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グローバル・シティ 第9章 経済再編―階級と空間の二極化―

第9章 経済再編―階級と空間の二極化―

【主題】
1.金融,生産者サービスの台頭やグローバル化による,様々な格差の拡大を受けて,社会形態は一新されてきたのか。
2.雇用関係はどのように変化したか。
3.三都市の経済における人種と国籍の問題。

Ⅰ.主導セクターへの全体的な影響
高度サービスが経済の中心になっている都市では,主導経済セクターとそれ以外の経済セクターは,どのような関係にあるのか。

①一般的な経済発展論
経済が発展するにつれ,市場と市場における諸関係が社会制度に影響するようになる。
・経済水準が高くなるのと平行して包括的な正規労働市場が開拓されていく。
・各種の規制が敷かれる,十分な失業手当・退職金,労働組合が機能
➡フォーディズム…労働者に気前よく給料を支払い,十分な余暇を与え,消費を促す。
②経済の基盤産業と基盤産業でないものを対置させるモデル
都市形成に携わる産業による「輸出」向けの経済活動は,基盤経済にサービスを提供する他のセクターの発展にも寄与しており,この点で輸出向けの経済活動は乗数効果を生み出す媒体でもある。
③脱工業化モデル
労働人口に占める高学歴者の割合が増え,知識産業が重要な位置を占めると,生活の質が全体的に良くなり,経済目標に限定されない社会目標へ関心が集まる。
・ダニエル・ベル「サービスの序列(ヒエラルキー)」
脱工業化社会のなかで専門職・技術職といった知識産業が急成長し,社会の中心課題が,資本や労働者の組織化から科学的知識をどうまとめていくかという関心へと移行する。これにより企業と労働の在り方はより人間的らしく,社会的なものになっていく。
➡実際に生産者サービスや金融業を知識産業とするなら,知識産業は成長したし,先進諸国で主要な経済セクターになっている。また専門職層の雇用は増加し,給与額も上がっている。

 こうしたモデルの出発点は,経済の中間セクターの順調な成長がストップした歴史的に重要な時期とどれくらい重なるのか。

■第二次世界大戦後の成長-中産階級と正規労働市場の拡大
資本の集約・標準化・郊外化(中産階級の形成)によって労働市場で正規雇用が広がった。保険・金融や製造に携わるタテ割りの大企業は,昇進・十分な雇用保障・各種福利厚生で彩られた国内労働市場をうりにしていた。

■1970,80年代以降
サービス経済への全体的な移行と製造業の衰退と新しい経済セクターの台頭。新旧セクターで労働が再編されたため,大都市では雇用がこれまでとは違う形で提供されるようになった。

Ⅱ.社会地理
都市空間と新しい主導セクターが支配する大都市の経済がどう影響しあい,空間の変化が生じたのか。

断絶-主導経済が成長し続けた結果,既存の空間編成が変わったこと,大きな衰退から新しい土地利用ないし社会空間の形態が生じたこと。
サービス産業への移行やその結果の階級構造の変容,消費とサービス提供の民営化への移行などといった変化が目に見える形で現れたもの
➡ジェントリフィケーション(富裕化)
貧困が集積し,建造物が老朽化したインナーシティにおいて,高所得者向けの住居・商業施設を目的とした再開発が行われる一方で,従来の住民が立ち退きを迫られる。

■ニューヨーク
・オフィス業務に特化したマンハッタンの役割は1950年から80年の30年間にわたり,増加の一途をたどった。1990年代に入ってもマンハッタンは地域の中心であり続け,極端な集中がやむことはなかった。マンハッタンで中心となっているビジネスは,企業者サービス,金融サービス,小売,観光業,コンサルティング,広告,コンピューターサービスで,すべて順調すぎるほど成長した。
・高度専門職でマンハッタン在住があてはまるのは,たいてい白人の若い層である。
・マンハッタンの居住者の内訳では,管理職・専門職・サービス労働者が極端に多い。なかでも急激に成長したのが専門職であり,サービス労働者の比重は過去30年間で減少してきている。
・高所得者層の収入が上昇する一方で,貧しい勤労者世帯の数が急激に増加した。
・女性が重要な要因となり,ジェントリフィケーションが進行している→貧困層の立ち退きを伴う。
・エスニシティごとのセグリゲーション(住み分け)の進行→世帯収入に応じた空間の階層化を反映。
・1980年代に低家賃住宅市場の縮小,景気低迷,低所得者世帯の収入減少が重なり,ホームレスが急増した。

