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グローバル・シティ 第2章 分散と新しい形の集中

第2章 分散と新しい形の集中

1.グローバル化と資本の再編
グローバル化にとって重要な地域、産業、そして制度的な取り決めを明らかにし、それらが従前のものとどう異なるか考える必要がある。それには、「資本の移動」とはなにか知らねばならない。→資本移動の表れだとされている経済活動の地理的な分散だけではなく、①集中、②大量の資本の国際移動を通じて剰余価値を生み出しているものが再編されていること、③所有について分析しなければならない。
所有の多国籍化を進めているのはおもに、かつての産業の中心地からの資本流出、新興工業国への資本流出。これまでの研究では、資本の移動と「場所」の関わりは、場所を問わず移動できる資本の性質をもとに論じられることが多かった。ex.先進国から発展途上国への製造業の移転
しかし資本の移動は、移動しやすさだけではなく、技術的な条件も必要とする。→資本を移動させる技術であったり、世界中に分散した生産システムを支配し続ける力
資本の可動性が高まると、生産が行われる地域や金融市場のネットワークに変化が起こるだけでなく、経営管理や支配、生産・金融の新しい組織へのサービス提供を確かなものにしておくための生産への需要も生まれる。こうしたさまざまな生産がじっさいにどこで行われるかは、生み出すものの種類によって異なっている。⇔いずれもかなり集積する傾向にある。
資本の可動性が高まって影響を受けるのは生産だけではなく、雇用関係も再編される。→産業の空洞化の原因であり、結果でもある労働市場のダイナミクスや、輸出加工区に設けられた低賃金労働者を雇える飛び地という点から注目されてきたが、資本の可動性という視点で雇用関係を分析したものはない。

2.資本の可動性と集塊(アグロメレーション)
大企業が生産をグローバルな規模で行うには、ある種の経済的な国際体制が必要である。一般に、トランスナショナルな経済活動という新しいロジックは、多国籍企業という形をとって1970年代に姿を現し始めたといわれている。1970年代以降、製造・サービス・金融で資本がどういった形で動いたのか分析すれば、世界経済の編制のされ方と、その具体的な特徴が明らかになる。
製造が行われる場が地理的に広がりはじめたことは、1980年代を際立たせる特徴の1つである。資本移動という問題が前面に出てきたのも、この時代に地理的分散が起きたからであった。この年代から、海外で生産あるいは組み立てられたパーツが、総仕上げのために再輸入されることが増えた。→生産プロセスの国際化 工場が位置する国ではなく、資本を提供する国向けの生産が目的の場合には、対外直接投資は輸出向けの生産にたいして行われることになる。これは生産のネットワークが、先進工業国の企業によってグローバルに作られていることを意味している。
製造業の地理的な分散には、技術的な要因だけではなく、社会的な背景もある。技術面だけでなく社会的にさまざまな変化がおきたことで、分散が進んだということである。低賃金労働を最大限に活用し、資本家に対する労働者の力を補強するようなメカニズムが働くのを最小限にくい止められる関係が理想的である。「分散」にはこのような意味も含まれる。
資本移動を語るうえでポイントとなるのは、対外直接投資や吸収合併、ジョイント・ベンチャーを通じて、巨大企業による所有と支配が多国籍化してきていることである。
日本の今後の展開を読むには、日本の経済構造を考慮に入れた分析が求められる。→具体的には、日本で経済再編が進むなかで、①さまざまな製品の生産拠点は海外へ移り(衣料品や自動車部品など)、②重化学工業からハイテク・知識集約型産業への転換が起き、そして③日系の海外金融機関が設立されてきた。海外の日系メーカーで働く従業員が急増したことは、それだけ日本企業の国際化が進み、海外生産も増えたことを意味している。
企業の展開をコントロールしている組織の形はいくつかあるが、そのうちの1つは、世界中に散らばる海外関連企業のグローバルなネットワークである。
経済活動の地理的な分散は、生産だけではなくオフィス業務の組織編制にもみられる。オフィス業務の分散傾向がもっとも著しいのはアメリカで、イギリスでもだんだん表面化しつつある。ex.海外オフィスへの日常業務の移転
経済活動の分散が進んでいるもう1つの分野はサービスであり、専門的な起業者サービスが国境を越えて提供されるうえでは、多国籍企業が重要な役割を担っている。→多国籍企業は企業者サービスを供給する側と必要とする側のあいだに立ち、両者を満足させることができるから
経済活動の地理的分散が進んでいる3つめの分野は、小売業である。→具体的には、経済活動の集積が進むなか、大企業が消費者サービスの販売に乗り出したことで、分散が促されている。大企業が入ってくるということは、消費者サービスの供給に規模の経済が発生し、その分野の市場が広がるかも知れない
経済活動の地理的な分散は、「成長の極」である成長拠点が置かれる場が変わったことを意味している。→成長する場が散らばってきている。⇔経済大国では、資本の余剰が生じるのは、所有や支配の多くを1カ所に集積させている経済セクターである。
大企業は規模の大きさを活かし、取引や流通にかかるコストを内部化できたので、資本の流通を邪魔するものは減り、利潤率を均等化することができる資本の能力は高まった。
分散した経済活動を支配するためには、計画立案やトップレベルでの経営管理、専門特化した企業者サービスなどを投入するシステムがなくてはならない。
1970年代には、世界中で新しい地域市場が開拓されたり、母国での規制を逃れて海外で金融取引が行われるなど、金融業で分散の傾向が現れた。製造やサービスとおなじく、金融業でも経済活動の範囲が飛躍的に広がり、第三世界も巻き込まれた。
1980年代に、債務問題が登場して、おもな金融センターへの志向性や集積がふたたびみられるようになった。→現在重要なのは、金融商品の売買を繰り返すことで、金融資本の流通を最大化すること

