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地域の社会学 第5章 「地域が歴史を創り出す 歴史が地域を造り出す」

地域の社会学 第5章 「地域が歴史を創り出す 歴史が地域を造り出す」

1. 地域の歴史を考える

○社会学と歴史
社会学…常識を科学的に反省する知的行為
⇒歴史が現在の社会を築き上げる(常識)ではなく、現在の社会が歴史を創り出す
(Ex. 日本の市町村における文化振興・イベント開催)
∴地域が歴史を創り出す過程に注目する必要がある…①

また、社会学の見地から
現在の地域の歴史的起源を探り当てることも重要になる
・現在の社会を別様に見直したり、未知の側面を発見する
・歴史が持つ物語から断絶や、断層を見出し、社会の特殊な成り立ちを暴露する
(このような特徴から歴史が社会を築き上げるという考えとは異なる)
∴歴史が地域を造り出す起源を探り当てることも重要…②

以下、①を「地域が歴史を創り出す次元」、②を「歴史が地域を造り出す次元」の研究として進める

2. 地域が歴史を創り出す次元の諸問題

○歴史を創り出すことをめぐる諸問題
・歴史創造の主体は誰か
地域を支配する権力者や、地域に居住する住民すべてが当てはまる
→実際は複数の異なる主体間の協働と対立を通して創り出される
・創り出される歴史の内容は何か
人々の行為、集積されたモノ、単なる出来事、それらの集合としての物語、etc・・・
行為や出来事を生み出すのは市民、物語を生み出すのは権力者
・歴史の政治的機能は何か
地域の集合的アイデンティティの調達、個人次元の文化消費の一つ・・・
→対立や矛盾が最も強く現れる

※このようにして一旦創り上げられた歴史を批判的に考察するために②の視点が重要となる


○私人が創り出す私的な歴史
筆者の母方の曾祖父…石川県野々市町の没落地主
経済的没落の中で歴史研究(在野の郷土史)に目覚め、死後二冊の著作が刊行された
→ともに郷土の町に存在した武家と寺院の歴史を調べたもの
but…『加賀史料集成』と名付けられた遺稿から、彼の考える「郷土」の範囲が不明確
これをきっかけに県は公的史料集である『加賀史料』の刊行を決定
歴史創造の主体は誰か 筆者の母方の曾祖父 石川県
創り出される歴史の内容は何か 郷土の人々の行為や出来事 人々の行為や出来事を一繋ぎにした物語
歴史の政治的機能は何か 個人次元の文化消費として郷土の史料を纏めた私的資料集として機能する(「郷土」の範囲は不明確) 加賀、能登両国の史料を纏めた県の公的史料集として機能する
上記のように、地域が歴史を創り出す過程においては、歴史創造の主体によって創り出される内容や政治的機能が構造的に対立する

3. 聴き取り調査による戦略的着手

○語られる歴史
聴き取り調査…社会学的地域調査方法の1つ
→歴史を創り出す行為(発話)そのものと、歴史が創り出される瞬間(物語の結晶化)を捉えることができる
→→聞き取られた話が歴史であるとはどのような意味でそう言えるのか?
・それが歴史と呼べるだけの、時間軸を持ったひと連なりの秩序をもつこと
・それが地域の歴史であるといえるだけの、話者の集合性や内容の共通性を備えた話であること
…村落社会では、ある程度の集合性や共通性を確保できたが、現在の都市社会ではそれが困難になりつつある(「語りの個人化」)
上記の特徴を利用して、地域の歴史を創り出す実験室を設けることができる
聴き取り調査を集合的に実施し、公衆的討議を通して物語が結晶化する過程を観察し、聴き手が秩序ある歴史に編み上げる

4. 歴史が地域を造り出す次元をめぐる諸問題

地域の歴史的起源を探り当てる作業
…地域に固有の事情・過程を1つひとつ明らかにしていく無限の運動
ここから学問は、一貫した理論と方法に従って一定の秩序を持った物語を導き出す