■ロンドンと南東部
・ロンドン中心部は1980年代以降,オフィス業務に特化してきた場所であり,1990年代後半になると,金融・銀行・保険が極端に集中するようになった。また,高度専門職層がマンハッタンと同時期に拡大した。
・国際金融・生産者サービスの中心として成長する中で,高所得者層の賃金は上昇したが,低所得者層の賃金は上がらなかった。また,インナーロンドンに貧困層が集中するのと同時進行で,ロンドン中心部に済む高所得者層が増えた。
・規制緩和以降の学歴と能力重視の傾向により,女性にも就業機会が開かれるようになった。
・高額な消費をいとわない高収入層が生まれ,特有のライフスタイルが形作られた。
・低所得層,特にマイノリティが集住していたインナーシティを含め,高所得者層をターゲットとしたジェントリフィケーションが進行した。
・南東部には高所得世帯が多く集まり,低賃金労働が必要とされる基盤が出来上がっている。
・多くの公的サービス職業は,民営化と規制緩和によって民間セクターに移され,削減されていったことで,正規雇用市場は縮小し,臨時の不安定就業雇用が拡大した。これにより貧困の集積が進み,ホームレスも増大した。

■東京
ニューヨーク・ロンドンとの相違点
・グローバル化により1980年代は巨大な成長と資本蓄積を経験したが,90年代になるとこうした進展は見られなくなった。
・特定の種類の経済活動だけが東京に集積されてきた。
・グローバルシティとしての東京の軌跡において,政府が大きな役割を果たした。
・生活水準の向上より産業の成長を重視する資源分配により,ニューヨークやロンドンに比して格差が小さくなっている。

ニューヨーク・ロンドンとの類似点
・1980年代以降,企業者サービスと金融サービスが成長した結果,専門職の需要が増大した。
・ジェントリフィケーションの結果,瀟洒な住宅・商業地区が現れる中で貧困も悪化し,高所得者向けの住宅供給の拡大と低所得者世帯の立ち退きが生じた。

≪東京のインナーシティ≫
インナーシティとは,中心業務地区を取り囲む一帯をさし,郊外に比べ都市の中心部に位置していることから「インナーシティ」と呼ばれ,マイノリティや貧困層の集住地域が形成される。

〇地域社会の衰退
商業・住宅・古い製造業が混在する区に現れ,雇用の減少し,若年層の転出により相対的に高齢者人口が増加している。
〇地域経済の衰退
製造業が経済基盤として活況を呈していた土地において,製造業が衰退した。その一方で他地域では製造業以外の産業が影響して経済活動の水準が上がり,通勤人口も激増している。
〇住宅事情をはじめとする物理的条件の悪化
豊島区・北区-粗末な住宅と貧困層が密集している。
中央区・港区-商業中心地でありながら,粗悪な住宅や荒廃した家屋が存在する。ビジネスセンターが急速に拡大する一方で,住人は激減している。
〇社会的な不利益とマイノリティとされる住人の関係
・日本は完全な同質社会であるといわれてきたが,現在は東南アジアからの移民が増大している。
・台東区・荒川区においてエスニック・マイノリティが社会的にもっとも不利益をこうむっている。
・新宿と渋谷には大きな韓国人コミュニティがあり,外国籍のアジア系女性のほとんどは「エンターテイナー」として雇われている。

➡商業中心地区に隣接し,かつ一昔前には製造・商業の中心であった地域で,社会・経済・物理的な面での最大の衰退が生じている。

Ⅲ.消費
人々の消費の形が変化し,一通りの基本的な欲求が満たされたことで,人々は他の人々との違い=差異を追い求める時代となった。つまり,同じものを大量に生産するのではなく,必要な時に必要なだけ生産されるようになったのである。

・低賃金労働は消費(あるいは社会的再生産)の領域で生じており,ジェントリフィケーションが行えるかどうかは,膨大な数の低賃金労働者を利用できるか否かにかかっている。高所得層向けのジェントリフィケーションを受けて,大量生産・大量消費ではない類の商品やサービスへの需要が生じ,結果的に労働集約的な生産方法がとられている。そして,特注生産や限られた生産量,小さな小売店では雇用のインフォーマル化と労働の不安定化が進んでいる。
・直接的には労働の構造,間接的には成長セクターで働く人々の高収入に基づくライフスタイルの登場によって,低賃金労働が創出されている。
・戦後の代表的な成長産業であった生活必需品や耐久消費財の生産が減少したことで,製造業の価値は下がり,労働組合の衰退,労働契約上の各種保護の減少,臨時雇用や不安定雇用,または非正規雇用の増加が起こっている。

