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地域の社会学 第6章 なぜ地域が大切か ―見直される地域の重要性

第6章 なぜ地域が大切か ―見直される地域の重要性

【前提】
現在:噴出する多様な生活問題 → 住民による「地域」に対する期待・関心の向上
【本章の目的】
見直される地域の重要性を「安全・安心」「プロダクティブ・エイジング」「地方都市の衰退と再生」という3つの観点から考えていく

1.見直される地域
●地域が重要視され出した<理由>
ⅰ)地域における「安心・安全」
  「防災」:‘95年 阪神淡路大震災
  「防犯」:‘97年 神戸連続幼児殺傷事件、‘01年 池田小児童殺傷事件 ⇒ 子供を狙った犯罪
 →老若男女が「地域」に関心 ex.「安心・安全のまちづくり」の標語

ⅱ)「プロダクティブ・エイジング(productive aging)= 生産的な老い」(老齢学者R.N.バトラー)
 定義:「プロダクティビティ(生産性)」を有した高齢者を社会的に積極的に活用すること。
                   ↑
 高齢者への社会通念(=高齢者は依存的なためにその増加が社会的負担増に直結)への反論
 現在…約680万人の団塊世代が退職 → 会社人間の「地域デビュー」への模索

ⅲ)「地方都市の衰退と再生」
 [地方都市の現状] 人口減少・高齢化 + モータリゼーション + 郊外大型商業施設
→中心地の衰退化(ex.「シャッター通り」)
[課題] 無秩序な都市拡張を抑制し、街なかを再生させるための地域の「かたち」
〈課題解決に向けた動きの一例…〉
「地域ブランド」の育成:地域分権・高齢社会の流れの中で、地域の自立が要請
→地域資源の見直し・ブランド力のある産業創出・雇用と観光客増加を模索

●「まちづくり」の現在
「まちづくり」(≠都市計画):市民主体・総合性・個性(≠画一性)・量から質・生活の小単位尊重・理念から実践    ← 住民参加による
 [意義]
ⅰ)→ 危機への対応力。平時の「生活協力」→ 非常時の「共同防衛」
ⅱ)→ 高齢者の「相互扶助(互酬)」、ライフスタイルとしての「社会貢献」
ⅲ)→ まちづくりの「持続可能性」←中心市街地の商店街再生+低環境負荷
+歩いて暮らせるコンパクトなまちづくり

2.安心・安全のまちづくり
●防災のまちづくり
阪神淡路大震災での救命救援~生活復興において再評価 ⇒ 伝統的地域集団「町内会・自治会」
 →平時の「生活協力」が震災時の「共同防衛」に直結

Ex.神戸市長田区真野地区
[歴史]
1960年代 住工混在によって生じた公害被害への反対運動からまちづくり活動開始
1980年代 自治会主導で「真野まちづくり推進会」を結成、市と協議し地域整備を推進
⇔しかし、これらの活動は、元来「防災」を重点化していたわけではない
                 ⇓
震災発生…
①「初期消火の成功」、②「的確な救出活動」、③「迅速な体制作り」 に成功
生活復興期…
震災以前のまちづくりに関わった専門家ボランティアのネットワークの活用
ex.「真野ふれあい住宅」:個人/共有スペースのある「コレクティブハウス」

●防犯のまちづくり
社会的関心の高まりの契機:子供に対する凶悪犯罪の発生>>空き巣・強盗・ひったくり・・・

[子供への凶悪犯罪発生の「原因」に対するパラダイムシフト]
 従来:「人」に着目 → 効果的な防犯対策取りづらい
+無理な「不審者」探しが、差別・排除につながる
 現在:「場所」に着目 → 物的環境の設計、人的環境の改善を通して、未然に防止
⇒犯罪が起きやすい「場所」に注目!
…犯罪に遭いにくい環境の整備
〈ハード面〉
ex.米・ゲーテッドコミュニティ、日本・セキュリティーマンションや公共空間の監視カメラ
                +
〈ソフト面〉
 「割れ窓理論」:侵入は許さないという「縄張り意識」や「当事者意識」の向上によって、心理的バリアを築き、犯罪を予防 ex.「地域安全マップ」

3.プロダクティブ・エイジング
●変容する高齢者像
従来…「高齢者」= 「支えられる側」=「サービスの受給者」
→「高齢者の増大」=「社会的負担増」
しかし!
日本の高齢者の8割は身体的に健康で、自立  /  平均寿命80歳超え
⇒「老い」への発想 =「依存性」 → 「プロダクティビティ(生産性)」
   
