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第2章 都市は甦るか 〜不安感の漂う中で〜

第2章 都市は甦るか 〜不安感の漂う中で〜

KEY WORDS:危機・世界都市・人口問題・犯罪リスク

1.現代都市と危機

1-a)はじめに
・都市にとっての危機:天災・大事件
→都市にとって危機が持つ意味とは何か・都市は危機をどう回避するか(危機回避の方策)
・危機の例 ニューヨーク:治安問題(事件)同時多発テロ事件(大事件)
日本東北沿岸部:東日本大震災(天災)

1-b)現代都市と危機の諸相
都市社会学者ワースによる都市の定義(米):「人口量の多さ」「居住者の社会的異質性」「人口密度の高さ」から定義
日本:高度経済成長期の都市化 
→大部分の日本人が集合的に生活する空間、緊密に依存しあう空間に
(現代都市のなりたちが内包する危機やリスクとの関連)
・都市は同時代の社会問題や、個人の日常生活を取り巻くリスクを先鋭的にあらわす
・水道・交通・施設などの物理的インフラ網に支えられる都市は、そのネットワークが緊密で高度であるほど不測の事態への対応が困難
・都市を生活共同体としてのコミュニティと見た場合、「匿名性」や「人間関係の希薄さ」と特徴づけられる都市的な人間関係は意思決定の難しさにつながる(リスクへの対応に関して)
→「若さ」「健康」「仕事の安定」など個人の生活レベルに問題がない場合
=リスクと認識されにくい
→災害など個人で制御不能な危機を想定すると、大きなリスクになる
・人口規模や人口構成の安定性(自治体・行政目線)は住民の「生活の質」を左右しかねない重要な要素
→バランス崩壊で都市の危機を招きかねない(cf.少子高齢化社会)

2.世界都市と近年の危機

2-a)「世界都市」ニューヨーク
・ニューヨーク:東京・ロンドンに並ぶ「世界都市(Global city)」
・1970年代:経済衰退の「底」→工業都市からの脱却:「世界都市」戦略
→金融市場の世界的中心地・世界レベルの観光・エンターテイメントの都として経済再生に成功
・ニューヨークの特徴:多人種・多民族集団→「異質なもの」に寛容・開放的
⇔異質な集団間の差別・軋轢の可能性

2-b)犯罪リスクの政治化
・ニューヨーク「9・11」以前の危機:犯罪問題
→1970・80年代に犯罪率急増: 「凶悪犯罪が多発する危険な街」
→ジュリアーニ前市長による施策:軽微な犯罪も徹底的に取り締まる
→警察官による路上パトロールを徹底(「割れ窓理論」)
→1990年代に殺人率大幅減:「安心・安全で清潔な街」へと変化

2-c)払った代償
・ニューヨーク市警の治安維持活動に問題点:
人種・民族的マイノリティに偏向した不当な停止・送検(stop and frisk)を実施
→多数の市民の「不安」は軽減される⇔マイノリティを中心とする市民の安全が代償に
(example) タイムズスクエアの再開発(1990年代後半)
圧力に抗うことが出来ない人々にとっての公共空間の再生
=不動産会社・巨大法人の利害に基づく空間の再編
=公共空間からのコミュニティの撤退を意味するのでは?

2-d)「9・11テロ」の発生
「9・11同時多発テロ」:都市とリスクを論じる上で重要
→テロ:人口密度が高い現代都市がテロ攻撃に対して脆弱で無防備であることを明らかに
→市民の心に「恐怖心」を植え付ける
→「テロとの戦い」:様々なテロ対策
⇔(無差別)テロ:個人レベルでは制御できない →得体の知れない恐怖・不安
→主権国家の主張の正当性が意味をなさない空間
→リスク制御としてのテロ対策:否応なしに政治問題の中心
⇔リスク評価は困難・終わりが見えない課題

2-d)「不安」社会と監視空間
テロ抑止の方策:監視体制の強化
→監視カメラ・手荷物検査・インターネット上の監視・盗聴など
=「安全のためには手段を選ばない」 ⇔市民が等しく負担するわけではない
→アフリカ系男性・アラブ系イスラム教徒などにしわ寄せ:嫌がらせ・ヘイトクライム
→市民の犠牲が代償となった未然抑止策⇔テロ未遂事件(2010年)
→さらなる監視の強化・「不安」への対応がエンドレス化
→秩序の維持や再生のために多様性・異質性への寛容といった都市の魅力が失われる可能性

3.日本の都市の危機

3-a)「3・11」の発生
東日本大震災:日本社会にとって未曾有の出来事・危機の象徴
→津波・原発事故・都市機能麻痺(首都圏の帰宅困難者など)

