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『都市社会地理学』 第4章 レジュメ

『新版 都市社会地理学』
第4章 社会空間的分化のパターン



☆本章の課題
   都市構造にはどのようなパターンがあるか。
   都市構造を形成し、変形する主要なパターンは何か。
   都市構造の社会経済的次元には何があり、それらはどのように地理的に現れているか。
   都市における生活の質の差異は主に何か。


地理学における地域分化(居住分化・社会空間的分化)の伝統に従い、都市社会地理学者は都市の形態・構造を一般化。⇒明確な特徴を持ち相対的に均質な地域を明らかにするため。

一般化=ある時点での社会―空間弁証法の結果を把握すること。それに基づいて都市の成長過程や社会的相互作用に関する仮説・理論を考察・検証するためのモデルが作られる。

4.1 都市形態学と都市の物理的構造
◎住居タイプ,土地区画,街路レイアウト
 都市環境の形態的パターンは、土地区画の大きさや形と街路レイアウトの二つの基本要素に基づき、時代背景・経済状況・社会文化的理念の違いに対応している。
 主要な形態の例

◎形態発生学
 形態発生学…都市の物理的構造が生まれ変形していく過程。既存の構造が時間とともに修正され、都市の形態が変化(混合化)。

Smailes「都市の各発展段階の住宅開発はさまざまな社会・経済・文化の影響を受けている。」
「全ての町の成長は外延的拡大(追加)と内部再編(更新)からなる双子のプロセスである。」
 再編過程はさまざまな空間スケールで起きるさまざまな変化を含んでおり、個々の建物に生じた小スケールの変化が街区・近隣・地区レベルの変化を引き起こす。(表4.1)

さらにSmailesは「ほとんどの都市開発が形態的要素の残滓(ざんし:vestige)に特徴付けられる」と指摘。図4.8のように、比較的新しい均質な郊外住宅地においても形態上の再編(土地区画の細分化と再開発)が起きており、こうしたパターンは部分的な市街化と再開発の重要性を示している。
 ⇒成熟した郊外の社会―空間弁証法の核心。

都市デザインの革新(表4.2)は、価値観や態度をも象徴する。
(特に)交通技術の革新⇒権力・空間・デザインの規範と美意識の発展に寄与するだけでなく、都市の物的構造全般に直接的な影響を及ぼしている。(図4.9)⇒新しい空間的パターンの誕生。(図4.10)
 
◎環境の質
環境の質の空間的多様性は、社会的観点から見て注目すべき建造環境の1つの側面である。
居住環境の「質」は現地調査によって評価され、さまざまな環境の有無に従って点数が付けられ、その得点を集計して、地区ごとに総合的な指標が得られる。

シェフィールドによる調査(図4.14)=環境の質は都心からの距離及び持ち家や公営住宅の割合と正の相関を示し、工業的土地利用や建築年数と負の相関がある。その空間的分布は明瞭な同心円を示し、中心部から郊外に向かって徐々に改善されていく。⇒社会経済的地位のパターンと相似。

しかしながら、パターンを一般化することや質の選択などは調査者の主観に依存してしまうため、人々が環境の質にたいする意識調査を行う必要がある。しかしそれすらも所得や出自などによって意見に幅が生じてしまう。

◎市街地景観と建造環境の場所の精神
形態学的地域において、その地域独自の場所の精神は、多くの場合記述によって明らかにされる。RabanによるKentish Town、Roxburyの記述、Banhamによる「建築生態」の分類、Sennettによるニューヨークの記述など。→場所を特徴付けている「人」の重要性。

◎都市での定性的手法と参与観察
Giddens「二重の解釈学」
定性的観察は、特定の空間で期待される行動、監視の役割、場所の結びつき、行動パターンの時間的変化を背後で支えている“前提”に関して重要な洞察を提供する。

4.2 差異と不平等―社会経済的パターンと社会文化的パターン

社会的二極化、ジェントリフィケーション
不平等と空間的分化…多くの都市に共通する規則性がある。
個人所得―教育、職業など。社会経済的地位―年齢、家族構成など。
Winchester&White 経済的底辺集団の規範と標準…経済的・社会的・法的。
底辺集団はインナーシティなどへ集中。⇒因子生態の実証研究。

