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『さまよえる近代』 第9章 レジュメ

『さまよえる近代』
第9章 ローカリティの生産

(※発表者の都合で、章の順序が入れ替わっていますがご了承下さい)



本章が取り上げる問題
①グローバルな文化フローをめぐる体系のなかで、ローカリティはどのような場所を占めているか
②ローカリティが存在論的な支えを失ってしまったように見える世界において、人類学は修辞的な特権性を維持しているか
③人類とローカリティの相互構成的な関係は劇的に脱ローカル化された世界のなかで命脈を保つことが出来るのか

筆者の関心―国民国家がある種のトランスナショナルな不安定化に直面している現在、ローカリティがどのような意味を持ちうるのか

◇ローカリティ・・・関係的でコンテクスト的、現象学的属性(ある特定の形式をそなえた意図的活動によって生産され、ある種の物質的効果を生み出す、感情の構造)
◇近接・・・状況づけられた共同体、現実性&社会再生産の可能性
(後半部分にある説明・・・比較的安定した組織や、認知され共有される程度が比較的高い歴史、集合的に考察され解読可能となった空間や場所によって構成された生活世界)
⇒空間のローカル化、日常の相互作用、社会のスケールが必ずしも同型ではない世界にあって、ローカリティはいかなる意味をもつのか


【主体の位置】

ローカリティ・・・本来的に瓦解しやすい社会的達成→敵の存在
ローカルな主体・・・状況付けられた共同体に所属する行為者

*通過儀礼
ローカルな主体の生産に関係(身体へ刻印)
社会的にも空間的にも境界を定められた共同体にあって、身体を位置づけ、ローカリティを身体化
社会的凝集を支える機械的な技法、「ネイティブ」の生産を支える社会的技法
ローカルな主体の生産―ローカリティの物質的生産(それ自体が目的に)
ローカリティの生産―ローカルな主体だけでなく、ローカルな主体をコンテクスト化する近接を生産する問題
意図的実践にもかかわらず機械的再生産という印象
儀礼についての記述・・・空間と時間の社会化、ローカリティの時空間的な再生産の記述
 所与のものとしての拒否
 物質性が終着と誤認(→感情構造について曖昧)
*ローカル・ノレッジ(様々な条件下でのローカリティ生産・再生産の手法についての知識)
 対象・・・ローカル的だと信頼しうる主体を再生産すること。ローカル的だと信頼しうる近接を生産することにも関わる
 →他のノレッジとの対照によってではなく、それ自身のローカルな目的論やエートスによって本質が発現(即自的にローカルであるばかりでなく、対自的にローカル)

ローカルな主体の生産と近接・・・・歴史的かつ弁償法的
ローカル化された空間とローカルな主体の相互関係(脅かす問題の存在)

*民族誌―ローカリティの生産にかかわる共犯者
     ローカリティの生産を単調で不連続な行為や舞台として誤認されてきた
     ローカリティの脆さとエートス認識されず
     感情構造としてのローカリティの惰性態との協働

民族誌の再読の価値
①民族誌の歴史を近接の歴史からローカリティを生産させるための技法の歴史へと転換
②共同生産をめぐる新たな思考法を開示
③ローカリティの生産を対象とする民族誌が、民族誌的な記録に対する貢献の一部になる
⇒数々の対置的修辞の安易な使用(現在と過去の対立させること)を避ける

【ローカリティのコンテクスト】

*近接
近接の生産はたえず、歴史に支えられており(コンテクスト的)、近接が近接でありうるためには、別の何者かに対置され、別のすでに生産された近接から引き出されなければいけない

近接はある程度エスノスケープ
 ・・・自らに固有の論理が一般的な論理であることを、他者もその論理に則って生活世界を構築することを了解→コード化、成文化
近接の生産―植民地化、意識化、潜在的な暴力性、敵対的・抵抗的環境に対する権力行使
近接とコンテクストの関係
 一つのディレンマ・・・近接はコンテクスト⇔コンテクストを必要とすると同時にそれを生産
 近接・・・有意味な社会的行為を生成し、解釈するためのコンテクスト、あるいは人束のコンテクスト
     →近接はコンテクストであり、コンテクストは近接。重層的な解釈場。
 近接のコンテクスト生成的次元・・・それ自身が理解可能となるためのコンテクストを必要とし生産しもする
 近接・・・ローカルな主体の生産の必要条件