◇大都市において経済活動での労働のインフォーマル化と不安定化が広がった原因
1.大都市では所得分布の二極化が進んでいるうえに,主な成長セクターが地理的に集まっていること。
2.大都市に膨大な人口が集中したため,安くて規模の小さいサービスが急増したこと。
3.人件費やそのほかの必要性から,労働集約的な製造業のうち低賃金で規模が小さい企業は,平均サイズの都市よりもロンドン・ニューヨーク・東京に多く集まる傾向にあったこと。

Ⅳ.不安定就業労働市場とインフォーマル労働市場
ニューヨーク・ロンドン・東京において労働のインフォーマル化が続いているが,東京が他の二都市と異なる点が,東京で増えた不安定就業が「日雇い労働」やパートタイム労働であったことである。高度産業国における正社員から臨時雇用への切り替えの重要な要因として,サービス職へのシフトがあり,増えたサービス職の大半を担っているのが女性である。

◇インフォーマル経済拡大の原因
・政府の管理や規制から逃れ,人件費を削減するため。
・臨時雇用の増加,母子家庭の増加,製造業に基盤があった労働組合の衰退,そして男性労働者の大量解雇などにより,家族賃金が制度的に崩れてきているため。

■ニューヨークでのインフォーマル化
・インフォーマル労働は,移民コミュニティに集まってはいるものの,コミュニティからの需要だけでなく,より大きな経済圏で生じる需要にも応えている。
・インフォーマルな経済活動が,とくにジェントリフィケーションなど急速な社会経済的変化を遂げている地域に集中している。
・インフォーマル労働は規制や市場原理と関係ないはずだが,工業・産業サービス地域として浮上している区域に集積している。つまり,インフォーマル労働が行われる場所は移民コミュニティが多いが,より広い経済圏を相手とした商売も行っていることを示唆している。
・インフォーマル経済が行われる空間において,重要な立地条件は,移民コミュニティ・ジェントリフィケーションが行われている地域・市全体の市場をターゲットとするインフォーマルな製造業と産業サービスがある地域である。
・インフォーマル経済の労働には同じ作業の単純な繰り返しを仕事とする非熟練労働と,高い技術が求められたり,または技術の習得が必要とされる労働というふたつのタイプが存在する。

■ロンドンにおける労働の不定期化
・不安定就業の状態化は昔からある産業において習慣化しつつあるが,建設やエンジニアリングといった専門サービスや銀行業でも,時給ベースで働く労働者が増え,正社員と同じ権利をもつ非正規社員は減っている。雇用者側が規制を逃れようとするため,こうした非正規労働者は自営業として分類されており,これも高度サービス・セクターにみられる所得の二極化の原因となっている。
・アパレルにおいて人件費が最も抑えられる労働者であるエスニック・マイノリティと女性を利用するために,家庭内産業労働や低賃金労働が増加している。
・アメリカと同じくイギリスにおいてもパートタイマーの立場をさらに弱くする法律が議会を通過し,パートタイム雇用は奨励され,その利用が正当化されている。

■東京の日雇い労働者
・1980年代に日雇い労働者の数が膨れ上がった。日本には日雇い労働者の大きな職業紹介所(寄せ場)が横浜・東京・名古屋・大阪の四カ所にある。
・日本の日雇い労働者は雇用関係の不安定化でもっとも鮮烈な例であり,女性のパートタイム労働と並んで,労働人口の階層化が進んでいることを象徴している。

Ⅴ.労働市場における人種と国籍
ニューヨークやロンドンの社会的・経済的変化を考察するうえで,人種と国籍を無視することはできない。しかし東京ではやや事情が異なっており,ここ2,30年の非登録移民の流入を契機として,今後移民をどうするかという問題がようやく出てきたのが現状である。移民は大中心都市の低賃金労働や不安定就業労働市場に集まっている。

