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地域の社会学 第9章 自営業者たちと地域社会

第9章 自営業者たちと地域社会

本章の目的
地域社会のまちづくりの主体となっている自営業者に焦点を当て、自営業者とまちづくりの関係、地域社会における位置づけ、期待される活動、について考察する。

1. 「自営業者」とは誰か
・自営業者とは

地域社会で日常消費生活における消費財・サービスを提供しているのは、多くの場合、自営業主とその家族従業者(ファミリービジネス)
⇒ここでは彼らを合わせて自営業者とする
※地域における自営業主には医師などの専門的職業従事者、建設・運輸関連、対個人サービス関連の業主も含まれるが、地域への密着度から小売部門の業主を中心に検討する

・中小企業とは
中小事業所の比率は生産の全分野において97%を超える
=「二重構造」は変化しつつ現代に生き続けている

中小企業とは以下のものをいう。
①製造・建設・運輸部門で資本金(または出資金)が3億円以下の会社並びに常用する従業員が300人以下の会社または個人による事業
②卸売業で、1億円以下、100人以下の事業
③サービス業で、5000万円以下、100人以下の事業
④小売業で、5000万円以下、50人以下の事業
ただし、以下⑤の場合を「小規模企業者」とする
⑤常用従業員規模が20人(商業・サービス業を主たる事業とするものは5人)以下の事業

地域社会で日常的に接触する自営業の特徴は
・⑤の商業・サービス業に属する「小規模事業者」
しかし「商業統計表」によると小規模小売業に関して自己雇用者(家族従業者を含む)の比率が急落
  ↑
事業そのものを「法人化」して株式会社や有限会社に(「法人なり」)
⇒個人業主としてよりは税法上有利
※実態は零細・小商店主や家族が会社役員に
・日常生活に密着した生活財を供給
・地域社会、主として「町内」に軸足   ⇒地域密着性が大きい
現代の大都市内部:職住分離が進み、その地域に住んでいる手ごたえ、実感を持たない人も…それでも特定の地域に住むことで商店街という名で特定の街区に集積した異業種の小経営複合によるビジネスに依存
・所得水準は相対的に低い
・耐久消費財の保有率はきわめて高い

★本章の主題としての地域社会との関係構造という点から
小売業は地域社会と最も日常的なコンタクトをもつ
地域生活の在り方にその存在も展望も左右される

2. 地域社会における自営業者の位置づけ
「最寄品」:日用必需品(生鮮食品・酒類・米・調味料・履物・書籍雑誌・乾物など)
  ↕
「買回品」:好みや価格帯の選択により消費対象を求めるショッピング行動を前提

商店街=自営業者の経済活動の局地的集中地域
最寄品+サービス業としての理容・クリーニングなどが中心
地域住民と業者の間の「なじみ」の関係

しかし今日の都市の労働力人口:多くが職住分離⇒住空間では「定時制」住民に
逆に営業空間は「全日制」市民としての専業主婦や高齢者に占められる
さらに消費行動は規制緩和に伴い、つぎのような複合消費空間に吸引される
・大規模小売店(百貨店・スーパー・モールなど)
買回品を主な商品とし、小売業を「産業化」←管理技術の徹底的動員・都市化とモータリゼーション
・新業態(ディスカウント/アウトレット、オフプライスストア、ネットショッピングなど)
・コンビニ
→このような大規模小売店舗や新業態に地域の小規模経営は抵抗できるのか?
ex)郊外での大型スーパー→地方都市の中心部商店街の空洞化
⇒都市の街頭の活力の再生のための手段を探求する
 地域の活力再生に対する地域住民の思いを汲み取る
 ・ビジネス・プライド、経営者としての「使命感」
 ・商品やサービスについての付加価値 ex)地域ブランド
  ↑
 ・付加価値を評価し購買へつなげる存在としての顧客に関する情報蓄積
   代理仕入れ、消費価値の提示、ライフスタイルの提案
     ↓
   顧客のネットワーク形成、顧客層(ファンとも呼べる)の形成
★個々の経営単位が零細でも、多様な業種の集合としての商店街は「経営コンプレックス」
 異業種間の連携により社会資本が蓄積される
BUT地域社会生活の活力が低下すれば街頭は活力を失う