3-b)3・11大震災の甚大な被害
・未曾有の災害:複数県にまたがる被害
→・漁業・水産加工業などの主要産業が壊滅=雇用の喪失
・放射能汚染:原発事故の収束・汚染地域の住民の将来の見通しは立たず

3-c)震災から2年の課題
・順調に進まない復興
・問題と課題
①人口流出(特に若年層):震災前からの課題でもある
 復興ビジョンの策定が長期化するほど人口流出加速
②意思決定の主体性:「当事者の意思」or「行政・国のリーダーシップ」
被災者が望む復興ビジョンと県・国が望む復興ビジョンとの不一致
③復興における将来的な地域格差:意思決定・手続き=自治体の境界で縛り
NPO・ボランティアなどの受け入れに自治体で差
職員不足・大規模な合併に伴う地域間の復興への温度差
→被災自治体の積極的連携で再生を模索するのが望ましい?

3-d)東北から日本へ~都市の共通の課題
被災地から離れつつある人々の心:震災以前から問題を抱える日本列島を反映
→被災地支援の余裕がない
・「活性化」の頓挫→構造的問題に直面
・少子高齢化社会→医療・福祉の深刻な状況
・難しい経済成長・国や地方自治体の財政難など

3-e)都市間競争の激化と地域間格差
生き残りをかける構想:「都市間競争」
人口変動のリスクを制御する従来の都市経営に限界
→公共投資は財政難のなか容易に使えない
「ハードからソフトへ」:有効な手段は未だ模索中
競争の勝ち組?である東京:団地の高齢化・孤立死・買い物難民問題など
→現代日本:地方・大都市圏関係なく諸問題解決のニーズは高まっている
⇔行政の財政難・人的資源難・地域住民組織の形骸化や弱体化などの共通の課題
→解決は困難な状況

4.持続可能な都市を求めて

4-a)「持続可能」の意味するもの
都市としての安定性を高め、住民の生活を向上させる取り組み
→ニューヨーク:競争を通じた経済成長の獲得をもっとも重視(犠牲はつきもの)
⇔日本の都市のビジョンは不透明→「持続可能な都市」思想
=住民1人の生活の質の確保を重視する都市づくり(画期的方策見つかっていない)

4-b)日本での取り組み:脱成長時代の都市経営モデルの模索
人口増を目指す「企業誘致」「郊外への拡大的開発」からの脱却
→都市のコンパクト化・環境との共生(代替・自然エネルギーの開発促進)

4-c)地域住民組織の課題
家族だけに個人の生活を支える機能を求めることは不可能←高齢化・小家族化
→「孤立死」抑止・防犯や防災における地域社会の重要性
⇔地域住民組織:弱体化・若者や働き盛りの人々の参加が少ない

4-d)おわりに
地縁:集団的生活の危機を乗り越えるために必要なものとして再評価
→居住する地域が抱える問題・危機を認識
→問題・危機への対処への取り組みに自ら関わろうとする意識が必要
=住民1人1人が責任をもって意思決定のプロセスに参加する姿勢が地域社会には不可欠。
→そのうえでNPO・専門職・行政との協働のあり方を模索していくべき

<論点>
論点①:「危機」への対応における問題点について、ニューヨークと東日本大震災被災地とを比較・整理してみる。
論点②:①を受けて、ニューヨークのような格差を前提とした都市づくりではない、日本が選択すべき都市像とは何かを考えてみる。



<第1班>
論点①
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論点①ニューヨークと東日本被災地の、「危機」への対応を、対になる観点で整理できると考えた。ニューヨークは「危機的状況の発生自体を防ぐ」という観点で、テロ対策、監視システムの構築、軽犯罪の取り締まりなどに取り組み、東日本被災地は、「発生後の被害を減らす」という観点で防波堤の建設、住民の高台移転などに取り組んでいる。また、政府主導の対応としてニューヨークでは、危機管理に関わる情報のデータベース化とそれへのアクセス管理が、東日本被災地では、代替・自然エネルギーの開発や廃棄物処理場問題に関わる現場との意見のすり合わせが求められる。
しかし問題の表面化、深刻化もすすみ、ニューヨークでは「都市の魅力が失われる」「社会に不安が蔓延する」「対イスラムへの図式化が進む」ことが心配される。これに対して東日本被災地では「少子高齢化が急速に進行」「地方の財政難」「放射線対策の遅れ」などが心配されるというように整理してみた。


