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『都市社会地理学』 第6章 レジュメ

『都市社会地理学』

第6章 建造物の供給構造と都市環境の社会的生産(139頁~168頁)

<建造物の供給構造>
需要と供給
建造環境の生産
社会関係
アクターの存在





6.1 住宅下位市場
・住宅下位市場(Housing submarkets)・・・都市内のローカルな地区に顕著な住宅類型。
特定タイプの人々が住む。

・「住宅」=財サービスの合成パッケージ
           ↓
     ・個人の安全・自立・安寧・幸福・地位を決定
     ・稀少資源(教育・医療・余暇など)へのアクセスを規定
      →使用価値(Use value)

・伝統的な住宅下位市場の定義
 →住宅属性,世帯類型,立地で示される(図6.2)
       ↓but
  整然と区別できることは稀

■持家の増加
・西側諸国に共通
・独自の不動産文化(Culture of property)
・持家政策 ― ケインズ主義(Keynesianism)の要
 →景気を調整・刺激
・住宅保有の社会的二極化
 →居住分化,収入や富、階級構造、社会対立に影響→コミュニティの二極化

■民間賃貸住宅の減少
家主:賃貸住宅経営の収益率低下
      民間賃貸住宅の減少
世帯:持家や(欧州では)公共住宅の方が金融上有利

つまり 民間賃貸住宅の需要が減少したのではなく、より大きな経済的政治的変化の結果

<民間賃貸住宅の質的量的縮小の影響>
・中流下層以上の労働者階級:郊外の持家取得→インナーシティの衰退促進
・インナーシティの近隣や人口の再編
 →低所得世帯,低所得移民,一時滞留者,片親世帯,福祉給付に頼る高齢者世帯の殺到
・社会的紛争が高まり、領域的セグリゲーションと「防衛型近隣」が発達

but 民間賃貸部門の縮小は選択的
→大都市の都心高級マンションの需要は旺盛

■公共住宅の発達
・経済的政治的要因の産物
・様々な供給形態→最終的には、中央・地方政府や公的機関の資源と性格に左右

公共部門における社会空間的分化
<英国の公共住宅の特徴>
・郊外に集中
・持家住宅と混在→自治体に強力な計画権限
・幅広い社会経済的階層が居住→民間の底辺住宅よりも優れた建築規格
      ↓but
 公共住宅は持家に住む近隣住民に歓迎されない 
 公共住宅は都市の縁辺部へ
 →現在の生活の質や将来の住宅の交換価値の低下を危惧(既成市街地から隔離)

・公共住宅ストックの多様性(6つの時代に大別)
・公共住宅部門の内部→明瞭な社会的セグリゲーション
・公共住宅売却政策による払い下げ

■ボランタリー部門 ― 住宅供給の「新たな主体」
・排除されていた階層にも持家取得を可能にした
・英国の住宅協会→政府による植民地化


6.2 建造環境の社会的生産のキーアクター
・Pahlの研究→マネジャー論,マネジャリズム(Managerialism)研究
 →希少な資源やサービスへのアクセスに及ぼす管理者の影響に着目した分析
・住宅における希少資源の管理者に関する共通事項
 →利用可能な資源と顧客(申請者)の仲介
・意思決定(有資格)規則(Decision rules)・・・都市内の資源を配分するために官僚が用いる基準
・都市マネジャー
 →限定された役割を持つアクター
  ・経済的・社会的・政治的なプロセスに制約される
  ・最終的なパターンの詳細を規定(専門家として)

■土地所有者 ― 形態発生学
・土地売却→付帯条項をつけてその後の開発の方向を制限(交換価値の保護)
・英国での3つの主要類型
→伝統的土地所有者,産業的土地所有者,金融的土地所有者

■建設業者・開発業者 ― 利益の追求
・事業の中心的存在(大企業→強力な圧力団体)
・用地選択の基準
  郊外住宅地の開発・・・価格
  インナーシティ住宅開発・・・土地の取得可能性
・住宅規模の画一化
 →「典型的な」家族は郊外へ
・開発業者→規模と企業組織に依存
  大:大衆向け郊外開発
  中:アパート(高密度)、上層向け戸建住宅(低密度)
  小:高級住宅

■建築家・計画家 ― デザインによる差別
・経済・社会・文化・政治の動きを都市の物的環境の変化に映し出す
・現代の都市や都市社会の構造
 →ジェンダーによる分断と対立を反映し具現化
  ・男性的都心と女性的郊外(McDowell)
  ・職住分離に起因するジェンダー対立の観点から都市構造の展開を解釈(Mackenzie)

女性の空間
女性的コード化→ジェンダーによる差異を「自然なもの」として表現
        ジェンダー差や家庭内分業を普遍化・正当化
女性の場所
都市計画→家父長制的・父権主義的イデオロギーを含む
     「自然のままの」男性的・公的領域である商工業と女性的・私的領域である家事の空間的な隔離を強化し遵守する
     →都市生活/郊外生活という対照的な生活体験

■住宅金融業者 ― 善意のビジネスの社会的空間的バイアス
・自立した意思決定者ではないが影響力は大きい
・投資家への忠誠

人間に対するバイアス
・住宅金融マネジャーによる融資希望者のふるい分け

不動産に対するバイアス
・資産の流動性→査定は不動産鑑定士
 →「最も安全な」不動産の価格帯・規模・立地
・赤線引き(Redlining):リスクの高い地区の物件に対する融資を拒否
・大手建設会社による郊外事業への密接な関わり