3.資本の移動と労働市場の形成
資本の可動性が高まると、労働市場の形成やグローバルな労働力の規制ははっきりと影響される。
経済活動の地理的な分散が進むなかで、生産が空間的・社会的にどう編制されているかも変わってきた。→「周辺」の労働市場が利用可能に
「周辺」では、労働が生産の段階に応じてこまかく差異化されたままである。→供給される労働力が今後も構造的に差異化されつづけていく
分散とは結びつかないのは、その地点で完結するサービス職
移民労働者の雇用は資本の可動性の替わりとして機能しているのではなく、むしろ資本の移動に伴って生じたもの→資本が国境を越えて移動することで労働市場は国際化するから←技術さえあれば誰でも採用される、労働者の移動にも影響
資本の移動から生じる労働者の移動には、非熟練労働者と専門職労働者の場合を別パターンで表している。

まとめ
資本移動とは、たんに場所を選ばず移動できること「資本の移動=地理的な移動」だけではない
①資本の可動性が高くなると、経済活動が地理的に分散するだけでなく、集積が新しい形で起こる。
②資本の移動は経済活動の地理的な分散をもたらすだけでなく、地域を形づくっているさまざまな関係をも変える。
今日の大都市の成長を理解するうえで、経済活動の地理的な分散と集積が同時に起きていることは、見逃してはならない。
こうした状況で分散が進んでいくなかで、「センター」が管理や支配を引きつづき行うには、新しい条件が必要とされる→実証研究

<論点>
論点①言葉さえ通じればどの国でも働けるグローバル化した市場において、専門職労働者と非熟練労働者の移動方法はパターンが異なると書いてあったが、彼らをそれぞれ移動させる動機は何か。Ex.待遇の良さ、充実した雇用
論点②経済活動の地理的な分散と集積の因果関係は、人々の日常生活にどのような影響を与えるのか。