社会学の場合…
Ⅰ. 個人の郷土への関心や愛着、義務的拘束を研究する
市民の意識が保存や復興といった公共事業をもたらすとしても、元々の意識は個々人のもの
→地域の歴史的事象への愛着は、私的であるがゆえに部分的で不安定なものでしかない
Ⅱ. ある集団を単位として、その内部構成や対外関係の長期的変動を探究する
仮に歴史を持たないと考えられてきた民俗的集団に関してもこれを明らかにすることは、国家がもつ歴史を見直すことに繋がる
→現在の都市社会においては、個人間に焦点を合わせることが課題となる
Ⅲ. 身体や行為の集合体の特殊な構成を、それらを制御しているモノやコトバと関連付けて考える
探究すべき身体・行為と制度のセットが入れ替わると、劇的に作用が変化する
→「唐突な制度改革」から「新しい生活と社会関係」が生まれることもあるということも考慮する必要がある
いずれの方法も、現在の社会の起源を断片的な事件や史料を手掛かりに探り当てようとするもの。これにより、現在の社会を相対化するような視点がもたらされる。


論点
・地域が持つ「歴史」にはどのようなものがあるだろうか。
・7月4日に行うFWの舞台である、奈良県橿原市今井町。この地域が「歴史を創り出した」のか、「歴史によって造り出された」のかという視点から、地域が持つ歴史について自由に考えを巡らせてみよう。その際、論点1で挙げた地域が持つ「歴史」を利用しながら考えよう。

<論点1>
地域が持つ「歴史」にはどのようなものがあるだろうか。
私たちの班では、地域が持つ「歴史」はほぼ人によって造り出されたものではないかという前提のもと、どのような主体がどのような目的で歴史を築き上げたのかということを考えた。
まずどのような主体が歴史を築き上げたのかについて、各々が考える、地域が持つ「歴史」を挙げていき、それを造り出している主体別に分類したところ、地域が持つ「歴史」はほとんどが「行政」「企業」「住民」の3つの主体によって造り出されていることが分かった。また1つの主体だけでなく、2つまたは3つの主体によって造り出されている「歴史」があることにも気付いた。
次にそれらの主体がどのような目的で歴史を築き上げたのか。歴史を築き上げた理由は主体によってさまざまであると考えた。例えば行政が造り出したまちの景観や歴史的建造物などの「歴史」は、観光地にするためといった動機が考えられ、住民が造り出したお祭りなどの地域の行事の「歴史」は、その地域の象徴となるような何かを残すため、あるいは流れの中で何となく造り出すことになったなどの理由が考えられた。

<論点2>
7月4日に行うFWの舞台である、奈良県橿原市今井町。この地域が「歴史を創り出した」のか、「歴史によって造り出された」のかという視点から、地域が持つ歴史について自由に考えを巡らせてみよう。その際、論点1で挙げた地域が持つ「歴史」を利用しながら考えよう。
奈良県橿原市今井町をモデルとして、地域が持つ歴史を考えるという論点であったため、まず今井町がどのような地域であるかということを改めて調べた。今井町は重要伝統的建造物保存地区に選定されており、江戸時代からの街並みが今でも残っている町であるという。その今井町を「歴史によって造り出された」地域であるのか、もしくは「歴史を創り出した」地域であるのかという2つの視点から考察し、重要伝統的建造物保存地区に選定される前は「歴史によって造り出された」がその後からは「歴史を創り出している」のではないかと結論付けた。しかしここで二つの疑問点が生じた。一つ目は、なぜ重要伝統的建造物保存地区に選定されるまで今井町が残っていたか(どのような「歴史」が重要伝統的建造物保存地区に選定されるような今井町を造り出したのか)ということ、二つ目は現在「歴史を創り出している」今井町はどのように捉えられるのかということである。
一つ目の疑問点に対しては、
①住民が強烈なアイデンティティや愛着を持って町を守り続けていた
②開発しにくい土地で中心地とならなかったため自然と残った、なんとなく残った
の二つの理由が考えられた。
二つ目の疑問点に対して、今井町内に住んでいる人とそれ以外の人の二つの立場から考えた。その議論の中で、今井町外の人は古い街並みを残す今井町をただただ魅力的に感じているが、今井町内に住んでいる人は実は「今井町」自体への意識は希薄でむしろ魅力的なまちを保つことを面倒と思っているのかもしれないという考えに至った。
よって7月4日のFWでは、住民の「今井町」保存への意識、「今井町」のルーツの認知度に特に注目したい。

