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『都市社会地理学』 第5章 レジュメ

『新版 都市社会地理学』
第5章 空間的枠組みと制度的枠組み

本章の課題
  1都市構造は法律・行政・政策によってどのような影響を受けているか
  2大都市の細分化の帰結は何か
  3都市の制度的な構造は民主主義の機能にどのよな影響を与えているか
  4都市において権力はどのように配分されているか

・都市の物的・社会経済的パターン/社会-空間弁証法の産物であり、社会空間的な現象のプロセス
→社会的行動の産物であると同時にその媒介物。選挙区や法律など空間的制度的枠組みの中展開され、私たちは意識的・無意識的に影響を与えている。

5-1公的機関と私的生活の相互依存
・資本主義的民主主義の出現/伝統的社会は再構築され、近代的都市社会の基礎が築かれた。核心は、新たな政治経済を促進、調整する公的機関の成長と変容にある。 ※背景…市民のニーズの変化

近代社会組織の4つの基本カテゴリー
→市民、市民社会、経済、国家
 …公共の創造に参加する、政治領域における重要な機能的要素

・市民権/相互義務を伴う合理性をもった個人とコミュニティ(国家)との関係を表す
前近代的社会…権利(特権)⇔君主への忠誠
近代社会都市…権利⇔国民国家の境界 

     ▽

市民・非市民を定義する必要が出てくる。初期:資産のある白人男性に限定
家父長制による女性の排除   公的な男性⇔私的な女性
人種差別による少数派の排除
「自由経済」による非財産所有者の排除

・法律/社会的な力と空間的な状況の産物であるとともに、生産・再生産の主体であり、立法府によって抽象的に成文化され、各機関によって具体的に適用される。
※場所と権力の相互依存性
さまざまな共同体が法律通して、場合によっては特定の社会的価値観・道徳的判断を伴いながら法的空間の枠組みを形成する。
(例) 人種別学校                 …違法
    人種制限条項のある土地売買契約       …違憲
    排他的ゾーニング              …無効
    自治体による「公共の利益」のための土地利用 …確立

・都市統治の性質の変容/公共圏に集まる人々の変化が都市の物的形態や社会地理に直接的な影響を与えるようになる。

都市統治の発展
①19世紀前半:功利主義に基づく実質的な無政府状態
②19世紀後半:種々の混乱に対処するための自治体社会主義の導入
              →公権力の増大による都市政府の腐敗
③~1940年:自治体による福祉領域の活動の拡大
→議会の構成が変化…労働者政党の登場
④~1970年:都市化の裏での敗者・被搾取者による組織的団結
→都市統治の複雑化によって、都市統治が専門職から成る巨大な官僚組織へ依存
⑤~21世紀:大都市の物的老朽化と財政圧迫による自治体の弱体化
→多くの機能と責任を民間へ委譲。地方政府は従来の役割であるサービスの供給・規制という役割よりも経済的発展が重視されていく。
※裕福なコミュニティでは私的な政府が出現する
⑥21世紀初頭:アジェンダ21
→補完性原則(最も適切なレベルへの意思決定の委譲)を通じた、都市の、経済の持続可能性を重視した政策がとられるようになってきた。
    ▽
地方政府の権限強化と、それへの民主的参加の必要


5-2法的都市空間

・現代の大都市「行政域の分割」/多目的な地方政府の行政域と、単一目的のための特別行政区といった複雑な空間の分割が行われている。利点として行政域の細分化により地元のニーズに敏感になる
⇔複雑な行政、政治的混乱、非効率な公共サービス分配
⇔高コストの官僚制、サービスの重複、政治の矛盾

※米国における自治体の乱立
 社会集団間の政治紛争を抑制することにつながっているが、都市圏全体をカバーする政治が欠如することを意味する。「複数の集団が同一の政治制度の中で政治危機感を共有する場合には政治的な違いが表面化しやすい。」(Newton,1978,p84)「大きな問題に対する政治機構が欠如するため、些細な問題で毎日が過ぎてしまう井戸端会議のような偏狭な政策になってしまう。」(Newton,1978,p86)

・財政不均衡/大都市の都心部の自治体はサービス需要が増すが財源・資源が不足。インナーシティの環境老朽化(防火対策)、取り残された高齢者や低所得者(高水準の福祉サービスや保健施設、防犯のための警察予算)。郊外居住者が中心市で就業・買物をすることによりさらに悪化しているという指摘もある。
→郊外搾取説

・財政重商主義/各世帯の、支払能力に応じた公共財の「メニュー」に注目した居住地選択自治体による大がかりな住民の選別が意図的に行われているという認識
→土地利用ゾーニング、大区画ゾーニング
※低所得世帯は、課税対象資産が少なく、公共サービスのニーズも大きい=高コストの住民