 ローカルな主体もコンテクストの創出に貢献している→物質的かつ概念的な境界を超えることも
  コンテクストとしての近接は諸々の近接のコンテクストを生産(弁証法)
  時を超えてローカリティの生産を規定する条件それ自体を変化(歴史の主体は歴史的主体になる)
 ヤマノミ族の例―ローカリティ生産活動がコンテクスト-被規定的かつコンテクスト-生成的
ローカリティ生産がどれほどコンテクスト-生産的か
    →近接が創出するコンテクスト、近接が邂逅するコンテクストの関係による(社会的権力、組織や管理のスケールの問題)
ヤマノミ族とブラジル→権力が近接同士のコンテクスト的な関係の重要な特徴

コンテクストとしての近接と近接のコンテクストとの関係・・・現在世界において新たなる複雑性
ローカリティの生産に影響を及ぼす権力関係が根本的にトランスローカル的な状況

【ローカリティのグローバルな生産】

コンテクストに対するローカリティ(や近接)の関係は歴史的かつ弁証法的
場所のコンテクスト-生成的な次元(エスノスケープとしての場所の能力)
 ⇔場所のコンテクスト-供給的な特質(近接としての場所の能力)

*ナショナリズムおよび国民-国家をめぐる問題へ

資本主義的な思考様式や組織のグローバルな移動を強調する立場から国民という形態を強調する立場への転換
ローカリティの生産・・・脱領土化、ディアスポラ的、トランスナショナルな世界で執り行われる
(電子メディアが情報とメディア化の関係を変容しつつある)
国民-国家・・・サブナショナル、トランスナショナルな運動や組織に直面するなか、成員に対する管理を維持しようとする
ローカリティ生産が難業になりつつある・・・3つの次元に焦点
 ①近代国民-国家は、あらゆる近接を定義しようとする試みを強める
 ②領土、主体性、集合的社会運動の間に乖離構造が拡大しつつある
 ③空間的近接と仮想的近接との関係が電子メディアの媒介によって侵食されつつある

国民-国家におけるプロジェクトの矛盾
 平坦で裂け目もなく同質的な国民性の空間を創出
⇔内的な区分と分割を作り出すよう計算された場所や空間(監獄、公園など)を創出
国民-国家の狙い・・・主権下にある全ての空間をネーション化するための諸技法の広大なネットワーク創出(市民生活の牽制や制限)→失敗の現状
神聖性を帯びた特別な空間、忠誠と反逆を峻別する特別な基準、追従と不穏を測定する特別な尺度
→現実的な問題、認識上の問題
 ・・・・福祉、市場経済、軍事力、民族的純潔性に関する国家のイデオロギーの数々
      ⇒ローカルな主体による近接の生産に類似した試練

近代ナショナリズムにおける近接、ローカリティ
・・・迎合的でナショナルな市民を涵養し再生産し、ローカルな主体を生産するものではない
 むしろ社会的組織体としての近接は不安を象徴(国民性を創り出す技法を弱体化)
 近接→均質化と逸脱の永遠なる起源であり、境界とほぼ同じく徹底的に管理される必要

近接は国民-国家プロジェクトと相剋することが多い
 ←空間的で社会的な標準化の要求に応えない(規律=訓練されたナショナルな市民を創出されない)
その一方、もっとも適合的なローカル化の様式は規律=訓練的な特質を持つ

現代世界を特徴づけるヒトの移動・・・労働、経済的好機
ある一つの国民国家が抱く民族-生産の欲求は、隣国にとっては民族的で社会的な不安を意味する
レジャー産業・・・トランスローカリティと呼べなくもない近接の創出
ローカリティ生産の試練・・・内部的なローカル力学を消去しようとする国民-国家の傾向

