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『都市社会地理学』 第2章 レジュメ

『新版都市社会地理学』
第2章 都市生活の経済的背景の変化



■本章の課題■
①前工業都市の主な特徴は何か。
②産業資本主義は都市構造にどのような影響を及ぼしたか。
③フォーディズム都市とは何か。
④ポストフォーディズムは都市構造にどのような影響を及ぼしたか。
⑤グローバル化は都市の社会地理にどのような影響を及ぼしたか。
⑥新しいデジタル通信技術やサイバー技術は都市形態にどのような影響を及ぼすだろうか。


技術決定論への批判:技術革新だけが都市変化の原因ではない。
ex.鉄道関連の大実業家への自動車会社の攻撃?→技術の使われ方や技術に対する人びとの反応に左右される。
経済決定論/文化決定論への批判:経済や文化だけを取り上げるのもNG。
★まずは、都市をめぐる産業、経済、資本の動きに着目する。

2.1 前資本主義,前工業都市

重商主義と厳格な社会秩序に基く小規模な集落としての中世都市。
Sjobergの前工業都市の社会地理的モデル(図2.1参照)
エリートは快適で排他的な中心部(行政、政治、宗教施設の近く)/プロレタリアートは周辺部の劣悪で埃にまみれた環境
→ギルドの発生、明瞭な社会経済地区の形成。

Vance:都心からの距離に応じて居住地の地位と豊かさが低下するモデル:初期は「多心」構造、水平よりも垂直が重要。
(1階は仕事場、2階が親方一家、3階は倉庫と職人徒弟奉公人の部屋)
★都市の形状は人間スケールであり、同心円的な「歩行者都市」というイメージ。

2.2 工業都市の成長

工場制による生産システムの台頭に伴い、産業資本家と未熟練労働者が登場。
「貨幣によって規定された社会的地位が地代支払い能力を意味するようになり、それゆえ地区は実質的に社会的地位の差に基づいて形成された。」
→その結果、インナーエリアに倉庫や工場が増え、隣接地区に低廉な労働者住宅が建設された。一方富裕層は、彼らと距離を置くために郊外の瀟洒な住宅にひきつけられていった。
→資本主義の経済循環と都市交通の断続的改良は不連続な都市成長をもたらし、ツギハギだらけだけれども明瞭な郊外地区を持つようになった。

工業都市の空間構造に関する初期のモデル

ex.)マンチェスター:エンゲルス『イングランドにおける労働者階級の状態』
→労働者階級の暮らす1.5マイルの同心円。この外側に中流のブルジョワ、さらに外側には田園の雰囲気、乗合馬車が行きかう上流ブルジョワの邸宅。
Booth:同心円の「社会地図」①極貧地②中間地帯③下層中流階層の短距離通勤者④富裕層
→地価上昇のため、都市はくさび型ないしセクター型へ作り変えられた。
ex.)20世紀初頭のシカゴ:典型的な同心円モデル(Warner,Park,Burgess)→製造業の回廊・放射状の鉄道

マルクス主義と工業都市

生産力と生産の社会関係によって成立する産業資本主義の生産様式は、技術と社会関係の弁証法的関係によって発展する、という見方。→「社会の経済基盤は社会形態の上部構造である」
価格の決定方法
・交換価値(市場で商品に付けられる価値)→市場原理
・使用価値(人間のニーズを満たす商品の能力)→マルクスの主張
労働価値説
社会的必要労働の量を価格に反映しなければ、剰余価値が発生し、資本家に巨大かつ不当な富をもたらす。

※現在では、資本家階級を同定することは困難であり、生産システムにおいても熟練労働や知識労働が重要となり、国家による経済規制も増大した。マルクス主義は失敗であったという認識も広がった。だが、都市研究にとってマルクスの思想は有意義な発想をもたらし続けている。

