産。
(※図7-2 パネルベイ-大阪湾岸で建設が進む薄型パネル工場- 表7-2 企業誘致の補助金上限ランキング)

しかし、企業にとっては、将来的な成長力の獲得や世界的な競争力の獲得をにらんだ戦略的な立地のほうが重要。その点では、補助金を上げるより、企業にとっての「付加価値増大のチカラ」のポテンシャルを上げることを考える方が有効ではないか。(筆者)


<2>立地の「空中」をめぐる攻防

総額700億円・・・東京駅の空中権を三菱地所に売却した金額。
・・・「空中権」と「空中権転売」の考え方・・・非常に興味深い制度(筆者)
(※図7-3 東京駅の空中権移転)

<3>立地の「底地」をめぐる攻防

【迅速な立地戦略が成長にとって重要】
・かつては、土地を担保に融資を受けたが、バブル崩壊後の現在では不動産の流動化=証券化が着目される。
・第三者への不動産の売買または「特定目的子会社(SPC)」(自分で作った子会社に売却し、その子会社から物件を借りる方法。SPC法により、SPCは、一定の要件を満たせば法人税が免除される。)
(※図7-4 SPCを使った店舗証券化)
・SPCは不動産を証券化して小口に分割し、投資家に販売。SCではファンドの資金力を出店競争に利用して競争力を高めようとする動きも。(日本リテイルファンド投資法人)

企業立地を受け止める地域の側にとってはどのような意味を持つのか?(筆者) (※配布資料「社説」参照)


<4>場所のチカラの開発をめぐる攻防

①空中立地・・・都心の青空駐車場の「空中」に店舗を設置して賃貸を行う「フィル・パーク」。(法整備が追いつかない現状)
②二毛作立地・・・一つの店舗で季節や時間帯を分けて営業する「プロント」(カフェ+バー、ラーメン+ダイニング、定食+居酒屋、うどん+焼き鳥、鯛焼き+焼きそば+たこ焼きetc.)
③複合立地・・・同一店舗内で複数業種(レンタルビデオ+書店、コンビニ+サンドイッチ、コンビニ+家電etc.)(商業集積化への転化も?)
④居抜き立地・・・撤退側も新たな借り手も費用負担が少なく済む(小型店で早ければ2週間程度)。(ブックオフやショップ99は居抜き出店を基本戦略。but,不利な立地にはリスクも伴う)
⑤駅ナカ立地・・・日販平均67万円でNEWDAYSが7-11を抜いてトップに。鉄道会社の収益構造の多角化。集客力の大きさは「収入増大のチカラ」だが、乗降客数ではなく利用客の特性に合った出店が必要。
(※表7-3 首都圏の主な駅ナカ施設  図7-5 商業統計に見る駅ナカの販売効率)
⑥オフィス内立地・・・置き薬、オフィスグリコ(巡回拠点を中心としたボックスの空間密度が重要)。他者の場所に入り込んで、そこにチカラを利用する手法。
(※表7-4 オフィスグリコの地域別拠点数と配送手段)

■あとがき
本書は「場所のチカラ」が企業の成長力に与える影響の大きさを説いたもの。古典的な立地論が指摘してきた「費用節減」や「収入増大」といった効果に加え、本書では「付加価値増大」という第3のチカラに目を向けた。これら3つのチカラは、企業立地を動かすだけでなく、企業の成長力そのものを支えている。この3つのチカラを認識し、活用することが企業にとって重要である。

■論点

①場所のチカラが解放されることによって発生する問題がある。たとえば高層ビル建設による日照や景観問題、防災、「皇居を見下ろしてはならない」等の問題がある。また法規制によって場所のチカラの作用がまったく変化してしまうこともある。場所のチカラをコントロールする「法のチカラ」は、民主主義の問題である。
例:高速道路無料化(現在は週末1000円)による、地域経済へのインパクト
例:神戸の高層マンションの高さを規制・・・「ポートアイランドの公園から見て六甲山の稜線を越えない高さ」
例:駅ナカ店舗の拡大による駅ソト店舗の衰退?
例:大店法撤廃による商店街の衰退(第6章参照)
 場所のチカラをコントロールする民主主義のチカラは、これまでどのように発揮され、コントロールされてきたのか。もしくは抑圧されてきたか。また今後はどのように発揮されていく(いかない)のか。

②場所のチカラを手に入れた「勝者」と「敗者」の格差は拡大する。国家間、都市間、地域間の格差だけでなく、本章のように、底地や空中権、駅ナカやオフィス空間が、利益を生み出す場所として「商品化」され、そうした場所のチカラを支配した者が勝つ。一方で、たとえば工場誘致の競争に負けた地域は、雇用や経済効果を得られず、疲弊するかもしれない。場所のチカラを持たない地域が競争に敗れて疲弊していくことは「仕方のないこと」であるのか。場所のチカラ(企業活動)に頼りすぎない方法とのバランスが必要であるように思うが、どうだろうか。

③webを通じた小売り業(amazon.com等)は、店舗立地等の場所のチカラとしては顕在化しない。場所のチカラを求めて成長する小売り業は、同時に場所のチカラにあまり依拠しない(ように見える)web小売業と熾烈な争いをしている。むしろ、場所のチカラに左右されない(ように見える)小売りと競い合うために、より強力な場所のチカラが必要とされるようになるのではないか。その点について筆者は、どのように考えているのだろうか。


2010-01-21 18:05 : 『立地ウォーズ』(09後期学部ゼミ) : コメント : 1 :
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2010-07-29 16:26 : 前田慶次さん太郎 URL : 編集
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