■不動産業者 ― 近隣パターンの操作と強化
・居住用資産の取引・管理にかかわる幅広い活動
・居住者のコントロール(人種や民族による差別など)→市場条件の維持

社会地理の操作 ― ブロックバスティングとジェントリフィケーション
・ブロックバスティング(Blockbusting):街区破壊
・ジェントリフィケーション(Gentrification):インナーシティの更新・再生

■公共住宅マネジャー ― 選別と格付け
・入居の許可と住宅の配分→多様な入居資格規制と優先順位制度
・配分する資源の構造や形態、量を決定する力は持っていない
 →民間住宅の序列とほとんど違わない階層が公共住宅にも生じている

問題家族と落ちこぼれ団地
・「優良」入居者→最良の住宅,不良入居者→「落ちこぼれ」団地
・「問題家族」の隔離と集中→自治体の「道徳主義的」姿勢
・ふるい分けと格付け→社会空間的セグリゲーションの強化




<論点>
・本文156頁・?21
多くのフェミニズム論が明らかにするところによれば、現代の都市や都市社会の構造はジェンダーによる分断と対立を反映し具現化している。・・・
普段の生活の中で、この分断と対立を感じることはあるか。感じるならば、どんな場面で感じるのか。そして、この分断と対立は克服する必要はあるのか。

・本文168頁・?14
市場メカニズムによる民間住宅の序列とほとんど違わない階層が公共住宅にも生じているのである。
民間の社会的ゲートキーパーが利潤追求のため住宅市場を操作することは理解できるが、公共住宅マネジャーが入居者の選別と格付けを行うのはどうであろうか。このシステムでは、社会的階層は再生産され続け、一向に格差は縮まらず、いわゆる不良入居者は低水準の住宅に住み続けることになる。
だからといって不良入居者に最良の住宅を割り当てる訳にもいかない。こうした問題にはどう対処すればよいのか。


(日本の住宅融資に関する問題として)
・住宅金融公庫廃止をどう考えるか
 住宅金融公庫・・・政府が全額出資した住宅ローン専門の公的金融機関。マイホーム建設・購入資金等の個人向け融資及び賃貸住宅建設資金等の事業者向け融資などの業務を行う。住宅金融公庫による直接融資制度は2006年度末までに廃止されることになっている。
         2000年度決算では、貸付金残高が約76兆円となっている。

 <公庫の住宅ローンのメリット>
 ・金利が民間より低い。
 ・民間は変動金利だが、公庫は固定金利なので金利上昇リスクがない。
 ・公庫は融資の審査基準が民間よりゆるく、借りやすい。

 <公庫の問題点>
 ・長期・固定・低金利が売り物だが、恩恵を受ける人は国民全体のごく一部に過ぎない。
 ・毎年4千億円もの国費を使っている。
 ・甘い融資基準で借りた人が返済できないケースが多くある。

・マイホーム促進政策は必要か(住宅金融公庫廃止の議論と絡めて)

2006-06-27 21:57 : 『都市社会地理学』(06学部ゼミ) : コメント : 2 :
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今回のゼミの議論は、上記のあいざわさんのコメントにゆだねるとして、さわが議論の中で最も感じたのはジェンダー意識に関するジェンダーバイアスでした。

ジェンダーに関する研究会にたまたま出席すると、ほとんどが女性研究者であるし、ジェンダー研究そのものが「女性からの異議申し立て」という状況でもある(本来的には、それぞれの性からの現在社会への意義申したでであるはずだが)。

ジェンダーを切り口とした都市空間や地域社会へのアプローチは、とても示唆の富む分野であるが、学生の日常生活にいてもジェンダーを意識するのは女性ばかりのようだ。男性は、おそらく女性化した郊外住宅に単身で生活してはじめて、自分が阻害されていることを実感し、空間がジェンダー化されていることに気がつくのかもしれない。
2006-06-28 17:30 : sawa URL : 編集
これからの日本の住宅政策
住宅市場のあり方は、本章で主に取り上げられたアメリカの事例と、欧州の状況はだいぶ異なります。興味のある方は「住宅政策」などのキーワードで調べてみてください。フランス、ドイツ、イギリス、そして北欧などの住宅政策をそれぞれ比較してみると、お国柄といいますか、いろんな考え方に基づいて住宅政策が進められていることが分かります。

議論では、ジェンダー化された都市空間としての「loftとHandsの違い」などで盛り上がりました。それから、公営住宅と住宅金融公庫の話題が出ました。

日本の住宅政策について考えるときは「福祉メニューとしての公営住宅政策」と「都市づくりとしての民間住宅政策」は、ある程度分けて考えられてきた部分があると思います。

しかし、私の個人的な考えですが、これからの日本社会を想像してみると、高齢化や人口減少、経済構造の変化などによって、従来のような都市拡大・宅地開発に基づいた展開は期待できないと思います。

そのため、最近では「コンパクトシティ」なんて言葉が流行ってます。ある程度は民間主導になると思いますが、福祉メニュー(低所得層や高齢者層への対応)と都市再開発と地域づくりが合わさったような政策メニューを充実させ、そういった制度を民間事業者が活用しながら、都市再開発を進めていくというのがひとつの流れになっていくのではないかと思います。

共同再建型の共同住宅や公共施設や商業施設との複合型住宅によって、どれだけ都市の魅力を創出できるのかにかかっていると思います。たとえば民間事業者が魅力的な事業案を構想し、行政側の補助メニューを組み合わせながら都市を再構築していく・・・などの月並みなビジョンしか思いつきませんけど。。。

いずれにせよ、住宅政策は都市づくりの基礎なんだというつもりで考える必要がありそうです。
2006-06-27 22:23 : あいざわ URL : 編集
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