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地域の社会学 第1章 〈地域〉へのアプローチ

第1章 〈地域〉へのアプローチ

キーワード:〈地域〉・多義性・多重性・家族・共同処理・「中流」意識・生活互助・「共」・〈住民〉自治

★前置き★
→〈地域〉という表記は、社会学的概念として明確化する第2章まで使用される。

★本章の目的★
→〈地域〉をテーマとするテキストの多くが〈地域〉の重要性を自明のものとして解説を進めている。しかし実際は、私たちの〈地域〉に対する意識や関わりはあまりない場合が多い。では、私たちは〈地域〉を無用、関わりがないと日常では感じていながら、それでもなお〈地域〉が重要だと言えるのかを問い直し、現代における〈地域〉の重要性について議論する。

1.混乱する〈地域〉のイメージ
1-a)〈地域〉という言葉の多義性
★よく耳にする〈地域〉がついた言葉:地域社会・地域生活・地域問題・地域住民など
→〈地域〉は日常生活において重要な意味をもっている!
⇔意味内容の確定は困難!
 =人々そのもの・結びつき・空間・空間における施設・サービスの配置状況など
 →これらすべてを包含する場合もある…
 →〈地域〉と言う言葉には多義性がある!
 =一つの視点からでは捉えることは不可能!

1-b)〈地域〉という言葉の多重性
★指示する空間的範囲:きわめて曖昧・広大(例:隣近所・ご町内・市町村・都道府県…)
→話の文脈に合わせて〈地域〉の空間的範囲が縮小‐拡大する
             +
 聞き手・話し手も理解の範囲で相互に空間的範囲を縮小‐拡大し了承
=〈地域〉という言葉は多重性も持つ!
→人々が持つ多様な実感を1つの言葉に表現できる稀有な日常用語

1-c)実感する〈地域〉の重要性
●多義性・多重性がありながら日常生活で頻繁に使われる〈地域〉という言葉
→〈地域〉は日常生活に密着・不可欠・根ざした言葉。
→居住地を含む社会・空間を指示する点において一貫。
→人々は〈地域〉の重要性を実感として捉えてきた
=居住する空間と社会に何らかの関わりを持たざるをえない

1-d)居住地としての地域
●労働によって報酬を得ることを基軸にする日常生活=就労者に限定
              ↕
●住むことを基軸・原点とする日常生活=すべての居住者が経験
→居住を軸とする日常生活の舞台は今日中を軸として拡がる社会関係と空間を舞台に展開
→この社会関係と空間こそが人々が語る〈地域〉そのもの
→〈地域〉を重要視する要因

1-e)可視化する「地域」:まちづくり
例:地方小都市における古い町並みの景観保存:「小京都」
→訪問者の感想:「町並み保存に対する努力はすごい」など…
=〈地域〉の存在・活動の成果が可視化
→町並みの保存・再生:〈地域〉と密接な結びつき
→社会関係と空間の基礎的単位として〈地域〉が重要な役割を果たす
            ↓
★城下町から続く小都市:土着の自営業主が集住する〈地域〉
→居住を軸とする生活と職業を軸にする生活とが重なる
→職業における共同の問題(例:集客・観光地化など)が直接〈地域〉の問題になる
→住民からまちづくりのあり方を提起しやすい
⇔変化を嫌う伝統主義ものこる
→利害調整は簡単ではない
★このような共同で解決すべき問題は「町並み保存」の城下町に限らず、どこにでも存在する!

2.〈地域〉への関係の縮小
2-a)生活圏の拡大
★現状の私たちの日常生活:〈地域〉の重要性は低下
≪背景≫
●1日の行動範囲は〈地域〉の範囲を大きく超える
●〈地域〉で過ごす時間が大幅に低下(サラリーマン・10代後半~20代の若者にとって〈地域〉は寝るための場所と化している。)←大都市ほど職住分離は進んでいる
→少しも〈地域〉が見えてこない日常生活が拡がっている

2-b)2つの実感の乖離
★多くの未婚の青年男女:〈地域〉を超えて生活
→〈地域〉とのつながりが希薄化
★〈地域〉の重要性を実感しつつ、同時に〈地域〉の無用性を実感
→その乖離をいまや「常識」として私達は受け入れている!

2-c)無用性実感の拡大
先述の乖離:実感する無用性の方がはるかに強く意識される
→住民の〈地域〉への関与の低下へストレートに結びつく
≪背景≫
●都市・都市近郊への人口流入・匿名性空間の拡大
→日常行動圏・生活時間配分の比重が〈地域〉外へ
●〈地域〉における共同の生活問題に対する住民による共同処理の縮小

2-d)都市的生活様式と地域
★住民による共同処理の大幅縮小
背景その1:都市的生活様式の拡大・高度化
→共同の生活問題解決を行政・サービス業に任せる
→住民の相互扶助による処理を省略
=住民の〈地域〉への関与が縮小

2-e)家族の構成的変化
★住民による共同処理の大幅縮小
背景その2:家族における構造的変化
→1950年代後半~1980年代前半:核家族化
       ↓
 1980年代後半:高齢者夫婦のみの世帯増加
★核家族化の進展は「家」と〈地域〉とのつながり方を大きく変化させた!