…「プロダクティビティ」な活動とは?(柴田博による)
①有償労働 ②無償労働 ③高齢者の相互扶助 ④若い世代へのサポート
→③・④の世代内または世代間の相互扶助が地域の重要性の見直しでポイント
ex.「住民参加型在宅福祉サービス団体」
‘80年代後半以降、介助~家事援助に至る幅広い活動。世代間の対等な立場関係。
⇔担い手はほとんど女性…
→企業で得たプロダクティビティを持つ退職男性をどう地域で活かすかが期待・課題

●介護保険制度の改正
2006年改正:高齢者…要支援・要介護状態にならない、要介護者は重度化させない
→「予防重視型システム」の確立、「地域支援事業」の創設

「地域支援事業」:高齢者が要支援・要介護になる前からの予防として、地域による包括的・継続的なマネジメントを強化。「介護予防一般高齢者施策(A)」(=全高齢者対象)と「介護予防特定高齢者施策(B)」(=介護予防の支援が必要な特定高齢者対象)からなる。
 A)全高齢者の生活機能の維持・改善のための「ポピュレーションアプローチ」
   ex.介護予防に関する知識・情報提供、介護予防に資する地域組織の育成・支援
 B)虚弱高齢者の生活機能低下の早期発見・対応を行う「ハイリスクアプローチ」
   ・「通所型介護予防事業」:地域における閉じこもり予防活動。
   ・「訪問型介護予防事業」:生活機能を把握・評価し、通所型サービスの参加を促す。
    担い手は専門職+傾聴ボランティア(地域住民)
 ↑
介護予防事業=地域包括支援センター中心に実施 → 対象地域空間を明確に画定
⇒行政的範域と重要な機関の利用圏を重視した新地域空間の見直しと画定が不可欠

4.地方都市の衰退と再生
●どうするシャッター通り
 ex.‘70年代 車依存型ニュータウンを造成した地方都市
   中心市街地の空洞化 + 高齢化した郊外ニュータウンの衰退 ← 現在、同時進行中…!
[原因]
・都市計画での法規制の弱さ ← 郊外への大型商業施設の出店を許す
・地権者の権利意識 ← 新規事業者への土地の貸し渋り
⇒2006年「まちづくり3法」(都市計画法・中心市街地活性化法・大店立地法)改正
→〈結果〉・無秩序な郊外開発に一定の歯止め(延床1万㎡超規制)
・「選択と集中」:国が中心市街地活性化に意欲的と判断した市町村に重点的に支援


●コンパクトシティ
「コンパクトシティ」:‘90年代 欧州発祥。スプロール化を抑制し、公共交通を促進して、エネルギー効率の良いサステイナブルな都市形態。
 [動機と目的]
〈欧州〉地球環境問題 → 土地利用計画・交通計画を軸に、環境計画と統合し、住宅政策とも連動 → 都市の活性化の維持・再生、田園や自然環境の保全
〈日本〉地方都市の中心市街地空洞化対策

[命題]
〔海道〕・密度の高さ ・多様さ ・ヒューマンスケール ・独自性 + 「9原則」
〔鈴木〕〈日本〉・公共交通マネジメント:自動車以外のアクセスの選択性向上
・地域循環型経済システムの構築:地域資源活用(農林水産)
・中心市街地におけるタウンマネジメント:官民・NPO等の連携
 ・街なか居住政策:既成市街地における居住
⇔しかし、これまで…
 中心市街地活性化の議論…商業活性化の議論に矮小化 = 「商業者」中心
                             ↓
「選択と集中」を主眼とする3法改正で…「消費者」である住民・地権者・NPO等まちづくり関係者を巻き込む体制が不可欠

5.「共」の再構築
●ボランティア元年
3つの観点からの「まちづくり」…
「安全・安心」/高齢者の「プロダクティビティ」の活用/「地方都市の再生」
                    ↑
どれも行政や市場による専門処理に適さない、或いは、解決されない生活問題
=都市生活の問題点「人間関係の希薄化」・「専門処理システムの限界」が露呈
                ⇓
地域の重要性の見直しにつながった
=「共」の再構築を求める

 [「共」の再構築の契機]
阪神大震災のボランティア:〈特徴〉若者・未経験者・専門技術のない一般人・外部
→・‘98年 NPO法制定:ボランティア団体が特定非営利活動法人として法人格取得可能に。
・‘00年 介護保険制度施行:NPO法人=在宅介護サービスの特定事業者になれる。
 →住民参加型在宅福祉サービス団体も参入可。

●NPOと町内会・自治会
NPO法人格をもつ団体:〈総数〉3万超(‘07年)
         〈分野〉「保健・医療・福祉」「社会教育」「まちづくり」「子供の健全・育成」
⇒「共」の再構築の担い手・・・増加