<第1班>
【論点1】
地域がもつ歴史を挙げると次の3つを挙げることができた。
① 強く活かす歴史
② 潜在的可能性がある歴史
③ 活かされにくい歴史
「強く活かす歴史」は、住民や行政における共通した価値であり、観光に活かすことが出来る。「潜在的可能性がある歴史」は、人によって捉え方が異なるので観光化の可能性はゼロではない。そして「活かされにくい歴史」は、耳にしても「ふーん」としか言いようのないものであり、過ぎ去った過去と捉えられてしまうために、消えていく運命にあると言える。

【論点2】
地域の歴史についての論点だが、まずその地域の富豪たちが歴史をつくりだす。そして自治してきたというプライドがつくり出されていく。時代が進み、人口減少や富豪層の弱体化によってこれまでの栄華の維持が難しくなった後も、先述のプライドによって、文化財指定などを通じて町並み保存に注力することになる。この取り組みを通じて地域の歴史は再構成される(=つくられる)。最終的に観光化されるとなるとさらに時代劇などを通じてストーリーがつくられる。7月のフィールドワークでは、このつくられた歴史やそのストーリー性、街の人々の今井町へのプライドの有無などに注目していきたい。

<第2班>
論点①
地域が持つ歴史にはどのようなものがあるか、我々が挙げたのは「家柄」「地名」「神社・寺」「災害」「伝統行事」などであった。これらはそれぞれ密接に関係しており、主に地名などに影響を及ぼしている。これらを我々は「地域の歴史」と認識しており、そう認識するきっかけは郷土学習であるといえる。この郷土学習という場面において我々は歴史を認識し、そうしてまたそのうえに新しい行事や伝統を作っていく。後の時代から認識されたとき、これはまた歴史になる。このような循環の中で作られてきたのが、地域が持つ歴史であると考えた。

論点②
①で取り上げたようなものを我々は郷土学習を通じて地域住民共通の地域の歴史として認識する。歴史がつくりあげてきた地域の姿を「伝統行事」「土地利用」「建造物」などに見出し、それを歴史だと認識する。そして、我々はこの地域の姿をさまざまなフィルターを通してみているのではないだろうか。ここでいうフィルターとは、例えば「住民の誇り」「外部へのアピール」「観光産業」「意味づけ」などが挙がった。ここにおいて、地域は自分たちだけのものではなくなっており、交通が発達し、移動が頻繁になった現代だからこそ外部へのアピールという観点が加わっていると考えられるのである。そうした中で、自分たちの地域がどうありたいか、どう見られたいかという大きなフィル ターにかけ、そのイメージにそぐわないものは排除し、なりたいイメージを追求するようになったと考えられる。イメージにそぐわないものの排除とは、例えば古い空き家の取り壊しなどが挙げられる。逆に、イメージの追求とは、例えば「新しく作った昔っぽい家」「きれいなお堀」などが挙げられる。これらは人々に受け入れられて新しい歴史となることもあるが、人の目や評判、時代の流れによって都合よくつくりかえられていくのではないだろうか。このようにして地域が歴史を作り出しているのだと我々は考えた。今回のフィールドワークにおいても、この「新しい古いもの」に着目してみたいと思う。

<総合司会コメント>
本日の議論は「地域が創り出す歴史」と「歴史が造り出す地域」のふたつをキーワードとして展開された。現在、地域の歴史として残されているものは果してどのような経緯で残されてきたのかということを普段私たちはどの程度意識しているのか。歴史はその時々で都合よく書き換えられていくということを、個人的には再確認する機会となった。これから、私たちが残す歴史もまた、遠い未来の人間にとっては、取捨選択された、創り出された歴史になるはずである。議論を通して、歴史というものの面白さと恐ろしさを同時に感じた。
 また、来る7月4日に奈良県橿原市今井町へフィールドワークに行くことが決まっているが、それに向けて非常に有意義な時間であったと思う。ゼミ生同士が議論し、それを共有したことで、「フィールドワークを通して何を見たいか」がはっきりとしたように思うからである。まだ先の話ではあるが、フィールドワークがいまから楽しみである。もちろん当日は、過ごしやすい穏やかな気候を期待する。
2015-05-28 18:39 : 『地域の社会学』(15年度前期学部ゼミ) : コメント : 0 :
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