・女性の役割
「家族のビジネスは家族の問題(ビジネス)である」(ベスター2007、382頁)
小規模自営の場合、家族従業者としての妻の役割の重要さが指摘される
BUT経営全般、特に意思決定を巡っては夫の業主としての立場が強い
無償の家族従業者の存在は重要であるが、主婦の無償の経営貢献について客観的貢献度を計算することは難しい

3. 自営業者とまちづくり
自営で小売することの可能なアイテムの再検討も大きな課題となる
何を最寄品とし、何を買回品とするかという住民のニーズに柔軟に対応する必要
       ↑マイナス要因
    業者の店舗・住宅分離
特に「最寄」品は「なじみ」や「親しさ」により消費が規定される傾向
 ⇒コミュニティの一部としての商店、業主と消費者が生活を空間的に共有している事実などの認知が有効
    ↓
自営業者が地域社会の「全日制」住民として地域に定着する必要
そのために…
経営の安定の確保
 ・自己雇用
 ・家族労働
 ・経営に対する家業意識の世代間継承
   課題 後継者問題・経営改革の必要性
       かつてのような再生産戦略の機会がない
       ⇒職住一致で早期から後継者に経営者として「社会化」させる
事業に対するプライド=使命感=転職意識を伝える

4. 自営業者と地域リーダーシップ
景気変動や消費市場の構造変化などの危機に飲み込まれた過去の経験から、小経営を存続させるための制度
・広範囲の業種別協同組合
・異業種を結びつける中心市街地活性化対策
・まちづくり機関(TMO: town management organization)
このような制度は業者にとって経営安定、そのための顧客の信頼形成という目的に加え、地域社会の活力再生という目的でも期待されている。その効果がひるがえってビジネスの活力を生む。

もともと自営業者のなかの「有力者」が地域に根づき、安定、住民との接触による信頼性の確保を通じて、地域社会の紛争解決能力などを発揮してきた
→現代では新しいリーダーシップとして自営業者が地域活性化を担う必要性
自営業者:地域社会との間に「第一級の利害関係」
地域への密着・地域生活への貢献がもっとも必要
自営業者にとって日常レベルでの地域社会は定住圏・生活圏・商圏である
地域活性化の試みと接合することは新たな生き残りの戦術となる
★地域にとっても自営業者にとっても、自営業者が地域活性化に取り組む意義

自営業者に向けられる期待
(1) 地域住民の一員として、かつ地域内各種団体(PTA、町内会など)の役職の担い手の柱として期待
(2) 地域社会・地域文化のもつ価値の存続や創出の担い手として好ましいリーダーシップを期待
そのために求められるパーソナルな資源…新しいビジネス世代に期待


5. 挑戦を続ける自営業者
・町の魅力
谷中銀座商店街の事例:多様なイベントを通じてコミュニティ事業とセールス開催を成功させたまちづくり、コミュニティと商店街を一体化する試み ←町としての訴求力の低下に対する危機感から
地域ごとの違いをふまえる必要はあるが、このような革新は急務
ここで、自営業者=リーダーシップをとる存在
・「コンパクトコミュニティ」
自営業者が地域住民のニーズを把握→小経営と地域との共生を支える
住民の相互援助の一環として、自営業者が生活財・サービスを供給するなかで高齢者・障害者住民に対する配慮も加える
特定の地域生活が抱える問題の解決に貢献
 そのためには行政や地方議会との意思疎通や協力体制を作り、住民も組み込む必要
 そしてその組み込みは自営業者の役割と行動に依存する

論点
①日常生活の中で小規模経営の自営業者との関係はどのような場面で存在するか。もしあまり関係を感じないとすればそれはなぜか。
②自営業者と地域社会は深い関係性を持つ。自営業者が抱える問題、地域社会全体が抱える問題の双方を解決するためには、どのようなまちづくりができるか。(谷中銀座商店街の事例も参考に)

2015-06-29 14:41 : 『地域の社会学』(15年度前期学部ゼミ) : コメント : 0 :
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