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地域の社会学 第4章 地域に生きる集団とネットワーク

第4章 地域に生きる集団とネットワーク

地域という場において人々が織り成す社会的な関係に注目する。
・現代の都市生活において「地域」はどのような意味を持つのか。
・一見、自由に展開している私たちの社会関係は、地域という空間的な範域とどのように関連していると考えればよいか、あるいは考える必要はないのか。


1. 人と地域の関わり
・すべての相互行為は空間という土台のうえで物的なメディアを介してなされる。
→しかし、社会学の古典的な概念では人と人とが結びつく空間を見落としてしまう 。

・人間が地域という空間と関係する在り方
①地域と長期的に結びつく在り方(定住)
②短期的にしか結びつかないという在り方(流動)
→基本となるのは住居であり、現住所。

・上記①②の空間の理解は①’②’につながる。
所有:特定の土地・空間との比較的長期にわたる関わりを前提(地方での生活で優先)…①’
利用:特定の土地・空間との関わりは一時的である場合が多い(都市部で優先)…②’
→両者が互いに刺激し合い、地域生活が展開してきた。
→つまり、人と空間との関わりは個別的に想定できるものではなく、常に社会的に行なわれるということ。

・特定の個人と特定の空間との関係は常に他の人々との関係を前提として成立している。
=特定の空間の成立はその背後に独特の社会の存立を予測させる。
→私たちが織り成す社会的つながりは、地域と無縁であるどころか、実は地域という空間そのものを構成するものにほかならない。
→都市空間をめぐる人々の社会関係も決して単純に地域と無関係に展開しているのではなく、必ずしも特定地域に累積しないようなかたちで都市空間と関連し、むしろそれを構成的に生み出しているとみるべき。


2. 制度、組織との接点
・「個人→集団→組織→制度」という区別は具体的な人間の身体からもはやそれには依存しない社会的な構築物への一連の展開を念頭においた社会学の古典的な概念。
個人:人と人との社会的なつながりの最小単位。
集団:複数の特定の個性ある個人が集まって持続的なつながりが生まれたもの。
組織:集団が、決められた役割を果たす個人であれば誰でも良いような形にまで形式的に整備されたもの。
制度:複数の組織からなる全体的な関連が、通常は文書によって規定されることで、恒常的に確定されるようになったもの。
→社会学はこのなかでも、集団や組織の分析を得意とするため、地域的な集団が存在しなかったり、あっても重要視されないようになると「地域」を捉えることが難しくなった。
→新たな視点として登場したのが「ネットワーク分析」の視点。
→しかし、「ネットワーク分析」は「制度」 の関わりという視点に補われて初めてその潜在能力を発揮する。(筆者の主張①)

・現実の地域に展開する社会的な関わりの世界を捉える場合に、たんなる集団レベルの分析だけでなく、それらの集団を形成する機縁となった制度や組織との関係が浮かび上がる。
→また、それらの一つひとつについて特定の地域的空間と持続的な関係を結ぶのか否か、という定着と流動という視点も組み合わせていくならば、かなりのことが見えてくるはず。

・戦後、自ら判断し責任のとれる強い個人の成熟が民主主義社会の前提として求められたが、いまや再保守化の延長線上で自己責任が強調されるというかたちでいやおうなくそのような個人への転換が前提とされている。
→しかし、そのような個人の成立がどのような社会的つながりによって支えられるのかという視点が問題視されていない。
→社会的つながりこそが、そのような自立した個人の存立を保障するものと考える。(筆者の主張②)


3. ネットワークの視点
・さまざまな空間や場所と結びついた制度や組織が存在し、それらを後ろ盾としつつも独自に展開する社会的世界が集団や個人によって構成される。
→制度や組織自体が限られた地理的空間に強く準拠していたため、特定の地域に多くの社会集団が累積して独自の社会的世界を構成していた。
→都市化により、このような集団が失われる事によって出てきた新たな分析手法が社会的ネットワークという概念やネットワーク分析。

・ネットワークという概念は個人と個人の限定的なつながりそのものを分析の単位とする。
→その時その時の人と人とのつながりの連鎖のなかで社会的世界が展開する都市的な状況には、極めて適合的な分析概念。
→集団はそのようなネットワークの連鎖を追った結果、事後的に発見できる場合があるだけのものと想定し直される。

・地域社会は個人を単位としたネットワークの連鎖の全体として描くことができ、それらのネットワークの密度が高い部分に集団が発見されるという明快な図式が成立する。
→しかし、このネットワーク分析をもってしても明らかにできないのは「地域という空間の位置づけ」 。
→これを明らかにするためには、空間や場所と結びついた制度や組織との接点(ネットワークの「文脈」/ネットワーク形成の「契機(きっかけ)」)という視点が必要不可欠。…①
→特定の個人がどのような形で地域と関連するネットワークをもつか、もたないかは、その人がどのような形で地域と結びついた組織や制度のなかに位置付けられているか決まる。
→ネットワーク分析の強みは、個人を単位とした社会的ネットワークの構成と個人が占める制度上の位置を関連させて捉えることのできる点。
→突き詰めていくと「階層」という概念に導かれる。階層的な隔たりは地域との関わりという点と有意に関連する。

・現代の社会は複数の個人からなるネットワークの総体として、少なくとも現象的には描かれるのかもしれないが、その背景にはさまざまな序列と格差をもった制度が存在し、かつまたそれが空間的な秩序を伴ういくつかの階層へと分離していることを読み込んでいく必要がある。…②