◎因子生態分析
データに潜む共通のパターンを抽出するために社会的、経済的、人口学的、住宅属性の関係を分析する帰納的手法として使われる。都市の社会空間構造に関する信頼度の高い一般化をもたらした。
Murdie「くもの巣状の扇形―同心円格子からなる区画」(図4.22)

これらの図は都市形態との微妙な相互作用の結果。←一般化の程度が高い。
通信技術の進歩=伝統的都市空間の解体と新しい都市空間の台頭を促進=より複雑で細分化された構造の出現

全般的に大陸欧州都市の居住分化は社会経済的地位の次元が重要であり、これと住宅状態や自営業者の局地的集中が関連することが多かったり(図4.22)、社会的地位とライフスタイルのニーズを既存の居住機会に一致させるための移動性の確保(地理的移動性)、あるいは分析データにおける国勢調査への依存などによって、さまざまな構造・制約が生じてしまう。
  
◎社会の暮らしやすさのパターン
 社会指標=「社会の主要な側面の状態について、簡潔で包括的でバランスある判断を促すための直接的で規範的な利害関係の統計。」
欧米社会での社会的不平等の増大と社会的排除の概念への注目、環境問題への関心と広義の生活の質に関する尺度の開発の促進⇒社会指標に対する関心の増大
Smith,D.M. 人文地理学における「福祉アプローチ」
空間スケールでの「社会の暮らしやすさ」の地域的分布⇒ ①「生活の質」研究 ②「剥奪」研究


①「生活の質」研究
 要因が数え切れないほどあり、評価は集団によって異なり、地理的スケールによってもその重要性は変動するため、社会の暮らしやすさの究極的・普遍的な定義を求める試みは成果を上げていない。

Smith「われわれは、直接的には観察不可能であり、測定のための価値尺度もなく、理論的にそれが社会の価値観に依存すると言われているだけのものを測定するという問題に直面している。」

フロリダ州タンパの例(図4.27) 社会の暮らしやすさの分布に扇形と同心円の両方の要素がある。
さらに、ほとんどの研究は人種と生活の質が密接に結びついている。

Maslow「人間の動機付けはニーズの階層と結びついているため……物資雨滴豊かさの水準が低い人間は生活の美的・精神的・文化的側面よりも物質的側面に重きを置く。」
 
②「剥奪」研究
 ランダム・補完的・累積的・それぞれの地域で異なる「剥奪」
 グラスゴーの調査=10指標での調査
 しかし生態的誤謬の可能性も。不利益を被っている主な地域は
①周辺部の空間的縁辺地区
②インナーシティの社会的底辺地区
③荒廃してしまったインナーシティの地区


 都市構造には居住分化や社会空間的分化といった地域分化があり、都市社会地理学者たちは因子生態分析などによってその中に内在する相対的に均質な地域の抽出やあるいは差異・「剥奪」などを明らかにし、それを通して都市の形態・構造を一般化しようと試みているが、数多くの要因によって複雑化し、それが困難になっている。また因子生態分析そのものについては、まだまだ検証の余地があるといえる。


☆論点☆

◎(P.73に倣って)日本における都市の空間的パターンはどのようなものであっただろうか。
◎社会的地位およびライフスタイルと、住居や商業地などの立地の関係について。
   (商店街、ニュータウン、郊外化、車社会etc.)


管理人追記;
ゼミでは、本章に例示されたアメリカの事例と比較するため、日本やインド(ムンバイ)の都市についてgoogleアースなどを使いながらイメージを膨らめ、議論を行った。

2006-05-30 17:38 : 『都市社会地理学』(06学部ゼミ) : コメント : 1 :
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郊外という装置
議論の中でおもしろかったのは、郊外の果たす役割である。郊外が、ショッピングモールやシネコンプレックスという装置を配置しながら、新たな消費文化を生み出してゆく。その消費文化が、現代の我々のアイデンティティの再生産基盤をローカルなものから切り離し、消費文化にその再生産がゆだねられるのではないかという点である。
以前は必要の無かった商品や、車、アスレチックジムなどが、必要な消費財として我々の生活に浸透してゆく様も、郊外なしには語れないのかもしれない。
また、参加者の郊外のショッピングモールでの経験が語られ、若者において単に遊ぶ場所にとどまらない意義を見つけた気がした。
2006-05-31 14:02 : 名無し URL : 編集
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