2-f)家族と〈地域〉のつながりの変化
★1950年代前半までの「家」:半開放的家族システム
→(例)・家長:家長のみが集まる集会に参加
   ・嫁:嫁のみが集まる集会に参加
→「家」成員それぞれがそれぞれの地域集団に所属
→村の共同問題を分担して共同処理
=「家」と〈地域〉との関係は具体的で密接
★1950年代後半以降:〈地域〉に対して閉鎖的に
核家族:夫婦と未婚子女のみから成立・プライバシーを優先
→〈地域〉に対して閉鎖的
=これまでの「家」と〈地域〉間の仕組みに変化
→家族と〈地域〉のつながりの希薄化
→地域集団の衰退
→地域問題解決における、行政・サービス業に対する高度依存
→住民による共同処理の大幅縮小

3.今、なぜ〈地域〉は重要なのか
3-a)暮らしを支え合う地域の機能の変化
★前章までの内容以外で〈地域〉と人々のつながりの希薄化をもたらした可能性があるもの
→大多数の人々が「中流」意識を持つ社会
 例:「隣近所の助け合い」の衰退:日々の暮らしに困ることがないため
→地域内での相互扶助:人々が〈地域〉を具体的に実感する出来事
=プライバシーより日々の暮らしを優先せざるを得ない時代の話。
→お互いの距離の取りかた・ルールなどは長年かけて培われていた
★生活水準の向上(=中流化)
→相互扶助が不要化(助け合わなくともカネさえあればサービスを受けられる)
→〈地域〉が有する生活互助機能が衰退

3-b)〈地域〉に対する関心の高まり
★〈地域〉とは一体何かはますます曖昧になっている
⇔〈地域〉への関心・重要性への認識は高まりをみせている
→●〈地域〉は今でも居住地として重要であることは間違いない
 →〈地域〉が人々にもたらす影響・人々が〈地域〉にもたらす影響の解明
 =都市社会学・地域社会学の基本的使命
 ●近代社会システム(例:グローバル化・・環境問題・現代政治システムの限界等)の改革に〈地域〉の再生が不可欠であるという認識
 →〈地域〉の重要性の再発見

3-c)新しい〈地域〉イメージの構築に向けて
★グローバル化の進展における負の側面:社会的不平等の拡大
→●〈地域〉内では階層・エスニシティによる居住地のすみ分け
 ●〈地域〉内における紛争の増加
→〈地域〉の変化はグローバル化の1つの帰結
★高齢者・障碍者・子育て支援のネットワーク作り
→●旧来の〈地域〉イメージでは新しいシステムは構築できない課題
              +
 ●行政という専門処理にすべてを委ねてはならない課題
★新たな〈地域〉イメージの構築へ
→①〈地域〉を政治や行政サービスに拮抗しつつ協働する〈住民〉自治の社会的空間へ
 ②近代社会システムの限界=専門処理(行政)の限界
 →住民による共同処理を拡大することを中心とする〈地域〉システム改革の必要性
 ③〈地域〉の空間的範域を明確化
 →政治・行政との関係性・住民自治の拡大・新たな社会システム・処理システムに対応した範囲
★近代社会システムの限界打破・住民自治の拠点としての新たな〈地域〉イメージが求められている!!!

4.まとめ
★〈地域〉の基本的重要性:居住地に拡がる社会―空間
⇔生活圏拡大・都市的生活様式の高度化・生活水準向上・家族編成の変化
=〈地域〉の無用性を実感
      +
 〈地域〉の諸問題を行政に依存して解決・処理することが当然という認識が一般化
→自治能力が低下
    ↕ …ミスマッチ発生→解消が緊急の課題・急務。
 協働のニーズの高まり
 →政治・行政との関係性・住民自治の拡大・新たな社会システム・処理システムに対応した範囲で〈地域〉の空間的範域を明確化すべき
★近代社会システムの限界打破・住民自治の拠点としての新たな〈地域〉イメージが求められている!!!