2.3 現代の都市

メガロポリス=究極の都市構造(Gottman);ボストン~N.Y.~フィラデルフィア~ボルティモア~ワシントン

集中化と分散化
CBD(Central Business District・中心業務地区)への管理的官僚的活動の集中の一方で、店舗や企業は分散化。低密度で広大な郊外開発地区の増大。
→豊かな都市住民にはプラスに働いたが、貧困層は「機会の空間」に物理的にも経済的にもアクセスできず、貧困の落とし穴にはまり込んだ状態のまま放置される。

フォーディズムと工業都市

フォーディズム(グラムシ)の概念は、レギュラシオン理論へと発展。

多くの社会問題は、多様な調整メカニズムによって克服されてきた。国ごとに異なる調整様式(レギュラシオン)を蓄積体制と呼ぶが、フォーディズムも蓄積体制のひとつ。

フォーディズム概念を用いて分析できること
① 労働のあり方の変化②工業生産組織の変化③社会全体の編成
→1975年以後のフォーディズムの衰退を経て、ポストフォーディズムと呼ばれる新しいシステムが台頭した。

フォーディズムの特徴:①業務の単純化②肉体労働と頭脳労働の区分③時間動作研究(テイラー主義)
→移民労働力の活用が可能となった。つまり、技術的分業と社会的分業を効率的に結びつける結果をもたらした。
フォーディズムの拡大;デトロイトのリバールージュ工場
8万人の従業員、400haの敷地、140kmの引込み線、炭田、ゴム農園、製鉄所の買収。(垂直的統合)→古典的工業都市
※生産が行われる都市だけでなく、生産された商品も都市に変化を引き起こした。
→低密度のスプロール化したロサンゼルス

フォーディズムのその後
1920-1930年代、フォーディズムによる消費財生産の大量増加と大不況の発生。(→ケインズ主義の台頭)
第二次大戦後、高速道路の整備と郊外地域の発展によって、家庭用耐久消費財の需要増加。
D.Harvey:一次循環(生産システムへの投資)から二次循環(建造環境を含むさまざまな消費基盤への投資)への移行?「商品の物神化」によって、郊外住宅獲得のために大きな負債を抱えた階級の発生(持ち家保守主義)(図2.2)

・機能主義(機能重視)/主意主義(願望重視)という、それぞれの批判。
・市場メカニズムの発展に伴い、不平等を是正する福祉国家と福祉国家主義の発展
ex.国家による住宅供給(社会住宅)ex.社会的賃金(所得移転、税金による所得の再配分等)
but,女性やマイノリティ、その他貧困層は排除されてきた。

ポストフォーディズム都市に向けて

フォーディズムシステムにおける生産性の低下
① 研究開発部門への投資不測②原料価格の上昇③安全環境規制によるコスト増大④市場飽和と高品質嗜好の台頭
⑤設備投資コストの高さと生産体制の硬直化⑥労働者の疎外感や粗悪品を招く組み立てラインの仕事。(表2.2)

市場に対応するため、フレキシビリティを高める取り組み。(図2.3) →雇用の非正規化
・機能的フレキシビリティ(生産のフレキシビリティ) /数量的フレキシビリティ(雇用のフレキシビリティ)
※たくさん作っても売れないので、生産の外部化(リスク回避)、事業体の小規模化などを通じて低コスト化が進む。そのため、ポストフォーディズム企業は範囲の外部経済に基盤を置く。

大規模な脱工業化の進展:工場は閉鎖され、ショッピングセンターやレジャー産業に転換。(rust belt;錆地帯)

新産業空間の形成:取引コスト(コミュニケーションに必要なコスト)を減らすために、企業が集積する。シリコンバレー等の産業クラスター。特徴としては①旧来的な慣行等の影響を受けないため、「煙突都市」から離れる②魅力的な環境に恵まれた場所に立地などが、技術者や専門家、科学者を惹き付ける。③急成長に伴って社会的コストが高騰する。

★フォーディズムについての、いくつかの疑問点や批判点
・フレキシブルな蓄積(Harvey)が蓄積されるのかどうか?
・フォードの工場はもっと複雑だった?
・ハイテク産業の雇用者は、それほど多くない?
・市場の飽和は、誇張されすぎている?
・ネオフォーディズムの時代?
・サービス部門の無視?→多くの女性労働者が働くサービス部門への注目が必要。
→「創造都市」