⇔しかし、時として・・・
既存の伝統的な地縁組織「町内会・自治会」〈旧住民〉 VS NPO〈新住民〉

⇒防災・防犯・地域福祉などの面では、両者の「協働」が求められる!
  互いの強みを生かす…[町内会]行政と連携し、地域情報や活動場所を提供
  [NPO]専門的ノウハウに基づく講座やプログラムを提供
さらには・・・地域の生活問題に関心・意欲のある住民を組織化し、活動の展開を可能とする「中間集団」としての役割を果たすこと


論点
論点①
団塊の世代の人々が65歳を上回り、そのほとんどが社会の第一線を退いた現在の日本。しか    し、彼らの豊富な知識や経験は、地域の中でも何らかの形で十分生かせるはずである。かつて「会社人間」で地域に飛び込めない彼らを地域に取り込み、地域の一員となって居場所を確保し、活躍してもらうには、地域にはどのような工夫が必要か?(行政/自治体/NPO等、それぞれの立場からの工夫でもよい。)

論点②
これまでの章での議論でもあったが、「新住民/旧住民」、「NPO/町内会」など属性や成立過程の異なる2者はことごとく対立しあうという構図が見て取れた。しかし、これからの「まちづくり」を成功に導くには、両者の強みを活かして「協働」することが不可欠である。現在、この「協働」が上手くいっていないのならば、その阻害要因は一体何か?(その解決策があるならば、モデルケースとして、そこまで踏み込んで議論してください。

<論点①>
社会の第一線を退いた団塊世代の人々が、多くのプロダクティビティを活かせる可能性を秘めているにも関わらず、なかなか地域に飛び込めない現状がある。特に「地域の活動に参加したいけれどできない。」という状況を打破することは重要なことだと考えらえる。
私たちの班はまず、その理由として3つを考えた。実にシンプルなものだが①一緒に参加する友人がいない。②参加できる機会がない(情報が入ってこない。)③いざとなると腰が重い。である。特に長年会社勤めをしていたため地域の人々と関わる機会がなかった人々にとっては、①の問題は重大なものであろう。
以上を踏まえ、これらの問題をまるごと解決できる舞台として考えたのが「病院」である。既に地域の病院は、高齢者にとってはある種のコミュニケーションの場として機能している場合がある。これを利用して、病院にコミュニティスペースを設置して、気軽に話ができるお茶会などを開く。ここには様々な年齢層の人々が集まり、時には高齢者同士、時には高齢者と若い母親の子育て相談、多様な使い方ができると考えられる。そしてこのスペースには地域活動の内容や報告を掲示することで、情報提供の場にもなる。シルバー人材センターなどの求人情報もここに掲示すれば、より効率的に機能するだろう。
病院におけるこれらの取組みが浸透すれば、先述の現状も解決できる可能性があるうえ、ここでできた新たなコミュニティが高齢者同士の相互扶助や若い世代との交流も生み、退職してプロダクティビティを持て余すシニア世代の活躍の場を広げることができると考えた。

<論点②>
新住民と旧住民、NPOと自治会、若者とシニア、男性と女性、富める者と貧しい者、異なる二者の対立は幾つも挙げられる。そもそもこの対立が生じる理由は、「地域で暮らす中で、両者の視点が異なるから。」つまり、求める生活やリスクに対する意識などが、属性によって異なるからであると考えた。当然目的が異なるならば互いに協力関係にはならないし、両者の活動の中で利害関係が一致することはないだろう。
ここで、「協働」という言葉について考えてみる。協働は、異なる2つの主体が1つの目的のためにはたらく。という意味がある。しかし、先に挙げたように、まず目的が違う両者が、共通のはたらきをするとは考えにくい。では、対立する二者が協働できるのはどのような時だろうか。悲しいことだが、それは災害時だけではないかという結論に至った。そのような誰にとってもマイナスの出来事に対しては、地域という場では助け合いをして生きていくという共通の目的ができる。そしてそれに備えて、ハザードマップを皆で作成して、地域の中の誰にでも共通するリスクの洗い出しをすることは、協働と言えるだろう。
最後に、それでも理想である地域像は、人々が自分の幸せを地域の幸せと感じること、そして反対に地域の幸せを自分の幸せと感じること。個人と地域の幸せを同等のものと捉えられる人が増えたならば、それはまさに協働が自然に生まれる地域であろう。
しかしこれは、いささかスピリチュアルで、現実には難しいことだと薄々感じている。
2015-06-11 16:25 : 『地域の社会学』(15年度前期学部ゼミ) : コメント : 0 :
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