<第1班>
論点①については、専門職労働者と非熟練労働者の2つのグループに分け、移動の動機の違いについて、社会的要因と個人的要因に分けて議論した。専門職労働者の移動の動機の社会的要因には、治安・待遇の良さ・労働環境・教育環境の良さといった「都市に関する魅力」のプラス要因、会社の方針・グローバル教育による洗脳といったマイナス要因が挙げられた。個人的要因には、地位・名誉・高い目的意識・やりがい・自己実現といった前向きなものが挙げられた。一方で、非熟練労働者の移動の社会的要因には、個人的要因には同郷者の存在・自分の生活のためといった後ろ向きなものが挙げられた。尚、非熟練労働者の移動の要因として、高賃金・作業の効率の良さが挙げられたが、これは生活に追われていると想定される非熟練労働者の最低限の要求とみなし、社会的要因にも個人的要因にも属さない要因とした。専門職労働者と非熟練労働者の移動の要因の最大の違いは、「最低限の生活が保障されており、高次元の自己欲求を満たしたい」か「生活に追われており、自己実現などを考える余裕もないかどうか」であると結論付けた。

 論点②においては、移動に伴う変化として、慣れるものと慣れないものに分けた。(仮に時間がかかろうと)慣れるものとして、慣習・言語・マナーをはじめとする文化の違いを挙げ、慣れないものとしては物価・選挙権がないこと・社会保障の薄さといった社会的権利を挙げた。慣れるかどうか個人差によるもの(考え方・人間関係・ストレス)はどちらにも属さないものとした。そして、それらの変化に対する反応として、専門職労働者は「慣れたらよい」あるいは「必ず帰れるのだから耐える」という肯定的な反応を示す一方で、非熟練労働者は「慣れるしかない」という消極的な反応を示すと報告した。この反応の違いの背景には、移動した経緯が生活に追われているかどうかによって異なる、故郷との距離感が存在すると結論付けた。

<第2班>
【論点1】
経営コンサルタントに代表される専門職労働者と、接客業などに従事する非熟練労働者における市場のグローバルな移動の要因として考えられるものを以下の3点を軸に分類した。①専門職労働者特有の要因、②非熟練労働者特有の要因、③両者に共通してみられる要因、である。労働者の移動を促す要因は、その職種を問わず共通であるものが多いと考えられ、3つ目の軸に該当するものが多かった。
また、3つの軸それぞれに見られる要因は「金銭」「職場」「社会環境」「自己実現」という4分類にグループ化できた。「社会環境」グループの要因は、両者に共通して言えることが多かった。非熟練労働者特有の要因として挙げられたものは、「職場」「社会環境」グループの中でも雇用機会に関するものが目立ったが、「自己実現」グループの要因は挙げられなかった。反対に、専門職労働者特有の要因として挙げられたものには、「自己の能力を発揮したい」「自己価値の向上」といった「自己実現」グループの要因が特徴的であった。

【論点2】
 労働者の移動に伴って日常生活で変化するものについて議論した。移動に伴い変化するものは、「今後も変化していくもの」と「今後変化しないもの」の2つに大別できた。
 「今後も変化するもの」としては、個人の能力・賃金・生活様式、家族との関係が挙げられた。唯一悪い変化だとみなされたものは、家族との関係のうち「親孝行ができない」という点であった。
 「今後変化しないもの」としては、新しい国の中での競争、他言語での生活、新規コミュニティでの生活が挙がった。これらは良い変化だと判断されたが、故郷を懐かしむ気持ちはネガティブな側面を持つとの意見も上がった。
 また、家族を除いたコミュニティの変化は、本人の努力次第で今後も変化する可能性を秘めている。これは一概に善悪の判断はできない。
 
<総合司会コメント>
今回の議論で一番難しいなと感じたのは、専門職労働者と非熟練労働者という聞きなれない言葉について、班員全員が同じイメージを共有することである。議論をするうえで、まず前提をおさえるのは当然かと思われるが、とくに非熟練労働者という言葉については、なかなかうまくいかなかったように思う。というのも、私たちが大学まで進学し、比較的専門職労働者になる可能性が高いライフ・コースを歩んでおり、本章で言われるような非熟練労働者との接触の機会をあまり持たないからではないか。それによるイメージの欠如が議論に反映されてしまったように思える。貧困やそれに関連するものごとについて議論するときにはいつも思うのだが、どうしても議論が机上の空論状態になる気がする。そしてそのたびに、自分とは違う境遇の他者についての理解がどれほど疎かになっているのかを思い知らされている。
2015-05-12 20:46 : 『グローバル・シティ(サッセン)』(15年度前期大学院ゼミ) : コメント : 0 :
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