■ニューヨーク市のマイノリティと移民労働力
・1980年以降,高給職が増える一方で,黒人とヒスパニックが占める割合が全職種で高くなり,白人の占める割合が減っていった。
・黒人とヒスパニックが新たな低賃金労働に参入しているのと同時に,白人から既存の低賃金労働を奪っている。
・女性の割合がどの集団でも増えている。
・地位の高い仕事では,マイノリティの数は未だに少ない。
・「移民集約型産業」(労働者のうち少なくとも5分の1が移民)と呼ぶ集団に,アメリカ生まれのアングロサクソン系と外国生まれのヒスパニック系がやや似た形で集中していることから,低賃金労働を作り出しているのは,移民というよりは経済と言えるかもしれない。

■ロンドンの黒人とアジア系労働力
・1950年代,移民がイギリスに大量流入し,アフロ・カリブ系の移民の約半数はロンドンに定住し,残りは他の大都市に落ち着いた。2000年の時点で,エスニック・マイノリティの出自を持つ居住者は,インナーロンドンでは29%,アウターロンドンでは22%にのぼった。
・1962年までに最初の移民法となる一連の法律が施行されたことを受け,移民は制限されるようになった。さらに1979年には臨時労働許可証が廃止された。
・黒人労働者やアジア系労働者は衰退がもっとも濃い影を落とした製造業に集まっている。
・マイノリティ集団は,集団の人口比に対して失業率が高くなっているが,それが最も顕著なのが黒人労働者である。
・低賃金労働の発生率は非白人層でかなり高くなっている。

■日本への近年の非登録移民
・1950,60年代にアメリカや西欧諸国が労働力を外国人労働者に頼っていたのに対し,日本では地方から都市への出稼ぎ労働者が,外国人移民に代わる役割を果たしていた。
・1980年代にアジアから移民労働者が流入したことで,日本経済はまったく新たな局面を迎えた。都会で生まれた移民第二世代が完全に成長し,労働力となった。また,激務を伴う仕事(例えば遠洋漁業)や低賃金労働での労働力不足はますます明らかになっていった。
・国会では1990年になってようやく入管法の改正が認められ,日本が受け入れる外国人労働者の職業領域の数を28まで増やした。そのほとんどは専門職である。他方でこの改正をもって非熟練・半熟練労働者の入国が制限・管理されるようになった。
◇非登録移民が日本に移住をきめた理由
1.来日する前から,労働力移動のプロセスに何らかの形で巻き込まれていたため。
2.移民労働者の出身国における日本のプレゼンスが高まった結果,日本に関する情報が入ってくるのと相まって,連関が構築され,移住先の候補として日本が浮かぶようになったため。

→労働力の不安定化は,移民労働者にとって間口が広がるチャンスである一方,雇用者側にとっては制約が減ることであり,また,人件費削減につながる。また,製造業の衰退,サービス業の台頭によって独立した小企業が増え,こうした企業は日本企業の大多数が加入している大規模な経済団体に加入していない。これは不安定化のもう一つの形といえる。

■経済の再編成と社会的な地域構造における移民
大量の移民が衰退している後進セクターに低賃金労働を提供しているという従来の研究の見方では全面的な説明とならない。

・移民が安い労働力を提供しているとされるサービス関連職や製造関連職は,成長している高度専門サービスや,こうした分野で働く高所得層のライフスタイルから生じる需要に応じて創りだされている。移民労働者が担う衰退している経済セクターが,都市経済で最もダイナミックなセクターの需要を満たしている。
・1970年代のニューヨーク,1960年代のロンドンにおいて,移民がいなければ放置されたままであった家屋や閉店したままの店舗が連なる地域で,移民は職を見つけ働いた。移民コミュニティは都市の空間・経済セクターの再生に積極的に関わっている主体であり,コミュニティのための直接労働と,資金の個人投資を集積させることで利益を最大化する構造,あるいは媒体である。
・大量の移民は戦略的なセクターにサービスを提供する労働に組み込まれており,その組み込まれるプロセスで,グローバル・シティが重要な役割を果たしている。そして実際に組み込まれていくなかで,移民労働者は見えない存在になっていく。
・移民は移民であるがゆえにインフォーマル経済におあつらえ向きの労働力や企業家になり得るし,大都市を中心に低賃金労働者が増えたことは,移民にとってみれば,雇用機会の創出として理解できる。