論点②
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論点②日本が選択すべき都市像に関わるキーワードは、「危機管理」と「住みやすい都市」であると考えた。危機管理として今求められる災害対策は、「都市の直下型地震対策」「行政機能のマヒ」「帰宅難民」「避難場所の確保」などである。これ等の課題に対しては、例えば、「防災訓練の実施」「都市機能の分散」などが急務とされている。さらに日本においてもテロ対策が危機管理の重要な課題となっている。個人情報の特定や監視カメラの配備などによる犯罪リスクの軽減は、今後ますます必要とされると考える。
「住みやすい都市」に関わるキーワードとして、「労働問題」「人口問題」「マイノリティへの対応」を考えた。「労働問題」に関しては、低賃金の解消、基幹産業の活性化などで働きやすい都市環境を作る必要がある。また、「人口問題」に関しては、少子高齢化対策が急務であると考える。内容的には、子育て支援策や都市のバリアフリー対策や待機児童対策、高齢者向け産業の振興などが必要であろう。さらに、「マイノリティへの対応」として、新たな労働力としての移民の受け入れや、それらの人々の低賃金対策・治安対策などが重要ではないかと考えた。

<第2班>
論点①
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論点②
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<第3班>
論点①
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まず私たちの班では、同時多発テロと東日本大震災というどちらも国難的な危機的事態に対するそれぞれの対応とその中で生じた問題について列挙した。次にそれを項目ごとにくくりだすことで、「お金」や「差別」といった項目で両者に問題が生じていることが見られたが、その内容はそれぞれの「危機」発生の地域差、すなわち各地域が「危機」以前にはらんでいる問題が異なることから、同じ項目であってもその内容はその地域を色濃く反映するものになった。また、この2つの「危機」におけるその後の対応を考えていくうえで、これらが生じた「場所」の特性が対比的に異なること(米:都市・人為的・ビル2棟⇔日:地方・自然・広範囲)も注目された。最後に、先述にもあるように、「危機」を契機としてそれまで内包されていた地域の問題が一気に表面化し、それが「危機」への対処をより難しくさせている要因の一つなのではないかという結論にたどり着いた。

論点②
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少子高齢化に伴う人口減少社会のわが国において、今後採るべき都市像とは如何なるものかとして議論を始めたところ、そもそもテキストに挙げられている「都市のコンパクト化」の是非が問われ出し、コンパクト化によるメリット(利便性・機能性の向上、自己完結性)よりも、その裏に潜む様々な弊害(今地方と呼ばれる地域に住まう人のその土地への気持ちや愛着を反故とする姿勢)のほうが多大なのではないかという意見から、私たちの班では、「都市のコンパクト化」とは異なった形の都市像を構築すべきであるという方向で議論を深めることとなった。
 都市のコンパクト化は、同時にある特定の地域に人を多く住まわせ、その範囲内で生活を完結させることを想定させるため、現存の過疎化した地域に住まう人と当該地域での産業は縮小していかざるを得ない方向で捉えられており、事実上都市との地域間格差を包括的に解消する方策とはなりえていない。そのため、現在地方が抱える財政や上述の地域間格差といった解決すべき問題を踏まえた上で提案されたのが、「中規模で且つ同等の規模の都市」が分立するという都市像である。これらの都市はそれぞれが互いに近接しあっており、コミュニティバス等の公共交通機関で連絡されていて、都市と都市が「点」ではなく「線・面」として関わり合いを有している。また同時にこれらの街は教育機関(特に中高等教育)や病院、買い物施設等の暮らしに必要最低限の機能を持ち、労働の面では地域の特性を有した産業に特化していて、その点では近隣都市と補完関係にある。
 つまり、それぞれの都市が中規模程度で密に連帯が取れる環境下においては、生活がそれらの地域内で完結するため、外部に流出する人間は「その地域では果たせない何か」を追う者のみで、とりわけ若年層の過度な流出を防げることが見込まれる。そして、こうした若年層の定着は都市内の世代間の人口差の減少や地域間の財政面での格差の減少に寄与するのではないかという結論に至った。また同時に、このような都市の構造によって、一般的な暮らしを営むのに過不足のない街では、一度外部に出た者による再定住の増加の可能性も大きくなるのでは、というところで議論が落ち着いた。

<総合司会コメント>
現代都市は様々な危機を抱えているといえる。テロ事件、自然災害などのような予知不能なリスクは、都市が直面している危機をさらに深刻化されている。
危機への対応の視点から、現代都市のあるべきビジョンについてはどうやって考えればいいのか。答えは決して経済の繁栄のみならず、住民一人ひとりの「生活の質」を確保することに重点をおく、「持続可能」な都市づくりを目標とするはずである。
討議中二ューヨークと東日本大震災被災地の実際例を手掛かりとして、各グループは日本が選択すべき都市像について、危機管理と住みやすい都市の提言や、コンパクト化都市への異議などをそれぞれに構想した。その同時に、リスクを直面する時の現代都市の脆さも十分に認識し、安心・安全な都市ビジョンを目指す時の、監視社会の強化によりコミュニティの崩壊などの諸困難を挙げられた。
2014-06-24 15:18 : 『都市のリアル』(14年度学部ゼミ) : コメント : 0 :
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