近接の生産をめぐる陰鬱な問題(例:世界各地の紛争、難民キャンプ、都市スラム、ゲットーなど)
 コンテクスト-生成的でなく、コンテクスト-被生産的な近接の極端な事例
内破的な力・・・近接のなかに、さらに広範な地域的、ナショナル、またグローバルなプロセスの最も暴力的で最も問題に満ちた影響を折り重ねていく
都市崩壊におけるローカリティの生産
転地や脱領土化を強いられた人びと、近接によるコンテクストの生産に歯止めをかける国家政策、ナショナルな市民でしかありえないローカルな主体をめぐる相互関連問題に直面
ローカリティ生産への傾倒を弱められた近接はもはや近接という名に値しない。

*マスメディア・電子的な形態をとった電子メディアの役割

マスメディアによって、空間的近接と仮想的近接との間に新たな種類の乖離構造が創出される
 乖離構造・・・ユートピア、ディストピアの可能性
 映画の例
電子メディアの発展・・・ビデオ、CMC(コンピューターを介したコミュニケーション)
 発展一つ一つが、他の全ての発展と相互に作用しあい、生産者、オーディエンス、公衆の間に新たな複合関係(ローカルでもナショナルでも、安定的でも乖離的でもある)を創出
メディア環境の近接への影響
 コンテクスト―被規定的というより、コンテクスト―生産的なものとしての近接の能力に影響
 恐るべき速度のコミュニケーション
 電子掲示板・・・多様な(分断された)個人がそれぞれにふさわしい想像力と関心の共同体を形成

仮想的近接・・・電子メディアに媒介されたコミュニケーションの新たな形態が創出
       境界づけるもの―ソフトウェアやハードウェアのアクセス
電子的な近接は生活の多くの領域に影響
 高度に空間化された近接と仮想的近接との対置は慎むべき
 
*ディアスポラ

ディアスポラが新たな形で電子的媒介に照らして変容を遂げていくプロセス
例:アメリカ在住インド人
 ディアスポラの政治学がグローバルな電子的変容から決定的な影響を受ける
 空間的近接と仮想的近接との対立ではなく、ローカリティ生産の新しい重要な要素
 グローバルフロー・・・空間的近接の生産に影響をおよぼす強力な内破的力をさらに強大に
 ディアスポラの世界における共同体の電子メディア化
  →ローカルな主体のいっそう複合的で乖離的、異種混淆的な意味を創り出す
 
 ローカルな主体性を生産し、涵養する手段となる想像力の作動は、高度にローカルな問題と高度にトランスローカルな問題とから構成される多層構造

現代の世界でのローカリティ生産に最も直接的に作用する要因
 ①国民-国家 ②ディアスポラ的なフロー ③電子的かつ仮想的な共同体
 →それ自体可変的で問題含み、矛盾に満ちた方法で節合される
 →節合される方法は場所により異なる
 国民-国家の想像界、定住地のない共同体の想像界、グローバルな電子メディアの想像界のせめぎあいが進行中
①~③の要因の意味するもの
→ローカリティの生産に対して途方もない新たな試練が立ちはだかっている
  ローカリティの生産が、これまで以上に矛盾に射抜かれ、ヒトの移動によって不安定になり、仮想的近接という新しい種類の形成によって脱臼されている

ローカリティ・・・2つの意味で瓦解しやすい
①現実的な近接の物質的再生産はコンテクストの腐食にたえず直面している
②近接がいっそう複雑な階層的組織、とりわけ近代国民-国家のコンテクスト―生産的な駆動力の影響にさらされるとき
ローカリティは常に、ある特定の近接に内在するローカルな主体の実践から発現
ローカリティが感情の構造として現れる可能性は、可変的で不完全なもの

社会的組織体としての近接と社会生活の属性としてのローカリティとの乖離構造→歴史的先行物
マスメディアに媒介された言説や実践との乖離構造がいまや国民-国家を取り巻いているところに新しさ

乖離構造と接合との関係を理論化するにあたり、ローカル的なものだけがかわる何かが存在するとは想定できない




<論点・疑問>
・即自的にローカル、対自的にローカルとは?(p.322)
・惰性態との協働(p.324)
・感情の構造としてのローカリティ(p.324ほか)
・歴史の主体は歴史的主体となる(p.330)
・ブラジルにおけるヤノマミ族のような例は日本にあるか。コンテクスト生成的な部分がもたらしたものはなにか

2006-07-07 00:16 : 『さまよえる近代』(06前期・院ゼミ) : コメント : 0 :
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