Ⅵ.まとめ
1.近年のジェントリフィケーションの特徴は,その規模の大きさと新しい消費イデオロギーを生んでいることである。つまり,中産階級の消費パターン(機能性・低価格・郊外)から大都市のエリート層の消費パターン(スタイル・高価格・超都会的)へと変化が生じている。このような新しい商業文化が台頭する一方,貧困の厳しさが増している。
2.三都市において不安定就業労働市場が組織化され,こうした雇用関係がサービス・セクター中心の経済で拡大し,中心的になった。不安定のダイナミクスは都市ごとに違った様相を呈しているが,各種パート労働の増加は一般的かつ広くみられる傾向である。
■ニューヨーク
不安定就業労働市場が成長した結果,予期していなかったインフォーマル経済の登場というダイナミクスが生じた。
■ロンドン
かつて国家が提供したサービスの多くを民営化した結果,雇用の不安定化が,もっとも劇的に生じ,そのために雇用条件が制度的に悪化した。
■東京
「日雇い労働者」が急激に増加し,労働者の層も多様化している。このような中で,制度による保護や賃金水準が急激に悪化している。

3.人種・国籍によって,雇用分布・賃金分布は異なっており,ニューヨークの黒人や第三世界からの移民は極端に賃金の低い,より古いサービス職に集まっている。ロンドンでは,移民への門戸が閉ざされたにもかかわらず非登録あるいは半合法移民が流入し続け,彼らは低賃金労働に従事している。労働者と世帯の間で孤立化が進み,経済的重要性をもたない者の割合が増加している一方で,柔軟性の高い期限付きの低賃金労働力に完全に組み込まれつつある移民労働者もいる。東京への非登録移民の流入の主要な要因は,経済の急速な国際化,なかでも近年の非登録移民の主要出身国への海外直接投資・海外援助・海外移転の増加と,不安定就業労働市場の存在感の高まりである。最近の移民の多くは雇用関係の不安定化の広がりのプロセスに組み込まれている。つまり,大都市を中心に起きている経済の国際化と雇用関係の不安定化により,新たな移民が生まれ,かつ吸収されているのである。

論点
製造業の衰退と金融・生産者サービスの台頭やグローバリゼーションにより,日本でも不安定就業労働市場が拡大し,移民労働者が増加するなど雇用形態の変化が生じている。では,1960,70年代の高度経済成長期と現在では,雇用や労働の在り方は具体的にどのように変化したのだろうか。またその変化により,社会や私たちの日常生活にも何か影響があっただろうか。

<議論>
高度経済成長期と現在の雇用・労働のあり方に関する変化を捉えるため、まずそれぞれの時期における雇用・労働の特徴となる事項をリストアップした。その結果、高度経済成長期には「終身雇用・年功序列・会社からの手厚い補助」「非熟練労働」「正規雇用・集団就職・正規雇用の多さ」「労働組合の強さ」などが挙げられた。現代では「転職、リストラが一般化」「ブラック企業・ワーキングプアの登場」「専門職のニーズの高まり」「正規雇用の少なさ・過剰な就職活動」「規制緩和によるフリーター、派遣労働者の増加・労働組合の崩壊」が挙げられた。これら高度経済成長期と現代の特徴は対応しているカテゴリに分けた。(各時代の特徴は対応するカテゴリ順に紹介している)また、高度経済成長期には見られなかった新しい特徴として、「外国人労働者の増加・女性の積極的な登用・定年後も働く労働者の増加」が挙がった。
こうした特徴の変化から、いま私たちの日常生活に現われている影響として「収入の二極化・雇用のグローバル化・個人社会・資格重視・生涯勉強」が挙げられた。特にポジティブな影響として「束縛がない・選択肢の増加」が、ネガティブな影響として「一生涯競争が続く・不安の強い社会」が挙げられた。
今回の論点では、現代社会のネガティブな側面が多く論議された。たしかに社会的な格差の拡大や就職したからといって安心できることはない点など社会的な不安はますます大きくなっている。一方で、努力次第で年齢に関係なく昇進できる点や職種・働き方の選択肢が増えてきている点は、良い点だと評価できるのではないだろうか。単純に「高度経済成長期は良かった」「現代社会は悪い点ばかりだ」と評価するのではなく、現代の格差社会の下位層に対する補償が弱い点のみを問題視することが重要だと考える。
こうした問題点の原因に、日本の企業依存的な福祉制度がある。所属する企業、また就労状況により、享受できる福祉に差が生まれてしまうからだ。弱まってしまった福祉国家体制を強化することが求められると考える。
2015-08-03 13:10 : 『グローバル・シティ(サッセン)』(15年度前期大学院ゼミ) : コメント : 0 :
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