2.4 脱工業都市

サービス産業を無視したレギュラシオン概念の欠陥。→「サンベルト」周辺では、サービス業の著しい成長
・脱工業化した縁辺地域に「バックオフィス」機能を分散化
・産業部門別の労働者の所得分布(図2.4)→賃金の二極化、雇用の女性化。移動性の高いサービス業。

グローバル化

固定相場のブレトンウッズ体制の崩壊、変動為替制にもとづく新しい金融体制→グローバル化の波。
多国籍企業の国際分業によるコスト削減の一方で、ポピュラー音楽の世界戦略やマクドナルド化の進展、ハリウッド映画の普及。一方で、イスラム原理主義などとの対立も深刻化。

国民国家の影響力低下→「空洞化」→EUや「新連邦主義」の台頭
世界都市:N.Y.、ロンドン、東京などの指令センターの出現。→顕著な社会的二極化、治安強化、空間的分断。
※「グローカル化」「グローバル=ローカルの連鎖」

知識経済と情報都市

テレマティクス(ネットワーク技術?)→サイバー空間「輝かしいユートピアか、社会不安の彩られた悪夢のシナリオ?」
→知識産業の創造性が都市における人びとの緊密な物理的接触から生じるネットワークによって可能となる。
都市は「物理的にも社会的、電子的にもコミュニケーションの巨大な推進力」である。

知識型資本主義・ネットワーク社会・自省的蓄積・ソフトな資本主義・重さのない世界

①技術革新に伴い変化スピードが早いため、企業は知識獲得を重視②特にニッチ市場にて商品のデザインやファッションを重視③デザイン技術、製造目的を融合する必要性に対する認識の高まり。

「テレマティクスは、都市間の社会的二極化を強め、世界的な指令機能を持つ恵まれた都市と旧来の工業地域に位置する恵まれない都市との分断を作り出す」(ex.インディアナ州の情報加工産業の大都市集中→小都市との格差進む。)

「オタク化したテクノ中毒者」以外は、テレマティクスによって対面接触も増大。コミュニケーション回路の拡大によって都市活動のある側面の民主化の可能性にもつながる。一方で、情報リッチと情報プアは分断される。
→メガシティ(光ファイバーの接続状況/デヂタルデバイド)

★無線にしてもテレビにしても、当初はこれほど普及しないと思われていた側面もある。コンピュータがPCとなることも予測されていなかった。→技術革新による未来予測の困難性。

2.5 まとめ

「現在の都市はさまざまなセンターの様相を持ち、生産者サービスと消費者サービスの両方に基盤をおき、新しい通信技術に支えられたグローバルなネットワークに組み込まれている。こうした発展は都市の文化に影響を与え、また都市の文化から影響を受けてきた。」→第3章「都市の文化」へ

 

■ 論点 ■

・IT技術は、現代都市に変革を起こす要素のすべてではないが、現在、世界市場の余剰資金はIT業界に流れ込み、産業構造や都市構造を大きく変化させているという見方ができる。IT業界の拡大は、IT依存型社会を構築することで、関連市場の拡大と生き残りを図ることにつながっていく。その点では、「必要以上のIT化」が加速するという可能性もありえるが、どうだろうか。

・脱工業化都市においては、たとえばインナーエリアにおける都市問題のあり方に何らかの変化が生じるのだろうか。従来は、工業化に伴って形成されたインナーエリアに、マイノリティや高齢化、貧困や犯罪の問題等が集中していた。だが、インナーエリアの再開発等によって、「問題地域」の不可視化が進む可能性を指摘できる。そのような現状を受けて、たとえば神戸市では、ニュータウン地域での犯罪対策に力を入れているが、一方で、野宿者対策や高齢化に伴う諸問題への対策は十分と言えるのだろうか。新自由主義体制下における脱工業化都市では、福祉対象者の切り捨てが不可視的に進む現状があるのではないだろうか。

2006-05-16 22:38 : 『都市社会地理学』(06学部ゼミ) : コメント : 0 :
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