5.論点
論点①:
〈地域〉が抱える課題に関して、限界集落等の農村部集落と都市・都市近郊部との間にどのような共通点・差異が存在するか。
論点②:
近代社会システムの限界打破・住民自治の拠点としての新たな〈地域〉イメージを考案してみよう。(農村部・インナーシティ・都市郊外部:各グループで1つ選択)

<班の議論の紹介>
<第1班>
●論点1
農村・郊外・都心ではそれぞれ、福祉・教育・経済・インフラなどコミュニティの生活に関わる様々な問題がある。そしてそれらはコミュニティ自体の問題とも相互に関係している。農村・郊外・都心によって、インフラの整備具合、財政基盤、人口規模、制度は異なる。しかし、共通するものとして、高齢化や学校・保育施設・介護施設の不足という問題がある。またコミュニティ内の人間関係における問題として は、「村八分」という意識が特に農村や郊外で見られる。また人間関係の希薄化は、人口減少の農村でも個人化が進む都市部でも見られる。

●論点2
ここでは、「地方都市郊外の農村と住宅地が混在する地域における課題」と具体的なモデルケースを想定した。その中で社会的弱者が含まれる高齢者・子ども・低賃金or失業中の単身者が直面している問題について、コミュニティ・制度・経済の面から例を挙げた。そしてこのような問題について住民が自主的にどう解決を図っていけるかを考えた。
高齢者については、コミュニティ面では老老介護、制度面では医療の未発達や介護施設の不足、経済面では年金不足などの問題がある。子どもについては、コミュニティ面 では遊び場や安全確保の不足、さらに家庭内の状況が地域に対しクローズされていること、制度面では待機児童や教育格差、経済面では教育費の増加といった問題がある。そして単身者については、コミュニティ面では人間関係の希薄化や居住地分断、制度面では社会保障サービスの不足、経済面では収入の不安定さや仕事がないといった問題がある。この3者には貧困のリスクがつきまとっており、産業が空洞化する地方の現状も背景にある。
上記の問題への対処法として、まず見守り活動などを元気な高齢者が行っていくことが挙げられる。高齢者と子どもの両者の遊び場を提供したり、子育てサロンを整備していくこともできる。子供会や放課後学童保育などもあるだろう。こうした地域活 動は以前から行われてきたが、地域企業などと協力してサービスとし、仕事の無い単身者の雇用口とすることもできる。企業が住民の自治的活動と連携し、個々の住民の情報を把握して行政に報告することで、行政もきめ細やかなサービスが可能になると考える。

<第2班>
論点①:
〈地域〉が抱える課題に関して、限界集落等の農村部集落と都市・都市近郊部との間にどのような共通点・差異が存在するか。
⇒まず、地域が抱える問題について挙げてみることにした。その後「都市部ならでは」「農村部ならでは」「都市部・農村部共通」に分類した。さらに地域問題は「人」が関わるもの、「設備」が関係するものの2つに大別できることが分かった。総じて言うことができるのは、新住民と旧住民との間に壁があり、交流が希薄だということだ。地域の高齢化、自治会が面倒だという認識などが結局は地域問題を話し合い解決する場をなくしてしまい、トラブル発生が発生したり、トラブルが解決しないことに繋がっている。

論点②:
近代社会システムの限界打破・住民自治の拠点としての新たな〈地域〉イメージを考案してみよう。
⇒当班では郊外をイメージして議論した。戦前においては強力な住民自治組織があったため、行政への依存度は低かった。しかし、戦後期に入り、イエ制度の崩壊・核家族化・高齢化などによって地域の関わりが希薄なると、住民問題解決(ごみ問題など)における行政への依存度は大きく高まった。このことで住民の地域に対する関心も低下し、近隣トラブルなどが発生が増加した。このことによって地域の問題が可視化する。ここで住民同士が嫌がらずに面と向かって問題を解決することが出来れば、地域への関心も芽生える。しかし、ここでも行政に問題解決を外部化してしまうと、「無関心のスパイラル」が生じ、いつまでたっても地域住民がすんでいる地域に目を向けることはないだろう。地域問題に面とむかって立ち向かうことで意識改革が出来れば、住民が団結して組織化し行政と対となることが可能になる。ここから「ローカル・ガバナンス」がすすむのではないだろうか。また、このとき行政は住民をサポートする立場に回り、行政にしかできないことで住民をサポートしていくべきだ。また、この「ローカル・ガバナンス」が可能な地域は、小中学校の登校班・「丁目」レベルではないかと私たちは考えた。

<総合司会コメント>
〈地域〉について、論点①では〈地域〉が抱える問題を、論点②では現代にフィットする新たな〈地域〉イメージについて議論した。
〈地域〉が抱える問題は、たとえ場所によって異なるように見えたとしても、根底には共通するものがある。しかし、その解決方法こそ〈地域〉の色が出るところではないか。例えば、郊外と言えど、それぞれに特色があるはずである。それも考慮して新たな〈地域〉システムを創造することは実に興味深い。
この先、私たちに〈地域〉の問題解決の機会が与えられたならば、ぜひ本日の議論を活かしたいものだが、そもそも、私たちのような大学生こそ、多くの時間を〈地域〉の外で過ごし、自分自身の〈地域〉に疎い存在ではないか。学んだことや、有り余る体力を無駄にせず、還元できる〈地域〉はないものか。その〈地域〉システムを私たちの目線で提案してみても面白かったかもしれない。

2015-05-01 21:22 : 『地域の社会学』(15年度前期学部ゼミ) : コメント : 0 :
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