・社会空間的不平等/財政重商主義の中で顕在化する資源をめぐる争いは、公共サービス供給における自治体間格差の原因と結果
→大ロンドンにおける高齢者サービスの事例


5-3民主主義の基盤とその空間的枠組み

・都市政治への受動的態度…
①現在の体制によって自分の利益が十分守られているため行動する必要がないと思っている
②自分の利益が政府により無視され、犠牲になっているがどうしようもないと感じている
       ▽
民主主義の基盤の歪み
・定数不均衡
・ゲリマンダー
・擬似政治構造/企業団体、労働団体、ボランタリー集団など、しばしば政府を通して活動するために政治化しているインフォーマルな団体。
→操作された都市仮説:都市=民間利益団体の連携が有利な資源配分を実現するために法的制度的枠組みを操作できるような配分システム
・企業
・労働界
・市民団体と特殊利益団体
・住宅所有者組合
・都市社会運動/不利益を被っている集団が都市問題に対して何らかの力を行使することが可能なのか…伝統的には×
※1970年代の財政危機による共同消費の供給困難が、官僚テクノクラートと市民社会の形式的制度に対する不満→底辺層に加えて熟練労働者、下層中流階級、若年中流階級を巻き込む社会運動を引き起こす。

5-4コミュニティの権力構造と地方政府の役割

・都市の権力構造の古典的2類型/一元的構造…地方中心都市アトランタ。権力エリート=確固とした意思決定集団。
多元的構造…ニューヘブン。権力エリート=多数存在する影響力を持つ権力者群の1部。
※アメリカ 一元・多元⇒政治体制の発展と連続

・体制理論/利益集団の連携が都市にどのような結果をもたらしているのかをあきらかにしようとするもの。
   ↓
特定の課題を解決するための政治的企業家と一体になった「成長志向連携」
※都市官僚は達成が見て取れるような政策を遂行できるような連携を求めるため、形式的な権威ではなく交渉による統治体制へと変化階級的・人種的断裂⇒社会政治的断裂 ex)環境主義者、新自由主義者…
                ▽
都市を広い視野でとらえ、都市の空間構造と社会制度を関連付ける必要

・マルクス主義理論/あらゆる社会現象が支配的生産様式に関係
=社会的上部構造を生み出す経済基盤
       ↓
=生産体系以外の全ての要素

・上部構造としての都市の機能/資本主義の要求を満たすこと
経済基盤の永続化に必要な条件を提示すること              =資本の循環と蓄積

労働力と資本の関係の社会的再生産と、それに結びつく社会構造を安定させること。
※しかし都市は同時に資本主義社会の矛盾を内包

・マルクス主義理論批判/行為主体の人間の影響力に対する認識が不十分
→人間は独立して思想や行動を生み出す存在である

・地方政府と社会/地方国家の目的に対する3つの見解
①マネジャリズム:地方政府は官僚に支配されている
②構造主義:中央、地方政府はともに力関係に対応した行動をとる
③道具主義:地方政府は企業エリートの道具である

※マネジャリズム
専門的意志決定者の行動・イデオロギーに注目することが都市の社会空間的過程の解明に役立つ⇔地方エリートと圧力団体の影響や中央政府による経済・政治的制約の認識の不十分さ

      ▽

構造主義、道具主義の見解が注目

・構造主義、道具主義に共通の政府機能の認識/生産と資本蓄積の促進
共同消費による労働力再生産の促進
社会秩序と社会統合の維持促進
両者の違い→政府は誰のためにあるのか、階級的な偏向があるのか、外部の政治圧力をどの程度反映しているのか。

・Lambethによる構造主義に基づくロンドン研究/企業的経営とコミュニティ開発
        
・レギュラシオン理論/マネジャリズム、構造主義、道具主義の折衷。

・福祉多元主義/福祉分野の統治において、サービスの提供者が多様化する動き
 →「影の国家」(Wolch)

              ▽

国家の最変に伴って市民権の概念を再構築する必要

5-5都市における社会的正義の問題

・正義の概念/時代と場所、人々によって異なる
→異なる社会的正義の概念が生まれる生活世界を作り出す物的道徳的基盤の調査

・社会的正義に対する解釈/積極的法解釈
 ⇔功利主義的解釈
 ⇔自然権的解釈  ※道徳的・理論的ジレンマ

   ▽

Harveyによる6つの提案
    




論点

◇本書の記述にあった「ゾーニング」について、高コストの住民を排除しようとするものの他に、都市を発展させる際によく用いられる機能別ゾーニングがあるのだが、これについて「都市環境緑書」(1990年、EU欧州委員会環境政策総局)では、「機能都市を単機能でゾーニングしてきたことが、都市の中で肩を寄せ合った経済や社会、文化、政治が相互にぶつかることによって生まれるダイナミズムというようなものを近代都市計画というものが押さえ込んでしまった。」と指摘している。レオナルド・ベネゴローが中世都市の発展を支えた4つの要件なるものを提示しているが、その1つで先ほどの都市内部のぶつかりあいによって生じるダイナミズムが与える影響について高く評価している。

→4つの要件はあくまで中世の、しかも西欧における都市の発展を支えたものだが、現代の日本の都市にこれを生かすことはできないのだろうか。

2006-06-20 12:16 : 『都市社会地理学』(06学部ゼミ) : コメント : 0 :
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