①②の2点より、ネットワークの視点を空間的に組織された制度との関連で活用していくことが求められる。
・ネットワーク分析とは本来、選択する個人の主体性を捉えることを主眼としたものであるため、このような活用の仕方に抵抗を感じることがあるかもしれない。
そのような活用の仕方ではむしろ構図的な制度によってすべてが決まってしまうというふうにしか理解できないのでは?
→社会学が問うべきは歴史的な主体性。つまり構造的な制度の在り方そのものを変更していこうとする営みであるため、自らを拘束している制度そのものを捉えなおそうとする営み。
→人と制度をつないでいく側面、人が制度に働きかける局面こそが、人間の主体的選択の場面としてより重要。


4. 人と制度をつなぐもの
・人がいかなる制度のもとでも、それらを捉え直し、組み替えて自らの選好を示すことは確かだが、それら制度の不都合を克服しようとする人は少ないのでは?
→いったんできあがった制度は維持される傾向が強い。
ex. 行政権力の優越(適切なリーダーシップが発揮されていなければ非常に問題)

・グローバルな構造変動にさらされている現代において問われるリーダーシップ。行政権力の相対化はいかにして可能か?
①議会主義の活用
②市民の直接政治参加/行政参画
ex. 情報公開、オンブズマン制度を巡る動き、NPO・NGOを巡る胎動 
→このような試みとせめぎ合いが生じる戦略的な舞台として、人々の地
域生活と地域を物理的にどうするかをめぐる制度レベルでの攻防の展開
する地方自治体がクローズアップされる。

・都市や地域をめぐる社会学的な研究は、人々の社会的ネットワークと集団形成のはざまに階層性をもって展開する政策や制度をめぐるせめぎ合いに敏感であることが求められている。


5 .論点
①どのような制度のもとに、私たちのネットワークや集団は形成されているのか。
②のどかな農村地帯が郊外住宅地として開発されました。この地域の小中学校は生徒数が減少していたので校長先生は大喜び。さて、どのような制度や組織を整備すれば、この地域をより住みやすい、にぎやかな地域にできるでしょうか。

<第1班>
論点1
ライフサイクルの流れに沿って、それぞれの段階で私たちがどのようなネットワークや集団に属し、それらがどのような制度に基づいているのかを考えた。
まず誕生とともに私たちは家族制度のもと、家族や親戚といった血縁のネットワークに組み込まれる。そして成長し小学校に通うようになると学校制度にもとづいた集団が形成される。例としては学校の同級生同士や部活動でのネットワークが挙げられる。中学校、高校でも学校制度のもとで同様のネットワークが形成され、大学に入ると大学制度のもとで新たな集団に属するようになる。そして高校あるいは大学卒業後は社会人となり、雇用制度のもとでネットワークが形成される。
上記以外に、人生のどの段階においても都道府県制、市町村制など地域の制度にもとづいたネットワークが存在し、自治会や婦人会などの集団が形成されている。この地域のネットワークは特に学校が地域と密着している小中学生で強く、少年スポーツ団などの集団がある。社会人になると地域での人との繋がりは弱くなり、学校との関係も薄まるが、結婚し子供が生まれると子供を介し、再び地域に根差した学校制度のもとでPTAなどの集団に属すようになる。
以上のようなライフサイクルから外れてしまう人々(ニートや未婚者、家族のいない高齢者など)は、制度から取り残され、他者との関係を持つことができず孤立してしまうと考えられる。

論点2
農村地帯が郊外住宅地として開発された場合、開発以前から農村地帯に居住する旧住民と開発された住宅地に新たに入居する新住民が存在すると考えられる。旧住民は旧来から存在する密なネットワークを持っているが、新住民にとってそのようなネットワークは必要性が感じられず煩わしいものに感じられる。しかし防災や防犯の面では地域での繋がりを維持することが不可欠であり、地域の住民同士で顔のわかる繋がりを持つことが「住みやすい、にぎやかな地域」であるといえる。
顔のわかるネットワークを作るためには、まずは既にネットワークを持つ旧住民と新住民との間で顔合わせを行うことが必要である。しかしこのような顔合わせは自治会などが実施しても参加率を高くすることは難しいと考えられるため、住宅地を開発した企業が地域のネットワークも売り物として組み込み、新住民の入居までに全員の顔を合わせる機会を設けるべきである。また新住民の入居後も、毎朝のラジオ体操を実施するなどして地域の交流を深めるイベントが必要である。このようなイベントは地域の制度や学校制度をもとに運営はできると考えられるが、住民の参加率を高めるためにはポイント制度が有効ではないか。ポイントを地域の朝市などの商品や農家の余った野菜と交換できるようにすれば新住民・旧住民双方にメリットがある。懸念点はこのポイント制度の財源である。国や自治体から地域に財源を回す制度が必要である。



<総合司会コメント>
人々のネットワーク、そしてそこで組織化される集団、その背景にある制度、この3つが地域でいかに展開しているかを概観した。1人の人間が年齢を重ねるに応じてネットワークは広がり、所属する集団も移り変わる。しかし、例えば正常なライフコースから外れてしまった人々、わかりやすく例を挙げれば貧困に陥った人は、制度に包摂されず、制度の中の集団からも離脱しネットワークも断ち切られる リスクが増える。地域の社会的ネットワークを保つ重要性は、それが様々な人にとってセーフティネットとして機能するということに裏打ちされるのである。
2015-05-21 21:39 : 『地域の社会学』(15年度前期学部ゼミ) : コメント : 0 :
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